No.413159

ゲイム業界へようこそ!その31

さらば諭吉!

2012-04-23 21:22:47 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1890   閲覧ユーザー数:1808

アイエフの攻撃は思った以上に手数が多いうえに、俺が離れようとすると直ぐに接近してきてしまう。その為コンパへと近づくことが全く出来ないでいた。

 

アイエフはゲームの序盤から中盤にかけて攻撃と補助の両方をそつなくこなしてくれる良いキャラだろう。攻撃スピードも早く、時にはネプテューヌよりも先に相手に攻撃して出来るほどだ。それでいて、頭も3人の中で一番回る。目の前で戦ってみて俺は、アイエフが如何に優秀で、重要な人物だったことに気付かされた。

 

 

 

「ハッ!セイッ!そこよ!!」

 

 

 

「クッ…(攻め込む隙が見つからんっ…。)」

 

 

 

「レンさん当たってくださいぃ~~!」

 

 

 

「あぶなっ!?それは無理な相談だなっ?」

 

 

しかもアイエフの方ばかりに気をとられていると、横からコンパの射撃にやられてしまう。あの射撃自体にはあまり威力を持っていないが、その分GP(ガードポイント)を大きく削られてしまうのだ。更に加えて、コンパとアイエフはキャラ性質上、HPよりGPを削る方に優れている。これらの情報から二人の攻撃を数回でもくらってしまったら、俺は防御力が大きく低下するガードブレイクに簡単に追い込まれてしまうだろう。そうなったら敗北は目前だ。

 

 

それだけは免れようと必死に二人の攻撃を回避しているのだが、「かっ・・はっ・・・・・」そんなことを考えていると遂に俺は被弾してしまったようだ。コンパの射撃が俺の右腕上部に当たったみたいで、やや腕が軋むものの、まだ問題なく動かせる。しかし、よく分からないのだが被弾した瞬間に体内部の精神力?のようなものがゴッソリ持ってかれた気がしたのだ。もしかしたらこれがGPを削ったということのなのだろうか?確かにこの精神力のようなものが全て奪われたら、無気力状態となり非常に危険だろう。

 

 

 

このままでは成すすべも無く俺は負けてしまうだろう。今もコンパとアイエフは押せ押せと言わんばかりに俺を攻め立てている。アイエフの二度蹴りを僅差でかわし、僅かな隙を狙って攻撃するも、コンパの射撃の雨が俺の攻撃タイミングをことごとく邪魔している。

 

 

 

(仕方ない…あんまり気乗りはしないが……。)

 

 

 

そこで俺は考えていた一か八かの案を採用することにした。それは至って簡単な作戦、二人の前で俺は突如変身する。男性から女性へと変身した姿に二人はほぼ確実に何かしらのアクションを取ってくれるだろう。その一瞬の隙にコンパへと近づき、最大力の攻撃を彼女へと浴びせるのだ。その一撃でコンパが落ちてくれれば儲け物、そうでなくても大きな収穫となるはずだ。

 

 

少々ずる賢い作戦だが、このジリ貧に押されている現状を打開するには仕方無いだろう。(この案は俺が変身しなければいけないので、出来れば使用したくなかったのだが…。)

 

 

 

「(やるしかないな…、済まない二人共…。)変身!!」

 

 

 

それと同時に俺はいまだに慣れない眩い光に包まれ、一瞬のうちに美しい女性(自身のことを褒めるのもどうかと考えるのだが。)へと変化した。薄紅色の髪は人を引き付けること容易く、スレンダーでいて出る場所はこれでもかと思うほどに出ている。特に胸が……そう、胸がね!!

 

 

今は俺の外見のことはどうでもいい!それよりも二人の状況だ。俺の変身姿に二人はっと……ウン、固まってるね…。というか少し向こうで戦っていたネプテューヌとブラックハートの二人まで戦闘を止めてこっち見ていらっしゃる。ブラックハートは「ハァ~…」とか凄く深いため息まで吐いているみたいだけど。エッ?何か問題とかあった?

 

 

 

とっとりあえず皆の目は気にしないで、戦闘再開ダ!べっ別に変に見られたからって恥ずかしくなんてないんだからね!?

 

 

 

当初の予定通りコンパへと一直線に突撃していく。俺が彼女の目と鼻の先まで近づいた時になって、やっと周りが動きだしたようだ。

 

 

 

「えっえっえぇぇ~~?いったいなんなんですかぁ?」

 

 

コンパは酷く混乱しているようだが、今はそれが命取りとなるだろう。俺は力をやや込めた肘鉄を未だ動揺している彼女の腹部へとあたえた。生身の人間には少々キツイだろうレベルだ。コンパはそのままは意識を失い、倒れそうになるのを俺は軽く支えてやる。さすがに彼女ははまだまだ若い女の子だ、体は出来るだけ優しく扱ってあげなければなるまい。俺はコンパをお姫様抱っこして戦闘に支障をきたさないだろう少し離れた場所まで運び、そこに横たわらせてやった。

 


 
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