ある日の朝。
いつものように訪れた平日の朝…なんだが、オレにとってみればこの日はある意味特別な日だった。
そう…先日オレの身体をロボットにされて以来、初めて学校に通う日だ。
つってもまあ、人間だった頃とおんなじように起きて、支度してでかけりゃいいってだけのことだが。
ま、唯一違うところっていったら…朝メシが食えねーってとこか…。
「さくらー、学校いくぞー?」
そんなわけでオレは幼馴染の『
男の子が幼馴染の女の子に起こされる、っていうのはマンガなんかじゃよくあるパターンだが、オレらの場合は逆。
オレのほうが早起きなもんで、こーして起こしにきてるってワケだ。さくらはおっとりさんだからな。
「ふわわー、勇ちゃんおはよぉ…」
「まったく…寝グセだらけじゃねーか。ちょっと待ってろ」
そう言うとオレはカバンの中からブラシを取り出す。さくらはいつもこうだ。
寝グセがあんまりにもヒドいんで、オレがこうして直してやってるってワケだ。
まったく……ちゃんとしてれば普通にカワイイんだけどなー。
「これでよし…っと。ほら、行くぞ」
「あーん、待ってよー」
オレロボ!~オレがロボットになっちゃったら!?~
第2話『学校に行こう!』
…で、オレらはいつものように通学電車に乗っていつもの駅で降りる。
そしていつものように…会話しながら学校までの通りを歩く。
「あーほらほら、見てよあれ!先週オープンしたっていう喫茶店」
「え?あ、あぁ…」
「今日の帰りに寄ってかない?」
さくらは食い物に目がない。特にスイーツともなると食いつきがすごい。
新しい喫茶店が出来たとあって、彼女は凄まじくはしゃいでいた。
そんな彼女と一緒におやつも悪くないな、と思っていたオレはよく一緒に店に入ってはお茶してたっけ。
「ああ、そうだな…」
と、本当は言いたかった。いや、ついこの間までのオレだったら迷いなくそう言ってただろう…でも…。
「…ごめん」
「え?」
「もう、一緒におやつ食うことできねーんだ…」
さくらはその答えを聞いて目を丸くしていたかと思うと。すぐに切り返した。
「え?ど、どういうことなの?」
「どういうことってお前…今朝オレと会ったときに何か気づかなかったのか?」
「はひ?」
さくらはオレの言葉を聞いて、首を傾げて考え込んでいる。
それでも答えが出ないのか、今度は頭に手を当てたりしている。さくらの額には汗が流れていた。
で、出てきた答えがだ。
「うーーーーん…あっ、もしかしてダイエット中?」
……おいちょっと待て。それ以前にもっと違うところがあるだろって。
呆れ果てたオレは、どういうことか説明してやることにした。
「…オレさ…ロボットなんだ」
「え?」
「ていうか、朝起きたらロボットにされてた」
「やだなー勇ちゃん、マンガの読みすぎだよ。こんなコスプレなんかしちゃって」
さくらはそう言いながらオレの耳を指先で叩いてきた。
「うわ!ちょ、響く!頭の中に響くから叩くなっ!!」
「…え、も、もしかしてホントに…?」
さくらは未だにオレがロボットになったことが信じられなかったようだ。
ていうか、コイツ相手に説明してたらどんだけ時間かかるんだ…。こんな調子じゃ遅刻しちまうぜ、まったく。
「とにかく詳しい話は放課後にするよ。今はとにかく学校に…」
と、オレが足を進めようとしたその時だった。
「ぶげっ!?」
急にオレの後頭部に何かがぶつかり、強烈な痛みを感じた。
衝突の衝撃でオレはバランスを崩し、思い切り転倒。その間、オレは痛みでまぶたを閉じていた。
「いてて……」
と、目を開けてみるとそこにはサッカーボールが転がってた。
仰向けに倒れていたオレの胴体が起き上がり、こっちへ向かってくる。
「あ、あぶねぇ…誰だよこんなトコで朝っぱらからサッカーしてるの…」
と、オレは自分の頭を拾い上げて言った。
「ゆ、勇ちゃん!?」
さくらが血相変えてこっちへ向かってきた。どうやら説明する手間が省けたようだ。
オレは頭を胴体に取り付けながら言った。
「な、これでわかっただろ?…オレはもう人間じゃねえんだ。ロボットなんだよ」
「勇ちゃん…」
ああ、なんてこった。トラウマ植え付けちまったかな…?
と思っていたら、さくらは予想外の行動に出た。
「ロボット勇ちゃん…すごくかっこいい!」
「へ?」
「ねー、今のもう一回やって!ね、ね!!」
「だー!後にしろ後に!遅刻しちまうぞ!!」
……と、オレはさくらに怒鳴りつける一方でこう思った。
『コイツがアホの子で本当に助かった』…と。
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オレロボ!第2話です。
今回は幼馴染のさくらちゃんが登場。
そして勇斗くん、ロボットとしては初となる登校。
さあ、どーなる!?
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