「やぁ、葵君。久しぶりだね」
「は、はい。……お久しぶりです」
ヤバイ、いつになく顔が笑ってるよ。その笑顔がとっても怖い。早く切り抜けなければ!
「それではまた」
そう言って立ち去ろうとすると、恭也さんが肩に手を置いて引き止めた。
「まぁ、少し待ってくれ、葵君。君に聞きたいことがある」
「な、何ですか?」
「なのはたちに聞いてみると、君は男の子だそうじゃないか。そこのところはどうなんだい?」
「えぇ、一応男ですよ」
なるべく平穏を装って答える。……って痛い!肩に乗せている手に力を込めないでぇ!!肩が壊れちゃうぅぅぅぅ!
「ちょっと俺と勝負しないか??」
いやだーーーーー!!!!!!恭也と戦ったら絶対に殺される!!何故かその光景が目に浮かんでしまう。と言うかどうしてこうなったんだ?いったんこうなった経緯および、状況を整理しよう。
まず、学校でなのはに誘われる→翠屋にgo→時間も経ったし帰ろうとする→恭也さんに遭遇←今ここ
経緯は大体分かった。次は状況だな…。
逃げようとする僕、僕の肩に手を置き力を入れる恭也さん。
逃げ場ね〜……詰んだね。
…………ん?いや、待てよ?よく考えよう………。
僕は今6歳、それに対して恭也さんは19歳、この光景を第三者の視点から見るとどうなんだろうか。
答えは簡単……大学生が小学生になにかしようとしてる。
……これならいける!!
「いえ、遠慮しておきます。だいたい大学生が小学生に対してなんて事言ってるんですか。あなたは鬼ですか?小学生が大学生に勝てるはずないですよ。それでもやるって言うんなら桃子さんに言いつけますよ?それでもいいんですか?」
「うぐッ!?…………………し、しかし…」
「恭也?なにをしているの?」
「か、母さん!?い、いや、これは、その………」
どんどん恭也さんが小さくなっていく……………………恐るべし、桃子さん!
「何?」
さて追い打ちでもかけるか。
「家に帰ろうとしたら恭也さんがいきなり肩をつかんできたんです。それでいきなり勝負しようって言われて………」
「きょ〜う〜や〜?」
「いや!違うんだ、母さん!」
「何が違うって言うの?これは少しO☆SI☆O☆KIが必要ね」
「ちょっと待ってくれ!弁解の余地を………!!」
「もう、言い訳はいいわ………こっちに来なさい」
………………………うん、なんと言うかね?桃子さんめっちゃ怖かったです。さすが、高町家の母。
そしてしばらくすると、桃子さんだけが戻ってきた。
「家の子が迷惑かけちゃったわね。これ、お詫びと言っては何だけど、良かったらご家族の方と一緒に食べて」
そう言って差し出して来るのはシュークリームが入った箱。
「ありがたく頂いていきます。…それではまた」
「また来てね」
今度こそ扉に手をかけ、お店を出た。
こ、怖かった〜〜〜〜。やっぱりあそこは魔王城で間違いないな。次に行く時は、気をつけよう。シュークリームが入った箱を持ちながら、そう思わざるをえなかった。
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