「空が飛べたらな良いな、マジで・・・」
月読島のとある丘のベンチに座って空を見上げる里村 紅葉。
紅葉の手には先程、買った飲料水がある。
「綺麗な空・・・」
そして町並みに視線を向けた。
「それにしても、こうしてると最終戦争なんて嘘みたい」
飲料水を飲みながら呟く紅葉。
(暇だな~)
「れーじ、今何してるっかな~」
携帯電話に手をかけようとしたが、その動きが止まる。
「れーじの側にはうるさいのがいたな・・・」
紅葉は憂鬱そうな表情になる。
「買い物でも行こうかな~」
紅葉は笑顔になるが・・・。
(れーじと行きたいな~)
紅葉はつまんなそうな表情になる。
「なぎさと食べ歩きでも行こうかな~」
紅葉は再び笑顔になるが・・・。
「そういえば~なぎさの奴、ダイエット中だったけ」
紅葉はがっかりした。
そして再度、空を見上げた。
「・・・昔は姉妹でよく出掛けてたな~」
紅葉は遠くの空を見つめていた。
「今、この時を一緒に生きていたかったよ・・・春花」
(でも、春花はもういない・・・)
寂しそうな表情から覚悟の表情に変わる紅葉。
「私、勝つよ・・・春花」
「春花の分まで幸せになるために私は勝ち続ける」
ベンチから立ち上がり、誓うように言う紅葉。
そして飲料水を一気に飲み干し、町へと視線を移す。
「たとえ、誰が敵でも私は絶対に負けないから」
「見ていてね、春花・・・」
そして紅葉は町へと歩き出した。
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紅葉は1人、空を見上げていた。