No.444700

超次元ゲイム ネプテューヌmk2 snow wind -episode15-

思いのほか投稿が遅くなってしまった…。

言えない…PSO2やポケモンBW2にハマってたせいだなんて口が裂けても言えない…!

あ、そういえば今日デュエットシスターズソングのロムラムが届きました。うん、やっぱりラムロムはいいね。

2012-07-02 19:01:59 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:966   閲覧ユーザー数:902

「ロムちゃーん! ラムちゃーん!!」

 

 

移動省略してアイシクルフォレスト。

 

現在進行形でロムちゃんとラムちゃんの二人をボードに腰掛けながら捜索中。

 

世の中には本に座っている人もいるというし、別にこんな使い方をしたって構わないだろう。

 

まぁ、ラムちゃんがいるかどうかはまだ定かじゃないんだけどね、昨日聞いてきたのロムちゃんだけだったし。

 

でもあの二人はほとんどの時間を一緒に過ごしているから、多分今日も一緒にいるかもと考えたんだ。

 

 

「ええい、来るな寄るなっ! 今忙しいんだから!」

 

 

少し地上から離れてても襲ってくる小型のモンスターを座りながら撃って蹴散らしながら、森の奥へと進んでゆく。

 

ホントに、どこに行っちゃったんだろ…

 

しばらく森の中を進んでいくと、少し開けた場所に出た。

 

 

「…滝が凍ってる…」

 

 

そこには結構な大きさの凍った滝があり、氷が太陽の光を反射してキラキラと輝いていた。

 

こんな場所、あったんだ…

 

なんて、その光景に見とれていると、

 

 

「きゃああっ!!」

 

「! 今の声…ロムちゃん?!」

 

 

どこからかロムちゃんの悲鳴が聞こえてきて、辺りを見回してみる。

 

すると、上の方で崖に掴まって今にも落ちそうなロムちゃんを発見する。

 

 

「って、危ない!」

 

 

限界だったのか、ロムちゃんは崖から手を放して落下し始める。

 

咄嗟にボードの出力を上げ、ロムちゃんの落ちる場所を予測しながら向かう。

 

 

「間に合え…っ!」

 

 

地面スレスレを飛行し、ギリギリのところでなんとかロムちゃんを両手でキャッチする。

 

あ、危なかった…

 

 

「…大丈夫?」

 

「…え? フウちゃん、どうしてここに…」

 

「話は後! とりあえずあのモンスターを撒くから、しっかり掴まってて!」

 

 

そう言ってロムちゃんをボードの後ろに乗せると、ロムちゃんは静かに頷いてわたしにしがみついてきた。

 

 

「口、開けてたら舌噛むからね!」

 

 

言うと同時にスピードを上げる。

 

後ろから追跡してくる飛行型モンスターを撒く為に、森の木々の間を縫うように、かつ速度を落とさないように飛ぶ。

 

後ろを向いてる暇はないけど、何かがぶつかるような音が聞こえてくるから多分上手くはいってる。

 

そんな感じで少しの間逃げ回り、うまく逃げ切ったところで木の影に降りる。

 

 

「さて…ロムちゃん、こんな危ないところで何してたの?」

 

 

少し低い声でロムちゃんに何をしていたのかを聞く。

 

 

 

 

「あ、あの…えっと…うぅ…」ロムちゃんの落ちる場所を予測しながら向かう。

 

 

「間に合え…っ!」

 

 

地面スレスレを飛行し、ギリギリのところでなんとかロムちゃんを両手でキャッチする。

 

あ、危なかった…

 

 

「…大丈夫?」

 

「…え? フウちゃん、どうしてここに…」

 

「話は後! とりあえずあのモンスターを撒くから、しっかり掴まってて!」

 

 

そう言ってロムちゃんをボードの後ろに乗せると、ロムちゃんは静かに頷いてわたしにしがみついてきた。

 

 

「口、開けてたら舌噛むからね!」

 

 

言うと同時にスピードを上げる。

 

後ろから追跡してくる飛行型モンスターを撒く為に、森の木々の間を縫うように、かつ速度を落とさないように飛ぶ。

 

後ろを向いてる暇はないけど、何かがぶつかるような音が聞こえてくるから多分上手くはいってる。

 

そんな感じで少しの間逃げ回り、うまく逃げ切ったところで木の影に降りる。

 

 

「さて…ロムちゃん、こんな危ないところで何してたの?」

 

 

少し低い声でロムちゃんに何をしていたのかを聞く。

 

 

 

「あ、あの…その……え、えっと…」

 

「ラムちゃんは一緒じゃないの?」

 

「…今日はアリスちゃんと一緒にどっか行っちゃって…わたし一人」

 

 

ラムちゃんはアリスの奴と一緒なのか。

 

ま、それならそれでいいさ。

 

 

「ね、ロムちゃん。どうしてわたしが怒ってるか、わかる?」

 

「…ひ、一人で…ダンジョンに来ちゃったから…」

 

「大体正解。…まぁ、安易に場所教えちゃったわたしも悪いけどね」

 

 

はぁ、と息を一つついて、話を続ける。

 

 

「…誰にも言わないで、しかも一人でダンジョンに来る、なんてのはすっごく危ない事なの。知ってる所なら…まぁ、何も言わずに行くのはダメだけど…でも知らない所なんてどんなに危険なのかもわからないんだからさ。今だって、わたしがもう少し来るのが遅かったらどうなってたと思う?」

 

「…ぅ……」

 

 

だんだんと涙目になっていくロムちゃん。

 

わたしに怒られてなのか、さっきの事を思い出しての涙なのかはわからないけど。

 

 

「それに…ミナさん、心配してたよ? ラムちゃんだってこの事を知ったら心配するだろうし……わ、わたしだってちょっとは心配したんだから…」

 

 

後半辺りからなんだか恥ずかしくなってきて思わず目を逸らす。

 

何を言ってるんだわたしは…

 

 

「…怪我したフウちゃんに…あれをプレゼントしたくて…」

 

「わたしに…? …どんな理由でも、結局は心配をかけたことに代わりはないよ」

 

 

なんて、口では厳しめな事を言っておきながら、わたしは俯くロムちゃんの身体をそっと抱きしめてあげる。

 

 

「…無事で、本当によかったよ」

 

「ぐす……ぅ…ふ、ぇぇ…っ…」

 

 

それから少しの間、泣き続けるロムちゃんを気が済むまでぎゅっと抱きしめたままでいた。

「…落ち着いた?」

 

「…ぐすっ…(こくこく)」

 

 

しばらく経ってからそう聞いてみると、ロムちゃんは頷いて答えてくる。

 

どうやら落ち着いたみたい。

 

ということなので、抱きしめていた腕を解いてロムちゃんを放す。

 

 

「あ…」

 

 

離した時、そんな小さい声が聞こえた気がした。

 

 

「…(じーっ)」

 

「…そんな見つめてもダメだよ。もうおしまい」

 

「むー…」

 

 

無言で見つめてくるロムちゃんにそう言ってやると、ぷくぅっと頬を膨らませて不満そうな顔をされた。

 

いや、そんな顔されても…

 

 

「それじゃ、帰ろっか」

 

「あ…ま、待って…」

 

 

帰る用に持ってきたイジェクトボタンを取り出すと、ロムちゃんがわたしを止めてくる。

 

 

「…なんて、冗談。こんな奥の方に来たんだから、どうせなら目的の物を取りにいっちゃおっか」

 

「…!」

 

 

そう言った途端、ぱぁっと笑顔になるロムちゃん。

 

…………

 

 

「あーでもやっぱミナさんとかに心配かけちゃってるからなー、すぐ帰らないとダメかなー」

 

「…ぁ…ぅ…」

 

 

涙目になった。

 

 

「んーでもここあんまり来ることないしなー。やっぱ奥進もうかなー」

 

「……!!」

 

 

また笑顔になった。

 

……あ、これなんか面白いかも。

 

って、なに遊んでるんだわたしは…

 

 

「バカな事はこの辺にしておいて…無駄な戦闘でもして怪我したら大変だし、空から向かうよ。ということで女神化してわたしの後をついてきて」

 

「あ、の…それが、その…」

 

 

女神化という単語が出た途端、おろおろしだすロムちゃん。

 

なにか問題でもあるのかな?

 

 

「さ、さっきのモンスター、ホントは飛んで逃げてたの。でも…一回攻撃を受けたら、女神化が解けて…」

 

「ははぁ、それであんな崖なんかに…。にしても女神化が勝手に解けたってことは、ウィルスかな…」

 

 

腕を組みそう予想してみる。

 

ウィルスというのは毒とかの状態異常の一つで、女神以外がかかっても大したことはないんだけど、女神がその状態異常になってしまうと女神化が強制解除され、女神化が封印されてしまうというものだ。

 

この効果から一般の冒険者などには忘れられている状態異常だけど…そっか、ここのモンスターはウィルス持ちだったのね。

 

 

「んー…そういうの治すアイテムなんかも鞄置いてきちゃったし…」

 

 

だとしたらさっきみたいにするしかないか…あまり気は進まないけど…

 

そう思いながら、エアボードを浮かせる。

 

 

「女神化できないんじゃ仕方ない…ほら、後ろ、乗って」

 

「う、うん…」

 

 

先にボードに乗り、ロムちゃんに手を差し出して後ろに乗せる。

 

 

「…危ないから、ちゃんと掴まっててよ」

 

「……(こくり)」

 

 

こっちから見えないけど、頷いたのかわたしの腰に腕を回してきた。

 

よし、じゃあささっと見つけて帰ろう。せめてラムちゃんとアリスが帰って余計大事にならない内に。

 

 

「飛ばしていくよーっ!」

 

 

バシュゥっとボードから風の魔力が放出され、一気にハイスピードになる。

 

向かうは最深部! どうせこういうのは最深部にあるっていうのがお決まりだからね!

 

そんな感じで、風のように木々の間を抜けながら、わたしは最深部の方角へと突き進んでいった。

「えーと、確かギルドにあった情報だとマップのこの辺りが最深部なんだけど…」

 

「ふ、フウちゃん、よそ見運転、ダメ…!」

 

 

ゆるゆるとした速度で飛行しながら最新の携帯だというスマホで採取マップを確認していたら、ロムちゃんが必死になってそう言ってきた。

 

むぅ、事故らないような場所を飛んでるんだから別に平気だと思うけどなぁ。

 

…というか、花なんだから飛んでたら分かんないじゃん。

 

 

「…エンカウント面倒だけど、仕方ない。降りて探そう…」

 

「ひゃ…っ!」

 

 

スマホをポケットにしまってぐいぃーっと高度を下げると、ロムちゃんがしがみついてくる。

 

…普段飛ぶことがあっても、飛び方が違うと結構怖いんだよね…(エピソード5参照)

 

「んー、花っぽいのある?」

 

「…フウちゃん、あれ…じゃないかな…?」

 

「うん?」

 

ロムちゃんがそんなことを言うので、ロムちゃんの指差す方を見てみる。

 

その先には、結構な大きさの木と、その根本に生える氷の結晶のような植物。

 

そして人形の氷のモンスターがそこにいた。

 

 

「あ。あれっぽいかな? でも手前になんかいるなぁ…」

 

「どうしよう…?」

 

「えぇーと…」

 

 

とりあえず木の影に降りて、スマホでギルドの情報ページを開いて目の前のモンスターを調べてみる。

 

んー……あ、あった。何々…

 

○クリスタルヒューマ

生息エリア:アイシクルフォレスト

その名の通り、クリスタルが人の形を成したモンスター。

生息するエリアのモンスター群の中では比較的体力も少なく、弱い部類に属するが高い自己再生能力を持っており、倒し切るのは困難である。

氷っぽい為よく間違えられるが、弱点属性は無い。強いて言えば破砕に弱い。

 

自己再生、ねー…これはまた面倒な。

 

問題のモンスターにはまだ距離が離れているから気付かれてはないけど、うーん…

 

正直、許可は降りてるけど適正レベルとわたしのレベル的に考えると明らかに強敵なんだよね、ここのモンスターって。

 

だからアイツが弱い部類だからって油断はできないし、そんな面倒なヤツをまともに相手なんてする気もないし…

 

…いや、まともに相手しなければいいのか。

 

 

「…よぉっし。ロムちゃん、わたしがアイツの相手するから、その間にパパっと採ってきちゃって」

 

「え…? あ、危ないよ…」

 

 

さっきここが危険な場所と教えたのもあるだろうけど、あれが強敵っていうのは雰囲気でもわかったらしく不安そうな顔をしてくる。

 

 

「大丈夫大丈夫。ほらほら、早く帰る為にもちゃちゃっとやっちゃおう?」

 

 

言いながらエメラルドスノウに銃弾を装填し、銃口をクリスタルヒューマに向ける。

 

そして空いた左手をロムちゃんにかざし、とあるの魔法をかける。

 

 

「今ちょっとした魔法をかけたから、多分ロムちゃんが狙われることは無いと思う。さ、効果が切れる前に早く!」

 

「あ、う、うん、わかった…!」

 

 

そう言うと、透明になったロムちゃん(声は聞こえる)は(多分)氷華のある場所まで走っていく。

 

…え? 透明なんて使えるならそれでささっと回収すればいいだろうって?

 

まぁそれもアリなんだろうけど、危ないから却下。

 

氷華は採るのにコツが必要で抜くのに手間取るし、透明化の効果時間だってかなり少ない。

 

だからこそ、わたしが囮になる必要があるんだよ、わかった?

 

 

「それじゃあ…始めよっか!」

 

 

独り言を言い終わるのと同時に引き金を素早く二度引く。

 

エメラルドスノウから放たれた徹甲弾がクリスタルヒューマに向かってゆき、着弾と同時にその水晶の身体に二つの穴が空いた。

 

 

「さて…?」

 

 

当然、身体に風穴二つ空いた程度じゃ倒せないだろうから、ぐぐく、とこちらを向くクリスタルヒューマを黙って観察する。

すると、クリスタルヒューマの身体の風穴が徐々に小さくなっていき、数秒もしないうちにもとの姿に戻ってしまった。

 

 

「なるほど、これは厄介」

 

 

空になった薬莢を取り出したエメラルドスノウをくるくると回しながらどうするかを考える。

 

いや、実際のところはどうするかなんてもうとっくに考えてあるんだけど。

 

でもあれ、お金も掛かるし何よりも疲れるから、あんまり使いたくないんだよねー…やらなきゃダメなんだけどさ。

 

 

「仕方な、いっ! 使うからには早く終わらせちゃおう…」

 

 

クリスタルヒューマが投擲してきた氷の槍をかわしながら、わたしはポケットからP・SPチャージと書かれた小瓶を取り出し、それを一気に飲み干す。

 

…ふと思ったけどアイツ、水晶なんて紛らわしい身体のくせに技は氷系なんだね…

 

 

「…よーし、気力全開! 悪いけど速攻で終わらせて貰うよ!」

 

 

まぁアイツについての発見なんてどうでもいいことは置いておき、わたしは低姿勢になり目を閉じて意識を集中させる。

 

 

「…すぅ~…」

 

 

息を吸って、吐いて…深呼吸。

 

………よし、準備OK。

 

さぁ、始めよう。

 

 

「――ゼロシフト・アサルト」

フウが小さく何かを呟いたかと思うと次の瞬間、少女の瞳が透き通った水色に輝き、気付いた時には既に少女は水晶のモンスターの背後へと回り込んでいてそこから鋭い回し蹴りをクリスタルヒューマ目掛けて放っていた。

 

蹴りなど水晶の身体には、ましてや少女程度の力では通用しないだろうと思われたが、フウの放った鋭い蹴りは見事に頭部を捉え、その一撃でクリスタルヒューマの頭をボールのように蹴り飛ばした。

 

だが、これで終わりではない。

 

 

「はああっ!!」

 

 

回し蹴りの勢いを殺さずに一回転し、左肘打ちをクリスタルヒューマの背中に叩き込み、クリスタルヒューマを吹き飛ばす。

 

そこで再びフウは一瞬でクリスタルヒューマの吹き飛んだ先に移動し、飛んできたクリスタルヒューマを右アッパーで空高く打ち上げる。

 

 

「それ! 爆裂弾っ!」

 

 

そして打ち上げたクリスタルヒューマを追撃するように銃から爆裂弾を放つ。

 

二発の弾丸を放ったフウはまたまたどこかへと姿を消したかと思えば、今度はクリスタルヒューマよりもさらに上空に姿を現した。

 

 

「トドメ! 落ちろぉぉッ!!」

 

 

そこから踏みつけるようにクリスタルヒューマを蹴り落とし、落とされたクリスタルヒューマは下から飛んできた爆裂弾に当たって空中で爆発を起こし、跡形もなく消し飛んでしまった。

 

 

「――ちょっとオーバーキルかな? …まぁいいよね。はー、疲れたー…」

 

 

そして何事もなかったかのように地上から爆発を眺めていた少女は、銃から空薬莢を抜きながらもう一人の少女のもとへと歩いていくのだった…

「ロムちゃーん、終わった?」

 

 

エメラルドスノウを右手でくるくる回しながら、ぽかんとした顔のロムちゃんに声をかける。

 

変な顔して、どうかしたのかな?

 

 

「え…あ、うん…。…フウちゃん…あれ、なに…?」

 

「え? さっきのモンスターが爆散した様」

 

「ちがくて…フウちゃん、瞬間移動してた…」

 

 

なんだ、そっちのことか。

 

 

「あれはわたしのとっておきの技。使うと疲れるからあんまり使いたくないんだけどね」

 

「フウちゃん、すごい…!」

 

 

キラキラと目を輝かせながらわたしを見るロムちゃん。

 

まぁ、ホントは瞬間移動じゃなくてそう見えるくらいの速さで動いてるだけなんだけどね。

 

 

「さ、もう花は摘んだでしょ? 早く帰ろう」

 

「(こくり)」

 

 

目的も達成したことなので、わたしはポケットからイジェクトボタンを取り出し、それを使って街へと戻る。

 

ボタンを押したら後は一瞬。光がわたし達を包み込み、光が晴れる頃には既にルウィーの街並みが目の前にあった。

 

 

「さ、早くミナさんの所に戻るよ」

 

「ま、待って…」

 

 

さっきので疲れているから早く戻りたいと思いながら少し早めに歩いていると、ロムちゃんにマントを引っ張られ止められる。

 

 

「何? まだなにか用事?」

 

「あ、あそこに…」

 

 

そう言ってロムちゃんが指差すのは、雑貨屋。

 

あぁ、もしかしてその為にあんなところまで?

 

 

「ん、わかった。早く行こう」

 

「うん…!」

 

 

ロムちゃんのしたかったことが大体理解でき、まぁ二度手間になるなら…と思いつつ踵を返し、雑貨屋に向かった。

それから用事を終えて教会に戻りミナさんのいる部屋の扉を開く。

 

なんともないロムちゃんを見たミナさんは最初すごく安心したような様子だったけど、すぐに鬼のような形相でロムちゃんの首根っこを掴んで、

 

 

「…とにかく、どうしてこんなことをしたのかはお説教しながら聞きます。さ、行きますよ」

 

 

黒い笑みを浮かべながら、ロムちゃんを引きずっていった。

 

連れていかれる時、ロムちゃんが涙目で助けを請うような視線をわたしに投げ掛けて来たけど、わたしには心の中で「ごめんね」と謝りながらそれを見送ることしかできなかった。

 

二人が部屋から出ていき、一人きりになったと思ったのも束の間。

 

 

『あ、ミナちゃんただい……あれ? なんでロムちゃんがミナちゃんに連れていかれそうに……え? わたしも?! 今回はなにもイタズラしてないよ! な、なんでわたしまでぇぇ……』

 

 

なんていう断末魔が聞こえてきた後、アリスが部屋に入ってきた。

 

 

「アリス。どこいってたのさ?」

 

「いやー、ラムちゃんと一緒にあそびにいってたんですよ。それよりもあれ、なんだったんです?」

 

「…無断で外出して心配かけたからああなった。っていうかあんたも一言くらい声かけてから連れ出しなよ。相手は女神候補生なんだから」

 

「……あ、そういえば出掛けてくると言うのをすっかり忘れてました。てへっ☆」

 

 

てへっ☆ じゃないよ。もうラムちゃん完全にとばっちりじゃん。

 

 

「で、その様子だと怪我の方はバッチリ治ったようですね」

 

「ん、まぁね。とりあえず今から明日の準備でもしようかなって思ってる」

 

「なるほどなるほど? 旅立つ前の準備は忘れずにしないとですしね」

 

 

アリスの言葉に頷きながら、誰もいなくなった部屋を後にする。

 

…リーンボックスかぁ…ウィンさんが亡くなってから行ったことなかったな。

 

久しく訪れていない都市で、行くついでに面白そうなものでもあったら買おうかと考えながら、わたしは教会の人に一言言ってから街へと出た。

 

 

 

~そして、次の日~

 

 

 

「ロムちゃん、フウちゃん、アリスちゃん。準備できたー?」

 

「ん、準備万端だよ」

 

「…フウちゃん、DSは持った…?」

 

「必須アイテム。忘れるわけないでしょ?」

 

「お二人も、着替え等は持ちましたか?」

 

「もちろんよ! ミナちゃんに手伝ってもらったからね!」

 

 

あれから一日が経過し、わたしは先日ラムちゃんがネプギアさんと交わした約束を守るために準備をしてからルウィー教会前へとやってきていた。

 

 

「本当に行くのね?」

 

「もっちろん! 待っててねミナちゃん、アイツらについていくついでにルウィーのシェアも獲得してきちゃうから!」

 

「…がんばってくるね」

 

 

やる気を見せる二人だけど、そんな二人を見て空回りとかしないか、と若干不安になったりする。

 

 

「…フウ様。お二人の事、お願いしますね」

 

「ん、はい。わかりました」

 

 

向こうではしゃいでいる二人に聞こえないくらいの声でわたしにそう言ってくるミナさん。

 

あれか、わたしは監視役か? まぁアリスは二人がイタズラしだしたら喜んで手伝いそうだし、仕方ないか…

 

 

「そういえば、先程雑貨屋の方から何やら届け物を頂いたのですが…」

 

「あぁ、来たんだ。えっと、その届け物はどこにありますか?」

 

「あ、少々お待ちください。今持ってきますので」

 

 

そういってミナさんはどこかへと荷物を取りに教会の奥へ消えていった。

 

さて…

 

 

「ロムちゃーん! 昨日のアレ、届いたってー!」

 

「あ…ホント…?」

 

「んん? なになに? アレってなんのこと?」

 

 

アレが届いたと知って嬉しそうにするロムちゃんと、なんの事だかさっぱりわからないといった様子のラムちゃん。

 

まぁ、知ってたら怖いけど。

 

 

「何ですか、私がラムちゃんと遊んでる間にそちらでもなにかしてたんですか?」

 

「あー、うん。まぁね」

 

「お待たせしました」

 

 

と、そこでミナさんが小包を持って戻ってくる。

 

 

「ありがとうごさいます。ほら、ロムちゃん」

 

「うん…♪」

 

 

ミナさんからそれを受け取り、ロムちゃんに渡す。

 

わくわく、といった様子でロムちゃんが小包を開けると、そこにはお揃いの三つの氷のようなペンダントが入っていた。

 

 

「わぁ…」

 

「きれいなペンダント! でもそれ、どうしたの?」

 

「…ラムちゃんとフウちゃんの、プレゼント…はい」

 

 

ロムちゃんはそのペンダントをわたしとラムちゃんに一つずつ手渡してくる。

 

材料がアレだからか、手に持つとひんやりとしている。

 

 

「え? くれるの!? ありがとうロムちゃん!大好き♪」

 

「ちなみにこのペンダント、ちょっとした秘密があるんだ」

 

 

プレゼントを貰って大喜びしながらロムちゃんに抱きつくラムちゃんにそう告げる。

 

ちなみにこれはロムちゃんにも教えてないことだ。

 

 

「秘密…?」

 

「そ。ほら、三つのペンダントをこうすると…」

 

 

二人からペンダントを借りて、それを一つにくっつけてみる。

 

すると…

 

 

「あ! 氷の結晶みたい!」

 

 

そう、このペンダントはラムちゃんが言った通り、三つあわさると氷の結晶の形になる。

 

単純だけど、こういうの結構好きなんだよね、わたし。

 

 

「ははぁ、もしかして昨日ロムちゃんがミナさんに怒られていたのはそれが原因ですか」

 

「んー、まぁそんなとこかな」

 

 

わたしとアリスがそんな会話をしていると、ロムちゃんが手で顔を隠しながら少し俯く。

 

 

「じゃ、そろそろ出発しようか? あんまり遅くなりすぎるとネプギアさん達にシェアを持ってかれちゃうかもよ?」

 

「むっ…! そんなのダメ! アイツらより先にわたし達がシェアを獲得してくんだからっ!」

 

 

ちょっとした冗談でそんなことを言ってみると、ラムちゃんがそう言いながら駆け足で走り出す。

 

 

「あ…ラムちゃん、待って…っ」

 

 

そしてラムちゃんの後を追うようにロムちゃんも走り出す。

 

…えーっと。

 

 

「…で、では、行ってきます!」

 

「くすっ…行ってらっしゃいませ」

 

 

先に行ってしまった二人の代わりにミナさんにそう言って、わたしも二人の後を追う。

 

心配、なのかと言われるとある意味あの二人はリーンボックスの場所を知ってて先を行ってるのか、ということが心配だ。

 

 

「くすくす…フウちゃんも大変ですね」

 

「無駄口叩く暇があったら走る! 二人に置いてかれるよ!」

 

「はいはーい♪」

 

 

いつものようによくわからないテンションのアリスと共に先行する二人の女神を追いかける。

 

久しぶりの遠出の始まりは、そんな感じだった。

~Neppedia~

―Enemy―

○アイシクルヒューマ

作中参照。

 

―Skill―

○エアインビジ

風属性の補助魔法。

インビジという名の魔法だが、姿を消す訳ではなく一時的に気付かれなくする魔法、要するに空気化。

世界にはこれを使用せずとも常時発動している者もいるらしい。

呪文が\アッカリーン/で発動する者もいるとか。

 

○ゼロシフト

フウの持つとっておきの技。自身の周囲の空間を圧縮、復元する際の反動で超光速移動をする強化系スキル。決して必殺技スキルではない。

このスキルによる移動速度は光の速さに限りなく近く、移動時間を認識、知覚することはまず不可能。できたらその時点でバグレベル。

性質上、軌道上に存在する物体を弾き飛ばす事ができるが、建造物などの相当重い物はぶつかってしまうと弾き飛ばせずにその場で止まってしまう。というかやったらかなり痛い。

移動中はほぼ無敵で、移動中に攻撃を受けてもダメージを受けることはない。

フウの持つこのスキルは全部で四種類存在し、それぞれ『アサルト』『クイック』『トリック』『インフィニット』で能力に多少の違いが生じる。

今回使用された『アサルト』は、移動後暫くの間物理攻撃の威力を向上させるというもの。

本人曰く、このスキルを使う際は風よりも速く、をイメージしているらしい。

ちなみに使用するとすごく疲れる。

 

―Item―

○氷結晶のペンダント

氷華から作られた、少し冷気を帯びたペンダント。氷属性耐性上昇。

今回の場合は三つで一つの形を成すペンダントで、合わせると氷の結晶の形になる。二人用や四人用も存在する。

このペンダントを友人・恋人と共に着けているといつまでも一緒にいられる…そんな噂から別名:絆のペンダントとも呼ばれているとか。


 
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