「なのは、そろそろ行くぞ」
「わかった」
フェイトちゃんと初めて会ってから一週間後、高町家全員とアリサちゃん、すずかちゃん、忍さん、それと月村家のメイドさんと一緒に温泉に行く日です。
連休なので二泊三日なのですが、私はその旅行先で起こる事を少し考えていました。
あれから補う為にレイジングハートに頼んで近戦型魔法を使えるようにし、この一週間で練習も繰り返していました。とりあえず戦えるようにはなりましたが、もう少し改良は必要だとは思っています。
まぁ、フェイトちゃんと戦う分にはちょうどいいと思っています。フェイシングハートを持って来れば簡単に済む話なのですが、何度も言っている通りフェイシングハートは表沙汰に使いたくなく、闇の書事件の後に使いたいのです。管理局には入るつもりはありませんし、管理局とは別に動いて、私を殺す事を命じた人間を探したいのです。もちろん私一人では無理なので仲間は集めますが。
一応、仲間の目星は付いているのですけどね。そのうち一人はある事を任せておりますし、つい先日にも連絡があり、私が任せていた一番難しかった件が何とか上手くなったようです。その件とは闇の書事件以降の拠点場所にしようと建物を探していた事なのですが、正直これが一番難しいとは思っていたのです。今の私の肉体年齢では多分無理だろうと思いましたので彼女に任せていたのですが、案外簡単にいった用らしいです。
ちなみに彼女はそろそろこの世界に戻ってくるとか。久しぶりに会いますので楽しみですね。
とりあえず今は少しでも温泉旅行を楽しみましょう……
「なのは~」
……私は楽しめるのでしょうか?
すっかり忘れていました。アリサちゃんが居るという事に。
っていうかアリサちゃんと温泉入ったら嫌な予感しかしません。いや温泉以外にも寝ている間とか夕食とか……
それ以前に深夜抜け出せるのでしょうか? アリサちゃんがまだ起きたならば、ジュエルシードの反応があったと言えば、離してくれるかもしれませんが、もしアリサちゃんが寝ていた場合は、私を話さないように抱き着いて寝ていそうな気がして、なかなか抜け出せないような気がします……
……のんびり出来る気がしません。正直言うと家の方がのんびりできるような気がします。
ちなみに、アリサちゃんは私に抱き着こうとこちらに向かってきましたが、私とアリサちゃんの間にお兄ちゃんが入ってきます。すぐにアリサちゃんは止まりますが、お兄ちゃんに向けて嫌な顔を向けます。
「なんで邪魔するのよ!!」
「そんな事を今はしてないでとりあえず車に乗れ」
「そんな事って何よ!!」
なんかアリサちゃんとお兄ちゃんの二人は火花散らし始めました。その原因は私なのでしょうけどね……
っていうかこの光景も二人が会う度に火花を散らしていますから最近見慣れてきましたね。アリサちゃんは未だにどうして好きになったのかは分からないのですが、私の事を好きみたいですし、お兄ちゃんもシスコンですからね。っていうかアリサちゃんはともかく、お兄ちゃんの私に対するシスコンはそろそろ止めて欲しいです。仮にも忍さんという彼女がいるのですから。
「とりあえず、そろそろ行くぞ」
「「ふん!!」」
アリサちゃんとお兄ちゃんの間にお父さんが入り、二人のいがみ合いを止めさせる。大体二人を止めるのはお父さんなんですよね。
アリサちゃんとお兄ちゃんは渋々ながらもお父さんの言葉を従い、二人はそれぞれ違うドアから車の中へ入っていく。
私は呆れて溜め息を吐きましたが、二人に続いてアリサちゃんが入ったドアから入る事にしました。
それからお姉ちゃん、お母さん、お父さんも車に乗り、旅行先に行く前に月村家へと向かいます。ユーノ君は籠の中に入っており、お姉ちゃんの膝の上に乗せてあります。
アリサちゃんは私が車の中に入ると腕を組んできましたが、前からお兄ちゃんがアリサちゃんに向けて睨みつけているのですが…… しかも偶にアリサちゃんもお兄ちゃんの方を向いて睨んだりしているのですが。
お姉ちゃんはお兄ちゃんの隣で苦笑いしていますし、お父さんとお母さんは気づいてい無さそうだし……
とりあえず月村家に着くまでこの空気を我慢するしかありませんね。原因の発端がある意味私ですので何とも言えないのですが、とりあえず早く着いて欲しいです。そうすればお兄ちゃんが向こうの車に乗ってくれると思いますので。
そんな空気のまま数十分後、私たちを載せた車が月村家の前に着き、やっとこの空気から解放されるかと思いました。門の前にはすずかちゃんと忍さん、メイドのノエルさんとファリンさんが待っていました。
すずかちゃんはすぐに車の中に乗り、アリサちゃんの左側に座ります。
「おはよう。なのはちゃん、アリサちゃん」
「すずかちゃんおはよう」
「あ~あ、せっかくなのはと二人で一番後ろに座っていたのに」
――いや、実際はアリサちゃんもお兄ちゃんの方を偶に見て、火花散らしていたじゃないですか。
という事は言わないで心の中にしまっておくことにしました。言ったら悲しそうな顔で私の方を見てきそうな気がしたので。っていうか最近アリサちゃんの攻略方法が分かったような気がするのですが? このように言えば落ち込んだり悲しそうな顔をするとか、このように言えば喜んだりとか…… こんなスキル別に必要ないと思っていたのですけどね……
ちなみに、車の中でアリサちゃんと火花散らしていたお兄ちゃんは、車から降りて忍さんと話しています。この様子だとお兄ちゃんはこちらの車に乗らなそうですね。
お母さんやお父さんも車から降りて、ノエルさんやファリンさんと話したりしており、数分くらい他愛無い会話をそれぞれしているのだった。
「それでさ――」
もちろん私たちも他愛無い会話をしており、その事が有意義にも思えました。魔法や御神流の事で私は忙しかったので、こういう何もない事は久しぶりに近いのです。だから今日の温泉はジュエルシードの事以外では楽しみなのです。まぁ、タイムリープする前に一度行っているのですけどね。
それからお兄ちゃんは忍さんの方の車に乗る事となり、さっきまでお姉ちゃんの膝の上に乗せていた、ユーノ君を入れていた籠をお兄ちゃんが座っていた椅子に置きます。
そして、全員がそれぞれ車に乗った事を確認してから、海鳴温泉へと向かうのでした。
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新暦85年、高町なのははある任務の途中で死亡する。
任務は全て嘘であり、全てはなのはを殺害するための一部の管理局員による計画だった。
なのははその計画通りに殺されるが、その任務に向かう途中に偶然何故か落ちていた拾ったジュエルシードによって、なのははタイムリープをするのだった!!
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