No.440172

キヒヒッ

にるりさん

学校の隣の席の忍足さんはかなりの変わり者で、時々キヒヒッと不気味に笑いながらこっちを見ていることがあってちょっと怖い。 忍足さんは毎週月曜日に私に緑茶味(抹茶ではない)の飴をくれる。月曜日が祝祭日の際には火曜日にくれる。長期の休み明けには月曜日の回数分くれる。理由を聞いてみると「緑茶味好きだよね?」と軽く断定調で言われた。そんなこと言ったこと無いし特に好きじゃない、というかどちらかと言うと得意じゃない味だ。でも毎週もらっているうちに慣れてきてちょっと美味しいような気もしてきたから不思議だ。 この前、ちょっとした事件があった。忍足さんが授業中に間違えて先生を「ママ」と呼んでしまったのだ。多くの人が経験してきたであろう黒歴史確定のミスだ(私も小学生の時にやらかしている)。 教室は騒然となった。そのミス自体より忍足さんが母親のことをママと呼んでいるということに驚愕しているクラスメイトが多いようだった。けれど忍足さんは忍足さんらしく何事も無かったかのように平然としていた。 その様子をみているうちに、次第に教室内も落ち着きを取り戻していった。それから5分ぐらい経った頃、忍足さんは倒れた。極度に恥ずかしいと意識を失う体質なのだと後で聞いた。忍足さんにもそんな意外と女の子らしい(?)一面があるのだ。 忍足さんは一日に一度か二度、私にゲスい性的なネタをそっと耳打ちしてくる。最初は意味がわからなくてうっかり家族の共有PCでググってしまい、大慌てで履歴を削除したりしたものだ。 けれど私もそういった事に興味津々な花の思春期なので、最近は家に帰ってから聞いた話を一冊のノートに書き写している。私の性知識の8割は忍足さんからもたらされたと言っても過言では無い。 そのノートを「オシタリック・レコード」と命名して、鍵のついた机の引き出しに大事に保管していることを話すと、忍足さんはいつもよりややうれしげに、キヒヒッと笑った。
その時の忍足さんを描きました

2012-06-21 22:49:21 投稿 / 1120×920ピクセル

 
2012-06-21 22:49:21 投稿
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