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IS《インフィニット・ストラトス》 駆け抜ける光 コラボ小説第二弾 第二話 異世界と元の世界

やっとこさ更新だぜ。今回は会話が多いです。長いかもしれませんが……。

2012-06-24 23:06:52 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:1911   閲覧ユーザー数:1867

 さっきの会議? が終わって全員自由行動になり僕は部屋に戻っていた。部屋に居るのは僕だけでなく、ロックオンさんが付いてきた。なんでも僕とアムロさんと話したいらしい。

 

「さっき言ってた人を感じる能力について聞きたいんだけどいい?」

「そのことか……それならアムロさんに話して貰った方が早いんだけど。アムロさん、お願いしてもいいですか?」

[構わないよ。光輝のこの能力はね、僕の世界で言う『ニュータイプ』という人達の能力なんだ]

 

 アムロさんはニュータイプの特徴を短く的確に話した。さすが自分の世界の事だけあって凄く詳しいと改めて思う。ロックオンさんの表情も真剣そのものだ。

 

[という感じか。難しいかもしれないが大丈夫かな?]

「ありがとうございます。人と人が誤解なく分かり合える――か。それを戦闘の道具にしている連中に虫唾が走りますね……」

[だが、それでも人はいつか必ずお互いを認め合って分かり合えると僕は信じている。光輝や他のみんながそうであるように――]

 

 分かり合う。言葉にするのは簡単だけど、実行しようと思えば凄く難しいこと。それでも僕は心の光を見せて人がお互いに分かり合えるようにしたい。その暖かみが凄く幸せな事を知ってもらいたい。

 

 ふとロックオンさんが僕を見てくる。ロックオンさんの瞳に僕は心を惹かれていた。何て言えばいいんだろう……強い心を持ってるんだけど、どこか哀しい心も感じる。

 

「光輝君みたいな心を持った人がいれば人は分かり合えるのね……。その暖かみがあれば勇気が出そうだわ」

「僕は暖かみの大切さを知って欲しいんだ。僕自身、それに助けられたから」

「凄いことよそれって。自分が感じた大切な事を他の人にも感じてもらいたい。私じゃそんなことできないわ」

「できるよ! 一人じゃ出来なくてもみんながいれば絶対に!」

 

 僕はロックオンさんに向かってハッキリと言った。僕だって一人じゃ出来ないけどみんながいるって思えるからこうして光を伝えれるし、強くなれるんだ。

 

「そうね……ありがと♪ 人って失って始めてそれが大切な事だって分かるのよね。こんなに小さな子なのに、中身は凄く強いわね」

 

 そう言ってロックオンさんは僕の頭を撫でてくる。嫌じゃないんだけど、照れるんです……。それにしてもロックオンさんって身長高いなぁ。

 

「あらあら、顔が赤くなっちゃって可愛いわね♪」

「い、言わないで下さい! 恥ずかしいけど……人に頭を撫でられるのって凄く落ちつくし好きだから……」

「とことん純粋ね。君ほど純粋な人は私の世界にはいないわね……」

 

 そうなのかな? でもやっぱり頭を撫でられるのは落ち着くし気持ちがいいなぁ♪ 直接、人の暖かみが伝わってくるしね♪ 

 

 突然、僕の部屋を打ち破って何かが入って来た。その激しい音に驚いた僕とロックオンさんは扉の方を向く。勢いよく入って来たのは夏兄とシャルロットさん(異)――僕の世界のシャルロットさんと少し感覚が違うのです!――が入って来た。夏兄が真っ先に僕の後ろに隠れて来た。ど、どうしたんだよ!?

 

「一夏ぁ~一緒に寝ようよぉ♪ さっきの続きしたくないの~♪」

「もう眠くないし、さっきの続きってなんだよ!? 俺は嫌だからな!」

 

 どうもこれは二人に何かがあったようですな……。

 

「夏兄、とにかく落ち着こう! シャルロットさんも!」

「え~と、光輝だっけ? だってこの一夏ったら反応が可愛いんだもん♪ 苛めたくなっちゃうんだよねぇ♪」

 

 異世界のシャルロットさんはここまでテンションが高い人なのか!? 恐るべし異世界のシャルロットさん! 

 

「シャルロット、嫌がってる相手を無理やりするのはよくないと思うけど?」

「むぅ~、でもそこがまたいいというか……なんというか♪」

「見た目は同じシャルなのに……なんでこうテンションが高いんだ……!」

「これは一体何の騒ぎなわけ……?」

 

 今度はエリスさんが部屋の前に立ちこの風景を見て茫然としている。後ろにはクレアちゃんが、ひょこっと後ろから覗いている。

 

「クレアちゃんが光輝くんと話してみたいって言うから連れて来たんだけど、今は危ないかな?」

「えっと……ダメですか?」

 

 と後ろに隠れながら顔を赤くして聞いてくるクレアちゃん。えっと確か一つ下だったっけ? 僕が年上だから緊張しているのか?

 

「いいけど、シャルロットさんを止めてくれたら助かるんだけど」

「光輝までそう言う~。じゃあ今は一夏と遊ぶの止めるよ。エリスだよね? 話し相手になってくれる~?」

「いいよ♪ 異世界のシャルロットとも話してみたかったんだよね♪」

 

 そう言ってシャルロット(異)さんはエリスさんと一緒に何処かへ行った。しかし、あの二人って明るいし、気が合いそうだね。

 

「じゃあ一夏君、私たちはここを出ましょ? クレアの邪魔になっちゃいけないしね」

「え、あぁ、分かったよ。助かったぜ光輝。サンキューな!」

「え? 二人が出ていかなくても――」

 

 出ていく二人をクレアちゃんが止めようとするが、ロックオンさんがクレアちゃんの耳元で何かを言うと顔を真っ赤にし、俯いてフリーズしてしまった。ロックオンさんが何を言ったかは分からないけど、どうしたんだろうか?

 

「お話ありがとね光輝くん、アムロさん。また時間が開いた時にでも話しかけてね」

 

 そう言ってロックオンさんと夏兄は部屋を後にしていった。部屋には僕とクレアちゃん。僕に何か話でもあるのかな?

 

「…………」

「…………」

 

 この無言の空間は気まずい! な、何か話さないと! 

 

「と、とりあえず座ったら?」

「え? そ、そうですね……ありがとうござい、ます」

 

 まぁとりあえず座らせて……き、緊張してしまう。相手が年下だからしているのか!? 確かによく考えてみれば今まで女子と話したことがあるのはみんな同い年だ。でもだからって緊張するな僕!

 

「えっと……僕に何か、話したいことがあるのかな?」

 

 そう言った途端にクレアちゃんの顔が真っ赤に染まった。僕は何か余計な事でも言ったのだろうか? しかし、僕の周りの女子はよく顔が赤くなる。気のせいだろうか?

 

 意を決したのかクレアちゃんはゆっくりと言葉を紡ぐ。

 

「えっと、こんなこと言うの変だと思うんです。でも――」

「言ってみて。クレアちゃんの思ったことを。僕はちゃんと聞くから」

「はい……。光輝さんから、暖かい光を感じたんです。それが凄く気になって……どうしたらそんな暖かいものを感じさせれるのか知りたくて――」

「なるほどね……」

 

 僕自身の目標としては人の心の光をたくさんの人に見せたい。それを感じれるのが凄く幸せな事なんだって伝えたい。クレアちゃんのようにそれを感じてくれたのは凄くうれしい。

 

「僕も的確にどうやったら伝わるかは正直よく分からない。でも僕はその光を伝えるっていう気持ちでいるよ。すぐには伝わらなくても、ちょっとずつなら感じてくれるだろうし、人と人を結ぶ絆も強くなるから」

「絆……かぁ。私も光輝さんみたいになりますっ」

「クレアちゃんなら人に伝えられるよ。頑張ってね!」

[――なかなか力のある子だな。負けず嫌いで優しさを持った子――まるで光輝みたいじゃないか]

 

 そうアムロさんが僕の頭に囁く。僕に似ているはいいとして、確かにこの子は純粋だし、力の意味も分かってる。クレアちゃんには間違った方向に進んで欲しくないけど、一夏君たちなら……そうなったとしても必ず止めようとするかな。

 

 僕は思わずクレアちゃんの頭を撫でた。彼女に不幸が起きないように、毎日が楽しくなるように願う。しかし、クレアちゃんは一瞬こちらを向いて顔を真っ赤にし、突然倒れて来た。

 

「ク、クレアちゃん!? どうしたの!?」

[……なるほどな。大体は理解出来たぞ]

「え? 倒れた原因ってなんですか!?」

[それは君自身が分からないといけないことだ。全く……こういうことは僕もあまり詳しくはないが、さすがに分かる]

 

  何で僕のせいになるんですか!? と、とりあえずこのままにしておくわけにもいかないし……ベットに寝かせようか。でも一体どうしたんだろうか……僕は何かクレアちゃんにましたか?

 

一夏(異)SIDE

 

「ここの奴らは危機感が全くないな。こんなことでは先が心配だ」

 

 会議が終わった後、ロックオンは光輝と話す為にいないし、シャルはもう一人の俺と一緒に何処かに行ったし、クレアはエリスと、マドカはラウラや箒達とアリーナに……さて、どうしようか?

 

 もう一人の俺に学園祭の時に襲撃を受けることを話したかったんだが……それはさっき言った通りだ。

 

「おい、一夏」

 

 学園内をぶらついていると、背後から何回も聞いている声が聞こえ振り向く。そこにはやはり姉さんがいた。この世界では一応先生と呼ぼうか。

 

「なんですか?」

「その声色は異世界の一夏か。見た目だけじゃ判断が出来んな……。自然と一夏と呼んだが嫌だったか?」

「いいえ。そんなことはありません。俺を呼んだ理由は?」

「おっと、すまない。実はお前たちの世界のガンダムの話が聞きたくてな。今から少しいいか?」

「全て話せる訳じゃないですけど、それでいいなら大丈夫です」

「分かった。ここじゃあ誰かが盗み聞きするかもしれん。私の部屋に行こう」

 

 異世界の姉さんでも性格はあんまり変わらないな。シャルは正反対の性格だってのに……。

 

 道中、無言で移動し気まずい雰囲気の中、部屋に着いた。移動中に分かったんだが纏っている雰囲気が、少しばかり優しいと言うか……。

 

「さてさっそくだが、お前たちのガンダムタイプのISについて話して貰えるかな?」

 

 俺はガンダムタイプのISについてある程度の事を教えた。さすがに動力源であるGNドライヴについては話さなかったが……。まぁ異世界の事だし、話してもいいんだろうが念には念を入れておく。

 

「やはりガンダムというのはどの世界でも驚異的な性能なのか。お前たちのISは束が作ったわけではないんだな?」

「えぇ。束さんにはガンダムを作れる技術はありません。さっきも言った通り、俺達のガンダムタイプには特殊な動力源が使われています」

「それがお前の世界のガンダムの強さの秘密か。どの世界でもガンダムというのは圧倒的な能力を持っているんだな」

 

 光輝達のガンダムがどのぐらいの性能かは分からないが、従来のISを越えているのは確かだろう。ガンダムの存在が政府に知られれば光輝達のISを出せと来るはず。今のところはなんとか隠し通しているようだが……。

 

「……お前はこっちの一夏と違って常に警戒しているな。私が言うのもおかしいが、もう少し気楽でもいいんじゃないか?」

「なんというか俺達の世界にも異世界の人は来たんですが、自分がその立場になると落ち着かないと言うか……」

「ふむ。私たちはお前たちのような奴ならいつでも歓迎するぞ。特に光輝が嬉しがるからな」

「あいつがですか?」

「そうだ。人との繋がりの大切さを誰よりも分かっているんだよ。だからお前達とだって仲良くなりたいって今頃思ってるんだろうな」

 

 そこで苦笑いをする姉さん。やっぱりこの世界の姉さんは少し柔らかくなってるぞ。俺の世界の姉さんとは違うな。

 

「まぁ特に縛るつもりもないし、他の奴らとも話してこい。私もまだ仕事が残っているのでな、部屋をでるからな」

 

 その言葉に俺達は姉さんの部屋を後にした。柔らかくなってると言っても姉さんは姉さんだな。と、奥から話声と足音が聞こえてくる。誰だ?

 

「へぇ、クレアちゃんは光輝のことが――」

「そうなんだよね。聞いた時はビックリしたよ。いきなり私の部屋に来て光輝くんのこと聞くんだもん」

「あの子も自分の気持ちを素直に伝えるのが下手だけど、一生懸命さは伝わるのよね」

 

 この声はロックオンとエリスと……もう一人の俺か? 話を聞く限りクレアの事らしいが。

 

「おっ、もう一人の俺じゃん! こんなところで何してんだ?」

「あ、あぁ。お前の姉と話してただけで、ちょうど終わって部屋から出ただけの事だ」

「そうなのか? で、違う世界の姉と話すのはどうだった?」

 

 もう一人の俺は、俺と違って明るいな。話していて嫌な気にならないしいい奴だと思う。

 

「まぁ異和感があったが俺の世界の姉と比べて少し柔らかかったよ」

「そうか? じゃあお前の所はもっと堅い千冬姉なんだな!」

「こちらに比べたら少し……な」

「同じ人間同士が話すのを見るのって凄くシュールだねぇ」

「エリスの言う通りだわ。エリス、ここは二人きりにしてあげましょ?」

 

 待て! 別にそんなことしなくても――

 

「そうだねぇ。じゃあね二人の一夏君♪」

「私たちは二人でどこか行くから何かあったらすぐに連絡頂戴ね」

 

 そう言ってエリスとロックオンはこの場を去っていった。と、とりあえず何か話そう……そうだな――

 

「ここで立ち話も何だし、俺の部屋に行くか?」

「いいのか? すまないな……」

 

 でも他の者に聞かれるとまずい内容だったし、その方が良かったか。お前は優しいな一夏。

 

 そして一夏の部屋に入り中を見渡す。中はこちらと全く変わってないな。最低限の物しかないところを見ると、自分の部屋だと思ってしまう。異世界でも全部が全部違う訳ではないか。

 

「もう学園祭が近いんだな……」

「そうなんだよ。俺達のクラスもメイド喫茶になってさ、俺は執事服だけど光輝なんか女子達と同じメイド服に決まったりして、大変だぜ」

「その学園祭のことなんだが――俺達の世界では襲撃者が現れた」

「襲撃、者? まさか俺達の世界でも!?」

 

 これは言っておいた方がいいだろう。他のみんなに言うように――いや、止めておこう。もしこの話が大勢の生徒に漏れれば混乱を招く。言うなら、こいつだけにしようか。

 

「目的は俺のIS――ダブルオークアンタを狙いに来た。まぁ追い払うことはできたがな。気をつけろ、この世界と俺達の世界が全てが一緒では何にせよ、学園祭の時には警戒しておけ」

 

 

 

ロックオンSIDE

 

「あら、マドカじゃない。どうしたの?」

「ロックオンと……エリスか。いや、こいつらの実力を見ておきたかったんでな」

 

 私とエリスは専用機持ちのみんな(あのシャルコンビは二人で話しているからいないわ)がアリーナで練習している様子を見に来た。そこでばったりマドカと出会ったと言うわけなの。

 

 私たちの世界に比べたら――正直、みんな弱いわ。セシリアなんかビットの偏向射撃が出来てないわ。ビットを使いながらの行動は中々鋭いけど……でもねぇ。

 

「しかし、紗英だったか? あいつの動きはあの中でも目を見張るものがある」

 

 紗英先輩は確か、ΞガンダムというISだったかしら? 確かに他のISとは違う形状だわ。武装も見る限りでは火力も中々ね。でもそれ以上に――

 

「ねぇエリス。Ξガンダムの通常スピードってどのくらいか分かる?」

「え~と確か……一般的なISが瞬間加速した時と同じだったかな。でもハイパーセンサーの援助があるとはいえ、身体がよく保てると思うよ」

 

 確かに見た感じは瞬間加速と同じぐらいだろうけど、あれが通常のスピードだなんて……エリスの言う通りよく身体が保てるわね。

 

「それにね、みんなアムロさんの指導のおかげで最近はどんどん上手くなってきてるんだよ♪ さすが歴戦の英雄は違うよね♪」

「アムロさんだったか。あの人はどのような人だったんだ?」

 

 マドカがそんなことを聞く。私もニュータイプについては聞いたけど、アムロさん自身については聞いてなかったな。

 

 エリスが言うには人は宇宙に上がっていて、戦争をしていてその過程でMSと呼ばれるロボットが開発された。アムロさんは地球連邦軍と言われる軍のエースだったという。

 

「もっと細かいことが聞きたかったらアムロさんに直接聞いてみるといいよ。教え方とか分かりやすくて助かってるんだ♪」

「よし、光輝を見つけて聞いてみよう!」

 

 そう言ってマドカはこの場を去ってしまった。あんなに興味深々な彼女を見るのは滅多にないわね。

 

「セシリアちゃん! まだあたしの方がビット使えるじゃない!」

「まだまだですわよ先輩!」

 

 へぇ、Ξガンダムもビット兵器があるのね。これ以上見ると明日の楽しみがなくなるわね。さてセシリアが終わるまでエリスと話しましょうか。

 

 

 

「そ、そんなの……!」

「私の世界のセシリアはこの時期にはビットの偏向射撃をマスターしてたわよ」

 

  セシリアと先輩の模擬戦が終わった後にセシリアを呼びだして話をしていた。もちろん、私の世界のセシリアが偏向射撃をマスターしていることを教えたのだ。まぁ、サイレントゼフィルスのことは……話さないようにしましょ。

 

「話はそれだけよ。でも頑張れば絶対にものに出来るわ」

「私は一体何を遊んでいたのでしょう……光輝さんを追いぬくこともできずにましてや、自分にすら負けてるなんて」

「あら、光輝のISもビットあるの?」

「はい。光輝さんのIS――Hi-νガンダムにはフィンファンネルと呼ばれるビット兵器がありますの。光輝さんは難なく操って、それこそ本人が手を出さなくてもそれだけで追いこまれそうになるほど、お上手ですの」

「へぇ……あんな可愛い顔して、意外ね」

 

 明日はの相手は――光輝に決まりね。

 

「ふぅ、この部屋広いな……」

「まぁ仕方がないんじゃないかしら。突然、私たちがやって来たのに対応が早いわ」

 

 その日の夜、異世界組は寮の使っていない大部屋で過ごすことになった。いつまでこの世界に居るかは分からないが、いなくなるまでこの部屋にいることになったのだ。

 

「シャル、さっきから凄くご機嫌だけど、何かあったのかしら?」

「ちょっとねぇ~♪ 可愛いのを見たからねぇ♪」

 

 ロックオンが聞くとシャルは顔を笑顔にさせ、赤くする。一日中、この世界のシャルといたが何があったのかはここでは話せない。

 

「でクレアはどこに行ったんだ?」

「それなら光輝の部屋で寝ていたぞ。なんでも光輝と話していて、いきなり気絶して無理やり起こすのも失礼だからあいつの部屋で寝さすそうだ」

 

 あれからクレアは一度、目を覚ましたのだ。その時は部屋から出て散歩したり、この世界の専用機持ちのみんなとも話していた。しかし、夕食後に再び光輝の部屋に入らせてもらい、話していたが光輝のある行動でまたもや気絶。無理やる起こすのもよくないと思い光輝の部屋でそのまま――ということである。

 

「さて、もう灯り消すぞ。いいか?」

「え~、まだ起きててもいいじゃん!」

「ほら、我がまま言わない! もう寝ましょ」

「そうだな。私も今日は疲れたぞ……」

 

 

 

「ん……あれ、私――」

 

 光輝の部屋のベットの上で目が覚めたクレアは状況が理解しきれていなかった。暗闇の中、タオルケット一枚を身体に包んで、床で寝ている光輝を見つけて理解した。

 

――また気絶してそれからずっと……うぅ、ごめんなさい光輝さん……

 

 気絶する前はベットに居なかったと思ったが、ベットに居るということは光輝が運んでくれたようだ。

 

――迷惑ばかりかけてるのに……凄く優しい人だなぁ

 

 光輝にある話をして感情が高まって泣いた自分を光輝が慰めてくれた。一度も嫌な顔をせずにクレアに接するのは、光輝はクレアを助けたいと思ったから。

 

[その様子からするとやっぱり、光輝のことが好きなんだね]

 

 暗闇からの突然の声にビックリするクレアだが、声の主は分かっている。

 

「でも、それを伝えようとするとはっきりと言えなくて……言おうと頑張ってると迷惑かけて困らせてしまって――」

[人に想いを伝えるのは難しいんだ。誰だって君のようになるし、光輝だって迷惑に思ってないよ]

「でも――」

[焦ることはないよ。君がその気持ちを持ち続けることが大切なんだ。人を想う気持ちを持つことが……]

 

 その言葉を最後にアムロの声は聞こえなくなった。

 

――人を想う気持ち……光輝さんを好きだと思う気持ち……

 

 クレアはアムロの言葉を噛み締め、理解する。その気持ちを確かめながらクレアは瞼を閉じた。

 


 
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