――終わった。なにもかも。
体は指先や髪の先端から燃えて、灰となる。
――嗚呼、神様。
こんなわたしを、お救いくださいますか――?
【眠れる君にこの花を捧ぐ。】
熱い。アツイ。あつ、い。
体中燃やされて、それでも意識が残っているだなんて。
消えてしまいたい。早く消えてしまいたいのに。
痛い。イタイ。
体が、心が、痛い。
どうして大切にできないの。
生んでくれた作者(おや)も、やっと出会えた友さえも、みんなみーんな、てのひらからこぼれ落ちていく。
大事にしたいのに。大好きだって、思うのに。
大切に守りすぎて、誰にも渡したくなくて、この手で壊してしまう。
そしてわたしは、いつも独りなの。
こんなわたしを、誰が愛してくれるというの?
……わたしは、愛されたかったの?
自問自答を繰り返して、思いもしなかった感情に行きあたる。
自分のことなのに、今まで自分で気がつかなかった。
ダレカ、ワタシヲ アイシテ。
誰が、愛してくれるのだろう。
わたしは誰に愛されたかったのだろう。
誰の愛を、欲していたのだろう。
誰の愛なら手に入れることが出来たのだろう。
わからない。
燃え尽きるのを待つばかりで、もうそれは夢のまた夢。
生まれ変わりさえも、望めない。
「……さよなら、イヴ」
ただ、イヴと遊んだひと欠片の時間は、わたしのタカラモノだった。
大切にしすぎて、奪われてしまったけど。
「アリガト」
いよいよ意識が薄れていく中で、わたしは目を閉じた。
もう、開くことはない。
――ダイジョウブ。
「……?」
声が聞こえた。
頭の中に直接響くような、透き通った声。
――キミニ、ハナヲ ササグ。
もう痛みはなく、大好きなピンク色が、心地よくわたしの意識を包み込んでいった。
――儚く美しい金色の髪の乙女に、この花を捧ぐ。
願わくば、来世(つぎ)は温かな愛に包まれるように――。
end.
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せめてものハナムケに。