薄暗い空へ飛び立った。
東の空はたくさんの雲で覆われていた。
遠くへ行きたい。
遠く、遠くもっと向こうへ。
僕は都会上空の排気ガスのにおいがこびりついた空を抜け出した。
雲の向こうへ。
東の厚い雲。
たくさんの雲の峰。
この峰を越えたら、どんな世界が広がっているのだろう。
まぶしい朝日。
輝く朝日。
目が痛くなるほどの輝く朝日。
綺麗だった。
綺麗だった。
だけど僕はここにいてはいけない気がした。
神聖な朝の綺麗な景色。
きっとそこに僕の黒い羽は邪魔だと思ったんだ。
多分、
朝も僕に邪魔だと言ってるよ。
夕方になった。
西に赤い赤い太陽。
どうしてだろう。
こんなに世界が綺麗なのは。
どうしてだろう。
こんなに涙が出てくるのは。
夕日は僕の黒い羽もオレンジ色に染めていた。
それはまるで、
僕が世界の一部になれたような。
まぁ、錯覚だけどね。
あの夕日に向かって飛んでみよう。
そうしたら、この黒い翼も
燃え尽きるだろうか。
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青い、蒼い空。
遠くへ、遠くへ。
求めたのは、翼か空か。