No.444827

幻想郷帰宅日記 序章

wasarattelさん

勢いで創った東方の二次作品です。
題材として、うちの近所の神社と(ほぼ)架空の神様をチョイスしました。

※キャラの言動は原作と関係は全く御座いません。

2012-07-02 23:32:35 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:690   閲覧ユーザー数:683

 

 

序章「混乱!恐怖の幻想入り」

 

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チャリーン

 

 

光助「一礼、二拍手っと」

 

俺の名前は神塚 光助(かみつか こうすけ)。

今日は普段通り月に一回の近所の神社詣りに来たんだ。

毎月は必ずと言って良いほどにこの神社には通っている。

 

別に信心深い性格でもないけれど、なんとなく引っ越した時から習慣付けようとか考えてたんだ。

理由?・・・・さぁ

強いて言うなら家族の影響かな・・・・

 

あぁでも、そんな宗教とかじゃなくて"日々を感謝して生きる事"が大切って事で神社に動いてるらしいんだ。

それは俺も共感する所がある。

 

だから神社は毎日を感謝するのにうってつけの場所って訳なんだ。

 

光助「えーと・・・・(ボソッ 今月も頑張れるように応援宜しくお願いしますー・・・・・っと、それじゃ(ペコリ」

 

とまぁ大体こんな感じだ。

別に本当に誰かが聞いてると思ってやってる訳じゃない。

自分への励ましのようなものだ。

 

 

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今は春休み。

親だけは仕事へ行き、あとはいつも通り。

 

そして俺は部屋でゴロゴr・・・・・もとい自宅勉強だ。

春休みの明けにはテストがあるそうだし、遂に今年から挑戦し始める国家試験もある。

長い休みだろうと気は抜けないからな。やはり・・・・勉強・・・・

 

・・・・出来るはずが無いな。

この部屋は俺の趣味で固めたものだらけなのだから。

 

という訳で、いつも通りゲームハード対面にプログラミング、絵を少々描くと。

そして時間が来たらいつもの如くバイトだ。

 

光助「あれ、もうこんな時間か・・・・・」

 

と、ゲームにうとうとしている時に時計に目をやった。

そろそろバイト先へ向かわないといけない時間だ。

手早く着替えてご飯を食べ、外に出る。

 

光助「雨はー・・・・・止んでるかな」

 

玄関の小窓から手を出して確認する。

朝起きた(といっても昼)時は凄い雨だったから心配であったが、どうやら止んだようだ。

これでいつも通り自転車で向かえる。

 

光助「それじゃ、いってきます」

家族「いってらー」

 

そしていつも通りイヤホンをしてバイト先へ向かうのであった。

 

 

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光助「こんな時間に踏み切りか・・・・・まったく」

 

バイトを終えて帰る途中、珍しく踏切に捕まってしまった。

この時間なら普段は開いているはずなんだけど・・・・

ここは開かずの踏み切りとは違い、電車が来る頻度も少ない場所であるのだが。

少し待っていると、カンカンカンとけたたましい音と共に遮断機が降りる。

 

光助「やれやれなんだぜ・・・・」

ふと踏切を越えた正面に見えるいつもの神社に目をやると。

 

 

光助「ん?」

その先の神社の大樹の上に・・・・・・・

 

 

 

ナイトキャップのような帽子を被った紫色の女性が立っていた。

 

 

 

しかも不自然な位置で、まるで斜めから突き出たように。

光助「なんぞ、あれ・・・・」

 

その時、丁度踏切を電車が横切る。

俺は少々目を離したが、次の瞬間には彼女は立っていなかった。

 

光助「・・・・・・・・あれ?」

 

俺は言われぬ興奮を覚えてその神社の境内へ向かった。

 

何だか微妙に自転車を漕ぐスピードが重たく感じる。

だが、俺の目は真っすぐ神社を目指していた。

 

 

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信号を渡り、いつもの寺の境内に着いた。

やはりこの時間とあって灯篭の火も落ちている。

俺は恐る恐る鳥居を潜り、境内を見渡した。

 

光助「気のせいかな・・・・?」

 

先程の大樹の上を見渡すが、例の人影は見えなかった。

・・・・・まぁそうだよね。

どこぞやの中学二年生じゃあるまいし、そんなドラマチックな事ある訳ないって。

多少、自分自身に嘲笑する。

 

光助「気のせいだな・・・・・うん、帰ろう」

 

 

 

?「ーーー・・・・」

 

 

 

俺は一人ごちて自転車の方へ向かった。

そうだ、さっきのプログラムそこを直せば動くんじゃないかとか考えながら。

自転車の後輪のバーをカシャンと蹴倒す。

 

 

?「・・・・・・・ーちょっと」

 

それと今日は夜食にチーズ食べたいなとか。

 

?「・・・・そこのあなた」

 

あぁ明日ったらバイトも休みじゃないのー、とか。

 

?「きこえてないの?」

 

そういや漫g・・・・・・

 

 

 

 

?『ねぇ?』

光助「え・・・うわぁあああ!!!」

 

 

急に目の前に生首が現れた。

俺は急過ぎる事態にただただ腰を抜かすばかりであった。

そこに無様に腰を打ちつける。

 

?「・・・・・何よ、ちゃんと聞こえるし、見えるじゃないの」

生首が苦笑して言った。

 

光助「な、生首が喋ってる・・・!?」

 

・・・・いや、よく見ると首の辺りに何かの裂け目が出来ている。

その端っこにはリボンが付けられていた。

 

 

このリボン、見た事がある・・・

しかもつい最近・・・・・

 

でも、でも、あり得るはずが・・・・・

 

頭の中身をどうにか整理したが、やはり処理しきれなくなって口が先に動いた。

俺は恐る恐る立ち上がり、喋る生首に向かってこう尋ねる。

 

光助「あ、あ、あ、あなたは」

あり得ない一言を。

 

 

光助「も、もしかして・・・・八雲 紫というお方ではございませぬでしょうか?」

 

 

俺は緊張の余り、変な丁寧語(謎)を発し、生首に問いかけた。

生首は此方に向かってにこりと微笑み・・・・・

 

?「・・・あら?何処かでお会いしたかしら?」

そう言うと、その隙間(謎)から全体を露わにした。

 

 

紫「そう、わたしは八雲 紫・・・・・あなたの名前は?」

 

 

八雲紫。

某パソコンゲームのキャラクター。

確か、物語の中ではゲームの世界を治める最強だか最凶だかの能力とか言われている存在だった筈。

俺はそこまでマニアではないので詳しくは知らないが・・・・まぁ友人の受け売りだ。

 

光助「お、俺は光助というもので、す・・・・?」

 

紫「そう・・・・・宜しく、光助」

にこりと会釈する・・・

俺も釣られて会釈・・・・

 

ってなんでやねん。

 

先程思った様にこの"キャラクター"は人ではなく想像上の人物なのだ。

この場所に居る時点でおかしい。

空想が現実に介入するなんてなんたらかんたら・・・・・。

その幻想をぶち壊(ry

 

さっきと同じ様に良く回らない頭で色々と意見が頭の中で飛び交う。

そう心で大きく突っ込みを入れようと同時に"嫌"な空気が。

 

 

紫「実はね光助・・・・」

突然話を振られた。

 

 

光助「はひゃいッ!?」

紫「そんなに怖がらなくてもいいのよ。取って食う訳じゃあるまいし」

妖怪って人間が主食なんだって聞いた事があるんだけど・・・・。

 

紫「・・・・コホン、いいかしら」

光助「アッ、はぃ・・・・」

 

こちらの目に気付いたのか、少し怒ったような目で話を続ける。

 

紫「実は今日あなたがここの神社に入れたお賽銭なんだけど・・・・」

はぁ・・・

 

紫「そのお賽銭が、そこの賽銭箱に入る前に知り合いが取っちゃったらしいのよね

  それでちょっと厄介が起きちゃって・・・・」

ほう・・・・

 

紫「ここの神様が怒ってお賽銭箱ごと空間を捻じ曲げちゃったの

  その子が一緒に何処かへ飛ばされたのはいいんだけど・・・・

  それでその影響で大結界が不安定な状態になってしまってて・・・・」

えぇ・・・・・

 

紫「後で気付いた私は、場所という場所を封印状態にしたんだけど」

  元を辿って来たらこの神社だったって訳なの」

 

光助「そ、そうなんすか・・・・」

後半恐怖で聞いてなかったけれども・・・・

 

なんとなく大部分は分かった。

それとそのお賽銭を取った"主"も・・・・大体分かった。

が・・・・

 

更にこの変な"空気"ならではの嫌な予感がして、"帰れ!早く!"と脳が命令している。

これは自身の"勘"である。

 

光助「そ、そうだったんですか、た、大変ですね・・・・で、では俺はお邪魔にならない様に帰りますね・・・・・」

その野生の"勘"に従い、しどろもどろに答える。

上記の通り、凄く嫌な予感がして自転車の方へと再度歩み寄ろうとする。

 

 

 

紫「そこで本題なんだけど」

光助「・・・・はいッ!?」

 

 

 

ずいっと紫さんなるものが俺の顔の前に自らの顔を近づけた。

いきなり前方に現れたのでもろに吃驚してしまう。

 

紫「元となるお賽銭には結界の歪みの痕跡があるのよ」

紫さんが・・・・。

 

紫「それと似た、もしくは近い痕跡を持つ存在が居ればー・・・・」

俺をゆっくり。

 

紫「その神様の居場所を見つけて説得できるのよ!」

見た。

 

光助「で、で、ど、どうそぅんでぅか?」

凄く嫌な予感と言われも無い恐怖に噛んでしまいながらも尋ねた。

 

 

紫「ちょっとね、こっち側に来てほしいのよ」

光助「まさか・・・・」

紫「そう」

 

 

紫「幻想卿にね」

 

 

光助「な、な・・・・・!!!」

なんだってぇえええええええええええええええええええ!!!!

 

 

光助「な!何故その・・・・幻想、とかに入らなきゃならないんですか!?」

 

紫「こっちの世界と幻想郷だと空間に影響する力場が違うから暫くはこっちに居ないと私も手が出せないのよね

  ・・・・まぁ、簡単に要約すると"空気を吸い込む"って動作を"酸素水を吸う"動作に変える、変換みたいなものよ」

 

は、え!?

心と口がシャウトした。

ペラペラと饒舌に話を進める紫さんを目線が定まらない顔で見つめる。

ちょ、ちょっとまって!

 

光助「分かりません!分かりませんって!しかもその幻想・・・って」

紫「幻想郷よ」

光助「・・・・そう!お、俺が仮に行ったと仮定しましょう!・・・その幻想卿にどれくらい居ればいいんですか?!」

あれ?!俺、質問ちげーよ!!

 

 

光助「え・・・・・お!?」

何か四肢に違和感を感じて状況を判断する。

ガシィーン。

 

光助「なんでこりゃ!!」

紫「・・・御察しの通り、逃げられないわ」

 

手足がさっきのリボンの隙間に挟まれて拘束されていた。

行く前提はどうかと思って、"仮定"として一応聞いておこうと思ったのに、こっちの意見は全無視である。

・・・・どっちにしろ、この状況では無理だと思う。

 

 

俺は潔く諦めた。

 

 

光助「ど、どれ位・・・・・」

紫「そうね・・・・日数にするなら丁度5日ってとこかしら」

紫さんは逃げ出そうとする俺の両手を隙間に閉じ込めて俺の頭を指でくりくりとなぞっていた。

 

光助「いや、だって幻想郷でしょう!?聞こえは良いけど確か妖怪とか幽霊とか怪物とか・・・・」

紫「ええ、居るわ?・・・・貴方、よく知ってるのね」

何だか怪しそうな目線をこちらに向けてくる。

 

光助「ちょ、死んでしまいます!」

紫「大丈夫よ、人間に味方する妖怪もちゃんと居る事だし」

光助「・・・えぇ!?本当ですか!?」

微かに希望が見えた。

紫「知り合いに一人二人・・・?」

光助「圧倒的に少ない!そして何故に疑問系?!」

ついつい叫ぶ。

 

そんな場所で孤立無援で5日も過ごせなんて、敵陣に囲まれた戦場で過ごすようなものではないか。

・・・でも5日で帰れるとなれば、ガードナーの一人位は付けてくれるのではないだろうか。

そう言えば友人にこんな話を聞いた気がする。

 

光助「そ、そうだ!紫さん・・・・ですよね?」

紫「ええそうよ」

その話を確かめてみる事にした。

 

 

光助「確か聞いた話だと、お付きの式神が二人ほど居らっしゃるとか・・・・・?」

 

 

紫「・・・・あら?本当に良く知ってるわね・・・・・・もう一度聞くけど、会った事あったかしら?

  それとも、知らない間に伝説にでもなってるとか」

そう言い放つと紫さんは少し考える素振りを見せた。

 

紫「・・・まぁ大体、昔の人は良く知ってたみたいだからお爺ちゃんかに聞いたんでしょ」

そしてフフッと紫さんが口元に手を添えて微笑んだ。

 

正直、俺はその話を聞いていなかった。

恐怖と混乱で頭が良く回らず、舌も回らず。

 

光助「そ、そのお方達のお力添えがあれば、5日程なら過ごせるのですが!・・・・多分!」

 

俺は焦っていた。

俺の中での幻想卿のイメージは・・・・そう、まさにゲゲゲの水木ワールドなのだから!

朝は寝床でグーグーグー!

魑魅魍魎、色んな怪物達がまだ巣食っていた時代だろう。

こんな生身の人間が5日も過ごして生きて帰ってくる程甘くはないだろうと。

 

紫「あぁ~、藍は屋根直してるし、橙は迷い家の方だから帰って来るまでは時間が掛かるわよ」

なんと!な、ならば・・・・・・

 

光助「せめて家に帰って準備を」

紫「それは駄目よ」

 

言葉が終わる前に一瞬で切り返された。

 

光助「え?!な、なんで・・・・?!」

紫「今この瞬間にも結界に悪影響が出始めてるのよ、もたもたしてる暇はないわ」

急に紫さんがきつめの口調と真剣な顔になり、こちらを睨んできた。

 

光助「じ、じゃあこの今の状態で幻想卿に入れって言うんですか!?」

紫「ええ、そうよ・・・・・・まぁ大丈夫よ。あなた、見た所そんな貧相な体付きしてないし、精神も・・・・まぁ、だいじょうぶよね」

下から上まで舐めるように見られる。

 

光助「それは買い被りってもんですよ!」

俺バイト帰りで疲れてるし、課題も残ってるし、動画も見たいし・・・

 

 

光助「あ、あの!実は俺のあだ名はもやし野郎で豆腐メンタルで・・・・!!」

 

 

ズモモモモモモォ・・・・

 

光助「へ?」

とか訳の分からない命乞いを言っている内に、神社の奥から巨大な穴が現れた。

直径からすると大体3メートル程だろう。

その奥からは、無数の目玉のようなものがこちらを見ていた。

・・・あぁ嫌ッ!!

 

光助「ちょ、ちょっと・・・・ゆ、紫さん・・・・・?」

恐怖、旋律、その殆どが体を蝕む。

変な笑いまで漏らす。

 

横の紫さんがいつのまにか俺の脇を持って穴へと進んでいく。

当然四肢は動かないので、スライドする形で穴へと向かう形になった。

紫さんは、にこりとこちらを向き・・・・。

 

 

 

紫「それじゃ、行きましょうか」

明るく言った。

 

光助「うわぁー!!や、やっだぁぁあああああ!!?」

 

 

その断末魔と共に、境内は静かになった。

 

 

 

 

こうして俺は、めでたく、めでたく、幻想卿入りしてしまったのだった。

 

 

 

-続く-

 

 

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    -サイド-

 

僧侶「こらー!こんな夜中に何をしとるー!」

ガラッと扉を開け、この神社の僧侶が飛び出した。

 

僧侶「ありゃー?誰もおらんがな、奇妙じゃのう・・・・・・ん?」

 

ふと石畳の通路を見ると、携帯が落っこちている。

それは光助が落とした携帯であった。

 

僧侶「落し物かのう?」

 

 

 

 

ーーーーこれがまさか、最後の命綱となるとは、光助は想像だにしていなかったのである。

 

 

 

 
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