保健室。
そこでラウラは目を覚ました。
横を見ると、千冬の姿があった。
「教官…一体、何が有ったんですか…」
「ボーデヴィッヒ、お前のISにVTシステムが搭載されていた。巧妙に隠していたみたいだがな」
「…研究や製造、搭載が禁止されているあのシステムが…?」
そう言うと、ラウラは顔を下に向けて呟いた。
「私が…望んだからなのですね…。貴女のようになりたいと…」
そして、ラウラは震える声で千冬にたずねた。
「教官、私はこれから、どうなるんでしょうか…軍人であり、ドイツの代表候補生である私が知らなかったとは言え違法なシステムを発動させて、更にはBSAAに所属する人間を攻撃しました。ただで済むとは思えません…」
「……」
「わ、私は…軍や政府に捨てられてしまうのですか……」
「ちょっと、良いですか?」
千冬が口を開こうとすると、ラウラの隣のベットに居たジンヤが声を掛けた。
何故か、ジンヤは身体中包帯ぐるぐる巻きのミイラ男風な姿をしていた。
「ラウラ、キミは無実だ。政府や軍上層部はキミを生け贄にして罪から逃れる事はできないよ」
「神崎、どういう事だ?」
千冬がそう言うと、ジンヤは右腕にあるジャンボットを操作して、空中にあるデータを投影した。
そこには、ラウラのISにVTシステムに搭載した人物の事やそれを指示した政治家や軍上層部の名前が描かれていた。
他にはT-ウィルスやG-ウィルス、生物兵器B.O.W.の研究をしていた事が記されていた。
「実は、キミがVTシステムで暴走されてしまった時、同時刻にアメリカ政府エージェント、レオン・S・ケネディの指揮の元、BSAAの特殊作戦要員、スペシャル・オペレーション・ユニット…通称SOU数隊やアメリカ政府特殊部隊、SPEC OPSがドイツ軍の施設に突入し、先ほど出した情報を押収した。まだ他にも有るかも知れないから、まだ捜査は続ける模様…まあ、取り合えずラウラ、キミは無実だよ」
「…何故だ」
ラウラはそう呟くと、続けて言った。
「何故、私を憎まない!お前は私の事が憎いと思っていたのじゃないか?!VTシステムを発動させて…」
「最初はね…でも、キミはダダをこねる子供に見えてさ…それにVTシステムがキミが起動させたのか?あのロボゴーグとかいう奴によって、起動させられたんじゃない?」
「…何故だ、何故、お前は…」
「ラウラ、キミは誰だ?」
落ち込むラウラにジンヤは優しく言った。
「わ、私か?わ、私は…」
「どんなに望んでも、なりたいと思う人になれないんだよ…でも、その人の良い所を学ぶ事ができる。分からなければ、これからゆっくり自分は誰なのか考えて行けば良いよ」
ジンヤが優しくそう言うと、千冬がラウラにたずねた。
「ボーデヴィッヒ。実はアリーナに仮面ライダーというのが現れたんだが、何か見たか?」
「いえ、その時私は殆ど意識が無くて…何も見てません」
「そうか、すまなかったな」
そう言うと、千冬は保健室から出て行った。
「今度はこっちが何故だだよ?何で僕が仮面ライダーですって言わなかったの?」
「分からん…教官に逆らったのは初めてだ…」
ラウラはそう言うと、ジンヤに聞いた。
「なあ、何故お前はそこまで強いのだ?」
「僕?僕はただ…弱い人間だよ。戦う事でしか自分を表現できない哀れな人間だよ」
「いや、何故そんな事を言うんだ?お前は…」
すると、ジンヤはラウラの頭をそっと優しく撫でると言った。
「ラウラ、僕は戦う事でしか自分を表現できないけど、いつも自分の意志で戦ってきたんだ。後、アメリカ政府は人を駒扱いしないけど、僕やラウラ、軍人は政府や誰かの道具じゃないんだ」
「自分の意志で戦う…誰かの道具じゃない…」
「それじゃあ、僕は今後の事の報告も有るし、ここでオサラバするよ。また明日ね!」
そう言うと、ジンヤは包帯を取りつつ保健室を出た。
そして、ラウラは呟くように言った。
「ジンヤ、私はお前に1つ言い忘れてしまったな…助けてくれてありがとう」
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今回は、戦いの後のお話です。
それでは、ゆっくりしていってね!