こんなラヂヲ #2
「はい。という訳で始まりました。ラジオ『MO☆SO☆SHO☆JO』の時間です。初回から第2回まで20日間ほど頂きましたが、制作サイドが忙しかったという事でご容赦ください。
今回もパーソナリティーは私、妄想学の祖である稟ちゃんと」
「一刀くんでーす(棒読み)」
「一刀さんは相変わらずの棒読みですね。そんな事じゃ、リスナーはすぐに飽きちゃうぞっ☆」
「うぜぇ……」
パコン!(ペットボトルが誰かの頭にぶつかった音)
「いってぇ……」
「やる気のない一刀さんは置いておきましょう。彼はツンデレですからね。番組が進めばいつものように私への愛を語ってくれるでしょう」
「はいはい」
「さて前回は、Webで告知していたというこ事もありますが、初回にしてはなかなかの好評でしたね。反響もよかったですよ」
「マジか……クレームとか来てないか?」
「来てません。皆さん、妄想学という学問が本当にあると勘違いしてましたよ。ふっ、メディアに踊らされる情報弱者ばかりで笑いが止まりませんね。すべて妄想だというのに――――」
「はい、ストップ!」
「――――ふがっ!?」
テーブル越しに、一刀が稟の口を塞ぐ。
「リスナーを馬鹿にした発言はいけません。ただでさえメディアは色々と叩かれているのが現状なんだから」
「ふがふが」
大人しく頷く稟だった。
「先ほど不適切な発言があった事をお詫びいたします」
「まぁ、TI〇AMIチャンネルのリスナーはマゾばかりとの噂ですし、彼らにとって、私に貶される事はご褒美でしょう。問題はありません」
「大有りです。とまぁ、こんなアホな教授は放っておいて」
「教授に向かってアホとは何事ですか――――」
「前回の放送もあり、リスナーから続々メールが届いています」
「無視しないでくださ――――」
「応援のお手紙に関しては、HP上(TINAMI※欄)でコメントさせて頂いているので、どうぞお読みください」
「ちょっと――――」
「始まったばかりの番組に新コーナーを作れというのも無理な話なので、早速質問コーナーにいきましょう」
「……ぐすっ」
「……と言いたいところですが、メインパーソナリティーが泣き出したので、少々お待ちください」
『(――――ほら、稟。泣かないの)』
『(だ、だっでぇ゙…一刀さんが無視するからぁ……)』
『(分かったから!ほら、頭撫でてやるからこっちおいで)』
『(はぃ……)』
『(ほら、撫で撫でー)』
『(はふー……)』
『(続き、出来るか?)』
『(……隣に座ってくれたら出来ます)』
『(わかったよ。マイクを動かすぞ。……これでよし、っと。椅子も持ってきな)』
『(はぃ……)』
「――――お待たせしました」
「はいっ。それでは早速本日最初の質問へと移りましょう!早く選んでください、一刀さん!」
「…………」
スタジオ内で何かがあったようだ。
「さて、本日1人目はロンギヌスさんからのメールです。『稟ちゃん、一刀さん。こんにちは』はい、こんにちは」
「友達でもないのに『稟ちゃん』呼ばわりですか。馴れ馴れしいですね」
「黙れコラ」
「はーい、ロンギヌスさん、こんにちはー♪」
「……『前回の放送で、放送中に出たお二人の睦み合いについて、もう少し突っ込んだ話をしてください』だそうです……おい、風!なに関係ないメールまで入ってるんだコラ!?」
ガラスの向こうで、音響係の金髪少女がにゅふにゅふと笑っている。
「あぁ、あの時の話ですか?そうですね……収録のあと、2人で家に帰ったのですが、玄関に入った瞬間から一刀さんは獣でした。私を先に入れ、後ろ手に鍵を締めると私を抱き締めたのです。そのまま耳元に口を寄せ、舌で耳の周囲を舐め回しながら、『あの時の続きをしようか』そう囁いたのです。ついにこの時が来たかと私の[ピーーー]は[ピーーー]となり、彼の[ピーーー]はすでに[ピーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー]」
「ピー音長ぇよっ!?」
――――CM。
「――――という訳で、次の質問へと行きましょう。大丈夫ですか、教授?」
「ふがふが……」
「はい、なんとか一命を取り留めているようです。真っ赤に染まったスタジオを皆さんにお見せできないのが残念でたまりません。さぁ、次のメールへと行きましょう」
「ふがっ」
「happy envremさんからの質問です。『一刀さん、稟ちゃん、こんばんは』はい、こんばんは」
「何故、私の方が名前を呼ばれるのが後なのですか?謝罪と賠償を要求す――――」
「だから時事ネタはやめなさい」
「――――むぐっ」
「『一刀さんに質問です』俺にかよ……」
「いいから続きを読みなさい」
「……はいはい。『僕は、三国志をモチーフとした、あるエロゲが大好きなのですが、曹操様のツンデレキャラが堪りません。という訳で質問です。ツンとデレの黄金比を教えてください。よろしくお願いします』…………いい年こいてエロゲかよ」
「いい年だからこそ、エロゲを購入する財政的余裕があるのですよ」
「そりゃそうだが……」
「一刀さんだってエロゲを隠し持っているじゃありませんか。『〇ジ恋S』なんて初回限定盤で買ってましたし」
「なんでバレてんの!?」
「あんな大きなタペストリーを隠せていると思っているのですか?」
「初回限定盤しか売ってなかったんだよ!俺だってあんなドエロい特典なんかいらんかったわ!だいたいショップ特典とかよく分かんねーんだよ。初回限定盤なら作品に関連したグッズが欲しいっつーの!」
「CDがあったではありませんか」
「いや、そりゃそうだけど……」
「それに、納豆の歌は意外とよかったでしょう?iPxdに入っている事はお見通しですよ」
「なにそれこわい」
「ラックに置いてあるクラシックCD集の裏に他のエロゲを隠してある事も知っていますよ」
「マジで?」
「ちなみに、今ある作品は――――」
「おい、CM入れっ!……って、風!無視してんじゃねーよ!仕事中に狸寝入りかコラ!?」
――――CM。
「――――はい、CMも明けたので、妄想コーナーの始まりです。では答えて見ましょう。どうですか、助教授?」
しばしの沈黙。
「まずはその歴史からだな。『ツンデレ』という言葉が使われるようになったのは、とあるエロゲが始まりだった」
「さすが、エロゲを累計100本はやっているだけありますね」
「そこまでじゃねぇよ!」
気を取り直して。
「鬱ゲーの始祖の1つと言える、とある作品にて出てきたキャラを評する際に、『〇〇はツンツンデレデレがいい』というフレーズが登場し、また別の評にてそれを短縮した『ツンデレ』という言葉がはっきりとメディアに露出した」
「あゆたん萌え」
「うるせぇっ!」
「一刀さんが最初に購入したエロゲですからね」
「だからなんで知ってんだよ!?」
ネットで『泣けるエロゲ』で検索した事は、今でも覚えている。
「しかしながら、所詮はエロゲ。特定のサブカルチャーに属する人間たちの間でしかその用語は使用されなかった。だがある時、ある週刊誌などのマスメディア上にて『ツンデレ』なる言葉が登場し、その語感も相まって、一般人にも知られるようになり、広まることとなる。
俺はこれを、マイノリティー・カルチャーにて発生した要素が現代社会にフィードバックされる現象と考える。似た例としては、『萌え』という言葉がいい例だろう」
「確かに、一度登場してしまえば、広まるのは早かったですね。マイノリティーに属している側としては、ご勘弁願いたいのですが」
「俺もだ。まぁ、それはいい。それまでは萌え要素の大部分を見た目が占めていた」
「待ってください。例えばですが、『寡黙な文学少女』は立派な萌え要素だと思うのですが、これは助教授の言う『見た目』には入らないのではないでしょうか」
「甘いですよ、教授。文学少女といえば、何を持っている?」
「文学少女なのだから、本くらいは持っているでしょう……そういう事ですか」
「その通りだ。何かしらのキャラ付けをしたとしても、必ずと言っていいほど、小道具が付随するものだ。文学少女なら本、スポーツ系ならブルマなど……しかしながら、性格のみを言及する設定は極々少数だった」
「なるほど……」
「ちなみに、某ド〇ールで煙草とコーヒーをお供にこれを書いているのだが、隣に座るグループの女の1人が『あたしってツンデレだしー』などと抜かしているが、正直ウザい。ツンデレを正しく理解しておらず、自身の無知ぶりを晒している事に、何故気づかないのだろうか」
「無知だから気づかないのではないですか?」
「……確かに」
閑話休題。
「――――それはいいとして、だ。ツンデレというのは、もともとが『ツンツンデレデレ』というように、その内面性を表している。では、どのような内面性なのか。『ツンツンしている面とデレデレしている面の二面性』などという誤謬がまかり通ってしまっているが、見当違いも甚だしい。また、『もともとは好意を持ってはいなかったが、とある理由(時間経過・特定のイベントetc)により、対象の人物に惹かれていき、その人物を好きになる』という説もあるにはあるが、そんな事はツンデレでなくとも当然だ。恋愛関係にある男女には、必ず何かしらの理由が存在するのだ。だが、本来の意味は、そうではなかった筈なのだよ」
「では、その本来の意味とは?」
「……『もともと好意を持ってはいるが、照れ隠しとして冷たく接している女の子が、ある時を境にそれ以降は素直に甘えてくる』という設定を指す」
「なるほど……ツンデレの意味はわかりました。では、リスナーの質問に関しては……」
一刀は、厳しい表情のまま口を開く。
「あぁ。ツンデレはその二面性ではなく、表出する接し方の変化を表す。よって、その比率など無きに等しい。つまりは、この質問はそもそもが問題外なのだ」
「…………」
「ちなみに彼がプレイしているエロゲについてだが、『恋姫†無双』という作品だ。プレイしてみれば分かるが、確かに曹操はツンデレだ。最初は歯牙にもかけなかった主人公を、様々なイベントを経るごとに惹かれていき、そしてその感情を表に出す。つまりは普通の恋愛であり、ツンデレではないのだよ」
「ぶち壊しですね」
「…………」
「という訳で、ツンデレに黄金比は存在しないそうです。残念でしたね、happy envremさん」
「まぁ、敢えて比率で表すなら83:17だがな」
「…………は?」
「だから、敢えて間違いである方の二面性をツンデレと認めるなら、その比率はこれだって言ってんの」
「はぁ……ちなみに、その比率の内訳は?」
「あぁ。まず、友達や知り合いの前での接し方だ。他の友達との接し方の違いがまず35。言葉遣いや対象の人物を見る時の目つきなどだ。重要性と考えてもいい」
「ふむ」
「次に、2人きりでの対応だ。自分の言動を見る人間がいないため、先の時よりも、態度はわずかに軟化する。よって、ツン度が下がって22。そして電話やメールの対応だ。直接顔を見ないで済む為、ツンツンしやすくなる。よってツン度はさらにさがって17」
「……だいたいわかりました。ですが、この3つではツン度は計74です。のこりの9はどこから持ってくるのですか?」
「あとは相手の事を自分の部屋で思い出して、勝手にイライラしているやつだ。自分の好意にも気付かずにな。そのツン度が9。よって、計83」
「なるほど。では、デレの17の内訳はどうなるのでしょう?」
「そりゃアレだ。デレてくれたら
「くっだらねぇ」
「俺もそう思う」
「――――という訳で、皆さんの質問にお答えするラジオ番組『MO☆SO☆SHO☆JO』をお送りしましたが、楽しかったですか?」
「今回はグダグダになりましたが、次回はちゃんと言えるように頑張ります」
「まぁ、だから一刀さんは助教授止まりなのですけれどね」
「うるせぇよ」
~~~ED Theme~~~
「それでは、そろそろお時間のようです。司会は私、稟ちゃんと」
「一刀くんでお送りいたしました。それでは最後に」
「「すべて妄想です。友達に自慢気に話すと恥をかくので、お気をつけください」
「それではまた来週。稟ちゃんがなんでも質問に答えちゃうぞ☆」
「まだそのキャラやってn――――」
――――番組終了。
「お疲れ様でしたー」
「ありがとうございます」
「いえいえー」
音響を担当していた少女が、稟に飲み物を渡す。
「はい、おにーさんもどぞー」
「あぁ、ありがと。ところで苦情とか来てないか?」
稟同様にドリンクを受け取りながら、一刀は問う。
「苦情ですかー?」
「いろいろと18禁な発言があっただろ?てか、途中からめんどくさくなってずっとピー音押してただろ」
「にゅふ、なんのことでしょー」
グダグダのまま終わる。
あとがき
はい。ごめんなさい。
引き続き、質問を募集します。
次はちゃんとやります。
ごめんなさい、happy envrem様
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