No.416965

そらのおとしものショートストーリー4th 第八の契約

水曜定期更新

一次創作も投稿を終えてようやく通常時間に復帰。
とはいえ、もうストックとかなんとか出し尽くしましたとさ

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2012-05-02 00:23:57 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:1712   閲覧ユーザー数:1626

そらのおとしものショートストーリー4th 第八の契約

 

 

拙作におけるそらのおとしもの各キャラクターのポジションに関して その4

 

○おじさん:本名は間桐雁夜と言うらしいが最近拙作ではおじさんとしか表記していない。蟲蔵に放り込まれるのがワカメだったり第四次聖杯戦争が起きなかったりするので元の体でいることも多い人。葵さんと桜ちゃんと凛ちゃんに狙われている。最近は火遊びしたいソラウさんにも狙われている。葵さんを娶り桜ちゃんを間桐に養子に出した優雅な遠坂時臣に強い反発とコンプレックスを抱いている。

○桜ちゃん:Stay Nightだと人気がいまいちだけどZeroだと大人気の薄幸系ヒロイン。だが最近の拙作では蟲蔵に放り込まれているのがワカメなので本人は元の体のまま。しかしそれ故におじさんに命を懸けた献身を見せてもらえず葵さんの娘というポジションを抜け出せずに焦っている。

 割と自由に聖杯を呼び出せてくすくす笑ってゴーゴーできる。

○凛ちゃん:世間ではロ凛と呼ばれている元気で健気なヒロイン。10年経つと……まあ人は変わるという見本。拙作では桜ちゃんと1歳しか違わない割に大人であることをやたらと強調するキャラになっており、おじさんと釣り合うのは自分しかいないと思っている。

 とりあえず良い男には片っ端からチェックを入れているので、桜ちゃんとはおじさんと味皇海原雄三の息子士郎を巡って争う宿命のライバルでもある。

○葵さん:おじさんの初恋の人であるが、現在は優雅な遠坂時臣の妻であり二児の母である。優雅な遠坂時臣が死んでくれれば悲劇の未亡人としておじさんの所に堂々とお嫁入りできると考えて時々それを実行しようとする。基本的に優雅な遠坂時臣より暴力で勝る。

 桜ちゃんと凛ちゃんの母として2人の娘を愛しているが、同時におじさんを狙ってくる恋のライバルとして警戒している。

○優雅な遠坂時臣:魔術の名門遠坂家の頭首。常に余裕をもって優雅たれをモットーにしているが、ワインレッドカラーのスーツを着てムーンウォークで街を歩く為に近所からは変人扱いされている。自宅では1日中ワイングラスを回すしか能がなく、葵さんは夫のことを生ゴミ以下の存在にしか思っていない。だが、全ては優雅である為に仕方ない。

 蟲蔵に放り込まれると綺麗な時臣になり最強魔術師として覚醒するが評判は地に落ちる。

○綺麗なワカメ:間桐家における桜ちゃんの兄。桜ちゃんの代わりに蟲蔵に放り込まれ魔術師として覚醒した姿。蟲に凄いことをされた反動で外見が綺麗になっており性格も良い奴になっている。

 拙作においてはワカメが頑張り不幸になるほど人気が上がるという過酷な運命を背負わされている。よってワカメはワカメたれとしかならない。

 

 

第八の契約

 

 

「……暴力で決着をつけましょう」

 イカロスの小さな声が桜井家の居間に木霊する。

「暴力は明日の日没と同時に開始。範囲は空美町全域。勝ち残った1人が智樹を手に入れる。良いわね?」

 ニンフの声にその場にいる全員が縦に振る。

「わぁ~い。暴力が世界を支配するんだぁ~」

 無邪気に喜ぶカオス。これから始まるのは命を懸けた女同士の争いだというのに何の気負いもない。

「遠くまで飛んでいけないのなら近接戦闘用エンジェロイドである私の勝利は固いですね。えっへん」

 アストレアはクリュサオルを掲げながらえばってみせた。

「幾ら剣に自信があろうとも、扱うのがアストレアさんじゃ勝利は厳しいんじゃないかなあ?」

 そはらが己の右腕に宿る聖剣殺人チョップ・エクスカリバーをちらつかせながらアストレアの意見に疑問を呈する。

「にしてもパピ美とパピ子。量産型臭がぷんぷんするアンタたちが参戦してくるとは意外でした」

 愛用の拳銃に弾丸を込めながらオレガノがハーピー達に向かって首を傾げる。

「私たちは勝利して、桜井智樹をマスターに捧げるんだからっ!」

「私たちのコンビネーションに驚くが良いわ」

 自信満々に答えてみせるハーピー。

 これで桜井智樹を7組の少女達が全て出揃った。

 空美町の歴史に長く刻まれることになる暴力の宴の始まりだった。

 

 

 

 翌日、日没直前、空美神社の付近には巨大なタワーが突如聳え立つようになっていた。

「フッ。こんな日が来ることを予想して、コツコツとお菓子を集めてお菓子の城を築き上げることに成功した私の先見の明を思い知るが良いわ。あっはっはっは」

 タワーの最上階でニンフは沢山のお菓子に埋もれながらご機嫌に笑っていた。

「御客人にはこのロード・ベータのシナプス工房をたっぷりと堪能してもらおうかしらね」

 最強の要塞を1日にして作り上げたニンフはドヤ顔が止まらない。

「不可視結界24層、シナプス炉3基、猟犬代わりの守形、鳳凰院・キング・義経など男数十人、無数のトラップに、廊下の一部はダイヴゲームで異界化させている空間もあるわ」

 ニンフは高笑いが止まらない。

「あっはっはっはっはっは。これでお互い存分に秘術を尽くして競い合いが出来るというものね。あっはっはっは」

 ニンフが自慢をひとしきり終えて更に大きな笑いを奏でている瞬間だった。ニンフが築いた大要塞が根元から一気に崩壊していったのだ。

「きゃぁあああああああああああああああぁっ!?」

 ニンフの悲鳴は崩壊するタワーの轟音に掻き消されてしまった。ニンフが築いた最強の防御工房も城ごと崩れては無力だった。

「シナプスのアリの噛み砕く力を甘く見たようだな……コンブ」

 シナプスの科学力で生まれた大型のアリを手に持ちながら、オレガノは崩壊するビルを見てニヤリと微笑んだ。

 

 

 ニンフ+αリタイア  To Be Continued

 

 

 

「…………本来ならばマスターをシナプスのマスターに譲渡することは致し方ないことです。男同士の結婚は男女の結婚よりも優先されるものですから。ですが、今回は違います」

 イカロスはウラヌス・クイーンとしての本領を発揮しながら空美学園校庭まで自身をこっそりと尾行してきたパピ美&パピ子を威圧していた。

「今回こそ、勝って智ちゃんと結ばれるの。だから、譲渡なんて絶対に出来ない。そうイカロスさんと誓い合ったんだから」

 イカロスの隣に立つそはらも殺人チョップ・エクスカリバー発動の構えを取る。

「…………今回の戦いで私はそはらさんと勝敗を決める最終決戦を臨むことに決めました。だから貴方たちにはここで死んでもらいます」

 イカロスの上空にウラヌス・システムが出現し、砲門が一斉に光を点し始める。

「ちょっ、ちょっと待ってよっ!?」

「BLを優先しないなんてどうかしてしちゃったのっ!?」

 イカロスを自分たちの陣営に引き込むことは容易だと高を括っていたハーピーたちは予想外の事態に戸惑った。

 そして、そんな想定外の事態に対して対処する策を持っていなかった。

「一旦逃げるぞっ!」

「うっ、うんっ!」

 翼を広げて逃げようとするハーピー。

 だが……。

「…………ティロ・フィナーレ」

 ウラヌス・システムの全砲門に狙われたハーピーが逃げられる余地などどこにもなかった。

「「ぎゃぁあああああああああああああぁっ!?」」

 集中砲火を受けて黒コゲアフロヘアに変わったハーピーたちは地面へと墜落していった。

 

 

 パピ子&パピ美リタイア  To Be Continued

 

 

 

「わぁ~イカロスお姉さまのウラヌス・システム~。格好良いなあ~」

 川原の守形のテント付近で座っていたカオスは上空に出現したウラヌス・システムを見て瞳を輝かせた。

 ニンフにバイトを頼まれて「行って来る」と出掛けた守形には夜出掛けてはいけないと厳命されている。

 カオスはそれを守り、智樹を巡る戦いの最中ではあったが自身の陣地である川原から動かないでいた。

 だが、イカロスの戦いぶりはカオスを興奮させた。

「私も出来るよ~」

 カオスは背中の羽を分離させてウラヌス・システムに負けない程に巨大化させた。巨大なタコのような形をした羽の内部で急速な高エネルギー反応を確認させる。

「行っくよぉ~っ! イカロスお姉さま~」

 タコの足の間から高エネルギー砲が発射されウラヌス・システムの左舷に命中。これを大破して異空間へと引き戻すことに成功した。

「やったぁ~~っ! わ~~い。わ~~いっ」

 両手を挙げてはしゃぎ回って喜ぶカオス。だが……。

「わ~。今度はイカロスお姉さまが直接やって来た~」

 そはらを抱えたイカロスが高速でカオスに向かって飛行して来るのが見えた。

 

 

「…………カオスの羽に対してアルテミス全弾発射っ!」

 飛行しながらカオスの羽に向かってイカロスがアルテミスを大量射出して攻撃を仕掛ける。弾は動きを見せない目標に命中した。だが……。

「…………効いてない。ようですね」

 カオスの羽は全くの無傷だった。

「イカロスさん。あの大きなのは私の殺人チョップ・エクスカリバーで消滅させるから。発動までちょっと時間を稼いでくれないかな?」

「…………分かりました」

 イカロスは川原の隅にそはらを下ろす。そして自身にカオスの羽の注目を惹こうと再び空に舞い始める。

 だが、その時だった。

「最強の敵は先に倒すっ! イカロス先輩っ! 覚悟~~っ!」

 クリュサオルを振りかざしたアストレアがイカロスに突如襲撃を掛けて来た。

「…………アストレアっ!?」

 イカロスはギリギリでアストレアの必殺剣を避ける。だが、その大きな回避運動がカオスの注目を惹かない訳がなかった。

「イカロスお姉さま。私と遊ぼう~」

 カオスの羽が一斉に動きの鈍ったイカロスを狙う。カオスとアストレアに両撃されて必死に逃げ回るイカロス。

「わぁ~い。わぁ~い。イカロスお姉さま~。もっともっといっぱい遊ぼう~っ♪」

 羽を使ってイカロスを追い詰めながらカオスは興奮していた。いや、無邪気に遊んでいた。

 だが、そんなカオスに1発の銃弾が襲う。

「うん? 何かあたったかなあ?」

 銃弾はカオスの頭に当たり彼女の手の中へと収まった。

「わぁ~~っ! チョコレートだぁ~~~っ♪」

 カオスは何の疑いも抱かずにひし形のチョコレートを口の中へと含んだ。

 そして──

「あれ~~? 何だか急に眠くなって……き……ちゃった……」

 カオスはその場にバタッと倒れこみ、すやすやと寝息を掻きながら眠ってしまった。

「医療用エンジェロイドの調合能力を甘く見るんじゃねえのです」

 黒い表情をしたカオスは油性マジックを持ってカオスへと近付き……

「これでこの娘の社会的生命も終わりだな」

 カオスの額に『肉』と猫髭を書き込んだ。

「後はあの自動でも動く厄介な羽を……まっ、そういうのは大技使える奴に任せるとするか」

 オレガノは川原の付近の林の中へと姿を消していく。

 そしてその直後──

「殺人チョップ・エクスカリバーっ!」

 巨大な光の渦がカオスの羽を包み込み1片たりとも残さずに消失させたのだった。

 

 

 カオスリタイア To Be Continued

 

 

 

 

「桜井くん。一体どうしたの? こんな夜に急に呼び出して」

「今日は何故かイカロスたちが一斉に出掛けちゃっているからな。その、風音にちゃんと話をしておきたくてさ」

「ちゃんと話? 一体、何の話ですか?」

「風音……いや、日和。俺と付き合って欲しいんだっ!」

「…………はっ、はい。私でよければ……お願いします」

「本当かっ!? だったら俺達、今から恋人同士だな♪」

「あの、その……弟達に桜井くん……智樹くんのことを招待したいのでうちに来てくれますか?」

「おうっ! 勿論行くぜっ!」

 

 

 

 ウラヌス・システムを破壊された状態でカオスとアストレアと戦っていたイカロスは体力を消耗させていた。

 アストレアの追撃を何とかかわし1人桜井家へと戻ってきた。

「…………マスター分の補充が必要です」

 イカロスは玄関を潜り抜けて中へと入る。

 だがここでイカロスはあることに気付いた。

「…………マスターがいません」

 電気がついておらず、家の中に智樹の気配が感じられなかった。

「…………直接、智樹分の補給が出来ません。シュン」

 智樹に構ってもらうことで智樹分を回復させようとしていたイカロスはあてが外れた。

 代わりに自身の秘蔵智樹コレクションのアルバムを取り出して必須栄養素を補充しようとする。

 アルバムを開くイカロス。

 シナプスの超科学力を使って生み出されたその魔法ともいうべきアルバムはイカロスの理想世界を描き出していた。

 即ち総受け智樹を。

 だがしかし……。

「…………傷付いた体に、このコレクションは刺激が強すぎ……ま……し……た……」

 イカロスは大量の鼻血を噴出して桜井家の居間に倒れた。

 その表情はまるで眠っているようだった。

 だが、とても幸せに満ち足りた表情をしていた。

 

 

 イカロスリタイア To Be Continued

 

 

 

「イカロス先輩っ! 覚悟~~っ!!」

 アストレアがイカロスを追って桜井家の居間へと入って来た。

 だが、そこで彼女が見たものは……。

「いっ、イカロス先輩が死んでる~~~~~~っ!?」

 鼻血の海に沈んで安らかな表情で目を閉じて機能停止しているイカロスの姿だった。

「どっ、どうしてっ!?」

 アストレアには何が起きたのか分からない。

 けれど、イカロスがリタイアしていることだけは確かだった。

「アストレアさん……酷いっ!」

 そんなアストレアに背後から非難の声が掛かる。

 振り向いてみると……怒りに顔を歪ませながら右手をチョップの体勢に構えているそはらの姿があった。

「幾ら戦いだからって……こんな風にイカロスさんをむごたらしく倒すなんてっ!」

「ちっ、違うんですよ~~っ!」

 アストレアは言い訳しようとした。けれど口から上手に言葉が出て来ない。

「アストレアさん……イカロスさんの仇。覚悟~~っ!」

 そはらがチョップの体勢を維持したまま襲い掛かって来た。

「こうなったら、反撃です~~っ!」

 アストレアも誤解が解けないまま必死の防戦に入る。

 だが……。

「ああっ!? クリュサオルが豆腐の角にぶつかって真っ二つに折れたぁ~~っ!?」

 アストレア自慢の光の剣も豆腐の角の硬度には敵わなかった。

「なら、イージスLで攻撃を防いで…………って、タンスにぶつけて割れちゃったぁ~~っ!?」

 最強の盾も、人体に驚異的なダメージを与えることでよく知られているタンスの角の前には無力だった。

 最強の武器も盾も失ってしまったアストレアにもはやそはらに対抗する手段は残されていなかった。

「殺人チョップっ!」

「うわらばぁあああああああああぁっ!?」

 アストレアはそはらのチョップを額に食らいその場に倒れた。

 そして二度と目を開くことはなかった。

 

 

 アストレア死亡  The End

 

 

 

「まさか最後まで勝ち残って来るのが人間だとは。ぼんくらエンジェロイドばっかり生産していたとは、シナプスは所詮終わってしまっている世界ということですね」

 空美神社の本殿前、銃を頭に狙いを定めて構えながらオレガノは静かに言った。

「そういうオレガノさんこそ、シナプスの量産型エンジェロイドじゃなかったっけ?」

 そはらはチョップをオレガノの首に狙いを付けながら返答を寄越した。

「生憎、私が本当の意味での生を得たのは地上に降りて来て美香子お嬢様に引き取られてからのことですので」

 オレガノは哂いを浮かべるとそはらに向けて銃弾を発射した。

「だからそんなに性格歪んじゃったんだよね」

 そはらは表情を変えないまま銃弾をチョップで叩き落した。

「おかげで智樹様と結ばれることが出来るのなら……それも悪くありません」

 オレガノは左手に隠し持っていた拳銃をそはらに向かって発射する。

「残念だけど……智ちゃんと結ばれるのはこのわたし、だよっ! ……っと」

 嫌な予感がしたそはらは銃弾を叩き落さずに身を引きながらかわした。

「少しはやるようですね。智樹様を賭けた最終決戦の相手はそうでなくちゃ面白くない」

 そはらが弾丸を避けている間に軽機関銃を構えていたオレガノが哂う。

「やっぱりオレガノさんは会長のお世話係だね。考えていることがそっくりだよ」

 そはらは両手でチョップの構えを取りながら軽機関銃の発射に備えている。

 2人の最終決戦はまだ始まったばかりだった。

 

 智樹争奪戦の勝者が誰になるのか?

 

 その答えはまだ誰も知らないでいた。

 

 

 了

 

 

 

 


 
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