No.417317

人魚の恋

とかげ。さん

思いつくままに

2012-05-02 22:28:40 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:455   閲覧ユーザー数:455

 

恥ずかしい台詞を当然のように言う男。

そんな彼は当然ながら、不実な男である。

端から女であれば声をかける。

可愛ければ男にでも。

そこに恋愛感情は無いと言う。

素敵なものを見たら、声にださずにはいられない。

当然のように彼は言う。

 

私は毎日泣いていた。

嫌いになれないと泣いた。

大嫌いと罵っても

消えてほしいと叫んでも。

「君の流した涙は、そのまま瞳を溶かしてしまいそうだね。」

彼は瞼に唇を落とす。

涙は決して止まらない。

 

彼の笑顔が好き。

彼の声が好き。

彼のその嘘くさい台詞が好きで。

 

大嫌い。

 

彼が知っているかどうかなんて関係ないと

私は言う。

「人魚姫の恋だわ。」

「素敵だね」

と彼は言う。

 

泡になって消えるのは

 

――あなただと思うわ。

 

 

****

 

その口数と引き換えに人の恋まで落ちてきて。

 

 
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