No.412306

《インフィニット・ストラトス》~二人の転生者~

菊一さん

第十六話です。書き溜め分?あんまり進んでないです^^;

2012-04-22 03:46:34 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1250   閲覧ユーザー数:1167

第十六話 クラス対抗戦

五月、春も中旬ぐらいになただろうか、桜は散り、緑色の葉っぱが目立つようになってきて生命の息吹を感じるようになってくる季節。気温も少し高く、日の光が眩しい。今の時間は昼休み、俺は屋上や学食には行かず、学校の所々にあるベンチや日光を遮れる樹の根元で購買で買ったパンを食うのがマイブームになっていた。流石にそれについてくる女子はおらず、一人でのんびりと昼食を食べれるのだ。

「さ~て……今日は何処にしようかな?……あれ?春華じゃん?」

少し先の樹の根元に体育座りでパンを食べている姿を見つけた。そして周りには――

「……何であいつは猫に好かれるのかねえ?」

どこから入ってきたのかわからない猫が存在していた。春華の隣で寝ている猫、肩に乗っかってる猫、頭の上でダラ~ンとしている猫、様々な猫がそこにはいた。

俺は近づいていき、春華に話しかける。

「春華、隣いいか?」

俺の声に気づいてジュースを飲んでた春華が顔を上げる。頭の猫が悲鳴のような鳴き声を上げながら後ろにずり下がっていったのは内緒だ。

「あ、お兄ちゃん、いいよ~。んしょっと」

春華は右で寝ていた猫を抱えて左に移動させるとそこをぽんぽん、と叩いた。座っていいよという意味なのだろう。俺は腰を下ろす。

「あと春華、その座り方はやめたほうがいい、中が見えてる。ついでに水色と白の縞柄だった」

「…………!!?」

俺がパンの袋を開けながら何気ない感じで言った言葉に一瞬遅れて春華は足を崩してスカートを抑えた。

「もう!お兄ちゃんのエッチ!!」

「無防備なお前が悪い」

春華が顔を真っ赤にさせて涙目になりながらポカポカ叩いてくる。傍から見たり、表現すれば可愛いものだが何気に痛い。しかし俺にも責任はあるのでパンを食べながら終わるのを待つ。

「……う~、見られるんだったらもうちょっとちゃんとしたのを穿いてくればよかった」

そこかよ!?春華の思考がたまにわからない時がある。

「まあ俺以外に見てないからいいんじゃね?」

「……お兄ちゃんに見られたのが一番ショックなの」

「そうか、それはスマンことをした」

俺はまったく謝る気がないような返事をしたあと、パンを食べ始めた。

「……明日だったよな、クラス対抗戦」

「そだよ~、夏お兄ちゃん勝てるかな?」

「ん~、運次第じゃね?まあそこそこいい勝負はすると思う」

春華は猫を抱っこしながら言う、俺はそれに焼きそばパンを食べながら答える。

「……ねえ、夏お兄ちゃんは何を教えたの?」

「ん?ん~、冬姉の戦い方。瞬時加速だけ」

「なるほど~……じゃあやっぱり運だね~」

「だろ?……ふ~」

食べ終えた俺は煙草を取り出し、吸い始める。

「……学校内で堂々と吸うのはどうかと思うんだけど?」

「バレなきゃいいんだよ、バレなきゃ」

実際冬姉も家の中では黙認していた。流石に家の外では怒るだろうし織斑家でも匂いがつくと嫌だろうと思い自重していた。灰皿は何時も置いてあったけどな、それ以前常識の範疇内ではまず吸わない。

ついでに知識として。俺は両切り煙草を吸っている、要はフィルター無し煙草。このフィルター無し煙草、実は普通の吸い方だとキツくて煙草の葉が口の中に入って来ると言われるが、それはフィルターありを吸っている人がフィルターありと同じように数からである。本当は口で軽く咥え、肺まで吸い込まないで悔いで味わうのが正しい吸い方。しかもカレースプーン一杯程度の煙が適量。吸う前に片側を軽く炙り、それで一度点いた火を消してからまた点けて吸うのが美味しいらしい。あと灰は出来る限り落とさない、そうすることで煙が冷えていいそうだ。ついでに銘柄はかの芥川龍之介も吸っていたらしい《ゴールデンバット》。結構美味しい。あとはピース(10)。

俺は吸い終わった吸殻を携帯灰皿に入れ、立ち上がる。

「じゃあ俺そろそろ戻るわ、お前も授業に遅れるなよ~」

「うん、わかった~」

そういって教室に戻り、午後の授業を消化した。

 

時間は進み放課後、俺は開発室のコアの所へ向かった。ついでに先日春華の打鉄のコアを調べてみたんだがどうやら束さんの作ったものであり俺が人格を植えこんだら春華みたいな性格になってしまって……意気投合して春華の専用機――俺は《アカツキ》と呼んでいる、それに組み込んでいた。春華は既にフォーマットが終わっており、春華の左の薬指に指輪となって待機してある。いや、狙ってやったわけではないのだが……アカツキ自身が他人に渡したくないとか?独占欲の強いやつめ……俺もそうなのか?

「……いや、それはないはず」

『なにがですか?』

「ん?ああ、こっちの話」

いかんいかん、いつの間にかコアの前で考えていたらしい。

「で、今日は何を話そうか……というか俺と話してて楽しいか?」

『……私は楽しいです。他のISや操縦者だた人たちとは話せませんでしたから』

それはそうだ。俺が作った数個のISのコアとアカツキのコア以外は人格がない、操縦者に話そうものなら欠陥機扱いだろう。

「そりゃ悪かったな……でもま、再び俺と会えたんだ。今はそのことに喜びを感じることだな」

『そう、ですね……それで返事ですが』

「返事……というと俺のISのコアになることか?」

『はい……私で良ければ、是非』

……何故だろう。待ち望んでいた返事のはずなのに、嬉しいはずなのに……俺は呆けてしまった。

「あ、あの……駄目だったでしょうか!?」

「い、いやいやいや!すげえ嬉しいよ!?でも、俺でいいのか?」

「……はい、貴方と過ごした時間が楽しいものであったから……これからずっと一緒に居ましょう」

……何故だろう、彼氏彼女の告白みたいな、複雑な心境に……

「……よし、じゃあ今日はもう遅いから今日は君をISに定着させるだけにしよう!……っと、名前を決めないとな、IS名じゃ失礼だし……《ウインド》……お前は《ウインド》だ。ゲイルだと男っぽいしな。ウインドなら大丈夫だろう?」

『ウインド……えへへ、嬉しいです』

「なら良かった……よし、定着するから少し我慢してくれな……」

そういって、俺はケースからコアを取り出し、ゲイル・ウイングに取り付けた。

「よし、細かい設定やフォーマットとフィッティングは明日ゆっくりやろう。それじゃおやすみ……」

今日は返事がない。ISを稼働してやらないと恐らく喋れないのだろう。しかし一瞬俺のISが光ったように感じたのは……気のせいだろうか?

 

次の日、クラス対抗戦まであと数十分という時間、俺はアリーナの外で手持ちのモニターを見ていた。なぜかって?女子だらけのアリーナの観客席で男一人はキツイものがある。

「とは言え……ここは人が居ないなあ」

現在アリーナのすぐ近くのベンチ。残りの女子は観客席、あふれた女子もアリーナのモニター室などだろう。

「……しかし中国の第三世代……トゲトゲしてて痛そうだ。実際には使い方違うけどさ」

俺は鈴のIS《甲龍》を見ながら言う。特に肩の非固定浮遊部位(アンロック・ユニット)がトゲトゲしてて痛そうなのだ。だが実際には《龍砲》という空間に圧力をかけて砲身、余剰で生じる衝撃が砲弾、そしてそれを打ち出すという第三世代兵器だ。そして背負っている青竜刀――《双天牙月》は二本あって、連結することでブーメランのように投擲することが可能なのだ。こちらは禍々しい見た目……正直言って開発者のセンスを疑う!

しかし甲龍は他の第三世代とは違い安定性と燃費を重点的に開発しているため、その点は俺としては感心するところだ。

「しかし白式VS甲龍か。両方共近接戦闘メインだからな、普通に考えれば龍砲がある甲龍が有利だが……夏が上手くやれば勝てる」

失敗したら終わりだけどな。

『それでは両者、規定の位置まで移動してください』

モニターのスピーカーを通してアナウンスが聞こえる。それに促されて両者が空中で睨み合う。距離は五メートル位だろうか。その時スピーカーからオープンチャネルの会話が聞こえてきた。

『一夏、悪いけど全力で行かせてもらうわよ』

『ああ、全力で来い』

『一応言っとくけど、ISの絶対防御も完璧じゃないのよ。シールドエネルギーを突破でする攻撃力があれば、本体にダメージを貫通させられる』

「おいおい、お前は夏を殺す気かよ」

まあもちろんそんなことは不可能だ、ISには絶対防御があるからな。しかし絶対防御は搭乗者の命に別状がない攻撃(例えば少しの切り傷など)では発動しない。詰まる所シールドエネルギーを破れて命に関わる大きな傷を与えなければ搭乗者に痛みを感じさせることは可能なのだ。まあこの世にはIS操縦者に直接ダメージを与える()()()()の装備や武装もあるがな。もちろん協議規定違反だけどな。ついでに白式の零落白夜はシールドエネルギーを敗れるが攻撃力と攻撃自体が斬撃の攻撃なので、当たった場所がたとえ腕でも出血多量で生命が脅かされるとISが判断して絶対防御が発動する……よく考えてあるものだ。

『それでは両者、試合を開始してください』

「お、はじまったか」

ビーッと試合開始を告げるのブザーがなると同時に鈴が双天牙月を振り上げて攻撃を仕掛けた。それを夏は雪片弐型を展開して防ぐ、が衝撃を耐え切れなく吹き飛ばされる。

「お、三次元躍動旋回(クロス・グリッド・ターン)!セシリアにでも教えてもらったのか?少しは役に立ってるみたいだな」

三次元躍動旋回を使って再び鈴を正面に捉えた夏に鈴が通信で話しかける。

『ふうん。初撃を防ぐなんてやるじゃない、けど――』

鈴は二本の双天牙月連結し、縦、横、斜め、と自由自在に角度を変えながら夏に斬り込んでいく。高速回転しながら攻撃してくる鈴の斬撃に対して夏は雪片弐型で粘るが、苦しいのがモニター越しでも手に取るように分かった。

夏は消耗戦になると踏んで、距離を取ろうと後退するが、それが間違いだった。

「馬鹿!さがるなっ!」

『――甘いっ!!』

俺と鈴の声が重なると同時に、甲龍の方にある非固定浮遊部位のアーマーがスライド展開し光った瞬間、夏は()()飛ばされた。

『今のはジャブだからね』

鈴がにやりと笑ったすぐ後に夏はまたも殴り飛ばされて、アリーナの壁に激突する。

『ぐあっ!!』

夏の痛みに耐えられない声が聞こえてくる。

「くそっ!龍砲か……二発も食らったが夏大丈夫か?シールドは?76も食らってやがる!?」

こりゃあ早く勝負決めねえとヤバイんじゃねえか?ただし、タイミングが重要だけどな……

 

「よくかわすじゃない。衝撃砲《龍砲》は砲身も砲弾も目に見えないのが特徴なのに」

全くその通りだ。俺は食らってみて実感した。砲弾が見えないのはまだいいとしても砲身まで見えないのは厄介だった。それに付け加えてこの衝撃砲は砲身射角がほぼ無制限に撃ってくるのだ。上下左右は勿論のこと真後ろまで撃ってくる。射線は直線なのだが……

しかも操縦者の鈴の能力がかなり高い。無制限機動に全方位への軸反転など、基礎の全てを高い水準で習得している。くそっ、鈴ってそんなに頭良かったか!?

俺は頭の中で過去の鈴を思い出していた。そういえば秋が有名な神学校の私立中学に入学した時に追いついてやるっ!とか言って猛勉強してたっけ?恐らく中国に帰ってからも代表候補生になるために勉強したんだろう……マジで俺勝てるのかよ……

現在ハイパーセンサーを使って大気の流れを探らせているのだが、それでは撃たれてから反応してるので遅い、何処かで先手を撃たなくては……

俺は雪片弐型を握りしめて秋との訓練を思い出す。

 

「ほらほら、どうした夏!もっとスピードあげないと近づけないぞ!?」

「く、くそっ!!」

俺は模擬戦で秋が駆るリヴァイヴと対峙していた。

俺はスラスターを吹かし、加速しながら雪片弐型を展開し、光の刃――零落白夜を発動した。

「も・ち・ろ・ん……俺からの攻撃もわすれてないよなぁ!?」

すると秋はアサルトライフルを高速切替で呼び出し、突っ込んでくる俺に向かって引き金を引く。

結果は秋の攻撃と零落白夜でシールドが0になった俺の負けだった。

「ハア……ハア……くっそ~勝てねえ……あのときの実践授業よりかは加速は上がってると思うんだけどな?」

俺はアリーナの更衣室でタオルで汗を拭きながら呟く。するとスポーツドリンクを持った秋が俺の隣に腰を下ろす。

「たしかに加速力は上がってる、認めてやるよ……ほら、温めでいいんだよな?」

「おう、サンキュー」

運動後の熱を持った体に、キンキンに冷えた飲み物を流しこむのは逆に体調を崩す恐れがあるのだ。冷たい飲み物は気分が爽快になるが、その一時のために体にダメージは与えたくない。

「……しかしなんで勝てないか、と聞かれれば単純にまだ加速力が足りないんだ」

「まだ足りないのかよ!?でもこれ以上の加速は無理だぜ!?」

秋の言葉に俺は叫ぶ、今でも精一杯なのに秋はまだ上がるという、叫びたくなるのは自然だと思う。しかし秋はため息をついた。

「……あのな夏、人間は『ああ、これが自分の限界だな』と感じるとそれ以上は伸びなくなる。進化と現状維持、どちらにも結構な体力などが必要だ。だけどな俺達はまだまだ若い、進化する可能性はまだまだあるはずなのに自分で限界を作ったらそれ以上は伸びないぜ?……とは言え、白式やISは所詮機械だ、スペック以上のものは出せない。そこで出てくるのが瞬時加速だ」

秋はそう言ってスポーツドリンクを飲む。瞬時加速……聞いたことない言葉だった。

「なあ、瞬時加速って?」

瞬時加速(イグニッション・ブースト)……後部のスラスター翼からエネルギーを放出して再びそのエネルギーを取り込んで、圧縮して放出、その際に得られる慣性エネルギーで一気に加速する方法だ。ついでに速度は吸収するエネルギーに比例する。これは外部のエネルギーでも可能だ。ただし直線にしか加速できないけどな、空気抵抗や圧力で怪我や骨折したいなら話は別だけどな」

秋は立ち上がり空のペットボトルをゴミ箱へ捨てる。

「それってつまり、その瞬時加速で一気に近づいて俺の間合いに入ったら零落白夜で切るってことか?」

「そうだ、瞬時加速だから恐らく相手は反撃できる隙が十中八九ないだろう。たとえ反撃されても白式のシールドエネルギーが減る前に相手が絶対防御を使って勝負が決まるはずだ。但しこれは奇襲……使い所を間違えると負けるけどな」

「けれど決まれば……」

俺と週替向き合い、ニッと笑う。

「「一撃必殺!!」」

 

普通に考えば実力差は歴然だ。しかも鈴は戦闘になると普段と変わって冷静になるタイプだ。そしてこういう相手は強い。

そんな相手との実力差を埋めるとしたら、それは心しか無い。気持ちだけは、何にも負けない。そんな《意志》がzrつ某的な戦いにも一筋の光明を指すと信じ、前に進むだけだ。

「鈴」

「なによ?」

「本気で行くからな」

俺は鈴を覇気のこもった真剣な眼差しで見つめる。その覇気に押されたのか、鈴は曖昧な表情を浮かべた。

「な、なによ……そんなこと、当たり前じゃない……。とっ、とにかくっ、格の違いってのを見せてあげるわよ!」

鈴は連結した双天牙月をバトンのように一回転して構える。俺は衝撃砲が火を噴く前に秋との特訓で身に着けた瞬時加速で懐に飛び込めるよう、加速体制に入った。

「す~……は~……」

俺は深呼吸をして心を落ち着かせる。

この奇襲は一回しか使えない。だからこそ、雪片弐型の零落白夜を同時にに放つ。これで半分以上削れなかったら、俺に勝ち目はない……全身全霊をこの一刀に……掛ける!!

「うおおおおっ!」

俺は瞬時加速をつかって鈴の懐に飛び込もうとした瞬間――

ズドオオオオンッ!!!

大きな爆発音がしたかと思うと、突然大きな衝撃がアリーナ全体に走った。鈴の衝撃砲を超える、範囲も威力も桁違いな《何か》。

しかもステージ中央からは黒煙が立ち上っている。さっきの衝撃は《それ》がアリーナの遮断シールドを貫通して入ってきた衝撃波らしい。

「な、なんだ?何が起こって……」

俺は突然の出来事に、頭の中が混乱していた。

 

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どうも、作者の菊一です。

今回は思ったより短かったのですが、まあ言いたいことは言えたと思うので大丈夫かな~と。

次回!遂に専用機が登場なるか!?そしてアリーナに侵入してきた《何か》とは?そして秋葉と春華が取る行動とは!!……次回は長くて内容が濃い話が望めそう……しかし書き終わってない!!ストックが無くなっちゃったよ~><。

次回少し遅れるかもです~^^;「早く読みてーーー!!」的なコメントをくれると作者の創作意欲が上がり、投稿される時間が早くなる(可能性がある)。

ではまた~


 
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