No.413581

ゲイム業界へようこそ!その43

やっとラステイション編終了ですね

2012-04-24 20:34:51 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1880   閲覧ユーザー数:1801

 

さて、接岸場に到着っと…。せっかくなので軽く周囲を見渡してみよう。

 

 

まず空模様の確認、俺が真上を見上げてみればそこにはお馴染みの灰色の雲がわんさか浮いている。最初見た時はほんと憂鬱な気分になったのだが、今では既に見慣れてしまい、むしろあの雲じゃないと落ち着かないレベルにさえ達している。「なんの中毒だよ、それ?」と自問自答しておこう。

 

対して、現在接近中のリーンボックス、既にその大陸は目と鼻の先にあり、おそらく数分もかからずにラステイションと接岸するのだろう。その接近してくるリーンボックスの上空を見れば、そこには清清しい程の蒼天の青空が見えるのだ。ラステイションの空と比べて見ても、その差は歴然。リーンボックスの空気はとっても美味しいのだろうね。

 

 

続いて俺が見た物は大陸の端にそびえる奇妙な外観の建物。どうやらあそこから大陸と大陸を繋ぐ跳ね橋を降ろすようだ。原作のイベントで初めてネプテューヌ達がこの接岸場を訪れた時、ネプテューヌが一人テンションMAXで「大地が割れてるよぉ!?」とか「これが神々の争いの傷跡なんだね!?」とか言っていた覚えがあるが、確かに何も知らない人がこれを見たら、そのように感じてもおかしくないだろう。実際俺も掛け橋を降ろす建物の外観を見て、ここでは何か大きな争い、もしくは異変が起こったのだろうかと勘違いしてしまったくらいだ。それほどまでに奇妙な、それでいて神秘的な外観の建物なのである。

 

 

 

「おっ、少し揺れたか!?」

 

 

 

突然の揺れに多少驚いた俺だったが、どうやら揺れの原因はラステイションとリーンボックスの掛け橋を繋いだ時に起こった振動らしい。揺れは直ぐに鎮まり、何事もなかったかのように落ち着く。掛け橋による接岸は無事成功したようだ。

 

 

さてと…、忘れ物が無いか最終確認ヨォ~イ!

 

武器、よし!財布、よし!砥石、よし!携帯食料、よし!やる気、よし!俺、よし!どうやら忘れ物は無いようだ、準備万端オールグリーン!いざ、新大陸向けてしゅっぱぁああああつ!!(まるで船の航海の際に言いそうな言動だが、もちろん唯の徒歩である。無駄なテンション乙。)

 

 

 

「待って!!」

 

 

 

だぁあああれだぁああああ!?俺様の進軍を止める無礼な輩はぁああああああ!!?その行為、万死に値するぅううあああ!!WRYYYYYYYY!!!(ウン、これはヒドイ。)

 

 

 

声があった方へグルリと振り返り、俺はその声の主を見た。現在進行形でテンションMAXな俺に声を掛ける不届きな奴は一体どこの誰……って。

 

 

 

「ノワールかよ!」

 

 

 

「そうよ?何か文句ある?」

 

 

 

「いや、文句は全然全く微塵も無いんだがな…。このやり場の無い魂の疼きはどうすればいいのやら…。」

 

 

 

「?」

 

 

 

「そ、それより!ノワールは外に出てきても平気なのか?」

 

 

 

俺のテンションの件は放って置くとして、ノワールの体調について疑問に思ったことを聞いてみた。俺が見たところではノワールは辛そうな表情をしているわけでもなく、熱がある様子も見られない。至って健康そのもののようだ。協院関係者の人も彼女が重い病気を患っているわけではないと言っていたことだし、体調の方は既に治りかけなのだろう。しかし、そんな彼女がわざわざここまで来る理由が見当たらない。何か俺に用事があるのなら、先ほど俺が協会に立ち寄った時にでも話せば良かったと思うのだが。

 

 

 

「平気って?あ!あぁ~~~平気平気。もうすっかり元気回復したわ。」

 

 

 

「おう、それなら良かったよ。ところでどうしてここに?」

 

 

 

「それは…その……、あなたに言っておきたかったことがあって…///」

 

 

 

「言っておきたかったこと?疑問に思ったんだが、それは今日俺が協会を訪れた時には話せなかったのか?話せたのなら、わざわざノワールがここまで来る必要も無かっただろうし。」

 

 

 

「えぇ~と、それはその~~、い、言えなかったのよ!出来るだけ他の人には聞かれたくなかったし…。」

 

 

 

顔を真っ赤にして、やや俯き気味のノワール。そして、他の人には聞かれたくない言葉………はっ!?も、もしや、こ、告白とか?ヨッシャー、キターーー!俺の時代到来~~~!!………とか、まったく俺も夢見すぎだな、さすが生粋のオタク。(自分で言うのも変だが。)

 

俺はギャルゲーのやり過ぎでこのようなシチュエーションを「女の子からの告白」だと脳内で決め付けてしまっているわけだ。まぁ、とことん腐ってやがる頭脳なんですが、こんなシチュエーションでオタクだったらさ、絶対そう勘違いするって。なぁ分かるだろ、兄弟?

 

 

 

「そうなのか…。」

 

 

 

「ええ、そうなのよ…。」

 

 

 

「……。」

 

 

 

「……。」

 

 

沈黙が突如として生まれる。てか何故ここで沈黙になるんだ?俺は堪らずノワールへと会話を促した。

 

 

 

「それで、ノワールの言いたかったことってのは?」

 

 

 

「へっ!?あ、そうだったわね!今から話すわ!」

 

 

 

「お、おう!よろしく頼む!」

 

 

 

ノワールは大きく深呼吸をした後、「ヨシッ!」という台詞と共に、話す決心を着けたようだった。意気込む彼女の表情を見て、俺も自然と体が強張る。ノワールからは一体どんな内容の話がされるのだろうか。

 

 

 

「……。」

 

 

 

「……。」

 

 

 

「……。」

 

 

 

「……。」

 

 

 

「あの~ノワールさん、言いたいことってのは「…忘れちゃった。」………ハイ?」

 

 

 

「忘れちゃったのよ!せっかくここに来るまでの間、私の持てる力を全て使って練りに練って完成させた心に残る言葉だったのに……。もうレンが変なところを気にするから!!」

 

 

 

「それは俺のせいなのか?」

 

 

 

「もちろん。」

 

 

 

きっぱり俺のせいだと断言されてしまった。意味が分からず反論したくもあったが、ノワールの本気で悔しがっている表情を見ると、理解出来ずともなんだか彼女に対して申し訳なく感じて来る。

 

俺はとりあえず謝罪を行い、ノワールの許しを請うことに。「すまん、悪かった!」「全面的に俺のせいです。」「俺は自身の犯した罪を一生背負って生きていこう。」等々、途中から何を言っているのか分からなくなってきたが、それでも何とか無事にノワールの許しを得ることが出来たからヨシとしよう。

 

 

 

「とりあえずもういいわ。それに私もレンへ少し理不尽にあたっちゃって悪かったと思ってるし。」

 

 

 

「じゃあお互い様で。」

 

 

 

「そうね。あぁ~後さっき忘れたって言葉だけど、重要なことはきちんと覚えているから。最初に考えたのよりはほんとに短いのだけどあなたに話すわ。」

 

 

 

「そうか。じゃあよろしく頼む。」

 

 

 

 

 

 

「私はあなたの唯一人のパーティーであって、あなたは私の唯一人のパーティー。どんなに離れていたとしても、この二人だけの絆は絶対に途切れることは無い。だからあなたは何も心配しないで行って、そして成すべきことを果たして来なさい!以上!」

 

 

 

 

 

「……。」

 

 

 

彼女は短い言葉は言い終わると、どこかすっきりとした顔で俺へ微笑みかけた。ははっ……、ノワール、お前その笑顔は卑怯過ぎるっての。

 

 

俺は体の隅々が熱く滾って来るのを感じ取り、「彼女を抱きしめたい」という衝動を堪えることに必死になった。何でもいい、唯、今一度だけ彼女に触れたい。その思いだけが欲求として俺の心を現在蝕んでいる。…ノワールに完全に惚れてしまったな、こりゃ。

 

 

 

2、3回ほど大きな深呼吸を行い、気持ちをどうにか落ち着かせた。未だこの衝動が収まる気配はないが、先ほどよりかなりマシになったと言えるだろう。こんな気持ちを俺が抱いていることをノワールには知られたくない。理由もちろん、俺の一方通行な気持ちであるから。

 

気持ちを整理し、ノワールへかける言葉を探す。俺の言うべき言葉は長ったらしい文章ではなく、簡潔明快の短い言葉で十分。それに適した言葉といえば、もうこれしか思いつかないな。

 

 

 

「…了解したよ。じゃあノワール………、行って来ます。」

 

 

 

「…行ってらっしゃい、レン。」

 

 

 

俺は挨拶を交わし、ノワールに背を向け、掛け橋へと歩みを進めた。

 

「成すべきことを果たす」

 

これを終えたら、絶対に彼女の元へ戻ろう。そして元気な姿で「ただいま」と言うんだ。そう、それだけでいい。ノワールもそれを待ち望んでいるはずだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういえばさノワール、リボン付けてくれてありがとな。」

 

 

 

俺は言い忘れたことがあり、顔だけ後ろを向けて彼女へと言葉を発した。言い忘れていたこと……、それはもちろん彼女の綺麗な黒色の髪を結うリボンのことだ。どうやらノワールは俺のプレゼントとしたリボンをさっそく付けて来てくれたようだ。自分がプレゼントした物を彼女が身に付けていると思うだけで、心がどこか浮き立つ気持ちになる。

 

 

 

「あなたが付けてくれると嬉しいって言ったからでしょ?私だってこのリボンすっごく気に入ってるし…。」

 

 

 

「気に入ってくれたなら嬉しいよ…。その……、あれだ……、凄く似合ってるぞ。それに………ほんと俺好みだよ。(ボソボソ)」

 

 

 

「……!!?」

 

 

 

後半の台詞はおそらく聞こえていないだろう。思わず出てしまった言葉だが仕方ない。本当に似合っていて、俺の好みだったのだから。

 

 

俺は恥ずかしい台詞を言うとともに再び前を向き歩き始めた。彼女はどんな表情をしてくれているのだろうか、褒められたのだし、嫌な気持ちにだけはなってないはずだ。本当の表情がどんなものか気になるところだが、あえて自身の想像だけで留めることにしよう、それはそれで楽しいし。

 

 

 

「レン!」

 

 

 

「ん~~?どうした~~?」

 

 

ノワールが何か言い忘れたことがあったのか、再度俺に呼びかける。俺も軽い気持ちで顔を軽く後ろへ向けたんだ。

 

 

 

 

 

 

ちゅっ。

 

 

 

 

 

「…ほ、本当は寂しいんだからね。だから早く戻って来なさいよね?///」

 

 

ヘッ?俺は今何をされた?ノワールに直に聞こうにも彼女は既に向こうの方へ走って行ってしまっていた。

 

 

 

頬の一部箇所に湿り気が帯びている…、そこに彼女が触れたのだ、一体何で?

 

 

(唇で)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えええええええーーーーー!!?」


 
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