No.444839

幻想郷帰宅日記 第一章

wasarattelさん

勢いで創った東方の二次作品の続きです

ついに突入第一章!
そーなのかー!

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2012-07-02 23:55:43 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:639   閲覧ユーザー数:633

第一章「恐怖!バランス人食い妖怪!」

 

 

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紫さんが居なくなって山に取り残された俺であるが・・・・・

 

 

 

光助「やっぱり山の中は真っ暗なんだよなぁ・・・しかも夜だし」

 

 

あの後、夕焼けの景色に見とれて現実逃避に暮れた俺は、次第に野山が暗くなるのを感じて安全な場所へと移動を開始したのだった。

やはり野生の野山だけあって明かりは一つもないし、霧も微妙に出ているので目の前はほぼ暗闇に等しい。

しかし目さえ慣れればそこらの木は見える・・・・危なげな手探り感覚ではあるが。

 

光助「幻想郷に安全な場所か・・・・心当たりはある」

 

確か設定上、ここには"人里"という人間の集落があったはずで、そこには妖怪も近付くと聞くけれど野山よりは安全と踏んだのだ。

友人の説教の様な受け売りにうんざりしていたが、こんな状況なら最早有難い。

 

光助「まともな人達だったらいいんだけどな・・・・」

と苦笑を洩らす。

 

ガサガサ・・・・・・・

光助「ッ!」

 

すると突然茂みが動き、こちらにスタスタと歩んでくる影が見えた。

 

ガサッ!

光助「・・・・ギャッ!」

その茂みから出てきた正体はー・・・・・

 

 

?「んー?・・・あー、人間がいるぅー」

 

 

に、人間・・・・?

見ると、黒いワンピースを着た金髪の少女が立っている。

頭に赤いリボンを乗せ、微妙に両手を広げている。

・・・と、ここで気付く。

 

光助「(こ、こいつは確か1面で見た人食い妖怪!!)」

友人宅でゲームをさせて貰った時に見た事のある顔だ。

 

確かルーミアだったか・・・

人っぽい名前が付いているが、れっきとした"妖怪"である。

・・・・それも確か一番恐れていた「人食い」の部類の。

俺の顔が一瞬で恐怖色に染まる。

 

ルーミア「あなたは食べていいひとー?わるいひとー?」

 

人食い妖怪が首を可愛らしくかしげ、恐ろしい質問を尋ねて来た。

この質問内容からすると、どうやら普通に会話のやり取りが出来そうだった。

容姿が少女だったのが功を成したのか・・・・・咄嗟に答える。

 

光助「た、食べたらダメな人だ!」

俺は混乱する頭と震える喉をどうにかして答えた。

 

ルーミア「なんでー?」

人食い妖怪が問う。

なんでって・・・・

 

光助「い、いやそれは、俺が食べられたくないからだ」

当然の事を答えた。

 

ルーミア「私はあなたを食べたいけどー?」

衝撃的な一言が飛び出す。

途端に震え出すマイひざ小僧。

これアカンやつや。

 

光助「・・・・・・・・・お、俺は凄くまずいんだ!」

何処かで見た小説にそんな事が書いてあったと思い浮かべながら咄嗟に答えた。

旅行者の相手が熊だったか竜だったかのやり取り。

 

ルーミア「そーなのかー?」

光助「あ、ああ!自信を持って言えるぞ!おいしくない!おいしくないぜ!?」

連呼した・・・・が、

 

ルーミア「でもねー、食べてみないとわからないからー・・・・」

人食い妖怪はそう言うとー・・・・

 

 

ルーミア「ひとくち食べるねー」

 

襲いかかってきた。

 

 

ガザァアアアアアア(注・風の音)

光助「う、うわぁ!!!」

 

突然、口を開けてこちらに突進してきた!

小さく幼い口であるがあんな事を言われた矢先、恐怖が上乗せされる。

 

光助「い、嫌ァー!!」

こんなあどけない少女の形をしてても立派な妖怪なんだなぁ・・・・

って、そんな事思ってる場合じゃないぜ!

 

光助「こここ、こんな所で食われてたまるかー!!」

ダダダダ・・・・

 

ルーミア「あ、まーてー」

光助「待つかぁ!!」

 

 

こうして幻想卿に来たとたん、生死を賭けた鬼ごっこが幕を開けたのだった。

 

 

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光助「はぁっ・・・はぁっ・・・」

 

あれからどれだけの時間が経っただろうか・・・・

あれからずっとあの人食い妖怪に追いかけられて野山を走り回っていた。

 

道ではない道を速足で駆け下り登り、ぬかるみを越えてただひたすらに走る。

その後ろではゆらゆらとこちらに口を開けたまま近付いてくる妖怪が一匹。

 

ルーミア「まーてー」

光助「ハァハァ・・・・ま、待たんよ・・・・」

 

下りの坂道とはいえ、そろそろ体力が無くなってきた。

このままではいずれ追い付かれて"食べられて"しまうだろう。

それは何としてでも避けたい。

 

光助「ハァッハァッ・・・どうすれば・・・・・あ!よし、これで・・・・!!」

と、そこに偶然聳え立っていた大木を盾にして"捕食"をやり過ごそうとした瞬間。

 

ガブゥ!メキメキメキ・・・・ドォオオオン!!!

 

なんと、その幹が空洞を残して倒れ去ったのだ。

腐っていたとしても脆すぎる・・・どうやら樹の幹を食い千切ったのだ。

 

光助「ぎ、ギャー!!うわぁ!!!」

ならば、とそこの大岩の影に隠れた。

 

ガシャァ!

 

これも空洞を開けて破片と化した。

 

光助「うひゃぁ!(木の幹やあんな大岩まで!この妖怪ってなんでも食べるのか・・・・そうだ!)」

 

人間追い詰められれば余計に頭が働くとはよく言ったものだ。

俺は普段から全く冴えない頭である事を妖怪に提案する。

 

 

光助「ちょ、ちょちょちょっとタンマ!」

ルーミア「うがー・・・・たんま?」

 

 

妖怪が止まり・・・・

俺は次の瞬間、賭けに出た。

 

光助「分かった・・・俺を食べてもいい」

ルーミア「ほんと~?」

光助「でもな、条件がある」

ルーミア「なぁにー」

光助「食べる時間(時期)は俺に決めさせてくれ」

ルーミア「う?」

 

 

光助「俺を食べていい、でも俺にはまだ帰r・・・やる事が少しあるんだ・・・それをするまで待っててくれないか?」

出来るだけ真剣な顔で。

 

見た所、この妖怪は"何でも"食べられる。

ならばそれを利用して色々な物を食べさせ、満腹にして逃げてしまえばいいのだ。

幸いの所、言葉も通じるようであるし・・・。

 

ルーミア「・・・・?」

不思議そうにこちらを見る人食い妖怪。

光助「も、もちろんそれが終われば俺を食べていい!約束する!」

念の為に駄目押しをしておく。

勿論、逃げるつもりだが。

 

ルーミア「・・・・やくそく?」

光助「あぁ、約束だ」

少し考える素振り(?)をして人食い妖怪がこちらを向く。

 

ルーミア「・・・ん、じゃあちょっとだけ待っててあげるー」

光助「ほ、本当かッ!?(やったか・・・?!)」

 

まさかの作戦勝ちか!?

と思った瞬間。

 

 

ルーミア「さっきねー木とか石とかいっぱい食べちゃったからお腹いっぱいなのー」

光助「なん・・・・だと・・・ッ!!」

 

妖怪がテヘッと舌を出して見せた。

さっきの思考通りだったとは・・・!!

 

光助「じゃ、じゃあ一体なんでさっきまで追っかけてきたんだ・・・?」

火曜サスペンスの追い詰められた崖の上の犯人の様につい訳を聞いてしまう。

 

ルーミア「えあー?・・・・・・おもしろそうだったからー☆」

 

う、ウワー!妖怪めぇ!

そして心粗ぶる俺にこんなことを言った。

 

ルーミア「だからー食べるのはまた後にしてあげるー、それまでは『よやく』でいいよー」

光助「よ!?」

 

予約・・・・つまりいずれ食べるという事なのだろう。

 

光助「お腹一杯って・・・・アァー!!俺は何て約束をぉおおおお!!

   このまま逃げればよかったんじゃないか!)」

 

俺は絶望に苛まれながらなんとか口を開いた。

 

光助「あ、ぁあ・・・・よ、よやくね・・・」

ルーミア「じゃあ・・・・・えいっ」

そういうと人食い妖怪は俺に飛び乗り

 

光助「エッ・・うわぁ!!」

 

俺の肩に乗っかってきた。

所謂、肩車の体勢だ。

 

ルーミア「『よやく』だからついていくー」

衝撃的な一言を発した。

 

ルーミア「やくそく、なんでしょ?」

更に、にやぁと笑い駄目押し。

 

ルーミア「にがさないよー」

そしてこちらの意図を透かした様に言い加えた。

 

光助「う、うん・・・・分かった(うへぇ、腿が冷たい)」

ルーミア「それじゃーいこー」

そう言うと、ルーミアなる人食い妖怪は前方に指を指して俺の頭を軽く叩いたのだった。

 

 

 

こうして、妙に両手を広げてバランスをとる妖怪一匹が"帰宅の旅"に加わったのだった。

 

 

 

 

 

-その後-

 

 

 

 

 

あの後、暫く山の中を彷徨っていた俺・・・・俺達であったが

 

 

光助「あの、眠いんだけど・・・」

流石に時間も時間で限界であった。

 

ルーミア「じゃーそこの木陰で寝れるよー」

 

そう言うと、ルーミアは木を指差した。

見ると確かにいいスペースが空いている。

横になるぐらいなら出来るだろう。

 

光助「(結構安全な場所じゃないか)」

 

そうか、ここに住みなれた奴ならガイド代わりにもなるって事か。

 

光助「それじゃ、遠慮なく・・・・うぉわっ!!!」

 

腰を下ろそうとした矢先・・・

その木陰にはいくつもの骸骨が散乱していた。

見ると人らしき骨も見える。

 

ルーミア「わたしのすー」

光助「う、うわぁ・・・・」

そうだ、こいつは少女っぽい容姿をしてるけど妖怪なんだ。

今更ながら実感する。

 

 

ルーミア「それじゃおやすみー・・・・・くかー」

 

 

妖怪は両手を広げて木の幹に逆さにぶら下がって眠りについた。

 

光助「妖怪って夜に起きるものじゃないのか・・・・あ!」

ふと、思考がフル回転。

 

 

 

光助「・・・・これは逃げるチャンスか?奴が寝てるスキに・・・・」

 

 

ー・・・・ピンッ

光助「うっ!?」

 

しかし見るといつの間にか奴の手と自分の腕を繋ぐようにして糸が張られている。

 

光助「い、いつの間にこんなものを・・・・」

ルーミア「・・・・よやくー」

光助「うぎくっ!」

ルーミア「んくー」

光助「な、なんだ寝言か」

 

このまま逃げたい気持ちは山々だが、この糸を引っ張ると奴のバランスが崩れて気付かれるな・・・・

しかもこれ・・・鉄線じゃないか?!

どこからこんなものを・・・・

 

推測であるが、この骸骨の中に登山者と思わしきリュックがあったから、その荷物から漁ったものだろうか。

・・・しかし当の妖怪はもう眠っている。

 

 

光助「まぁ、夜が明けてから考えるのもまた手かなぁ

   眠いし・・・・・ふわぁ・・おやすみ」

 

 

 

俺は睡魔の勝てず、不安のち眠りについた。

 

 

 

 

-続くzzz・・・-

 


 
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