キャロとフリードに自己紹介をしてから、数週間が経った。
まずキャロにはトラウマになっているらしい竜召喚をやらせた。
最初は何回か暴走させてしまったが暴走させたら両方飯抜きといったら、その次は見事成功させていた。
冗談のつもりだったのだが、さすがに飯抜きはやりすぎたか、次からは気をつけよう。
そう思いながら手元の三種類の結晶体を眺めていた。
赤い結晶体はなにやらよくわからんものを内側に溜めこんでいるし、青い結晶体は、赤い結晶体よりヤバい気がする。
それらに比べ、白い結晶体は比較的安全な感じがする。
「……そういやなんでこんな危険なものが道端に転がってたんだ?」
「どうかしたんですか?海斗さん」
気づかない内に声に出していたようだ。
ちょうどいいからキャロにこの結晶体に見覚えがないか聞いてみよう。
「なあキャロ、この結晶体何だと思う?」
「う〜ん……赤い結晶体は分かりませんけど、青い結晶体と白い結晶体なら分かりますよ、確か青い結晶体は″ジュエルシード″と呼ばれていて白い結晶体は″万華鏡″だった筈です。ルシエの里にあった本に書いてありました」
「ほうほう」
「それでジュエルシードは所有者の願いを叶える能力みたいなのがあるらしいです。でも、願いは全部歪んだ形になって叶うそうですよ……それどこで拾ったんですか?」
「俺の居た世界の道端にポイッと捨てられてたから拾った」
「いやいやいや!! そんな危険なものが道端に落ちてるわけないでしょ!」
いやそんなこと言われても
「拾ったのはホントなんやからしゃーないやん。それで万華鏡はどういう能力持ってるん?」
「え〜とたしか万華鏡は二つ能力があるんですが、まず一つ目は″穴を開ける″で、もう一つは″所有者の存在を必要としている人の所に転移する″ この二つが万華鏡の能力です。 ────二つ目の能力は一度しか使えないやつらしいですけど──── ……あと口調を急に変えないでください」
「ん、了解それで俺がここにいるのは、万華鏡の二つ目の能力が発動したからでいいのか?」
「多分そうなるかと……すいません! 海斗さんにもやることがあるはずなのに、私のせいでそれをダメにしてしまって、本当にごめんなさい!」
とキャロが泣き目でそう言ってきた。
「……俺としては、この数週間はいろいろなことがあって楽しかったがな。キャロが竜召喚に失敗してた時、飯抜きにするって言ったら見事成功させていたし」
「それは、……海斗さんの作るご飯が美味しかったから」
「それはなにより、ていうかさ……」
と一旦言葉を言うのを止めて、親指と人差し指を合わせてキャロの額にもっていく。
そして、放つ!!
「~~~~!?」
そして、キャロはとても痛そうに額を抑えている。
キャロ達に会うまでは普通の高校生レベルの筋力だったのだが、キャロの竜召喚の制御の練習をしてると、フリードの暴走を俺が一人で抑えなきゃいけないわけで、多重多元屈折現象をフル活用かつたまに殴って大人しくさせたことも何回かあったため、そこそこの筋力にはなった。
「子供は大人を頼るもんなんだよ、なんでも一人で我慢すればいいなんてもんじゃない、キャロ、お前はまだ五歳ぐらいにしかなってない子供なんだから我慢なんかしちゃだめだ」
あいつみたいな存在はもう二度と見たくないからな、そういえばあいつ等は元気にやっているだろうか。
「は、はい、わかりました」
「うん、いい返事だ、そういや、キャロ、お前、今、竜召喚しても暴走しないよな」
「はい、今ならヴォルテールを出しても問題ないくらいには制御できてます」
「うんうん、そこまでできてるのなら問題ないな、それじゃあこの世界からでて一回俺がこの世界に来る前に住んでいた場所に戻る方法を見つけたから行く準備しとけよー」
「あ、はい……ってええぇぇぇ!! 早すぎますよ! というかいつそんな方法思いついたんですか!」
「んーーぶっちゃっけキャロから万華鏡について説明を受けた時にはもう思いついていたり」
俺がそう言うとキャロがorzなポージングをとっていた。
「え、じゃあさっき私が今まで悩んでいたことが全て無駄になったってこと?だとしたらさっきのデコピンは受け損じゃないですかー!」
「お前が言うのが悪い!」
「うがぁぁぁぁ!! フリード、ブラストフレア!!」
「きゅくる~(くらえ~)」
軽くキャロをからかったら、フリードがブラストフレアを放ってきた。
まあ万華鏡の能力が”穴を空ける”が俺の思っている通りだとしたら
そして俺にブラストフレアが直撃した……かに見えた
「うんうん、予想どうりだ」
残念ながら俺にブラストフレアは直撃していない。
なぜなら万華鏡の穴を空ける能力を使ったのである。
俺の手前にある空間に穴を空けてそこにブラストフレアが入っていった。
だから俺は無傷ということになる。
「はい、ブラストフレアを当てることに失敗したキャロとフリードを地球に連行~~」
俺はこの世界と地球の間にある空間を万華鏡を使い穴を空けて、呆然としていたキャロとフリードを懐に抱えたまま、その穴に入っていった。
まあ地球のどの辺りに転移するか分からないけど、できれば海鳴市付近がいいなぁと思うのであった。
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キャロとフリードに出会ってから数週間が経過していた。そこで海斗はどうして別の世界に飛ばされたかを知ることになる。