No.418990 超次元ゲイムネプテューヌmk2 Reborn 第九話 意味クリケットさん 2012-05-06 03:18:19 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:1143 閲覧ユーザー数:1084 |
現在魔界
ターミナルビル50階の一室、5つの影がそこにある。
中世の面影があるその一室には、豪華な装飾と一枚の肖像画がある。
装飾は豪華だが部屋は薄暗く、装飾は輝きを放たずにその影を暗闇に落としていた。
マグナス「情報を集めてもらいたい。」
4人の前に立ち尽くしているマグナスは重々しく言った。
あまりに簡潔かつ単純な依頼に4人は思わず顔を見合わせた。
最初に口を開いたのはライだった。
ライ「と言うと?」
マグナス「言葉のとおりだ。」
顔を傾けてライがぶっきら棒に聞くとマグナスは即答した。
ライは無言のまま後頭部をかきむしった。
ライ「聞きたいのは何故、そしてどんな情報を。と言うことなんだけど?」
ライは目を細めて呆れた口調で言った。
マグナスはライを軽く睨みつけた。
――聞いちゃまずかったか
ライは心の中で軽く後悔しかけたがすぐにマグナスの目は視線をそらした。
マグナス「我々は現在白痴だ。だがそれはあちらも同じことだ。情報はうまく活用すれば良い武器になる。あちらの世界のことはどんな小さなことでも良い。情報をかき集めろ。」
口調からして相当マグナスは真剣なようだった。
4人の顔が一気に険しくなり、空気が張り詰める。
窓から差す月光の影響か、はたまたマグナスの身に着けている壮大な黒衣のせいか、4人にはマグナスがいつもよりはるかに大きく、偉大に見えた。
氷室「事情は理解できました。行くのはこの4人ですか?」
感情の無い白い声で氷室が問う。
マグナスは顎に手を当てて一瞬だけ首をひねった。
だがこの男の思考時間は常に一瞬だ。
マグナス「行くのは4人だ。だがあくまでそれは{人}だがな。」
そういい終えるとマグナスは右手で体を隠すようにマントを振るい、直後に振るい落とした。
マグナスの体の前には8匹のコウモリが出現していた。
先ほどまでこの空間にはこの5人以外の気配など感じられなかった。
だがマグナスのそれは、確かに不気味な鳴き声を鳴らしながらあたりを飛び回っている
レオン「…信用してねえってか。」
マグナスから顔を背けたまま皮肉の混じった口調でレオンが呟く。
それもわざとマグナスに聞こえるように。
マグナス「あくまで保険のためだ。」
エスター「そのコウモリと俺たち、どっちが保険なんですかい?」
腕を組んで首を少し傾けているエスターがぶっきら棒に言い放つ。
返事は返ってこなかった。
しばしの静寂の後、氷室の口が動いた。
氷室「行動開始は明日の日没後、4人がそれぞれ4つの国に分かれ情報収集、それでいいですか?」
マグナス「問題は無い。しくじるなよ。」
ほとんど感情のこもっていない声でマグナスが答え、その場から立ち去った。
もうすぐ夜明けが来る。闇の支配者の終わりの時が。
それを我が身を持って知るマグナスの足取りはどこか早々としていた。
マグナスが完全に見えなくなったのを見計らって4人が口を開いた。
レオン「チッ、気にくわねえ野郎だ。」
エスター「そのことに関しては俺も同意見でさァ。あー、まったく後ろからあいつの心臓めがけて杭でも投げつけてェ…。」
レオンとエスターが眉間にシワを寄せて愚痴をこぼす。
どうやら彼らはマグナスの事を良く思っていないらしい。
氷室「マグナスにはマグナスなりの考えがあっての事だろう。」
ライ「まあ、そうカッカすんなって。悪気はねーだろうからさ。」
氷室とライが口を挟み、二人をなだめた。
二人はムッと顔をしかめたがそれに止まり、事は穏便に済んだ。
その後ライが軽くあくびをするのと同時に、4人は自室へ戻り始めた。
陽光はダンピールにとってもあまり好ましいものではない。
廊下を歩く無機質な4人の足音だけが中世じみた部屋の中で静かに響いていた。
◆◆◆
現在プラネテューヌ教会
教会内部のとある一室、ネプテューヌとネプギアの共同部屋に二人はいた。
だがそれは誰が見ても明らかに普通の状況ではなかった。
照明がすべて消され、カーテンがその日光をさえぎっている。
そのために昼の真っ盛りにも関わらず、部屋は薄暗い。
ネプテューヌは部屋の隅で体育座りをしている。
顔を腕の中に沈めて微動だにしない。
その袖はすでに涙でずぶ濡れになっていた。
対してネプギアはベッドで仰向けになっている。
これだけを考えれば至って普通だが、問題はネプギアが顔を埋めている枕にあった。
ネプテューヌの袖と同じく枕はずぶ濡れになっていてベッドにまでその涙が染み込んでいた。
部屋からはすすり泣く声以外は何も聞こえない。
二人はこの状態をラステイションから帰ってきてからずっと続けている。
もういつしか夜が明け、朝日が昇っても二人は微動だにしない。
帰ってきてから食事はおろか、一滴の水さえも飲んではいない。
もはや二人の気力は限界だった。
ラステイションでの出来事は二人の心に大きな傷をつけた。
二人とて簡単に許してもらえるとは思ってはいなかった。
だが待っていたのは明らかな拒絶、謝罪は聞いて貰えなかった。
それどころか一層に溝を深めたようにすら思えた。
二人は完全に道を見失った。
何をすればよいかも分からない。
何が正しくて何が過ちなのかさえも分からなくなっていた。
何もせず、ただ泣くことしか出来なくなっていた。
――絶望
二人の心は完全にその言葉に支配されていた。
何の予告もなしに部屋にノックの音が鳴り響いた。
イストワール「お二人とも、入りますよ。」
重い空気が漂う部屋にイストワールの声が響いた。
だが二人は相変わらず微動だにせず、声も出さない。
ドアを開けて様子をうかがっていたイストワールが静かに部屋に入った。
イストワール「お二人とも……何を考えているのですか?」
イストワールが静かに問いかける。
ネプテューヌは少しイストワールのほうに顔を向けたがすぐに背を向けてしまった。
だがその後、ネプテューヌは口を開いた。
ネプテューヌ「ねえ、いーすん。私達って……何だろう?」
ネプテューヌが呟くように問いかける。
それに続いてネプギアも口を開く。
ネプギア「ただ謝りたかったのに……。逆にユニちゃんを……グスッ。」
ネプテューヌ「わからないよ…いーすん。私達……どうしたらいいの? 何のために……いやだ…またあんなふうに……うううっ。」
もうすでに二人の心には光が無い。
再起不能と思われるほどに心が砕かれている。
頬を伝う涙は止まらず、声もとてつもなく震えている。
下手な事を言えば目の前の二人が壊れることは誰でも容易に想像がついた。
だがイストワールはあえて話した。
イストワール「私には、何が正しくて間違いなのかはわかりません。でもそれはなんら関係ないのではありませんか?」
ネプテューヌ・ネプギア「?」
二人にハッキリと聞こえるようにイストワールが語りかけた。
この言葉に二人はイストワールのほうを向いた。
イストワールはそのまま続けた。
イストワール「お二人のことを他の女神は許さないかもしれません。ですが、お二人が他の女神を思う気持ちに変わりはないはずです。今は届かなくても、いつか必ず、届くときが来るはずです。」
ネプテューヌ・ネプギア「!!」
イストワール「言葉を飾る必要はありません。ありのままのお二人でいいんです。答えよりも本当の気持ちに従ってください。大丈夫、お二人の素直な本当の気持ちは必ずに心に響きます。一番大切なものは、もうお二人とも知っているはずです。」
ネプテューヌ「本当の…気持ち?」
ネプギア「一番…大切な…?」
部屋にしばしの間沈黙の時が流れた。
赤くなった目のまま二人はイストワールを呆然と見続けていた。
しばらく経つとネプテューヌとネプギアは打ち合わせをしたかのように顔を見合わせ、ゆっくりと立ち上がった。
その目は前よりも数段、輝きに満ちていた。
ネプテューヌ「ごめん、いーすん。もう大丈夫。」
袖で涙をぬぐいながらハッきりとした口調でネプテューヌが言った。
ネプギア「私も大丈夫です。じゃあ行ってきます。」
イストワール「はい。気をつけてくださいね。」
ネプギアの言葉の後にイストワールはやさしく微笑んで二人を送り出した。
もう二人に迷いは無かった。
2人が目指す先も、もうすでに決まっていた。
ありのままに、その言葉は今もネプテューヌとネプギアの心にしっかりと響いていた。
◆◆◆
現在ルウィー教会前
二人はそこにいた。
目的はもう決まっている。
一呼吸置いた後に軽くノックをする。
心臓の鼓動が高まる中でゆっくりと扉は開かれた。
ミナ「ようこそ、ルウィーの教会へ。……あなた達でしたか。」
扉を開けて出てきたミナは複雑な表情をしていた。
二人に注がれる視線もどこか冷たさを帯びていた。
ミナ「どんなご用件でいらしたのですか?」
ネプギア「謝りにきました。」
ミナの質問にネプギアが即答する。
その目はこの上ないほど真剣だった。
一呼吸おいて二人は深く頭を下げた。
ネプテューヌ・ネプギア「ごめんなさい!!」
ミナ「!?」
静寂に包まれていた銀世界に二人の声は鳴り響いた。
ミナは突然のことに思わず声を上げそうになった。
最初ミナはネプギアの謝りに来た、という言葉は3人の女神に対しての言葉だと考えており、自分にまで謝罪するとは思っていなかったからだ。
ネプテューヌが続ける。
ネプテューヌ「ミナさんから大事な三人を奪って、独りぼっちにさせて、本当にごめんなさい!」
ネプギア「許して貰えなくても構いません。でも今謝らないと、今気持ちを伝えないと、きっと絶対に後悔すると思うから……だからごめんなさい!」
ネプギアもネプテューヌに続いて口を開く。
ミナにはそんな二人をただ黙って見つめることしか出来なかった。
粉雪が舞い落ちる中で二人は寒さも気にせずに謝り続けている。
いつしかミナの頬には一粒の涙が流れていた。
やがて沈黙を守り続けていたミナが口を開いた。
ミナ「お二人とも、顔を上げてください。」
慈悲深いやさしい口調でミナは二人に話しかけた。
2人が顔を上げると、そこには微笑みながら穏やかな視線で二人を見つめるミナが居た。
ミナ「お二人の気持ちは良くわかりました。むしろ、謝らなければならないのは私のほうかもしれません。」
ネプテューヌ・ネプギア「?」
変わらぬ口調でミナは語りかけた。
二人は互いに寒さで真っ赤になった顔を見合わせ、首を傾げた。
構わずにミナは続ける。
ミナ「私はあの時、出てゆくブラン様達を止めようとしませんでした。どちらに転んでも悲劇が待っているというのに、私はゲイムギョウ界のためと言い聞かせ、いざお二人が来たときには割り切れないなどと言っていました。非は私にあります。」
ネプギア「そっそんなこと……。」
ミナ「いいえ。悪いのは私も同じです。お二人に辛い思いをさせてしまって本当に申し訳ありませんでした。どうか許してください。」
まぶたに涙をためたままミナは頭を下げて二人に謝った。
そんな時、ネプテューヌが口を開いた。
ネプテューヌ「ミナさんはちっとも悪くないよ。だから、顔を上げて。」
慈母の様にネプテューヌはミナに語りかけ、その手をそっとミナの頬に添えた。
ミナは静かに顔を上げ、メガネを外して涙をふき取ると咳払いをひとつして二人に話しかけた。
ミナ「さあ、どうぞ中にお入りください。今ブラン様たちをお呼びします。」
二人は言われるがまま中に入ると、服についている雪を軽く払って、窓際の椅子に腰掛けた。
もうすぐあの三人に会うというのに、二人にはラステイションのときのような迷いが無かった。
それどころか、どこか清々しい表情さえも見せていた。
しばらくしてミナが深刻そうな面持ちでやって来た。
そのそばには居るはずの三人の姿は見当たらなかった。
ミナは視線を下に落としたまま二人に近づくと重い口を開いた。
ミナ「申し訳ありません! 三人が今はどうしても、お二人の顔が見れないと。」
深く頭を下げてミナが謝罪する。
二人は少し動揺するが、やがて呼吸を整えてミナに話しかけた。
ネプギア「いいんです。悪いのは私たちですから。こうなることも、多少は覚悟していました。」
ネプテューヌ「でもミナさん、少しだけブラン達に伝言いいかな?」
ミナ「はい。もちろんです。」
ネプテューヌの問いにミナは迷うことなく答えた。
二人は軽く微笑んでミナに伝言を残した。
その後すぐに二人はプラネテューヌへと帰って行った。
ミナ「入りますよ。」
乾いたノックの音の後にミナが言う。
部屋に入ると、ブラン、ラム、ロムが三人で床に座り込んでいた。
ブラン「ネプテューヌ達は?」
ミナ「たった今、お帰りになられました。」
ブラン「そう……。」
ミナの言葉を聞き、少し安心したような声でブランが呟く。
ミナは静かに口を開いた。
ミナ「……なぜ、お二人に会わなかったのですか。」
ラム「だっ、だってあの二人と会ったらまた……。」
ロム「……(ビクビク)」
ブラン「今、あの二人に会うことはできない。もしかしたらこれからも……。」
三人ともに暗い表情で呟く様に話す。
ロムに至っては無言のままただ震えている。
ミナは視線を落として小さくため息をつく。
だがその後に顔を上げ、ハッキリとした口調で言った。
ミナ「お二人からの伝言があります。」
ブラン・ラム・ロム「!?」
ネプテューヌ「ブラン達に伝えてほしいんだ。もう私達は二度とブラン達に手を上げないって。今は会えなくても、いつか信じあえるときが来るまでいつまでも待ってるって。」
ネプギア「私達のことは許してくれなくてもいい。でもいつか、また一緒に笑い会える。そのときをずっと待ってるって。ロムちゃんやラムちゃんを信じてるって。」
ミナ「……これがお二人の伝言です。では失礼します。」
そう言ってミナは静かに部屋を出た。
部屋には静寂のときが流れている。
話を聞き終わった三人の頬には一粒、また一粒と涙が流れていった。
窓の外には依然として粉雪が降り注ぎ、日がそれらを照らしあげていた。
その日はすでに傾きかけていた。
◆◆◆
現在ギョウカイ墓場跡地
辺りが闇に包まれているこの時間に不気味な音が鳴り響いている。
沈黙を守り続けていたこの場所に突如響くレーザーの照射音。
それは頭から徐々に4人の人影を作り出した。
月光に照らされたその姿は荒廃のみが充ちるその大地に、突如、美しい4体の彫刻が出現したかのようであった。
氷室「俺がプラネテューヌに行く。レオンはラステイション、エスターはルウィー、ライはリーンボックスだ。」
レオン「おお。」
エスター「はいはい。」
ライ「了解。」
氷室の言葉に3人がそれぞれ返答をする。
しばらく無言で歩いた後にエスターが切り出した。
エスター「とりあえず、行きはちゃんと送れよな。帰りは自力で帰らなきゃいけねーんだし。」
氷室「ああ、わかってる。」
エスターの言葉に氷室が無感情に答えると、すぐさま氷室は右手に力をこめた。
氷室の手からどす黒い炎があふれ出し、それらが4つに分かれた。
4人はそれぞれその炎の中に姿を落としていった。
闇の中で繰り広げられる陰謀が今、静かに幕を開ける
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話が地味だ…。
おまけに何時まで経っても駄文が直らない…。
そろそろ派手にやりたいなー。