No.421477

ISアスラン戦記9

タナトスさん

借金の赤い騎士はこの学校生活をどう過ごすのだろうか?

2012-05-11 20:53:12 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:7427   閲覧ユーザー数:6907

 

 

 

 

何ともインパクトの強い登場の仕方をした季節外れの転校生を加えた1組と2組の合同でのIS訓練が行われる。

 

俺と一夏とデュノアは何とか女子の波を掻き分け更衣室に到着した。

 

しかし、最近上級生も絡んでの人の波に俺は内心辟易していた。

女子には彼氏がいないのだろうか?

 

そんな邪推までしてしまう。

 

流石に初日からコレではデュノアもさぞ面食らうだろう。

 

案の定、走りつかれて膝に手を付いて荒い息をしている。

 

「何とか振り切ったな」

 

「ああ。しかし、毎度毎度する事が無いのか?」

 

一夏の言葉に俺は愚痴る。

 

デュノアも息を整えながら俺達に詫びた。

 

「ゴメンね……迷惑かけちゃって」

 

その言葉に一夏は気にするなと言う。

 

俺も実際は気にしてない。

 

「兎に角、着替えるぞ。織斑先生の授業に遅れるなど自殺行為だ」

 

「ウオ!? もうこんな時間!?」

 

俺の言葉に一夏は慌てて着替える。

 

その様子を見てデュノアが俺達に背を向ける。

 

「それにしても……アスランって思いの他ガタイがいいよな」

 

「まあ、鍛えてるからな」

 

「それにしてもガタイ良すぎだろ? シャルル?」

 

その問い掛けデュノアは両手で顔を押さえながら真っ赤になる。

 

「ううううううん、そうだね。あはははは……」

 

 

 

何とも1組に雰囲気がギスギスしているのは気のせいだろう。

 

俺はそんな事考えながら織斑先生の講義を聞く。

 

「本日から実習を開始する」

 

『ハイ!!』

 

俺達は織斑先生の言葉に返事を返した。

 

「先ずは戦闘を実演してもらおう」

 

まあ、俺が出る事も無いだろう。

 

ジャスティスを人目に曝す行為は織斑先生ならしない。

 

「鳳、オルコット」

 

「ハイ」

「ハイ」

 

「専用機持ちなら直ぐに始められるだろ? 前に出ろ!!」

 

「めんどいな~何で私が……」

 

鳳は嫌々前に出る。

 

「は~……何かこういうのは見世物の様で気が進みませんわね……」

 

セシリアも不満タラタラだ。

 

そんな2人に織斑先生が歩み寄り、小声で呟く様に言った。

 

「お前等少しはやる気を出せ。あいつ等にいい所を見せられるぞ?」

 

その言葉に俺は誰にいい所を見せるんだろ?

 

と、疑問に思った。

 

「やはり、ここはイギリス代表候補生、セシリア・オルコットの出番ですわね!」

 

うお!? 何か知らんがやる気になったなセシリア。

 

「実力の違いを見せるいい機会よね。専用機持ちの」

 

鳳も何かやる気出してるし!!

 

俺の後ろで一夏とデュノアが話す。

 

「先生、一体何話したんだろうね?」

 

「俺が知るかよ……」

 

会話は読唇術から解ったがあの二人にとってカンフル剤になるかが疑問の言葉だ。

 

「それでお相手は? 鈴さんとの勝負でも構いませんが?」

 

セシリアは優雅にそう言うと鈴も望む所と鼻で笑う。

 

「フフン。コッチの台詞。返り討ちよ」

 

そのやり取りに織斑先生が割ってはいる。

 

「慌てるな馬鹿共、対戦相手は……」

 

織斑先生が対戦相手を言おうとした瞬間、上空で何か落下する風切り音が響く。

 

何だ?

 

俺が空を見上げると山田先生が上空から降ってきた。

 

しかし、凄い落ち方だ。

 

錐揉み回転しながら落ちている。

 

まるで撃破されたみたいだ。

 

俺はそう思いながら回避する。

 

しかし、回避が遅れた一夏が衝突。

 

不慮の事故で一夏が山田先生の胸を鷲掴みにして鳳がキレて双天牙月を連結して一夏に投擲した。

 

しかし、まあ、山田先生なら大丈夫だろう。

 

二発の銃声が当たりに轟き、双天牙月が地面に突き刺さる。

 

ラファールの兵装、51口径アサルトライフル、レッドバレットを構えた山田先生がプローン射撃で撃ち落したのだ。

 

しかし、いい腕だ。

 

その腕前を理解したのかセシリアは驚いていた。

 

まあ、見かけでは頼りないだろうが山田先生も元代表候補、コレくらい造作ないだろう。

 

どうやらセシリアはそれに気が付いてる。

 

油断と慢心は敗北を自信と覚悟は勝利をと常に教えている。

 

冷静になって物事の本質を見ろとも教えている。

 

(いい目だ。油断は捨てたな。後は何処までやれるかだ)

 

俺はセシリアを見ながら考える。

 

(セシリアがキラほど動けたら……)

 

動けたらどういうのだ!!

 

全く、下らん事を我ながら考えるな。

 

そうしている内に模擬戦は開始された。

 

まあ、結果は、最初に鳳が落とされ、セシリアも粘ったがやはり経験の差か上手くあしらわれ撃破された。

 

 

 

 

俺とセシリアは放課後、俺の部屋で紅茶を飲みながら今回の戦いの反省会を行っていた。

 

「セシリアは撃ち過ぎだな。短期決戦ならそれもいいだろうが、長期決戦だと辛くなるぞ」

 

俺の言葉にセシリアはその顎にてをやりながら唸る。

 

「ですが、今回は撃たざるを得ませんでしたわ。相手は山田先生ですし……」

 

そう、セシリアは自分より上の相手との対戦が少ない。

 

「チョット早いが俺と模擬戦でもするか? 一応、俺も砲撃戦、射撃戦、至近距離戦と全てのレンジに対応出来るし」

 

「本当ですか?」

 

セシリアは嬉しそうに俺に問いかけた。

 

「ああ、実戦訓練からも学ぶ事があるだろう?」

 

「はい! 学ばせていただきますわ!」

 

そう言いながら俺とセシリアは歩き出す。

 

 

 

翌日の放課後、俺は一夏、セシリア、箒、鈴、シャルの5人と一緒に訓練していた。

 

因みに箒と鈴とシャルにはファーストネームを呼ぶ事を許してくれた。

 

「そうだな、ここで5人の実力を知りたいし5対1で戦ってみるか」

 

俺の言葉にセシリア、一夏、箒は納得してそれぞれ得物を構えるが鳳とデュノアは躊躇う。

 

「え!? 5対1!? アスラン、それ冗談だよね?」

 

「アンタ!! あたし達を舐め過ぎじゃない!?」

 

その言葉に一夏が緊張した顔で言う。

 

「悪いが、アスラン相手に常識は通用しないぞ。気合入れろ」

 

セシリアも額に薄っすら汗を流しながらライフルを構えた。

 

「そうですわ……覚悟して挑みなさいな」

 

箒も日本刀型兵装を構えながらアスランを睨む。

 

「ここではそんな慢心を捨てろ!」

 

その3人の様子に2人はコレはただ事ではないと自分達の得物を構える。

 

「では始めるぞ!!」

 

俺の掛け声と共に訓練は開始される。

 

ほう、セシリアは後方に下がって一夏と箒の援護とシャルと鈴のつなぎをやっている。

 

教えた通りだ。

 

俺はセシリアの射撃を回避しながら一夏と箒のツートップを牽制射撃する。

 

「ああ、クソ!! 射撃が上手すぎる!!」

 

「このままではシールドエネルギーが減らされる」

 

一夏と箒は愚痴りながらも何とか回避する。

 

「一夏さん、箒さん!! 一旦下がってくださいまし!! 二人が突出したら援護射撃が出来ませんわ!! シャルルさんと鈴さんは一夏さんと箒さん達の援護を!! ここは一旦立て直して陣形を組み直しますわ」

 

セシリアめ、中々指揮官が様になってきているな。

 

「セシリア、何か手段があるの!?」

 

「一夏さんはトップで! 箒さんは一夏さんの後方5メートル感覚で4時方向に! 鈴さんは箒さんの7時方向に! シャルルさんは鈴さんから5メートル後方7時の方角に! 私はシャルルさんの後方7時の方角につけますわ」

 

その陣形の通りに並ぶ5人、まるでその姿は龍が鎌首擡げるような姿だった。

 

成る程、俺が教えた陣形で龍陣、ドランゴンフォーメーション。

先頭の一夏に求められるのは打撃力と機動性と打たれ強い体力が要求される陣形だ。

 

悪くない。

守っていてもジリ貧、バラバラに戦っていても各個撃破なら、俄かでも陣形を作り動き易くしたか。

 

後方のセシリアとシャルルが援護射撃を行い一夏と箒と鈴を助け、中距離戦の繋ぎとして鈴を配置、そして、追撃に箒、追い討ちに一夏か。

 

だが、その陣形は欠点があるぞ、セシリア。

 

ソレは一夏の白式の打たれ弱さだ。この場合の陣形は一夏をトップにすえて後方両翼に、箒と鈴、その中央にシャルル、シャルル後方10メートルにセシリアを配置した超攻撃型オフェンス陣形、蜂矢の陣、ホーネットアローが最適だ。

 

俺は、一夏に集中砲火を開始する。

 

「龍は頭を撃たれたら死ぬ! 一夏のISの打たれ弱さを考えるべきだったな!」

 

確かに一夏の零落白夜は強力だが、発動にはシールドエネルギーを大量に持っていかれる。

更にイグニッションブーストは燃費が悪い。

 

避けられてビーム兵器でも集中砲火を浴びせられればなんて事無い直ぐにエネルギー切れだ。

 

一夏がシールドエネルギーエンプティーになるとアレよアレよと総崩れになった。

 

こうして、俺との訓練は終了した。

 

 

 

 

 

 

 

 
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