No.421039 魔法少女リリカルなのは ~英雄の魂を持つ者~ 第01話『二度目の出会いと獣の力』龍牙さん 2012-05-10 19:40:52 投稿 / 全3ページ 総閲覧数:3281 閲覧ユーザー数:3223 |
(何だったんだろうな、あれは?)
ゴーカイギャレオンの中、ゴーカイレッドのレンジャーキーを手の中で玩び天井を眺めながら、ソウマは浮んできた疑問を口に出す。
戦うべき敵の居ない世界で使う事は無いと思っていたスーパー戦隊の力がこうして早速役に立ってしまった。この世界で居ないと思っていた怪物(てき)が現われた事で。
「今更だけど…何者なんだ?」
初めてにしてはそれなりに戦えたと言えるだろうが、及第点にも届いて無いだろう。ゴーカイサーベルによる斬撃が効かなかったのは不定形の体…スライムの様な物と考えれば説明できるが、それでもシンケンジャーのモヂカラとマジレンジャーの魔法の力が効かなかった事に対して疑問が残る。
(…やっぱり、何かを核にしていてそれを何とかしないと倒せないか…)
そう考えれば自分の攻撃が効かなかった事に対する一番良い説明となるだろう。
それについての情報を持っているのは、昨日の妙な杖を持った女の子と喋るフェレットの組み合わせだろう。
もう一度会う約束はしているが、残念ながら向こうがソウマの事を知りたくなければ来てはくれないだろう。そうなってしまうと彼女達から何か知りたければ此方から探すしかない。
まあ、ソウマにしてみればあの怪物相手に対抗できる人間が居るのなら、それは放置していれば良い問題なのだろうが…。
(…出来る事が有る以上、やらない理由は無いか…)
手の中にレンジャーキーを握り締めながらソウマはそう呟く。自分の手の中には戦えるだけの、大き過ぎる力が有る。それを使うべき時に使わない…そんな選択肢ができる訳が無い。
そう考えながら目を閉じる。初めて変身して力を使った反動なのか眠気を感じる。心を落ち着けながら意識は眠りへと落していく。
ゴーカイガレオンは海鳴市の上空に有るが、その姿は通常の方法では視認出来ない。
その甲板でソウマはゴーカイサーベルを振る。イメージするのは初めて変身した時にレンジャーキーを通じて伝わって来た海賊の汚名を誇りとした豪快な海賊の一人の戦い方、それを元にした素振り。両腕と両足にはゴーカイガレオンの中だけとは言え重りを着けても居る。
技術だけでなく基礎体力を付ける為にも基礎的な訓練は必須だ。
「…ふう…」
一息ついてスポーツドリンクを一口口にするとシンケンジャーとマジレンジャーのレンジャーキーを取り出す。…トレーニングの前にどれだけの力が使えるかと思って試してみたが、大きく分けて二種類に分類できた。
一つは、『問題なく変身できる力』
もう一つは、『一切変身できない力』
前者にはゴーカイレッドと『マジレンジャー』、『シンケンジャー』への変身であり、後者はそれ以外のレンジャーキー全てとなる。
35のスーパー戦隊の中でソウマが変身出来るのは僅かに二つの戦隊、そして、ゴーカイジャーはレッドだけだ。他のゴーカイジャーや残りの32のスーパー戦隊には変身できない。
まあ、ゴーカイジャーへの変身についてはレッドに変身できれば十分だと考えているので大して困っては居ないが、問題が有るとすれば残りのスーパー戦隊に変身できない事だろう。大きく戦力が使えない事になるのだから。
(もしかして…『スーパー戦隊の大いなる力』を受け継がなきゃ変身できないとか…は無いよな?)
そんな疑問は浮んでしまうがそれは即座に却下する。ゴーカイレッドだけにしか変身できない理由にはならず、シンケンジャーもマジレンジャーもスーパー戦隊の大いなる力を受け継いだ記憶は無い。
「…まあ、何とかなるだろう…」
考えた結果、スーパー戦隊の力が使えない事については諦める事にしたソウマだった。シンケンジャーとマジレンジャーの力が使えれば十分ではないが何とかなるだろうし、使うべき時が来れば使えるようになるだろう、と考える。あの時がスーパー戦隊の力を使うべき時だったと考えれば、答えとしては納得できる。
???SIDE
ぼくは今念話でなのはに経緯を説明している。発掘した21個からなる魔力結晶体『ジュエルシールド』。それが輸送船の事故でこの世界にばら撒かれてしまった事、それをすぐに追いかけたけど、発動時のトラブルで怪我を負って倒れちゃった事。
『海賊戦隊、ゴーカイジャー!!!』
その話しをしながら夕べジュエルシードが発動した時に現われて助けてくれた赤い戦士の事を思い出す。彼が足止めしてくれたから、ジュエルシードは簡単になのはが封印できたけど、
『マージレンジャー!』
『燃える炎のエレメント、赤の魔法使い! マジレッド! …なんてな』
別の姿に変わった彼が使って見せたミッドチルダの物とは違う魔法。
『シーンケンジャー!』
『シンケンレッド! なんてね』
また別の姿に変わって使って見せた魔法とも違うまったく異質な力。
脅威とか危険とか思う以上に彼の後ろに立っているだけで安心できる彼の姿は、心強く安心できる何かが大勢見守ってくれているように感じられる姿は、まるでヒーローに見えた。
授業中に挙動不審な行動を取らせた事を含めて、こんな厄介事に巻き込んじゃった事を謝って、意図しない所でまた迷惑をかけちゃった事を思って僕はため息を吐く。
力が無いのが悔しかった。僕にも彼の様な力が有れば、あんな優しい子に…なのはに苦労を掛けないで済むのに。
彼の力を貸してもらえれば、なのはももっと安全にジュエルシードを封印することができるはずだ。
SIDE OUT
流石に年齢的に学校に行ってなければ拙い年齢のソウマはゴーカイガレオンを出る事無く遅めの昼食を食べていた。
「…何か、確実に面倒な事に巻き込まれる様な予感が…。気のせいだな」
昼食のゴミを纏めるとソウマは伸びをして立ち上がり時計を見る。
(あの子との待ち合わせの時間までまだ時間があるな)
時間を確認するとゴーカイサーベルを持って両手に着けている重りの重さを少しだけ上げると再び甲板に出て素振りを始める。
無意味とは思うが変身できない残りの四つも含めてゴーカイジャーのレンジャーキーは五つとも常に所持している。変身できるゴーカイレッドの物以外は単なるお守りでしかない。
なお、素振りを終えた後、約束の時間が数分後に迫っている事を知ったソウマが慌てて出て行ったことを追記しておく。
「って、そろそろあの子との約束の時間か…」
学校の時間を考えて指定したのだが、すっかりトレーニングに夢中になりすぎてしまったせいで約束の時間が迫っていた。
タオルで汗を拭ってゴーカイガレオンを降りるとレンジャーキーの一つが勝手にキーの形となって、ソウマが向かおうとしている場所とは別の場所を差している。
「っ!? まさか…」
『そうだ』と言う様にレンジャーキーがソウマの掌の上に落ち、『仕方ない』とばかりにそちらの方向へと向かって走り出す。
場所は丁度昨日なのはと約束した場所とは正反対の場所だった。
ソウマが向かった先に有ったのは、高い階段の麓だった。鳥居が有る事から見てこの先には神社が有るのだろう。
「ったく。こっちには約束が有るって言うのに、空気を読まねぇ怪物だな」
思わずそう言いたくなるのも仕方ない事だろう。どう考えても完全に約束の時間には遅刻だ。悪い事にソウマは相手の連絡先も何も知らない。それでも、昨日の怪物がまた出てきた以上は放っておく訳には行かない。
急いで階段を駆け上がると、その先には、昨日出会った女の子と彼女(なのは)の肩に乗る一匹のフェレットと、気絶した女性と唸り声を上げている大きな犬の怪物。
「…新手かよ…」
ソウマはそう呟くが、なのは達はソウマの存在には気付いていない様子だ。
「散歩中の犬が拾ってきたのか? でも、なんだって…?」
なのはの肩で首を捻っている小動物(ユーノ)(?)。ユーノはなのはに対してレイジングハートの起動を促しているが、
「どうしたらいいの、これ!?」
「ええ!? 起動パスワードを忘れちゃったって!? じゃあ、もう一度僕に続け…なのは!?」
指示を出す途中でユーノの視線の先に有るものを見た瞬間、なのはが硬直する。彼女が見た先に有ったものは、なのはへと迫る犬の怪物。
「豪快チェンジ!」
『ゴーカイジャー!』
「オラァ!!!」
なのはの横を通り過ぎながら、ゴーカイレッドに変身し飛び蹴りの要領で犬の怪物を蹴り飛ばす。
「よ、また会ったな。まあ、約束には完全に遅刻だけど…これは、結果オーライって事で良いな」
「あ、あなたは!?」
「ああ、ゴーカイレッド! 大海ソウマ!」
なのはに自己紹介をする様に己の名を名乗り、ゴーカイサーベルとゴーカイガンを抜いて犬の怪物と対峙し、
「さあ…派手に行く「ダメだ!」…って、おいおい、これからって時に」
二つの武器を持って相手に向かおうとした時にユーノに呼び止められ、思わずずっこけそうになってしまう。
「あれは飼い犬がジュエルシードって言うロストロギアの影響であんな姿になってしまっているだけで…」
「なんだと!?」
ユーノの指摘に色々と理解できない部分も有るが思わずそう叫んでしまう。ゴーカイジャーの武器では確実に犬を傷付けてしまう。最悪は…『命』を奪ってしまう事になる。
そして、『そんな事はダメだ!』と言わんばかりにレンジャーキーの幾つかが輝きを放っている。
『set up』
そんな会話を交わしていると響く『セットアップ』と言う聞き覚えの無い声。そちらの方を振り向いてみると、何時の間にか魔法の杖(デバイス)・レイジングハートを持って服装が変わっているなのはの姿があった。
「…そっちも変身したんだな」
「う、うん」
その事実を流すように受け止めて改めてゴーカイレッドは犬の怪物を見る。『変身』等自分もしているのだから今更驚くほどの事ではないのだし。
「あ、あの」
「話は後だ。さっさとアレを何とかするぞ」
ゴーカイレッドの登場に遅れてバリアジャケット姿になったなのはがゴーカイレッドと犬の怪物を見比べながら何か話したそうにしているが、犬の怪物を睨み付けながらゴーカイサーベルとゴーカイガンを持ってゴーカイレッドが告げると、なのはもレイジングハートを構える。
噛み砕かんと襲い掛かってくる犬の怪物の牙をゴーカイサーベルで受け止める。そこでゴーカイガンでの追撃を加えたい所だが、相手が何らかの力で姿を変えられた普通の動物である以上それは出来ない。
「ちっ!」
舌打ちしながら顎を蹴り上げて犬の怪物から距離を取る。
「おい、こいつを元に戻す方法…あるのか?」
「え? えっと…」
「は、はい、あります!」
戸惑った様子のなのはに変わってゴーカイレッドの問いに答えたのはユーノだった。
「だったら、オレが注意をひきつける。封印は任せた!」
そう言ってシンケンジャーとマジレンジャーのレンジャーキーを使う事も考えたが、それは直に却下する。どちらも犬の怪物が元に戻った時の影響を考えると迂闊に使う訳には行かない。
「このままでやるしかないか」
爪や牙をゴーカイサーベルで防ぎながらゴーカイレッドは犬の怪物の注意を引き付ける。
(…こいつを元に戻す…。目の前の『命』を…絶対に守る!)
その為に方法が有るのなら命を賭けてでもその方法を実行する。そんな決意と共に反射的に…何かに導かれるようにバックル部分に触れ、新たなレンジャーキーを使う。
必要以上に傷付けず、目の前の相手を止める事に最適な力を持ったスーパー戦隊の一つの力。
「豪快チェンジ!」
『ゲーキレンジャー!』
その姿を変えるのは心技体のトライアングルの体を司る赤き虎の拳士。獣を心に感じ、獣の力を宿すスーパー戦隊、
「体に漲る無限の力、アンブレイカブルボディ、ゲキレッド! なんてな」
『獣拳戦隊ゲキレンジャー』!!!
「はぁ!!!」
犬の怪物に対する目晦ましになる様に打撃を加えるGゲキレッド。己に相手の意識が向いたことを確認すると、紙一重で犬の怪物の爪を、牙をかわしながら、時に攻撃する事で犬の怪物の爪の動きを逸らす。
「無駄だ…犬が虎に勝てるかよ」
挑発する様にそう告げて拳を握りGゲキレッドは、
「少し眠ってろ…悪夢(ユメ)は直に醒める。激技(ゲキワザ)、咆咆弾!!!」
Gゲキレッドから放たれた透明な機械的な印象を与える虎『ゲキタイガー』の体当たりが己よりも大きい犬の怪物を吹き飛ばす。
「今だ!」
「レイジングハート!」
『sealing mode set up』
既に封印の術式は完了していたのか、Gゲキレッドの言葉に答える様に犬の怪物はその姿が想像できない一匹の犬と宝石の様な物に変わる。
Gゲキレッドは倒れている犬を抱き上げ、飼い主らしい女の子の隣に寝かせる。
そして、Gゲキレッドからゴーカイレッドに戻り、更にゴーカイレッドへの変身を解除すると元の身長に戻り、なのはへと向き直る。
「やったな」
「うん!」
「君のお蔭であの犬も助けられた。ありがとう」
ソウマの労いの言葉になのはは無邪気に微笑む。
「そんな、こっちこそ…。あの、ありがとうね、二回も助けてくれて!」
ソウマの言葉になのははそう答える。ソウマにしてみればなのはに礼を言われる事はしていないつもりなのだが…。
だが、こうしてソウマは犬の命を救えた上に三つ目のスーパー戦隊『獣拳戦隊ゲキレンジャー』のレンジャーキーの力を使う事に成功した。それを踏まえれば礼を言うのは自分の方だと言う感覚なのだが…。
「あの、キミは一体何者なのかな?」
何時の間にか足元に駆け寄ったユーノがそう声をかけてくる。
「まあ、質問より先にするべき事が有るだろう」
「え?」
「改めて…オレはゴーカイレッド…大海ソウマだ。君たちは?」
「あ! 初めまして、私は『高町なのは』です!」
「あ、ぼくはユーノ、『ユーノ・スクライア』です。さっきはジュエルシードの封印を手伝ってくれてありがとうございました」
「ああ、間に合ってよかった。それで…オレが何者か、だろ?」
「う、うん」
「キミが使った力は…ぼくの知らない魔法だったり、別の力だったり、さっきも…」
ユーノの言葉に僅かに考え込むと…
「まあ、オレも聞きたい事が有るから、オレの質問にも答えてもらうぞ」
そう言ってソウマはマジレッド、シンケンレッド、ゲキレッドのレンジャーキーをなのは達に見える様に取り出すと、
「魔法は『マジレンジャー』、モヂカラは『シンケンジャー』、さっきのは初めて使った…『ゲキレンジャー』の激気(ゲキ)だ」
ソウマの説明になのはとユーノは頭に?マークを浮かべる。力の事を知らない彼女達にして見場ある意味では当然の反応だが…。
「…こことは別の世界の地球…。その世界を守ってきた偉大な英雄達…34の『スーパー戦隊』の力だ」
そう言ってソウマはなのは達にスーパー戦隊の説明を始める。
「此処とは別の世界の地球は、様々な『悪の勢力』に狙われていた」
神社から離れた場所でなのはとユーノに対してゴーカイレッドのレンジャーキーを見せながらソウマはそう話し始める。
「それは、単なる悪人だけじゃなく、宇宙からも、異次元からも、地の底からも、三途の川からも、地獄の底からも現われたそうだ」
「えっと、それって…物凄く大変なんじゃ…」
ソウマの説明で呆然としながら聞いているなのはとユーノの二人。やっとの事でユーノが口を開くとソウマは『そうだな』と言って話を続ける。
「唯一の救いは一度に全ての勢力が現われたって事じゃ無いって所か? だけど、そんな『絶対悪』に対する『正義』の戦士達も存在していた。それが地球を守ってきた34の『スーパー戦隊』だ」
ゴーカイレッドのレンジャーキーを仕舞い改めてアカレンジャーのレンジャーキーを取り出してみせる。
「オレが使って見せたのはその34の中の3つのスーパー戦隊の力、『侍戦隊シンケンジャー』、『魔法戦隊マジレンジャー』、『獣拳戦隊ゲキレンジャー』の力って事に成るな」
「でも、何でキミがそんな力を持って…」
「オレがスーパー戦隊の力を使える理由は、この『レンジャーキー』にある。文字通りこれは『スーパー戦隊の戦士達の力』を秘めた鍵だ。これを使って変身する事でオレは他の戦士達の力を使うことができるんだ」
そう言ってソウマは二人の目の前でアカレンジャーのレンジャーキーを鍵の形に変形させる。
「一つ一つに全ての命を守る為に命懸けで戦ってきた五色の戦士達が戦ってきた“力”と“意志”と“魂”が込められている。正に…宇宙の至宝だろ? そんな力を受け継いだのが…オレ達と言いたい所だけど今の所一人だけしか居ない…『海賊戦隊』がオレって事になるな」
「…それって…ロストロギアになるんじゃ…」
「ろすとろぎあ? ってなんだよ?」
思わずユーノから出た言葉を聞き返してしまう。その後、ユーノからロストロギアについて説明されたが…。
「…そんな物とレンジャーキーを一緒にするなよ…」
思わずそう言いたくなってしまった。
確かにレンジャーキーの製造方法を知っている者は神のみだろう。そもそも、レジェンド大戦で失われたスーパー戦隊の力が形となった物がレンジャーキーとも考えられるので、最初から製造方法等存在しないのかもしれない。
何より悪用された時の事を考えると物凄く危険だろう。世界は確実に悪用した人間に支配される。世界を守ってきたスーパー戦隊の力が世界を支配する力に変わる。それは悪夢以外の何物でも無い。何よりレンジャーキーに宿った戦士達の高潔な意思を汚す事に繋がる。
だからこそ、ソウマはレンジャーキーを自分以外の人間には渡したくないと思っている。唯一例外があるとすれば、レンジャーキー自身が自らの所有者として認めた人間だけだろう。少なくとも残り四つのゴーカイジャーのレンジャーキーを持つべきソウマ以外の誰かだけ。
「兎も角…オレは事実上スーパー戦隊の力を受け継いだ…後継者になるのかな? オレにその資格が有るのかは分からないけどな」
そう言って鍵の形から元に戻したアカレンジャーのレンジャーキーをポケットの中に仕舞うと、次はそっちの番だと説明を促す。
「あれは…」
そう話しを切り出すユーノから先日の黒い怪物や今回の巨大化した犬についての説明を受ける。普通の子犬が巨大化した事や先日戦った黒い怪物が出現した原因はユーノが落としたジュエルシードが原因らしい。
「ソウマ…お願いだ、僕達に力を貸して! 君の力が有れば…もっと安全にジュエルシードを封印できるはずなんだ!」
今日もソウマが駆けつけてくれなかったら危なかったかもしれない。そう思うと考えるよりも早く行動していた。
「お礼は必ず「別にいいぞ」え?」
『考えるまでも無い』と言う様子で、即答と言って良い速さでユーノからの依頼を承諾する。
「え? あ、あの…僕から頼んでおいてなんだけど…もう少し考えた方が…」
「もう関わっているのに考えるまでも無いだろう。第一…ここで断るのはオレ以上に偉大な先輩達が許しちゃくれないだろう」
今回も助けが間に合ったのはレンジャーキーの中の一つが導いてくれた結果だった。レンジャーキーに宿っている意志がソウマにこの事件と関われと言っているのだろう。
何より、
「まあ、こうしてお互い事件に首を突っ込んだんだ。オレも協力するから、頑張って解決させようぜ」
するべき事が見つかっていないと言う理由も有るが、ソウマ自身なのはに事件の事を全部押し付けて無関係を決め込めるほど冷酷な性格はしていない。文字道理ソウマの手の中にはこの事件に関われるだけの力が有るのだから。
「う、うん」
何処か会話の外に居たなのはは急に話を振られると慌ててそう返事をする。
(そう言えば、ソウマ君は何も話してくれてないよね?)
説明されたのもスーパー戦隊の力の事だけで、ソウマ自身が何者なのか一言は教えてもらっていない。
(見かけない顔なのは、他の小学校とかに通っていたんだとしても)
なのはにそんな疑問が浮んでくる。
(お家は何処なんだろう)
他にも何処でそんな力を手に入れたのかと、考えれば疑問が次々と浮かび上がってくる不思議な相手の手を気が付けば掴んでいた。
「ねぇ、今から私の家に遊びに来ない?」
「へ?」
「そうだね、なのはの家でおやつでも食べながら今後の事を話そうよ。ここじゃなんだしさ」
「お、おーい…」
なのはに手を引かれるまま彼女の家に連行されていくソウマでした。
つづく…
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地球を守った34のスーパー戦隊の魂を受け継いだ豪快な奴等の活躍する世界とは別の世界、35のスーパー戦隊の力は前世の記憶と共に家族を奪われた一人の少年の元に。今、魔法とスーパー戦隊の大いなる力が交差する物語の幕が上がる。