真・恋姫†無双~赤龍伝~第3.5話「穏の奇癖」
藍里「失礼します」
赤斗「あれ、藍里どうしたの?」
これから外に出ようとしていた赤斗の部屋に、藍里がやってきた。
藍里「赤斗様こそ、何をしているんですか?」
赤斗「いや、これから鍛錬でもしようかなと思って」
藍里「鍛錬!? 何を言っているんですか!」
藍里が血相を変えて赤斗に詰め寄る。
赤斗「え、なに? 駄目なの?」
藍里「あたり前です。左肩の傷はまだ治っていないんですよ!」
赤斗「軽くするだけだから大丈夫だよ」
藍里「駄目です。怪我が治るまで鍛錬は禁止です!」
赤斗「えーー、でも…」
藍里「だ・め・で・す・よ♪」
藍里は笑顔だったが、目は笑っていなかった。
赤斗「わ、わかった…」
これ以上、逆らうのは危険だと思った赤斗は鍛錬に行く事をあきらめた。
赤斗「でも、怪我が治るまで鍛錬できないとなると、何をしていればいいのかな?」
藍里「それなら私にお任せ下さい。赤斗様が退屈していると思い、これを持ってきましたから」
藍里は一冊の本を取りだした。
赤斗「これは?」
藍里「呉孫子兵法八十二巻の第一巻です」
赤斗「もしかして、あの有名な孫子?」
藍里「はい。その孫子の兵法書です。一緒に兵法について勉強を致しませんか?」
赤斗「勉強は嫌いじゃないけど…」
受け取った兵法書のページをパラパラとめくりながら赤斗は戸惑う。
藍里「どうかしました? 何か問題があったでしょうか?」
赤斗「えっと、その…実を言うと、この世界の字が読めない」
藍里「え?」
赤斗「でも、漢字は分かるから、文法とか理解すれば何とか読めると思うんだけど…」
藍里「そうでしたか。申し訳ありません。ならば、違う教材を持ってきますので、少々お待ち下さい」
そう言うと藍里は足早に部屋を出て行った。
穏「じーーーー」
気がつくと穏が扉の向こうから部屋の中を覗き込んでいた。
赤斗「穏? 何してんの?」
穏「良いですね~。羨ましいです~」
赤斗「へっ…何が?」
穏「その孫子ですよ~。それを手にとって学べるんですから~」
何故か穏は顔を赤くしている。
赤斗「顔が赤いけど大丈夫? 熱があるんじゃないの?」
穏「大丈夫です。ただちょっと、その本を手にとって読んでみたいだけですから~」
赤斗(何故それで顔が赤くなる?)
赤斗「読めばいいんじゃないの?」
穏「それがダメなんです。冥琳様から禁止されているんです~」
赤斗「禁止? この本を読む事を?」
穏「はい。赤斗さんは藍里様と一緒に孫子を手にとってお勉強~、本当に羨ましいです~」
さらに顔を赤くして、自分の身体を抱きながら、穏はクネクネと動く。
赤斗「あはは…。でも、僕は字が読めないから」
穏を見ているうちに赤斗は、何故この本を読む事を禁止されているのか気になった。
赤斗「ねえ穏」
穏「はい?」
赤斗「この本に書かれている事を僕に教えてよ」
気軽に赤斗は穏に言ってしまった。
穏「いいんですか?」
赤斗「うん。藍里はまだ戻ってこないようだし、お願いするよ」
穏「くっふうぅ~、胸が高鳴ります。このような高揚感はいつぶりでしょうか~」
赤斗「高鳴る?」
穏「じゅるっ」
気がつけば穏から涎が垂れていた。
赤斗(どうして涎を出す?)
赤斗「と、とにかく部屋に入ってきなよ」
穏「は~い♪」
赤斗は穏を自分の部屋に招き入れた。
穏「うふっふ、うふふふふふ! さあぁ~て……お勉強を始めましょうね」
穏は部屋に入るなり呉孫氏兵法を頬ずりを始める。
穏「あああぁ~、歴史が薫ります。くんかくんか」
赤斗「あの……穏?」
穏「何をぼさぼさしてるんですか~、早く準備をしてください」
赤斗「準備って紙や筆とかあれば良いかな?」
先程、藍里が持ってきた筆や綴りを机の上に置く。
穏「私は先生なので教本である孫子を手にとっちゃいますよ~。めくっちゃいますからね~。はっ、はあ……ん、それではぁ~~」
赤斗「ん?」
穏が赤斗に近づく。そして……
穏「よいしょっ、と……ふぅ、ン」
穏は赤斗の膝の上に腰かけた。
赤斗「穏、何で膝の上に座るのかな?」
穏「だって~こうした方が教えやすいですし~」
赤斗「そうは思わないけど……」
穏「では……ごくっ、開いちゃいますよぉ? 見ちゃうんですからね」
穏はごくりと喉を鳴らして、孫子のページをめくろうとする。
穏「はあぁ~~~~」
たが穏はページをめくらずに、深く息をつく。
穏「……その前に。この兵法書についてご説明させてくださいね~」
赤斗「……お願いします」
穏「では~」
穏は桃色的なノリで呉孫子兵法の説明を始めた。
その間も穏は赤斗の膝の上に乗って、豊満な胸を押し付けてくる。
その為、赤斗の頭の中には説明された内容の半分も入っていなかった。
説明を終えると穏は、呉孫子兵法を読み始める。
穏「ふーーっ、ふー……ふーーー、ふー」
次第に穏の眼球やページをめくる指の動きが加速していく。
穏「はあぁぁ~っ、あぅ……ん、は、はあぁっ、あ、ぁ」
赤斗(穏、いったいどうしちゃったんだ?)
穏「ほふううぅ~~~~~~~~」
穏が大きく息をつく。
赤斗「……終わったの?」
穏「……もったいないです」
赤斗「もったいないって、何が?」
穏「これを全て……いっぺんに読んでしまったりしたら、はぅん、どうにかなってしまいますぅ~。でも……手遅れかもしれません、はぁっ、身体が」
赤斗「身体がどうかしたの?」
穏「それよりも~何か知りたい事はないんですかぁ? ちろ」
赤斗「ひっ!? な、な、何を!? 何故、耳を舐める!?」
穏「ああ……、この本こそ人類の叡智の結晶……。これを見て昂ぶらずにいられるでしょうかっ!?」
赤斗「穏はこの孫子を見て昂ぶっているのか?」
穏「赤斗さんは昂ぶりを隠しているだけなんですよね~。もう、穏は体が熱くて堪りません……」
赤斗「穏、とりあえず落ち着こうか。落ち着いてから孫子の勉強をしようか」
穏「ぺろん」
赤斗「ひゃっ!?」
穏は赤斗の頬を舐めた。
そして、赤斗の反応に気を良くした穏は、続けざまにぺろぺろと舐め続ける。
赤斗「ちょっ、穏っ! だから、もう舐めないで!?」
穏「はっ、ん!? あ、はあぁぁ~……あ、あっ、ん。もう……」
赤斗「ん? 穏?」
穏「もう、ダメですっ~~~~~~っ!」
赤斗「えっ!?」
赤斗は穏にいきなりのしかかれれ、仰向けに倒れてしまった。
そして、穏は赤斗の上に馬乗りになる。
穏「うふ~~~、もう逃げられませんよぉ」
穏は色っぽく蕩けそうに潤んだ目で赤斗を見つめる。
穏の頬は上気したおり、圧倒的なオーラとも言うべきものを発していた。
赤斗「あの穏さん、退いてくれないかな?」
赤斗は興奮している穏をなだめ様とする。
穏「赤斗さぁん……」
赤斗「は、はい……」
穏「もう……わたし……我慢できません~~~」
赤斗「落ち着こう。…本当に落ち着いた方が良いよ」
穏「素敵なご本と出会ってしまうと……らめっ、なの、はん、わたし……自分を抑えられなくなってしまって、またっ、あ」
赤斗「穏?」
穏「あうん……」
赤斗「!!」
赤斗は穏にキスをされた。
赤斗「んんんっ!?」
穏「ううん……ちゅるっ……赤斗さん……体が熱いんですぅ……あっ、あっ、あっ、わたしっ……わたしっ……っ」
穏は切羽詰まった声を上げると赤斗の胸に倒れ込んだ。
赤斗「穏?」
穏「……すぅ」
赤斗「……寝てる?」
藍里「……何をしているんですか?」
いつの間にやら戻ってきていた藍里が赤斗と穏を見下ろしていた。
赤斗「あ、藍里!? いつの間に! あっ、こ、これは……」
藍里「はぁー。穏ちゃんに孫子を見せたんですね」
赤斗「へっ?」
今の穏との状態を見て誤解をされるかと思っていた赤斗だったが、藍里は冷静だった。
ちょっとした好奇心と不用意な発言により赤斗は、地獄とも天国とも言える時間を過す事となったのであった。
赤斗「よいしょ」
とりあえず赤斗は穏をベッドに寝かせた。
赤斗「ねえ、藍里。説明してくれるかな?」
藍里「そうですね。先に穏ちゃんの奇癖について説明しておけば良かったかもしれませんね」
赤斗「奇癖?」
藍里「穏ちゃんは無類の本好きで、素晴らしい書物に出会うと性的興奮が高まってしまんですよ」
赤斗「…………」
藍里「しかも、本人でもどうしようもできないようで、時も場所も選べないんです。それに一度目覚めれば、昏倒でもしない限り治まりません」
赤斗「それは……また、厄介な……。でも、それじゃあ軍議の時とか大変じゃない?」
藍里「穏ちゃんも誰彼構わないわけでもありませんし、場が場ならば自制しようとします。もし先程までの穏ちゃんが自制をしていないと言うのならば……」
赤斗「言うのならば」
藍里「……それは穏ちゃんに見初められたんでしょうね」
赤斗「見初めって、穏が僕の事を好きになったって事?」
藍里「……そうなりますね。でも、問題はないんじゃないでしょうか」
赤斗「どういう事?」
藍里「お忘れですか。赤斗様は天の血が孫呉に入れるという役目があるという事を」
赤斗「確かにそうだけど……」
藍里「穏ちゃんには恋愛経験がありませんので、それなりに注意をして上げてくださいね」
赤斗「注意って?」
藍里「それはご自分で考えた方がよろしいかと思いますよ」
赤斗「はぁー。わかったよ」
藍里「ふふ……」
つづく
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だいぶ振り返っての拠点です。赤斗(主人公)が恋姫の世界にやって間もない頃です。穏の癖について少しだけ触れます。
※6月5日に内容を少しだけ変更しました。