「二度と教会にちかづいたら駄目よ」
イッセーが部長に怒られていた。
その話を聞くには、教会は悪魔にとって危険な場所でいつ、どこから
天使が光の力で狙っているかわからないらしい。
天使を含めた教会の関係者は危険極まりないらしく、光の力
をくらうと無に帰すらしい。何も感じず、何もできない。
イッセーは、その教会の関係者にあったらしい。よかったな、無に帰らずに。
部長の説教が終わった。盗み聞きとはいえ、気分が下がるな。
「あらあら。終わりましたか」
いつの間に、朱乃さんがイッセーの背後にいた。ニコニコ顔で
「討伐の依頼が大公から届きました」
◇
はぐれ悪魔…主を裏切り、または主を殺したりしてはぐれになったらしい。
はぐれ悪魔は、ほうっておくのはまずいらしく討伐の依頼がたまに来るそうだ。
ちなみに、堕天使ドーナシークに狙われたのははぐれと間違ったらしい。
一人で納得するからだ。けっこう馬鹿な野郎だ
はぐれ悪魔の中にも、何かを考えて行動した奴もいるだろうに…
悪魔のほかに、堕天使や天使なんかも見つけ次第殺っているというと、
考えているうちに討伐対象のいる廃墟に着いた。
「(なんだ…?人の血の臭いがする)」
小猫も気づいているようだ、制服で鼻を覆っている。イッセーは気づいていない。
鈍いぞ、お前。
「イッセー、クリス。いい機会だから、悪魔としての戦いを経験しなさい」
「ええ!?そんな、いきなり無理ッス。クリスならともかく…
俺、戦力にならないと思いますけど!」
「イッセー。言っておくが、俺も戦力外だと思うぞ」
一応、俺は堕天使を退けたけどな。右腕に犠牲にして…
「確かにね…今回は戦いを見ていなさい。ついでに下僕の特性を説明してあげるわ」
下僕に特性なんてあるのか?わからん。
「特性?」
「主である悪魔は、下僕に特性を授けるの。そうね。悪魔の歴史を含めて、
その辺を教えてあげるわ」
部長は、悪魔の現況について語った。
大昔に天使に堕天使、悪魔を三つ巴の戦争をした。その結果、どの勢力も
ひどく疲弊し、勝利者もいないまま戦争は終結した。
…で、この戦争で悪魔側も大打撃をうけて爵位を持った悪魔も亡くなった。
純粋の悪魔も多く亡くなった。だが、戦争が終わった後もいがみ合い
隙を見せれば、危ういらしい。
そこで出てきたのが、『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』。人間界の『チェス』
の特性を下僕悪魔に取り入れた。
それが意外と好評らしく、それでできたのがレーティング・ゲーム
悪魔の中では、優秀な人間を集めるのが流行っているらしい。
俺はその話を聞いてふと、疑問が浮かんだ。
「部長。俺とイッセーの駒と特性は何ですか?」
「あなた達は…」
といいかけて、とめた。目的(ターゲット)が来たらしい。
「不味そうな臭いがするぞ?うまそうな臭いがするぞ?甘いのかな? 苦いのかな?」
老若男女が入り交ざった声がした。不気味だ
「はぐれ悪魔バイザー。あなたを滅しにきたわ」
「ケタケタケタケタケタ」
駄目だ。笑い声だけで性的に受けつけない。きもい
暗がりから出てきたのは、上半身裸の女性だった。だが、中に浮いていた。
ドクンッ!!
ヒステリア性の血流だ。ったく、初心すぎるのも駄目だな。
長くまばたきをして、見開くと眼つきが鋭くなった。
バイザーは、上半身が人で下半身が獣の化け物だった。HSSの俺でも、
あれは化け物にしか見えないな。
「主のもとを逃げ、おのれの欲求のために暴れまわるなんて万死に値するわ。
グレモリー公爵家の名において滅してあげるわ」
「こざかしいぃぃ! その紅の髪のように、鮮血に染めてやるわぁぁぁぁあああ!!」
「雑魚ほど洒落たセリフを吐くのね。祐斗」
「はい!」
バッ!
祐斗が、見えないほどの速さでかけた。速い…!
「祐斗の役割は『騎士(ナイト)』特性はスピード。『騎士』となったものは、速さが増すの」
祐斗は、どんどん速くなっていき今の俺には普通に見えるが
イッセーには見えないらしい。
「そして、祐斗の最大の武器は剣」
いつの間に、出していた剣で、バイザーの両腕を斬り落とした。
「これが祐斗の力。目では捉えきれない速力と、達人級の剣さばき。
ふたつが合わさる事で、祐斗は最速のナイトになる」
…あの剣は神器か。突然現れたし、前に部長が言っていたことを
思い出すと、神器と推理できる。
バイザーの足元に小猫がいた。危ない…!
思わず飛び出しそうになった俺を、部長は片手で制した。
「大丈夫よ。小猫の役割は『戦車(ルーク)』特性は…」
バイザーが小猫を踏み潰した。
…が、踏み潰しきれなかったようだ。力…強すぎるような気がするが。
「特性はシンプルよ。馬鹿げた力と屈強なまでの防御力。あれだけじゃ、
小猫は潰せないわ」
小猫は、バイザーの腹にパンチした。バイザーは、吹っ飛び倒れた。
小猫をあまり怒らせないようにしよう。きっと、あんな感じになってしまう予感が…
「最後は朱乃ね」
「はい、部長。あらあら、どうしましょう」
そういいながら、バイザーのほうへ歩み寄る。
…あれ? 今、寒気が…
「あらあら、まだ元気ですわね。なら、これならどうです?」
ががっががっがっがががっがっが
先輩が手を上にかざすと、雷が落ちてきた。バイザーが黒こげだ。
「あら。まだ、いけますわよね?」
二発目の雷が落ちてきた。
断末魔に近い声が聞こえた。それにもかかわらず、三発目の雷が落ちた。
せ…先輩。楽しんでいるよ…いつもよりいきいきしている。
「朱乃は『女王(クイーン)』私の次に強い最強のもの。『兵士(ポーン)』
『騎士』『僧侶(ビショップ)』『戦車』の力を合わせ持つ無敵の副部長
それに、彼女は究極のSよ」
さいですか…寒気がしたのは本能が危険を察知したからなのか。
先輩を怒らせても駄目だ。てか、女性陣を怒らせる事は絶対にしないこう。
朱乃先輩のドSショーは、長い間続いた。
◇
先輩が一息ついた後、部長が戦意喪失したバイザーの元へ歩み寄った。
「最後に言い残す言葉は?」
慈悲深いな…人類は悪魔の認識を改めた方がいいと思う。
「殺せ」
「そう。なら、消し飛びなさい」
部長の手のひらに黒い魔力の塊がバイザーに向かって飛んでいった。
ドン!
バイザーは、跡形もなく消えていた。
まだ、HSSが続いていた俺はさっき聞きそびれていた事を聞いた。
「部長。俺達の駒の役割は何ですか?」
イッセーも聞きたかったのか、うんうんとうなずいていた。
「クリスとイッセーは『兵士(ポーン)』よ」
俺達は、一番下っ端だった。
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神様の悪戯で、死んでしまった俺―――神矢クリスはハイスクールD×Dの世界に転生した。原作の主人公、兵藤一誠らに会っていろんな事に巻き込まれる。