No.446064

魔法少女リリカルなのは~原作介入する気は無かったのに~ 第一話 学園での日常

神様の手違いで死んでしまい、リリカルなのはの世界に転生した主人公。原作介入をする気は無く、平穏な毎日を過ごしていたがある日、家の前で倒れているマテリアル&ユーリを発見する。彼女達を助けた主人公は家族として四人を迎え入れ一緒に過ごすようになった。それから一年以上が過ぎ小学五年生になった主人公。マテリアル&ユーリも学校に通い始め「これからも家族全員で平和に過ごせますように」と願っていた矢先に原作キャラ達と関わり始め、主人公も望まないのに原作に関わっていく…。

2012-07-04 23:41:42 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:48776   閲覧ユーザー数:43685

 自宅から歩いて約7分、俺達の通う学校が見えてくる。

 

 『海鳴市立海鳴小学校』略して『海小』。全校生徒727人、1学年3クラスで1クラス約40人。

 特に進学校ということもなく、学力レベルもごく普通の学校である。ただし運動部は全体的にレベルが高く、バスケ部に至っては全国の常連校でもある。実際プロの世界には海小のOBもそれなりにいて時々部活の指導にも来ているとか。まあうちの家族で運動部に入ってるのはいないのだが。

 

 そんな俺達長谷川家の面々が学校の校門をくぐり校舎に近付くにつれ、同じように登校している生徒達(男子のみ)や朝練している生徒達(もちろん男子のみ)の視線がこちらに集まってくる。理由は……。

 

 「おい見ろ。海小の天使達がいらっしゃったぞ!」

 

 「マジか!?…本当だ!!いつもはもう少し登校するのが遅いのに」

 

 「朝練してる俺達は丁度後片付けしてる頃に登校されているからな。朝から四人のお姿を見られるなんて今日は最高の一日になりそうだぜ」

 

 そう…。俺の家族であり、我が校で『海小の四天使』と呼ばれているシュテル、レヴィ、ディアーチェ、ユーリの四人がいるからである。まあ確かに四人は人目を惹く程の美少女だからな。視線が集まるのにも納得出来る。転入してきた当日にファンクラブが出来るぐらいだ。当の本人達はそんな視線に気付いていないのか

 

 「今日の給食は何かな~♪」

 

 「気が早過ぎますよレヴィ」

 

 「お前は…。朝食を食べてまだ一時間もたっておらんだろうが」

 

 「クスクス。まあレヴィらしいですけどね」

 

 などと会話をしながら歩いている。

 

 「やっぱりシュテルさんだよな。いつも落ち着いていてあの大人びた雰囲気が彼女の魅力だし」

 

 「いや、元気いっぱいのレヴィさんだろ。彼女の笑顔は最高だぜ」

 

 「ディアーチェさんも捨て難いぞ。普段のツンとした態度に時折見せるデレた表情の破壊力はマジヤベェ」

 

 「絶対にユーリさんだって。彼女の癒しオーラを感じたら朝練の疲れなんて吹っ飛ぶよ」

 

 …いつの間にか四人の魅力について語り出してるし。ホント人気あるよな~なんて思っていると

 

 「は~…。本当に彼女達は絵になるよなあ」

 

 「全くだ。…………しかし邪魔だな」

 

 「ああ、邪魔だよな」

 

 「我らが四天使に纏わりつく害虫…」

 

 「海小に通う男子全ての敵」

 

 「「「「「「「「「「(長谷川勇紀ぃっっっっ!!!!)」」」」」」」」」」

 

 「うぐっ!?」(ビクゥッ!!)

 

 先程までの視線が全て殺気に変わり俺に向けられている。…………毎朝の事とはいえ今日は朝練している生徒の視線もプラスされているせいでいつもより強く感じる。てか毎回毎回、何故殺気を放ってくるんだ?

 

 「??どうかしましたかユウキ」

 

 シュテルが尋ねてくる。他の三人もこちらを向く。

 

 「いや、大丈夫。何でもないから」

 

 どうやら四人はこの殺気のこもった視線には気付いていない様だ。

 

 「「「「「「「「「「(あのヤロ~!!シュテルさんに心配してもらいやがって!!!)」」」」」」」」」」

 

 更に殺気が強くなった!?

 

 「ホントに大丈夫か?顔色が少し悪いようだが?」

 

 「風邪でも引いたのですか?無理はしない方が…」

 

 「ユウ?保健室行く?」

 

 三人も俺の顔を見ながら心配してくれる。ううっ、家族の温もりが心に染みる。でも心配されるたびに何故か周囲からの殺気が強まっていく。これはさっさと校舎に入った方がよさそうだ。

 

 「ホントに大丈夫だから。四人共、心配してくれてありがとな。ちょっとトイレに行きたいから先に行かせてもらうわ」

 

 そう言い俺は一足先に校舎へ向かって走り出した。

 

 

 

 「…行っちゃったね」

 

 「ホントに大丈夫なんでしょうか?」

 

 「まあアイツが大丈夫というなら信じてやるしかないだろう。我らは先に教室に行くぞ」

 

 「そうですね。本当に具合が悪そうなら私達でフォローしてあげれば良いですし」

 

 「…分かりました」

 

 そんな会話をして四人も校舎に入って行った…。

 

 

 

 一足先に校舎に入りトイレに行くフリをし、若干遠回りをして時間を潰してから教室に来た俺。すでにシュテル達はレヴィ以外自分の席に着いていた。ちなみに俺の席は一番端(廊下側)の一番後ろの席で左隣がレヴィだったりする。逆に一番端(窓側)の一番後ろからシュテル、その前の席がユーリ、ディアーチェはユーリの更に前となっている。四人共、俺に気付くと「大丈夫か?」という視線を送ってきたが「大丈夫だ」とジェスチャーで返し俺は自分の席に着いた。ランドセルから教科書やノートを出していると

 

 「やあ。朝から素敵な視線を独り占めだったね勇紀」

 

 と、ニヤつきながら話しかけてきた男子生徒がいた。ソイツに対し俺は

 

 「羨ましいなら代わってやってもいいぞ謙介」

 

 ジト目で睨んで言い返してやった。

 

 俺に話しかけてきた男子生徒の名前は杉村謙介。俺が海小に入学して最初に出来た友達であり毎年同じクラスになるという腐れ縁だ。短髪で体つきはしっかりしている。運動神経も良く勉強も出来る。顔もそこそこイケメンなのだが頭の中はエロばっかりの残念ムッツリなのだ。体育の際に女子の着替えを覗くのは日常茶飯事でその度に女子にフルボッコされるのはもうお約束である。もっとも、今年になってからはまだ犯行を犯してはいない様だが。

 

 そのせいで謙介は女子から全くモテない。真面目にしていたら優良物件なのに勿体ない奴だ。

 

 「是非とも代わってほしいが僕もまだ死にたくはないから遠慮するよ。それに彼女達と同じクラスという事だけで充分満足だよ。後、君の傍にいればたまに話せる事があるからね」

 

 「話したいなら直接話せばいいじゃねえかクラスメイトなんだし。わざわざ俺の許可がいる訳でもないんだし」

 

 「君は分かっていないね。彼女達四天使はこの学園の全男子生徒にとって至高の宝同然なんだよ。そんな彼女達に話しかけるというのは宝を汚す行為と受け取られるんだ。話しかけられるだけでも栄誉な事なのに話しかけるなんて恐れ多い。そんな彼女達と気兼ねなく話せる君に殺意を抱くのは当然だろう?」

 

 話を聞いているのか周りの男子数人もうんうんと頷いている。

 

 「何でそんなに神格化されてんだよ?それに家族と話すだけで恨まれんのか?何でだよ?俺が一体何をしたよ?」

 

 「やれやれ…このリア充が」

 

 「リア充言うな!!」

 

 失礼な奴だ。

 

 「君をリア充と言わずして何と言う。この学校の誰よりも彼女達の近くにいつも君はいるんだぞ。それに例え家族といえどもあんな美少女達と一つ屋根の下で暮らし、いつも五人揃って仲良く登校…。更には食事の際に「はい、あ~ん♪」や一緒のお風呂に入ってるという噂もあるぞ?」

 

 「んな事してねえっ!!」

 

 「「「「「「「「「「何だとおっ!!?」」」」」」」」」」

 

 俺が否定するのと同時にクラス中の男子が叫んだ。いつの間に全員聞き耳立ててんだよ!?しかも朝の連中と同じように殺気放ってるし。

 

 「やはりコイツだけは生かしておけねえ!!」

 

 「頼む!俺に、俺にコイツを殺らせてくれ!!!」

 

 「俺達の生きる原動力である天使達を汚しやがってえっ!!」

 

 「SATSUGAIするSATSUGAIするSATSUGAIするSATSUGAIするSATSUGAIするSATSUGAIするSATSUGAIするSATSUGAIするSATSUGAIするSATSUGAIするSATSUGAIするSATSUGAIするSATSUGAIするSATSUGAIするSATSUGAIするSATSUGAIするSATSUGAIするSATSUGAIする」

 

 駄目だコイツら……。聞く耳持ちやしねえ。謙介の奴はニヤついてるしクラス中の男子共は殺気を纏わせながら少しずつ近づいて来る。俺も少しずつ後退し、ドアのそばまでくると

 

 「謙介。テメエ覚えてろよおおおおおおっっっっっっっ!!!!!!!」

 

 そう叫んだ後に即座に振り返り全力疾走で教室を飛び出した。

 

 「「「「「「「「「「まああああああてえええええええええいいいいいいいいっっっっっっっっっっっっっ!!!!!!!!!!!!!」」」」」」」」」」

 

 狂戦士(バーサーカー)と化した男子共もすかさず俺を追跡し始め本鈴のチャイムが鳴るまで全力全開鬼ごっこは続くのだった……。

 

 

 

 …HRが始まった。俺は汗だくになりながらも今日の連絡事項を聞いている。ついでに前の席に座っている謙介(バカ)への復讐もどうやろうかと思考する事も忘れない。そんな時に隣のレヴィが

 

 「《ユウ。さっき叫んで教室出てったけど何してたの?男子も皆ユウの後ついて行ってたし》」

 

 念話で聞いてきた。

 

 「《……俺一人VSクラスの男子達という理不尽な鬼ごっこをやってた》」

 

 おかげで朝から無駄に体力を消費した。

 

 「《ぶう~、いいなあ楽しそうで。僕も混ぜてほしかった》」

 

 「《あれを楽しいと思えるのはお前ぐらいだろうなあ…》」

 

 「《そうかな?》」

 

 そうなんです。

 正直俺は二度とやりたくねえ。全ての元凶は前の席にいるコイツのせいなんだしマジでどうしてくれよう。

 そんな事を考えていると連絡事項を言い終えた担任が一旦教室を出て行った。一時間目の授業に使う教科書でも取りに行ったのだろう。確か一時間目は算数だったな。俺は机の引き出しから教科書とノートを取り出していると

 

 「あ、教科書忘れちゃった」

 

 隣のレヴィがそう言った。

 

 「ま、いっか」

 

 「良くねえよ。いつも寝る前に時間割と教科書やノートをちゃんとランドセルに入れたか確認しとけって言ってるだろ?教科書忘れるのこれで3回目だぞ」

 

 「しょうがないよ。ついつい忘れちゃうんだ」

 

 教科書忘れたのを気にする事無くそう答えるレヴィ。そんな事を言ってると 教科書を取りに行った担任が帰ってきた。

 

 「じゃあ、授業を始めるぞ~。今日は16ページの「先生!!」…何だ?長谷川」

 

 担任の言葉を遮るレヴィ。

 

 「教科書忘れました!!」

 

 「…忘れたのにそんなにハッキリ言うのも困るのだが…仕方ない。隣の人に見せてもらいなさい。次の授業の時には忘れずに持ってくるんだぞ」

 

 は~い、と元気良く返事するレヴィ。コイツまた忘れるだろうなと溜め息を吐く俺。

 

 「じゃあユウ、教科書一緒に見よう」

 

 と、机をこっちに寄せてきた。そんな様子を見てシュテル、ディアーチェ、ユーリは

 

 「(レヴィ、ユウキにあんなに近付いて…)」

 

 「(我もユウキの隣の席で教科書を忘れたりする事があったなら…)」

 

 「(羨ましいです…)」

 

 ジト目でレヴィを睨んでいた。レヴィはそんな三人に気付いていない。そしてクラスの男子達は

 

「「「「「「「「「「(あの野郎~~!!!)」」」」」」」」」」

 

 殺気を俺に向けていた。教科書忘れたのレヴィでただ見せてるだけなのに何故俺が…。また溜め息を吐く俺。

 まあそんな事思ってても今は意味が無いので俺は教科書をレヴィにも見せるようにし授業に集中した。

 

 

 

 授業が始まって10分頃…

 

 「く~…く~…」

 

 お隣さんは夢の世界に突入していた。これもコイツの日常だったりする。転入して以来、体育、家庭科(調理実習)以外の授業を最後まで起きていた事が無い。担任も何故か注意しないし。男子が寝てたら教科書で頭叩いて起こすのに…。しかも時々レヴィの寝顔を見てはニヤけている。ニヤけずに注意しろよ。

 

 「レヴィ、起きろ。授業ちゃんと聞けって」(ボソッ)

 

 とりあえず軽く揺すりながら起こす。

 

 「ふぇ…?」

 

 目を開き、夢の世界から帰ってきたレヴィ。今日の朝といいすぐに目を覚ますなんてホント珍しい。

 

 「起きたか?たまには最後まで眠らず頑張れ」

 

 「…ん、分かった。僕、頑張ってみる」

 

 そういい目を擦りながらながら黒板に顔を向ける。それを見た担任は「余計な事しやがって」的な視線で俺を睨む。ただレヴィを起こしただけなのに、なんでさ…。

 

 しかしそんなレヴィの決意も虚しく5分後には再び夢の世界へ行ってしまった。さっきと違い姿勢は正したままで。もういい、放っとこうと思った俺は黒板の内容をノートに写していた。すると肩に何かが触れてきた。そちらに顔を向けると…。

 

 「く~…」

 

 レヴィがこっちに寄りかかってきていた。しかも…

 

 「ユウ~…今日も一緒に寝ようね~……////」

 

 などと寝言でとんでもない爆弾発言をしやがった。

 

 「「「「「「「「「「長谷川アッ!!!!!!」」」」」」」」」」

 

 「「「「「「「「「「キャアアアアアアアッッッッッッッッ!!!!長谷川君大胆~~~~~~~~ッッッッッッッ!!!!!」」」」」」」」」」

 

 突然、授業中にも関わらずクラスの男子共(謙介以外)が叫びだした。全員目がギラギラしてる。女子は黄色い声を上げている。

 

 「一緒に寝てねえよ!!コイツの寝言だよ!!事実無根だよ!!!」

 

 抗議するが誰も聞いちゃいねえ。

 

 「いや~勇紀。君の事を勘違いしていたよ。「はい、あ~ん♪」やお風呂ではなく一緒に寝ていたなんて。君は全く底の見えない男だねえ。やっぱり尊敬するよ。で、レヴィさんと一緒に寝て何をしているんだい?抱き心地は?匂いは?やっぱりキスとかしてるのかい?」

 

 ハアハアと鼻息を荒くしながら聞いてくるムッツリ。コノヤロウ…。俺は事態を収拾するよう担任に視線で助けを求めた。だが担任は

 

 「長谷川貴様アッ!!!!同じベッドで一緒に寝ているだと!?何だ!?長谷川と何をしているんだ!?まさか杉村の言ったような…いや、それ以上のあんな事やこんな事をしているのか!?どうなんだ!?答えろ長谷川アッッッッッ!!!!!」

 

 血涙を流して暴走していた。今ハッキリと理解した。この担任ロリコンだ。しかも重度の。

 

 「だから一緒に寝てないですって!!てかこの事態収拾してくださいよ!?」

 

 これだけうるさいと隣のクラスに迷惑だ。

 

 「黙れ!!貴様には聞きたい事が出来た。算数の授業は今日は終わりだ!!!残りの時間は貴様と長谷川の関係を明白にするための尋問にする!!!」

 

 ワアアアアアアアッッッッと沸く歓声。もう誰も授業の事はどうでも良くなっている。駄目だこのクラスと担任は…早く何とかしないと、と思っていると

 

 「「「……ユウキ」」」

 

 恐ろしく底冷えする声が俺の耳に届いた。その声で教室の歓声は一瞬にして収まり恐る恐る声のする方に顔を向けると…

 

 ゴゴゴゴゴゴ…

 

 黒いオーラを纏ったシュテル様、ディアーチェ様、ユーリ様がご降臨なされていた。

 

 「少し聞きたい事があるのでよろしいでしょうか?」

 

 「な、何でしょうか?シュテル様」

 

 思わず様付けで敬語になってしまう。メッチャ怖え。

 

 「決まっとろうが。さっきのレヴィの寝言についてだ」

 

 ディアーチェ様、笑顔なのに目が笑ってませんよ?

 

 「今日みたいな寝言は普段言いませんよ?だから少し気になるんですよ」

 

 ユーリ様、あなたのオーラは癒しなんですよね?何故、私には恐怖しか感じないのでしょうか?

 

 「ですから誤解ですお三方!信じて下さい!!」

 

 クラスの連中も担任もガクガクと震えてる状態の中、とにかく必死に頭を下げ俺は三人を説得した。三人がようやく納得し機嫌を直してくれたと同時に授業終了のチャイムが鳴り響いた。ちなみに寝言を言った張本人(レヴィ)は最後まで起きなかった…。

 


 
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