雨がしとしと降る夕暮れ、辺りは閉鎖空間に紛れ混んた時のように灰色だった。
珍しく俺とハルヒの二人きりで下校している。
「ねえ、キョン」
「何だ?」
「三寒四温っていうけど、ここまで気温が下がらなくても良いと思うの」
「日も落ちてきたし、そういうものだろ。 ちょっと万歳して見ろ」
「はあ?何いってんのよ」
着ていたブレザーを脱ぎ、ハルヒに着させてみた。
それにしても、文句言いながらしっかりと万歳してるな。
「ちょっと、何? えと、あ」
「貸してやる、明日返せ」
「……あんたも寒いでしょ」
「男は女よりも体温高いから大丈夫だ。 それに今日はジャージもある」
「キョンの癖にムカつくわね」
「はいはい」
ジャージに着替え終わったとき、ふとブレザーのポケットに定期と学生証を入れ忘れていたことに気付いた。
「ちょっと、キョン何やってんのよ! くすぐったいし汗臭い!」
「定期と学生証を……ああ、すまんな。 ジャージは洗うために持ってきてたんだよ」
「謝るポイントが違わない? ……まあいいわ」
「変な奴だな」
翌日にブレザーを返して貰ったが、放課後に凄い勢いでポケットに入った封筒を回収していった。
何度も『中身見たの?』と聞く位の大事な手紙なら、ポケットにしまうなよな。
おわり
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超短編 2009/07