Scene6:月葉根神社境内 PM11:00
住む者もなく半ばうち捨てられた月葉根神社は、近隣では有名な心霊スポットである。
石畳はおろか老朽化の進んだ本殿の建物まで苔に侵食され、錆びた鈴から垂れ下がる紐はすっかり色あせている。
鬱蒼と茂る雑木林に日の光を遮られ、昼でも凄惨な印象を与える境内は、か細い月明かりの下ではよほどの物好きでも肝試しにすら使いたがらないほどの不気味さだった。
その境内の片隅を蠢く幾つかの黒い影。
――は、まあ幽霊でも何でもなくダルク=マグナの戦闘員達なわけだが。何かのセンサーらしき機械を操作する二名を守るように、無骨な棍棒を手にした四名が周囲を警戒する。
と、音もなく、まるで境内の闇が凝固したかのようにゆらりと現れる人影。
だらりと下げられた左手に、無造作に掴まれているのは一振りの刀。
血のようにどす黒い赤に塗られた鞘を彩る金模様が月明かりをぬらぬらと照り返す様は、あたかも刀身にまとわりつく一匹の蛇のよう。
ゆらり、ゆらり、どこか生気を感じさせない動きで近寄る人影に、死角を突かれた戦闘員達はまだ気づかない。
ゆらり、ゆらり、ぴたり。
人影がまるで凍り付いたように動きを止めた刹那。
戦闘員が操作していた機械がけたたましい警告音を発する。
ガードの戦闘員達がその大音量に一瞬硬直、そのうちの一人が、思わず機械の方に意識を向け。
赤光一閃。
苦鳴もなくくずおれた。
どさり、と思いの外大きな音を立てたその体に、残る五人が襲撃を察して身構えた時には既に遅く。
一陣の風が走り抜けた後に残るのは、破壊された機械と、切り伏せられた六人の姿のみ。
襲撃者の姿は再び闇の中へと溶けていく――
<Aパート終了ここでCM>
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A-5続き。Aパートラスト