No.422892

記憶のライダー06 混乱のD/虚像と幻想の反転

秋良さん

とある回二話目&ある平成ライダー回です。

2012-05-14 21:10:15 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1032   閲覧ユーザー数:1007

[K月Α日:曇天]

[翔太郎さん達の消息が判らなくなってから今日で三日が過ぎた]

[どうやら、ドーパントの能力で謎の空間に落とされたようだという事は、]

[着いて行かせていたホークフォンの映像からわかったけど、]

[何処にいるか、どうやって助けるのかは未だにつかめていない]

[こうなったら、今話題の『空を走る電車』とやらに願掛けでも何でもしたいくらいです]

[フィリップさんも目を覚まさないし、彼らは今、何処で何をしていのか……]

[最近街には真っ白な悪魔が現れるという噂まであるし、]

[これ以上トラブルが起きたらパンクしていまいそう]

[さて、今日もフィリップさんの本棚の記憶にアクセスして、ドーパントの事を調べます]

 

~とあるSide~

 

「……聡里さん、相当ヘコんでるわね……」

ドアに隠れて様子を見ている美琴はそう呟く。

実際、この三日間聡里は睡眠食事その他休憩をしていないので、相当やつれていた。

 

「さとり、ご飯も食べてないんだよ……? とうま、なんとかならない?」

「無理言うなよインデックス。ああなったら何を言っても無駄だと思う」

食事も摂らず検索と探索に没頭する聡里を流石に心配しているインデックスと当麻。

 

「……ねぇ、ちょっと」

「ん?なんだビリビリ」

「ビリビリ言うな! ねぇ、私達で例のドーパントを探し出さない?」

唐突な美琴の提案に、当麻は驚いて固まっているがインデックスは一も二も無く乗っていた。

 

「たんぱつ、いや、みことの言うとおりなんだよ!さとりにはご飯をもらった恩があるんだよ!!」

どこまでもご飯がメインなインデックスさんでした。

 

「(それに、みこととのケンカを止めてくれたいい人なんだよ)」

……内心は別として。

 

「……しゃーねーな。でも、危険な事は絶対にしないからな」

 

そう当麻が締め、三人は事務所を出て行った。

 

-風都某所-

 

「おっかしーわねー。私のレーダーに引っかからないなんて」

美琴は磁力や電磁波を利用し擬似的なレーダーのようにし、ドーパントを探していた。

 

「アイツが居る所は空間でも歪んでんのかって思うくらい

 レーダーがかき乱されるから判るのに」

「みこと!早く見つけてさとりを休ませてあげるためにも頑張るんだよ!」

「わかってるっちゅーのに!」

美琴とインデックスがモメているすぐそばで、その『乱れ』が発生した。

 

「ミツケタ」

「「「っ!?」」」

「コイ!」

その声と共に二人の横の空間に穴が開き、二人はその穴に引きずり込まれた。

 

「「きゃあああああああ!!」」

「御坂!インデックス!! くっそぉぉぉぉぉぉ!!」

当麻のその叫びは、空しく風都の風に乗り流されていった……

 

~とあるSide End~

 

僕が検索していると、当麻くんからホークフォンに着信があった。

「聡里さん! 美琴とインデックスが!!」

「……え!? 二人がさらわれた!?

 クソッ、依頼人は守るって言ったのに、僕の落ち度だ……!!

 当麻くん、すぐ行くから手がかりをなくさない様にしっかり現場を見張っておいて!」

僕はそう言い、

ダブルが置いていったダブルボイルダーに跨り当麻くんに言われた場所へ飛ばしていた。

 

そして現場に到着すると、当麻くんが相当へこんでいた。

「くっそ、俺が居たのにあいつらをさらわれるなんて……!」

「落ち着いて当麻くん!君が今焦っても、二人は戻ってこないんだぞ!」

「でも、聡里さん!」

「……落ち着けよ当麻!!」

僕は思わず声を荒らげ叫んだ。当麻くんが驚いているけど知ったことではない。

 

「僕だって二人をとっとと見つけたいんだよ!

 でも焦っても被害者達は助けられないからこうして無理にでも落ち着いているんだ!

 それを何だ!僕がいえたことじゃないが仮にも二人を保護する立場の君がうろたえてどうする!

 いいか、落ち着け!」

僕に一喝され、当麻くんはようやく落ち着いたようだった。

 

「……そうですね、すいません聡里さん」

「判ればいいさ。それに、これで唯一で最大の手がかりができた。これだよ」

そういい僕はマンタレイライブラリの画面を見せる。

そこには、地図上に青と赤の光点が浮かんでいた。

 

「じつはきみたちのポケットに

 こっそりスパイダーショックの発信機を入れさせてもらってたんだ。

 これで居場所が判ると思う」

「マジですか!だったら、とっとと助けにいきましょう!」

「うん、勿論!……でも、君は待っていて……と言っても聞かないんだろうね、君は」

と彼に言うと、当麻くんは苦笑しつつうなずいた。

 

「やっぱりしっかり見ていなかった俺のせいでもありますから。

 それに、アイツの攻撃は俺でも消せるみたいですし」

「やれやれ、しょうがない、か。んじゃ、後ろ、乗りなよ」

僕は当麻くんを後ろに乗せ、その電波の発信地点へハードボイルダーを走らせた。

 

~美琴Side~

「う、ん……?」

私が目を覚ました場所は、どこか暗い倉庫だった。

 

「ここは……そうだ、確か私達……ッ!?」

さらわれたという事を思い出し慌てて周りを見回すと、

周りには自分とインデックス以外に何人も捕まっていた。

その中には、美琴のクローンであるシスターズやラストオーダーたちが捕まっていた。

そして、こっちを見ている一人の男。

 

「ふふふ、やっぱり黒子ちゃんは良いなぁ。シスターズちゃんもかわいい~。

 でも、ラストオーダータンhshs!かわいい~!」

と、いかにも(キモさしかないオタクと言う意味で)キモオタっぽい男が写真を撮りまくってる。

 

ソイツは美琴が目を覚ましたことに気づくとニタリを笑い、

「美琴ちゃん起きちゃったかー、これじゃいろいろイタズラできないかなー?」

といってきた。相当粘着質な声で。

 

「何よアンタ!私をさらったドーパントはアンタ!? とっとと開放しなさい!」

と怒鳴った。電撃を放とうかとも考えたが、放電できなかった。

 

「無駄だよ美琴チャン。君達の能力はその首輪で封じてあるからねwww」

と言われ、慌てて首元を確認すると確かに首輪がついていて、

悪趣味なことにひらがなで『みこと』と書かれた名札までついていた。

あわてて外そうとするけど、カギがかかっていて外すこともできなかった。

 

「何よこれ!? 外しなさいって言ってんでしょうが!」

「そうやって凄んでる顔もかわいいwww萌え~www」

と、完璧に間違ったオタク感の塊のような男は手をワキワキさせながら美琴ににじりよってきた。

 

「や、やだ……来ないでよ……」

「ヒヒヒ……さぁて、美琴ちゃんいっただっきまーす♪」

「助けて……助けて、当麻ぁ!!」

私が叫んだ瞬間、轟音と一緒に壁が吹きとんで、目の前から男が消えた。

……いや、殴り飛ばされた。殴り飛ばしたのは……

 

「悪い、御坂。遅くなった」

 

~美琴Side End~

 

当麻くんが殴りこむ数十分前。

僕と当麻くんが探り当てたのは、風都の旧工業地帯。その一角にある倉庫から反応があった。

そして、中を覗いた僕と当麻くんは驚いた。中にはとあるシリーズのヒロインたちが居たからだ。

「白井黒子にミサカシリーズ、ラストオーダー、ワーストまで!?

 どんだけ節操ないんだあの犯人……あ、まさか」

「どうしたんですか、聡里さん?」

僕はある可能性に思い至った。

 

「最近風都裏ネットで噂の『真っ白な悪魔』って、まさか、『彼』か?

 ……呼び出さないとマズいかな」

「彼って……?」

「君も一度は会ってるハズだよ……学園都市の第一位」

その台詞に、当麻くんの顔色が悪くなる。そりゃ殺される一歩手前まで行ったからな、この人。

 

「一方通行(アクセラレータ)……」

「そ。彼はどうやら最近、この街で不良たちのグループを潰してラストオーダー、

 あの美琴ちゃんをちっちゃくしたような子を捜してたみたいだよ。

 最近裏掲示板で話題になってるから。『幼女を探す白いロリコン』とかなんとか」

「ロリコンすか……でも、それなら確かに呼んだら相当な戦力になりそうな……」

「んじゃ、呼びますか。どうせ風都に居るだろうから……そうだ、若菜姫のコネを使うか!」

 

実は以前、うちの事務所に若菜姫がストーカーを撃退するよう依頼してきて、

そのコネがあったのだ。

「へ、若菜姫?」

「うん。そろそろ彼女のラジオ放送の時間なんだ。だから、彼女のラジオで放送してもらう。

 ちょっとまってて」

 

僕は若菜さんに電話をし、事情を話した。

彼女はフィリップさん達を助けるといったら一も二も無く協力してくれるといい、

スタッフの人も説得してくれるらしく、僕がお願いした文面で読んでもらう事になった。

「後は野となれ山となれ、かな。頼むよ、アクセラレータ……」

 

~一方通行Side~

 

「チッ、まァだラストオーダーは見つかン無ェか。後どこに居るんだかなァ……あ?」

ラストオーダーが不良をボコって探しているが(当たり前だが)手がかりすら見つからず、

相当イラついているとき、ラジオが聞こえてきた。

 

『園崎若菜のヒーリングプリンセス、本日のお便りはこちら!打ち止めさんのお便りです!』

「打ち止め(ラストオーダー)か……?」

『私は一方通行さんって人を探しています。彼も私を探してくれているはずです。

 一方通行のお兄ちゃん、私は工業地帯のはしっこの倉庫にいます!

 すぐ来て下さい!お姉ちゃんたちも一緒です!だそうです。

 実はこのお便り、私の知り合いの探偵さんからの依頼なんですよ。

 打ち止めちゃん、一方通行さんが見つかるといいですね』

これでラストオーダーという事は確定した。だが、探偵?それに姉だと?

 

「姉はシスターズだろうが……探偵?ンなヤツ知らねェぞ。……だが、行ってみるか……!」

その呟きと共に、アクセラレータの姿はその場から風と共に掻き消えた。

 

~一方通行Side End~

 

「放送から十分……そろそろ、かな」

僕がそう呟いたとたん、目の前に白い人影が舞い降りてきた。

 

「テメェか、俺を呼びやがった『探偵』ってェのは。それに、ヒーローサマじゃねぇか。

 ホントにここにラストオーダーが居るんだろうなァ、あァ!?」

語気も荒く尋ねてくるアクセラレータに、僕は頷き答える。

 

「ああ、さっき確認した。それに、シスターズの一人、

 多分10032号のシスターズとオリジナルも一緒だよ」

「ああ、成程なァ。道理で俺の能力(チカラ)が使えたわけだ。ンじゃ、殺っちまうか?」

素で物騒なことを言ってくるアクセラ君に、僕は苦笑しつつ返す。

 

「半殺し程度にしておいてよ?後始末が大変だからさ。

 それに、僕もちょっと借りがあるし、残しておいてよね?」

さらりと返す僕に、どうやら当麻くんは怯えたようだった。

(ちなみに後から聞くと、

 「あのときの聡里さんは、シャドームーン並に怖かった……」と言ってた。失敬な)

 

「んじゃ、戦力も揃ったし、突入しようか。

 アクセラレータ君はバッテリーをこれ以上消費しないように後ろに居て。

 僕が壁をブチ抜くから当麻くんが犯人を不意打ちしてくれ。王子様役は譲るよ」

「王子様って……まあいいです。やってください!」

当麻くんにそう言われ、僕はベルトを巻き、

ウェポンスロットにメモリを入れ武器、メモリーシャフトのみを取り出した。

そして、メモリーシャフトにメモリーメモリをセットし、マキシマムドライブ。

 

「え゛、生身でマキシマムドライブ!?」

たしかに生身でのマキシマムは危険だけれど、この時の僕はそんなこと頭の片隅にもなかった。

 

「この程度の壁で、僕らを遮れるとでも……天誅!」

叫び僕は壁にシャフトを叩きつけ、壁をブチ抜いた。

そして、粉塵の中を当麻くんが走りぬけ、犯人と思しき人影をブン殴ったのが見えた。

 

「悪い御坂、遅くなった!」

「本当に遅いわよ、バカ!」

美琴ちゃんは当麻くんに助けられて照れているらしい。

ついでに壁をぶち抜いた衝撃で他の人たちも次々目を覚ました。

 

「さてテメェ、覚悟いいか……?」

「ラストオーダーを攫うたァいい度胸してンじゃねェか、あ?」

「アンタに天国を味あわせてあげましょう……」

そういい、当麻くんとアクセラレータ、そして僕らはそれぞれ拳と杖、

メモリーシャフトを構え犯人に詰め寄る。

しかし、犯人の体から砂が零れ落ちた。

そして、その砂が形を作り始め、ある怪人になった。そいつは……

 

「「ネガタロス!!」」

僕と当麻くんがハモる。そう、その怪人はネガタロス。

電王の世界で「悪の秘密結社(仮)」を作ろうとした悪のイマジンだ。

 

「正体を知っているやつが居たか。だがコイツとの契約は完了した。

 俺は過去に行かせてもらうぞ。

 ついでの契約料として、コイツは貰って行こう。じゃあな」

ネガタロスはその台詞と共に、

ディメンションメモリを持ったまま男の体を割り開き過去へと飛んでしまった。

 

「しまった! くっそ、アイツが黒幕だったのか……!メモリも持っていかれた!」

僕は歯噛みして悔しがり、

当麻くんとアクセラレータは安堵していた(アクセラ君は表情には出さなかったけれど)。

 

「しかし、過去なんてどうやって追いかければいいんだ……

 僕にはデンライナーは使えないし……!?」

僕がそういった瞬間、突然飛んできた赤い光の弾が当麻くんに直撃し、

当麻くんの髪型が……あんまり変わらなかったけれど赤いメッシュが入り、瞳が赤くなった。

 

「ちょ、ちょっとアンタ?どうしたのよ」

「とうまのようすがなんかヘンなんだよ……?」

電撃目録コンビが心配する中、当麻くん(?)はいきなりポーズを取った。

 

「俺、参上!!」

 

「「「ええええええええっ!?」」」

 

イマジンブレイカー、イマジンに憑依される。

なんとも皮肉な事態が発生した瞬間であった。


 
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