No.411256

三人の御使い  獣と呼ばれし者達  EP8  思惑

勇心さん

お久しぶりです

今回は一刀が白蓮を挑発した理由が暴かれる回です

う~んと思うかもですが、なにとぞよろしくお願いします

2012-04-20 00:54:18 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:2200   閲覧ユーザー数:1957

 

 

 

 

 

 

 

 

星「この御人の目的は―――『白蓮殿に嫌われる事』です」

 

 

 

 

 

 

 

 

星のその一言に一刀を除く全員が愕然とした―――否、愕然とするしかなかったのだ

 

 

余りにも唐突なその言葉は

 

 

余りにも予想外なその言葉は

 

 

言葉を失うには十分すぎるものだったのだから……

 

 

 

 

 

しばしの静寂が流れた時―――

 

一人の女性が沈黙を破った

 

 

 

 

 

 

 

桃香「……根拠は……根拠はあるの?」

 

 

 

 

 

 

沈黙を破ったのは桃香だった

 

それは意外な人物だった

 

その意外な人物が緊迫した空気を打ち壊したことに周囲の人間は狼狽え

 

星「…………」

 

問われた者は彼女の問いに黙秘を決める

 

桃香「ねえ……答えて…よ?そんなことを言い切れるだけの根拠が……あなたにはあるの?」

 

桃香の弱々しく問いかけるその様子は

 

星に詰問している……と言うよりも

 

星の言葉を信じられない―――信じたくないという懇願にも似たものであった

 

桃香「……ねえ? 嘘…だよね? だって……だって一刀さんが白蓮ちゃんに嫌われる必要なんてどこにもないじゃない……どこにも……どこにも!!」

 

遂には縋り付くように星の手を取り、泣き叫ぶ

 

赤子のように泣き叫ぶ

 

それも当然だ

 

必然だ

 

こんな事になって傷付かない人間の方がどうかしている

 

 

 

自身が心から―――

 

本心から―――

 

『天の御遣い』と信じて

 

仲間と信じて

 

共に居ることを誓ったはずの人が……

 

 

 

自分のかつての親友に嫌われるために動いていたのだ

 

 

 

 

 

信じられるわけがない

 

 

 

 

 

 

予想出来るわけがない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

微塵も思えるわけがない

 

 

 

 

 

 

 

 

それだけの信頼を……桃香は一刀に寄せていたのだ

 

 

 

託していたのだ

 

 

 

だが―――

 

 

 

それでも彼は行動した

 

 

 

桃香を―――

 

 

 

否―――

 

 

 

桃香達を裏切る行為を

 

 

 

平然と、

 

 

 

飄々と、

 

 

 

抜け抜けと

 

 

 

彼は―――北郷一刀は行ったのだ

 

 

 

裏切られた彼女たちにとってこれ以上の悲しみはないだろう

 

 

星にとってそんな彼女達の姿は

 

傷付いた心は

 

これ以上ないほどに憐れであり

 

見ていられるものではなかった

 

だからこそ、星は覚悟を決めて口にする

 

星「……それでは今からお話ししましょう。彼が―――この御使い殿が何故このような―――皆を悲しませ、戸惑わせ、あなた方を裏切るような馬鹿な行動に出たのかを……」

 

こんな憐れな彼女達の心を少しでも軽くするために

 

決意を込めて……敵意を込めて……憐れな彼女達を傷つけた元凶となる男に

 

北郷一刀という名のペテン師に向かって

 

 

 

言い放った

 

 

 

星「さて……一体どこから話しましょうか?あなた方としては聞きたいことは一つや二つでは済まぬでしょう?」

 

 

話始めた星は最初にそんな質問を投げかける

 

当然、その場に居る全員が深く頷くと皆を代表して愛紗が一歩前に出て

 

愛紗「当然だ……一つ、二つどころではない。我々が知りたいのは―――全てだ」

 

覚悟を持った瞳で星の問いに応える

 

星「……うむ、良い瞳をしている。目を見るだけで覚悟の程が窺える。ならば、私も誠心誠意応えることとしよう」

 

愛紗「……頼む」

 

星「心得た……」

 

 

 

そして、星は静かに語り始める

 

 

 

星「まずは……話をする前に一つあなた方の誤解を解いておきましょう」

 

愛紗「誤解……だと?」

 

星「ああ……誤解だ。私はこの話をする前に『北郷殿は白蓮殿に嫌われることが目的だ』と言ったが……正確にはそれは少し違うのだ」

 

愛紗「……違うとは一体どういうことだ?」

 

星「北郷殿はな……『ある目的』に行き着くために、どうしても『白蓮殿に嫌われる』という手段をとらなければならなかったのだ」

 

星の言葉に近くにいた白蓮が反応する

 

白蓮「私に嫌われることが手段だと?そんなことをしてまで達したい目的とは何なんだ?と、言うより……本当にそんなことをしないと達せられない目的なのか?」

 

白蓮は最も疑問を口にする

 

しかし、そんな白蓮の疑問すらも星はあっさりと答える

 

星「ええ……実際私もそう思っていました。いや、今でもそう思っています。しかし、彼にとってはその手段は絶対に『目的』を成功させるために必要だったのでしょう。……まったく、これから全てを話そうと言うのに私自身がそのあまりの馬鹿らしさに頭を抱えたくなりますよ。……それほどまでに彼の考えは愚かで浅はかで―――どうしようもないほどにお人好しなのです」

 

そう言うと星は数秒だけ瞳を閉じて、その閉じた瞼を開くと同時に今回の真相を口にした

 

 

 

 

星「―――彼は…劉備殿……貴方達を『危険な目に合わせずに確実に独立させるため』に自ら悪役を買って出たのです」

 

 

 

 

星が口にするその言葉にその場の全員の思考が停止した……

 

 

 

 

愛紗「ど……どういうことだ、星!!」

 

 

停止した思考から解放された愛紗は感情の赴くままに星の胸ぐらを掴んだ

 

そうでもしないと乱れた自我を正常に保つことが出来なかったからだ

 

胸ぐらを掴まれた星はその行動を予測していたのか、涼しい顔のまま冷酷な言葉を愛紗に浴びせる

 

 

星「落ち着いてもらおうか、関羽殿よ……どういうことも何も―――今私が言ったことが今回の事の次第の真相と北郷殿が必死に成そうとした目的だ。これからその理由と詳細を話すのだから、これ以上この場を乱すのは止めてもらおうか。辛いのは何も貴公だけではない。皆同様に辛いのだ……それでも皆が黙っているのは今回の真相の全容を知りたいことに他ならない。貴公の勝手な都合でこれ以上喚き散らすのなら即刻この部屋から出て行ってもらおうか?」

 

愛紗「!!!」

 

星の言葉に愛紗は何も言い返せなかった

 

それが正論だということが他ならぬ愛紗自身が一番分かっていたからだ

 

『辛かったのは自分だけではない』

 

その事実に愛紗は自身の情けなさに自身の頭が冷えるのを感じた

 

愛紗「……すまなかった、星。話を続けてくれ」

 

冷静になった愛紗は星にこうべを垂れて謝罪をし、話の続きを促した

 

星は頭を下げる愛紗の姿を見て、静かに微笑する

 

星「何……構わんさ。貴方が取り乱すのも無理からぬこと……それだけ意外なことを彼は―――北郷殿はしたのだから……」

 

そう言うと星はちらりと一刀を一瞥し、再度桃香達に向き直る

 

星「……さて、ここで話を続ける前に一つだけ―――劉備殿達に問うても良いですかな?」

 

そして、急に桃香達に質問をしてきた

 

質問を投げかけられた桃香達はいきなりのことだったため

 

桃香「……う、うん」

 

と言わざるを得なかった

 

星はそんな桃香の反応を見ながら問おうとしていた内容を口にする

 

星「問いと言うのは他でもありません……劉備殿、貴方達が白蓮殿の下に来た目的は何ですか?」

 

桃香「…………え?」

 

星の簡潔な質問に桃香の思考は一瞬停止した

 

それもそのはずだ

 

今の今まで一刀のことで話をしていて、そんなことは話の中でかするほども出ていなかった

 

なのに何故、今そんなことを聞いてくるのか

 

その理由が桃香には少しも見当がつかなった

 

だからこそ

 

桃香「そ、それ…は……白蓮ちゃんの……お手伝いを…」

 

つかないからこそ今の本心からの言葉を口にするしかなかった

 

 

 

 

 

しかし……

 

 

 

 

 

星「……それは嘘でしょう?」

 

 

 

そんな桃香の本心を

 

彼女は---

 

星はあっさりと否定する

 

その言葉に愕然とした桃香は語気を荒げて星の言葉に食って掛かる

 

桃香「う、嘘なんかじゃないよ!私は……心から白蓮ちゃんの力になりたいって……」

 

星「いやいや、嘘はいけませんよ?……ならば、聞きますが、貴方は『この先もずっと白蓮殿に仕える覚悟がある』と言えますか?」

 

桃香「!!!」

 

星「……言えぬでしょうなぁ、貴方には。貴方は―――貴方達はあくまで……白蓮殿の下で―――『独立できるだけの力を蓄えること』が目的なのですから」

 

星の発言に桃香達は凍り付く

 

桃香と鈴々は目を見開き

 

愛紗は眉間に皺を寄せて突き刺すような視線を星に向けた

 

その様子だけで星の発言が正しかったことを十二分に示していた

 

星「私に分かったことが意外でしたかね?しかし、そんなことは北郷殿の行動から推測すれば自然と浮かぶ答えなのですよ。その答えから逆算的に考えれば、貴方達でも北郷殿の考えがわかるでしょう……ですが、もうこの件にあまり時間をかけるのも、この場にいる全員に利があるとは思えぬので……ここから先はすべて私がお教えしよう。……ですので、もう少しだけ私の話にお付き合い願いましょう」

 

そして指を一本立てると、一刀の行動の意味を―――真相を淡々と話し始めた

 

 

 

星「まず……一つ目。北郷殿が行った『白蓮殿に対する必要以上の挑発の意味について』ですが―――これは劉備殿達を危険な目に合わせないための第一段階と理解してもらえれば分かりやすいと思う」

 

愛紗「第一段階だと……?星よ、それは少しおかしくないか?白蓮殿を挑発することと我々の安全が一体どうすれば結びつくというのだ」

 

星「まぁ、そう急かすな。……先ほど話した第一段階というのはな……一言でいえば白蓮殿から『ある言葉』を引き出すための擬餌のようなものなのだよ」

 

鈴々「擬餌って何なのだ?」

 

愛紗「……擬餌とは釣りなどに用いる獲物を誘き寄せる餌の事だ。要するにこの場合では白蓮殿から星の言うところの『ある言葉』を一刀様が誘き寄せた―――言わせたということだ」

 

鈴々「おお~、なるほどなのだ!!」

 

星「左様……そして、その北郷殿が引き出した白蓮殿の『ある言葉』というのは―――『友』というたった一文字の言葉だったのだ」

 

 

 

 

愛紗「……『友』……だと?たった……たったそれだけの言葉を引き出すために一刀様は公孫賛殿にあそこまでの暴言を吐いたというのか!?」

 

星「そうだ……意外だったろう?だがな――そのたった一言がどんな条約を結ぶよりも貴方達の身の安全を保障するには遥かに十分すぎる一言なのだよ」

 

愛紗「何だと?」

 

星「考えてもみろ。今の貴方達は形だけで言ってみれば白蓮殿の傘下に加わろうとしている一介の武人に過ぎん。……はっきり言ってしまえば―――白蓮殿に『いつ使い捨てにされてもおかしくない』程度の人材でしかないのだよ」

 

その言葉に先ほどまで星の話を黙って聞いていた白蓮が噛みついた

 

白蓮「ちょっと待て星!!お前は私がそんなことをする人間だと言いたいのか!?」

 

噛みついてくる白蓮を星は「どうどう」と言うように手を軽くひらひらと振りながら宥め、話を続けた

 

星「いえいえ、もちろん私はそんなことを微塵も思ってはいませんよ。しかし、一般論で言えば太守というものは皆そういうものでしょう?使える者は重宝し、少しでも危険な者は早い内に使い捨てにする。そうしたほうが効率的であり、何より安全だ。白蓮殿だってその程度のことは重々承知でしょう?」

 

白蓮「そ……それは…」

 

白蓮は星の言葉に何も言い返せなかった

 

愛紗が言い返せなかった時と同じように、それが正しいことだとわかっていたからだ

 

星「それがわかっていたからこそ、北郷殿はあのような行動を起こし、白蓮殿から『友』という言葉を引き出したのです。そうすることで最初の『太守と一般人』という上下関係がはっきり分かれている構図から『友と友』という立場が対等のところまで持って行ったのです」

 

愛紗「……対等……………ま、まさか!?」

 

星の言葉に思案する様に腕を組んで考えていた愛紗は、はっと顔を上げた

 

星「どうやら関羽殿は気付いたようだな。……貴方の予想通りですよ。彼は―――北郷殿は白蓮殿と劉備殿を『友』という対等の立場に引き上げることで、白蓮殿に劉備殿達を『使い捨てに出来ない』状況を作り上げたのです」

 

愛紗「……やはり」

 

星「まったく、恐れ入りますよ。さらに質の悪いことに北郷殿は白蓮殿から友という言葉を引き出すことで白蓮殿が『義に厚い』人間だということを知らしめたことで使い捨てに出来ない状況に対する付加価値を設けてしまった。……実際白蓮殿は義に厚い。そんなことは白蓮殿の友である桃香殿ならよくご存じのはず。ですが、その言葉をこの場で口にするのとしないのとでは大きく意味合いが違ってくるのです」

 

白蓮「ど、どういう意味だ星!?」

 

星「白蓮殿……まだお分かりになりませんか?この場には私たちの他に護衛の『兵士』が何人か配置されているのですよ?」

 

白蓮「そ、それがどうかしたのか?」

 

星「はぁ……いいですか、白蓮殿?私たち以外の人間は白蓮殿と劉備殿の関係を知らぬのです。何も知らなかった兵士達ならば、この先白蓮殿が劉備殿達をどのような扱いをしようが特に疑問や不満は持たないはずです。しかし、今先ほど白蓮殿が口にした『友』という言葉を耳にしてしまっことで、兵士たちには白蓮殿と劉備殿が『対等』なのだと認識させてしまったのです。つまり……『友』という損得勘定を抜きした間柄である劉備殿をこの先白蓮殿が使い捨てにしてしまうようなことがあれば……兵士たちは『次は自分達が使い捨てにされるかも…』という疑心暗鬼にかかってしまう恐れがあるということです」

 

白蓮「……あ…」

 

星「ようやく気づきましたか?そんなことになれば貴方の軍は瓦解する。貴方が先ほど口にした一言はそれだけの危険性を孕んだ一言だったのですよ。……北郷殿は―――いや、この『天の御遣い』はそこまでを計算に入れて貴方をあそこまで挑発したのですよ!」

 

そして、星は左手でビシッと一刀に向けて指を指し、同時に右手に二本目の指をゆっくりと立てた

 

星「まったく、本当に恐ろしい人ですよ……恐らく、これが二つ目の真相ですが―――これは一つ目の真相……つまり白蓮殿に対する挑発の効果をより高めるために『連れてきた兵士の全てが偽物だった』のではないでしょうか―――違いますか、北郷殿?」

 

一刀「…………」

 

問われた一刀は少しの間黙りこむと―――

 

一刀「……まぁ、正解かな」

 

―――と渋々といった感じで星の言葉を肯定した

 

 

 

 

 

桃香「……そ、そんな…」

 

一刀が肯定の言葉を口にしたことで桃香はあまりのショックに口を押えた

 

押えた手の下では動揺のあまりカチカチと歯が鳴り、膝はこれ以上立っていられないと訴えるようにブルブルと震えていた

 

しかし、

 

星「……可哀そうですが、まだ傷付くのは早いですよ、劉備殿。話はまだまだ続くのです―――今から……今から話す三つ目の真相こそが……北郷殿の貴方達にとって本当に……心の底から傷付いてしまう『最悪の真相』なのです」

 

そんな絶望の淵に立たされる桃香を更に追い打ちを掛けるように星は三本目の指を立てて最後の『最悪の真相』を口にする

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

星「……最後の真相……それは―――『劉備殿達にも嫌われること』だったのです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桃香は自身の世界が壊れる音を聞いた……

 

 

 

 

 

 

 

 

あれからどれだけの時間が経っただろう……

 

星の言葉に私を始め、桃香様、鈴々、公孫賛殿

 

広間にいた全員が呆然としていた

 

特に桃香様の反応は酷かった

 

呆然というよりも魂の抜けたような―――そんな表現が相応しかった

 

それ程までに酷い様子だったのだ

 

目の焦点は合っていない

 

立っていることすら儘ならない

 

そんな状態になってしまうほどに……桃香様にとっては悲しい真相だった

 

もちろん私も衝撃を受けた

 

今現在、自分の足で立てていること自体、我ながら不思議に思えてしまえるほどに……

 

しかし、それ以上に不思議に思えてしまうのが

 

星が語った最後の真相

 

あれだけ

 

あれだけ私たちの安全を確保するために動いてくれた一刀様の

 

最後の思惑が『私たちに嫌われる事』だったなんて

 

とてもではないが信じられなかった

 

信じたくなかった

 

 

そんな私の様子に気づいたのか

 

星は私に「……大丈夫か?」と気を遣って声を掛けてきた

 

私は軽く手を振りながら「大丈夫だ」と合図を送り、話の続きを促した

 

 

星はしばらく思考すると静かに口を開く

 

 

星「……では、話そう。最後の真相―――『劉備殿達に嫌われること』についてだが……関羽殿よ、一つ聞いても良いか?」

 

話始めた星は

 

愛紗「……何だ?」

 

星「何…簡単な質問だよ。そう身構えずに聞いてくれ」

 

そして、星は言葉続ける

 

星「あるところにとっても仲の悪い二人の男の子がおりました。二人は顔を合わせるといつも喧嘩ばかりです。今日もいつもと同じようにくだらない理由で喧嘩をしておりました。しかし、その喧嘩中の『あること』がきっかけで今までの二人の関係からは想像すらできないほどに仲良しなってしまいました。さて……ここで問題です。その『あること』とは何でしょう?」

 

唐突にたとえ話を始めた星はそこまで言い終わると私の方に視線を向け、そんな問題を出してきた

 

 

 

私は問題の答えがわからず、静かに首を横に振る

 

しかし、そんな私の反応を予想していたのか

 

星は楽しそうに微笑すると先ほどの問題の答えを口にした

 

 

 

 

星「ふふっ……正解は―――『共通の敵を作ったから』でした」

 

 

 

 

 

 

 

 

その一言で

 

 

 

 

 

私は全てを理解した……

 

 

 

 

わかってしまえば、一刀様の思惑は意外なほどに馬鹿げたものだった

 

 

星の話を要約すると

 

 

一刀様は私たちの今後の行く末を

 

出来るだけ安全に

 

出来るだけ確実に進んでもらうために

 

とんでもないペテンを仕掛けたのだ

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀様の立てた筋書はこうだ

 

 

 

 

一刀様は公孫賛殿に対して必要以上に挑発する

 

 

 

当然、公孫賛殿は冷静さを失い、怒りを露わにする

 

 

 

一刀様は冷静さを失った公孫賛殿の思考を巧みに誘導し、桃香様と公孫賛殿を対等な立場にする

 

 

 

その結果、公孫賛殿は桃香様を容易に切り捨てることが出来なくなり、我々の安全は保障される

 

 

 

しかし、この筋書には大きな欠点が一つだけ存在した

 

 

 

それは---『一刀様と私たちが仲間だという事実』だった

 

 

 

いくら公孫賛殿と桃香様が友という対等の立場を形成しようと一刀様が公孫賛殿に嫌われている以上、仲間である桃香様にもその嫌悪が飛び火して使い捨てにされるかもしれないからだ

 

 

 

そこで、一刀様は考えた

 

 

 

公孫賛殿に自分と我々を切り離して考えてもらい、なおかつ桃香様との絆をより深くするための手段を

 

 

 

それはあまりにも馬鹿げた考えで

 

 

 

あまりにも悲しい考えだった

 

 

 

彼は---

 

 

 

一刀様は

 

 

 

公孫賛殿だけでなく私達にも嫌われることで

 

 

 

二人の『共通の敵になること』ですべての問題を解決しようと考えたのだ

 

 

 

二人の共通の敵になることで

 

 

 

二人は損得抜きの本物の絆を結び

 

 

 

自分が悪者になることで

 

 

 

私たちの安全も

 

 

 

未来も

 

 

 

そして

 

 

 

心の傷からも守ってくれたのだ

 

 

 

自身の名誉も

 

 

 

信頼も

 

 

 

ありとあらゆる全てのものを失ってまで

 

 

 

私達のことを守ってくれたのだ

 

 

 

何と言う自己犠牲

 

 

 

むしろ『自己の蔑ろ』と言っても過言ではない

 

 

 

そんな自分の身を顧みず、誰かを救う姿は

 

 

 

尊敬に値するものであり

 

 

 

そんな自分を大切に出来ない彼の姿は

 

 

 

どうしようもないほどに

 

 

 

 

 

 

哀しくなるものだった……

 

 

 

 

あとがき

 

 

 

プロットできていたのに投稿がだいぶ遅くなりました……

 

 

 

言い訳さしてもらえれば

 

 

 

今私は新社会人として現在研修の真っ最中でPC開く暇すらなかったのが原因でして(;ーー)

 

 

 

待っていなかったとは思いますが!!

 

 

あえてここは言わせてください

 

 

お待たせしました

 

 

 

と、まぁ毎度おなじみのネガ発言は置いといて

 

 

 

今回の話も読み辛いことこの上ないですね

 

 

 

読んでくださる方々は読み辛いことにイライラするかもしれませんが、そのあたりはスルーでお願いします

 

 

 

そして次回予告!!!

 

 

次回は敵来ちゃいます

 

 

本当は今回の話で入れようかと思ったのですが、長くなりそうだったので次回にしました

 

 

嘘ついてすいません

 

 

できれば次回も読んでもらえるとうれしいです

 

 

ではっ!!(=w=)

 

 


 
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