士ディケイドはバイク、マシンディケイダーに乗り、ハイパークライシス要塞とウルフメカから逃げ続けていた。
クロスはドナルドとともに、タイヤに変身したトランス・ドーパントを追い続けていた。
クロスはクロスフォンで待機モードのクロスラウンダーを呼び出し、トランスに体当たりさせる。
「うわっ!わったった!」
トランスは弾き飛ばされながらも体勢を整え、クロスとドナルドから逃げ続ける。
ハイパークライシス要塞から爆撃をしつつ、ハイパーネオ生命体は士ディケイドに話しかける。
「もう諦めなよお兄ちゃん。僕の勝ちはもう決まったんだからさぁ」
トランスは逃げながら悲鳴に近い声をあげる。
「しつこい奴らだな!いい加減諦めろ!!」
だがクロスはそれを拒否する。
「諦めるわけないだろう!!」
士ディケイドも諦めない。
「俺が大切なものを、守り続ける限り!」
「それを傷付けるやつを、僕は許さない!」
「何なのさ、お兄ちゃんは?」
「何なんだお前は!?」
「覚えとけ!俺は…」
「僕は…」
「通りすがりの…」
「十字架を背負いし…」
「「仮面ライダーだ!!」」
二人の仮面ライダーの声が、今、重なった。
「ドナルドです。」
クロスとドナルドはトランスを追いかけることに夢中で、異世界に迷い込んだことに気付いていなかった。
だが、自分達の隣を巨大な飛行物体が飛んでいたら、さすがに気付くだろう。
何かがおかしいということに。
「何だあれ!?」
ハイパークライシス要塞という空中要塞なのだが、今来たばかりの彼らが知っているはずはない。
クロスが驚いていると、ハイパーネオ生命体がクロス達の存在に気付いた。
「君達も僕と遊びたいの?いいよ。遊んであげるよ!」
ハイパーネオ生命体はクロス達も攻撃対象と見なし、爆撃を仕掛ける。
もはやトランスを追う余裕などなくなったクロス達は、爆撃の回避に専念する。
と、
「?」
クロスは自分達同様に爆撃を避けながら、なおかつ自分達と並走している何者かに気付いた。
どうやら仮面ライダーらしいのだが、こんなライダーは見たこともない。
相手もクロス達に気付いたようだ。
とりあえず、ハイパークライシス要塞の攻撃を避けることに専念する。
そして、ハイパークライシス要塞から距離が離れたところで、ハイパークライシス要塞は口から巨大な火球を吐き出した。
クロスと士ディケイドは並走しながら、ドナルドはその後ろを追いながら、崖から大ジャンプして回避する。
見事回避に成功し、三人は着地した。
そこで三人は、それぞれの乗機を止める。
「ようやく来たか。仮面ライダークロス」
士ディケイドはディケイダーから降りながら言った。
クロスは驚く。
「僕を知っている?あなたは一体…」
その時、クロスの脳内に大量の情報が流れ込んできた。
それによってクロスは理解する。
「ディケイド…仮面ライダーディケイド…!」
クロスは呟いた。
「僕は 白宮光輝です。」
「俺は門矢士だ。」
ついに世界を越えて邂逅した二人の仮面ライダー。
しかし、
「「うわあっ!!」」
「あらぁっ!」
ウルフメカが口から吐いた熱線によって、二人はドナルドもろとも吹き飛ばされた。
「素晴らしい!ここは天国か!?」
ウルフメカの頭部には、トランスが乗っていた。
「私が好き勝手暴れるには、最高の世界だ!!」
何やら感動しているトランス。
クロスと士ディケイドはそれを見て忌々しげに言う。
「あいつ、見失ったと思ったらあんなところにいたのか…!」
「どこかの誰かと同じようなこと言いやがって…」
士ディケイドはクロスを見る。
「光輝、力を貸せ。」
「はい!行くよドナルド!」
「もちろんさぁ♪」
クロスとドナルドは臨戦態勢に入った。
「よーし行け!」
ウルフメカを操り、勇ましく突撃するトランス。
「うおわっ!」
しかし、横から割り込んできた世界の架け橋に弾き飛ばされてしまった。
そして、世界の架け橋からW、アクセルを含めたライダー達と、ズバットが現れた。
「ライダーがこんなに…ディケイドがもう一人?」
「ちなみに、銃を持った青いライダーも二人いるだろ?あれはディエンド。二人いる理由は…まあちょっとワケありでな…」
「はぁ…ってWとアクセル?翔太郎さんとフィリップさんと照井さん?」
「あ?光輝?」
『どうやら君も来たようだね。』
「ふっ…来るのが遅いぞ…!」
Wとアクセルもクロスに気付く。
と、次の瞬間に再び世界の架け橋が現れ、アークライト達が出てきた。
「ったく、今度は何だ?」
ダンテが辺りを見る。
照山はクロスとドナルドの存在に気付いた。
「オイ!クロスだ!光輝だぜ!」
「ドナルドくんもおるやん!」
はやても驚く。
だが一番驚いたのはクロスだ。
「みんな!どうしてここ「光輝!」わっ!」
クロスは誰かにぶつかられた。
相手はもちろんフェイトである。
「光輝…よかった…本当によかった…!」
フェイトはクロスの胸にしがみついて泣いている。
「フェイトさん…。」
そこへダンテ達が駆け寄る。
「コウキ、お前どこ行ってたんだよ?お前とドナルドだけ来てなかったから心配したんだぜ?」
「それはこっちの台詞だよ。学園に着いたら誰もいないから、何かの事件に巻き込まれたのかと…」
「実際巻き込まれているがな。」
バージルがさりげなくツッコんだ。
「光輝…光輝…」
クロスは泣き続けているフェイトを慰めることにした。
「もう大丈夫だよフェイトさん。僕は、ここにいるから…」
「うん…うん…!」
「よかったねフェイトちゃん♪」
なのはもフェイトを慰める。
その光景を見ていたズバットは、Wに尋ねた。
「あれが、君の言っていた?」
Wは肯定する。
「ああ、仮面ライダークロス。俺達の世界を守る、もう一人の仮面ライダーだ。」
「そうか…。」
ズバットはもう一度クロスを見た。
「会えてよかったな。」
「さ、泣くのはもうおしまい。今はやるべきことがあるでしょ?」
トリッシュフェイトの慰めにも加わり、
「あのデカブツを、叩き落とさないと!」
レディはハイパークライシス要塞を見上げた。
左天と右天はアークライトに尋ねる。
「さて、どうやってあれを墜とします?」
「あそこまで飛べる人は限られてますからねぇ…」
それを聞いたヴィータは、ライダー以外で空中戦闘ができるメンバーを確認する。
「えーと、まず私とシグナムだろ?それからはやて、なのはにテスタロッサ。会長副会長、ダンテバージル、あとイヴもか……厳しいな。」
「ああ、戦力が少なすぎる。」
シグナムは肯定した。
このハイパークライシス要塞は、前回士ディケイド達が破壊したスーパークライシス要塞よりも、一回り大きいらしい。全員がかりで行かなければ、撃墜は難しいだろう。
その時、
「みんなー!大丈夫ッスかー!?」
大声が聞こえて、スバル、ギンガ、ティアナ、ノーヴェ、ウェンディの五人がやって来た。
アルカが驚く。
「お前達、どうして!?」
ノーヴェが答える。
「あたしらも手伝いがしたいんだ!協力させてくれ!」
「あの要塞まで行きたいんですよね?ならあたし達にまかせて下さい!行くよ、ギン姉!ノーヴェ!」
「ええ!」
「おう!」
三人は構えを取り、魔法を発動させる。
「「ウィングロード!!」」
「エアライナー!!」
空へ、多数の光の道ができた。
セツナ、未央が納得する。
「なるほど、これなら!」
「空を飛べなくても、あの要塞に攻撃できるね!」
梔はカンペを掲げる。
【っていうかこの五人、登場のタイミングがよすぎない?】
「いや、そこはツッコんじゃまずいだろ。」
照山が言った。
それを見ていたハイパーネオ生命体は笑う。
「そんな手を使うんだ?じゃあこっちも、秘密兵器を使わせてもらうよ!」
海東ディエンドが驚いた。
「しまった!まだ奴には秘密兵器がある!」
「そういえば、そんなこと言ってたな…」
ダンテは今さらながら思い出した。
すると、世界の架け橋が現れ、中からハイパーネオ生命体の秘密兵器が姿を現す。
クロスは出てきたものを見て驚いた。
「あれは、ライダー!?でも、なんだか様子がおかしい!」
海東ディエンドが説明する。
「奴らは各世界でライダー達の敵になった悪のライダー、ダークライダーだ。」
ティアナは衝撃に目を見開いた。
「ダークライダー…そんなライダーまでいるなんて…!」
しかしクロスは恐れることなく進み出る。
「ダークライダーは僕が相手をします。みんなはそれ以外を!」
「油断するな。ダークライダーは強敵揃いだ。しかもアルティメットクウガもいるぞ。」
「大丈夫ですよ。僕も強いですから」
海東ディエンドから警告を受けても余裕たっぷりなクロス。
そのことを妙に思ったイヴは尋ねた。
「何だ?変に自信満々だな。何かあったのか?」
「ちょっとね。」
今のクロスは、はっきり言って誰にも負ける気がしなかった。その理由を知っているドナルドは、無言で満足そうに頷いている。
「よし、行くぞ!」
士ディケイドはカードを取り出して使用する。
〈FINAL FORM RIDE・ALL R R R RIDERS!〉
すると、ライダー達が次々と超絶変形し、空を飛んでハイパークライシス要塞に向かって行く。
「俺も!」
ズバットはズバッカーに乗り、カードを挿し込む。
「ズバットロボ、作動!!」
『了解。ズバットロボ、変形します。』
すると電子音が響き、
『変形完了、ズバットロボ。』
ズバッカーはズバットロボに変形した。
「行くぞ!」
ズバットはズバットロボを駆り、ハイパークライシス要塞に挑む。
「僕達も行きますよ、フェイト!」
「うん!」
光ディケイドとフェイトディエンドもカードを使う。
〈ATTACK RIDE・WING ROAD!〉
〈ATTACK RIDE・AIR LINER!〉
空中に光の道が出現し、二人はそれを駆け上って行った。
「あたしとギン姉のウィングロード!?」
「あたしのエアライナーまで…」
スバルとノーヴェは自分達の魔法を使われたことにかなり驚いている。
「二人とも、驚いてる場合じゃないでしょ?」
ギンガが二人を元に戻す。
「っとそうだった!みんな、行くよ!!」
「ええ!!」
「おっしゃあーっ!!」
スバル、ギンガはマッハキャリバーとブリッツキャリバーを、ノーヴェはジェットエッジを操り、光の道を走る。
ウェンディは自分のデバイス、ライディングボードに飛び乗り、
「ティアナ、乗るッス!」
「わかったわ!」
さらにティアナを乗せる。
「全速力で、行くッスよおぉぉっ!!」
二人はハイパークライシス要塞へ飛ぶ。
「今度こそ終わらせる!私について来い!!」
「行くわよ、セツナ、未央、梔!!」
「はい、副会長!!」
「んぃ!!」
【×倒壊 ○了解】
アークライト、離琉はサイコキネシスで空中を。セツナ、未央、梔の三人は光の道の上を。それぞれ行く。
「弾幕はまかせるぜ。」
「オッケー♪」
左天と右天も光の道を走った。
「この戦い、必ず勝つ!!」
アルカも光の道の上を進む。
「やるよ、フェイトちゃん、はやてちゃん、シグナムさん、ヴィータちゃん!!」
「うん!!」
「よっしゃ!!」
「ああ!!」
「おう!!」
なのは達魔導師は空を舞う。
「行けるか、イヴ?」
「正直言ってあんまり余力はないが、退くわけにはいかない!行くぞ内田!!」
「照山だ!!」
イヴと照山は漫才をしながらも、ハイパークライシス要塞に向かって行く。
「やるわよトリッシュ!!」
「気を引き締めてね、レディ!!」
レディとトリッシュも挑んだ。
ダンテとバージルはそれを見ている。
やがて、ダンテがバージルに尋ねた。
「どうするバージル?俺達も飛行魔法は使えるが、あれだけのデカブツを『このまま』ぶっ壊すのはさすがに骨だぜ?」
「…そうだな。少し本気を出してやるか」
二人の身体に膨大な魔力が集中する。
そして、
「「デビルトリガー!!」」
ダンテは翼を持った赤い悪魔に、バージルは翼を持った青い悪魔に、それぞれ変身した。
「じゃ、第二ラウンドと行こうぜ、バージル。」
「ああ、そうしよう。」
二人の悪魔は羽ばたき、要塞の破壊に向かった。
「貴様ら、叩き潰してやる!!」
ようやく体勢を立て直したトランスはウルフメカを操り、士ディケイドとWに突撃する。
「行くぞ翔太郎、フィリップ!!」
「おう!!」
『ああ!!』
二人はトランスと戦いを始めた。
「お前の強さは認めるが、あれだけの数にたった一人では分が悪い。俺も行こう」
「ドナルドも戦っちゃうよ♪」
「ありがとうございます!!」
クロス、アクセル、ドナルドの三人は、現れたダークライダー、アルティメットクウガブラックアイ、ミラージュアギト、G4、リュウガ、オーガ、グレイブ、歌舞鬼、ダークカブト、牙王、ネガ電王、幽汽、レイ、アーク、ダークキバに戦いを挑んだ。
ハイパークライシス要塞に激しい攻撃を加えるライダー達。生徒会役員達もハイパークライシス要塞にダメージを与えているが、特にダンテとバージルの攻撃が一番激しい。
それもそのはず、ダンテとバージルが発動したのはデビルトリガー。
肉体を悪魔のものに変身させることで、能力を飛躍的に上昇させる、言わば二人の切り札。
一撃の破壊力、行動のスピードなども当然上昇する。
「ダンスマカブル!!!」
「絶刀!!!」
ダンテは凄まじい威力の剣撃を、バージルは超高速移動しながらの次元斬連発を、それぞれ放ってハイパークライシス要塞をボロボロにしていく。
士ディケイドとWはディメンションブラストを撃ったり、ルナメタルにハーフチェンジしての攻撃を繰り出すが、ウルフメカはその巨体から想像もできないような身のこなしを発揮し、全てかわされてしまう。
「そうらっ!!」
トランスはウルフメカを操り、熱線で攻撃してくる。
だがそれは自動でやって来たリボルギャリーに阻まれ、さらに自動でやって来たガンナーAがウルフメカに体当たりした。
WはガンナーAがウルフメカと対決している間に、バイク、マシンハードボイルダーをハードタービュラーに換装し、飛ぶ。
「来い士!」
Wが士ディケイドに呼び掛けると士、ディケイドはハードタービュラーに飛び乗り、
「「はああぁーっ!!」」
ウルフメカに突撃。
「うわぁっ!!」
トランスを叩き落とすことに成功した。
士ディケイドはハードタービュラーから飛び降り、トランスを追いかける。
「わっ、わったったたっ!!」
トランスは慌てふためきながら、逃げていった。
クロス、アクセル、ドナルドはダークライダー達を相手に激闘を展開する。
「なるほど、確かに強敵揃いだ!」
言いながら、クロスはレイとダークキバをレクイエムサーベルで斬りつける。
「おおおおおお!!!」
アクセルはバイクモードに変形し、グレイブ、歌舞鬼、G4をまとめて蹴散らす。
「ドナルドは今、ダンスに夢中なんだ!」
ドナルドは連続回し蹴りに、Uクウガ、Mアギト、リュウガ、オーガ、ダークカブト、牙王、ネガ電王、幽汽を巻き込み、
「自然に身体が動いちゃうんだ!」
アークを蹴り上げた。
やがて、ライダー達の激しい攻撃に耐えられなくなったハイパークライシス要塞は、地上モードに変形して降りてきた。
そのままWを標的に定め、エネルギー弾攻撃を繰り出す。
Wはそれをかわす。
『翔太郎。あれをいただこう』
翔太郎はフィリップの意図がわかった。
「またあれを?そう何度もうまくいくか?」
『やるしかない。』
「…そうだな!」
Wはハイパークライシス要塞の攻撃をかわしつつ、現在誰も乗っていないウルフメカに接近。頭部にドッキングする。
間髪入れず、Wはヒートメタルにハーフチェンジ。すると…
『グオオオオオ!!!』
ウルフメカの装甲が真っ赤になった。ハードウルファーの誕生である。
『うまくいった!』
「まさか二回もこんなことするとはな…まあいい。行くぜ!!」
Wはハードターウルファーを操り、ハイパークライシス要塞に突撃して連携攻撃を仕掛ける。
ライダー達からの攻撃ですでにボロボロだったハイパークライシス要塞は、さらにボロボロになっていく。
「これで決めるぜ!!」
Wはベルトのメモリスロットにヒートメモリを挿し込んだ。
〈HEAT・MAXIMUM DRIVE!〉
すると、ハードウルファーの全身が業火に包まれる。
Wはハードウルファーで突撃をかけた。
ハードウルファーはハイパークライシス要塞を押し倒す。
「もう一度自分達の武器でぶっ潰れろ!!」
激突の直前で脱出していたWは毒づいた。
こちらは爆発寸前のハイパークライシス要塞内部。
「ぐっ!?ぐあっ!!」
突然苦しみ出すハイパー死神博士。
そんな彼の首筋から一本のガイアメモリが、
〈HYPER SINIGMIHAKASE!〉
とガイアウィスパーを発しながら飛び出して、壊れた。
ハイパー死神博士は栄次郎に戻っていた。
「こ、ここは!?なんだか前にもこんなことがあったような気が…」
一人焦る栄次郎。
「おじいちゃん!!」
そこへ、キバーラが栄次郎を救うべくやって来た。
「な、夏海!なんだか前にもこんなことがあった気がするんだ!これはもしかして、デジャヴというやつなのかい!?」
「いいから、早く逃げますよ!」
キバーラはパニックに陥る栄次郎を連れて、ハイパークライシス要塞を脱出した。
「一度ならず二度までも…ライダーめ…!!」
ハイパーネオ生命体も脱出した。
まもなくして、ハイパークライシス要塞は大爆発を引き起こした。
〈CROSS・MAXIMUM DRIVE!〉
〈ACCEL・MAXIMUM DRIVE!〉
「ストラッシュラウンダー!!」
「はあっ!!」
「ランランルー!!」
クロスはクロスラウンダーに乗ってエネルギーの斬撃を放ち、アクセルは周囲を斬り裂き、ドナルドは謎の爆発を引き起こしてダークライダーを殲滅した。
「これで片付いたか…」
アクセルは一息ついた。
「…左達の様子を見に行かないとな…」
アクセルはWの元へ行こうとする。
しかしクロスはそれを止めた。
「僕が行きます。照井さんは休んでいて下さい」
「…すまない」
「ドナルドも行くよ。」
「大丈夫。ドナルドも休んでいて。」
「いいの?ドナルドは全然平気だよ?」
「…いいんだ。僕が行かなきゃいけない、そんな気がするから…」
クロスは走った。
士ディケイドはトランスを追い詰めていた。
なおも逃げようとするトランス。
そこへ、ハイパーネオ生命体が現れた。
「ドーパント君。きみの身体も精神も、いただくね♪」
言うが早いか、ハイパーネオ生命体は液体に分解し、トランスに襲いかかった。
「うわ!!あ、アア、オオオ……!!」
トランスは成す術もなくハイパーネオ生命体に飲み込まれ、以前に士ディケイドが倒した怪人、アルティメットDに変貌した。
「ごちそうさま♪」
「チッ、またか!!」
士ディケイドは舌打ちしながらも、アルティメットDに挑む。
だが、アルティメットDは、やはり強かった。
苦戦する士ディケイドの元へ、サイクロンジョーカーにハーフチェンジしたWが駆けつける。
「なんだ、また同じ手か?」
『懲りないやつだね。門矢士、あれを使おう!』
「…ああ、ちょっとくすぐったいぞ…!!」
士ディケイドはカードを取り出し、使用する。
〈FINAL FORM RIDE・D D D DOUBLE!〉
士ディケイドはWの背中に手を入れ、開く。
〈CYCLONE/CYCLONE!〉
〈JOKER/JOKER!〉
Wは二人になり、サイクロンサイクロンとジョーカージョーカーになった。
「久しぶりだな、この感覚。」
翔太郎が自分の身体を見ながら、久々の感覚を懐かしむ。
〈FINAL ATTACK RIDE・DE DE DE DECADE!〉
「行くぞお前ら。はっ!」
士ディケイドはカードを使って飛び上がった。
「決めるぜ、フィリップ!」
「ああ!」
翔太郎とフィリップも飛び上がる。
そして、
「「「はあああああああああああーっ!!!」」」
三人は合体技、トリプルエクストリームを繰り出した。
「ぐああああああああああああ!!!」
アルティメットDは爆発した。
Wは元に戻って、士ディケイドとともに着地する。
だが、ハイパーネオ生命体は死んでいなかった。破壊したのはアルティメットDとしての肉体だけである。
「まだだ…まだ僕は負けてない…!!」
『なんという執念だ!』
フィリップはハイパーネオ生命体のしぶとさに驚く。
だが次の瞬間、さらに驚くべき現象が起きた。
どこからともなく紫色の光球が大量に飛来し、ハイパーネオ生命体に吸収され始めたのだ。
「集え、怪人達の怨念よ…僕に、奴らを倒す力を…!!」
すると、ハイパーネオ生命体が大人の姿となり、皮膚が緑から紫に変色。翼と角と牙が生えた。
ハイパーネオ生命体は笑う。
「どうだ、仮面ライダーども!僕は怪人達の怨念と融合し、究極の存在『ヘルエンジェル』となった!もはやお前達など恐れるに足らない。一分で殺してやる!!」
高らかに宣言したハイパーネオ生命体、いや、ヘルエンジェルは士ディケイド達に襲いかかった。
強かった。ヘルエンジェルは圧倒的な力で士ディケイド達を追い詰める。
ヘルエンジェルは今まで倒された全ての怪人の力を有しており、クロックアップやフリーズまでが可能だった。
二人の攻撃を全く寄せ付けず、ひたすらに痛め付けていくヘルエンジェル。
「なんて野郎だ…!!」
『このままでは、勝てない!!』
危機感を募らせるW。
その時、クロスが駆けつけた。
「大丈夫ですか!?」
「光輝!」
「そうだ、お前もいたな。よぅし、お前も殺してやる!!」
ヘルエンジェルはクロスも標的に定めた。
「貴様…よくも!!」
クロスは怒りをみなぎらせ、ヘルエンジェルに挑む。
だが、クロスまでもが追い詰められる。
「くっ、強い…!!」
『光輝!このまま戦っても奴には勝てない!』
「じゃあどうすれば!?」
「俺に考えがある。ちょっとくすぐったいがな…」
士ディケイドは一枚のカードを出した。
クロスはそれを見て、迷うことなく答える。
「わかりました。やって下さい!!」
全てを察したクロスは士ディケイドに背を見せる。
「よし!」
〈FINAL FORM RIDE・C C C CROSS!〉
士ディケイドはカードを使用し、クロスの背中を開く。
クロスは『クロスレクイエムサーベル』に超絶変形した。
「何をやっても無駄だ!!消滅させてやるよ!!」
ヘルエンジェルは浮かび上がり、両手を上げて巨大な紫の光球を作り出す。
〈FINAL ATTACK RIDE・C C C CROSS!〉
士ディケイドはさらにカードを使用し、クロスレクイエムサーベルを構える。
「行くぞ、光輝!」
「はい!」
「だあっ!!!」
ヘルエンジェルは光球を投げつけた。
「らあっ!!!」
士ディケイドもクロスレクイエムサーベルを十字に振って十字状の斬撃を放つ。
放った斬撃は高速で飛んでいき、光球を切り裂き、ヘルエンジェルに直撃した。
「何!?ぐはっ!!」
「とどめだ!!」
さらにクロスレクイエムサーベルを投げつけヘルエンジェルの腹に突き刺した。
「はっ!!」
士ディケイドは飛び上がる。
「そんな馬鹿な…この僕が…!!」
致命傷を受けて苦しむヘルエンジェル。
「はああーっ!!!」
士ディケイドはクロスレクイエムサーベルの柄に向けて飛び蹴りを放った。
同時にヘルエンジェルへとエネルギーが送り込まれる。
『ディケイドソウル』。これこそが士ディケイドとクロスの合体技だ。
「ぐああああああああああああアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」
ヘルエンジェルは全身に光の亀裂が入り、
ドガァァァァァァァァァァァァン!!!!!
爆発して消滅した。
今度こそ勝ったのだ。
クロスは元に戻って士ディケイドと一緒に着地した。
「これで、終わったのか?」
Wが呟くと、
「ああ、ハイパーショッカーとの戦いは終わった。」
士ディケイドが肯定して変身を解いた。
クロスとWも変身を解く。
と、士がおもむろに、近くにあった崖を見た。光輝と翔太郎も見る。
崖の上には、戦いに協力してくれたライダー達がいた。
ライダー達はすぐ後ろに現れた世界の架け橋をくぐり、元の世界に帰っていった。
その後、アークライト達がやって来た。フィリップや亜樹子、照井やドナルドも一緒だ。
「コウキ!勝ったんだな!」
「やったじゃねぇか!」
ダンテと照山がねぎらう。
と、
「どうやら、この世界での僕達の役目は終わったみたいですね。」
声が聞こえた。
前を見ると、光ディケイドとフェイトディエンドが立っていた。
二人は変身を解いた。
光輝は仰天する。
「え!?ちっちゃいフェイトさん!?」
バージルとアルカが説明する。
「あの二人も別世界から来たライダーだ。」
「ここは異世界だから、何が起きてもおかしくはないだろう?」
「ま、まあそうだけど…」
しかし、光輝はさらに驚くことになる。
「光、ご褒美ちょうだい♪」
「いいですよ/////」
二人は熱い口付けを交わしたのだ。
「うええええ!?/////」
光輝は赤面した。
ちなみにこちらのフェイトは、ボンッ!と頭から湯気を出し、
「きゅうう~/////」
顔を真っ赤にして気絶した。
「フェイトちゃん!」
「しっかりするんや!」
なのはとはやてが慌てて支える。
「アークライト、私達も…」
「離琉…」
「伝染してる…」
右天は呆れた。
「そういうことは、自分達の世界に帰ってからやれ。」
「…そうですね。行きましょうフェイト」
「うん♪」
士に言われて、光と向こうのフェイトは世界の架け橋へと消えていった。
「ったくマセガキどもが、何考えてんだ。」
「全く破廉恥な…」
「会長、副会長、やめてくれませんか。」
ヴィータ、シグナム、左天が言った。
「まあいいじゃない。ここに、将来が楽しみなのがいるんだから。」
「ホントホント♪」
レディ、トリッシュは光輝を見る。
イヴはそれを見て頭に?を浮かべた。
「何でそいつを見るんだ?」
「…あんたにはわかんないかもね。」
「キャハハ♪」
【それは今後の展開をお楽しみに】
セツナ、未央、梔はそんなやり取りをする。
「ティアもいつか照井さんと、なんて思ってるでしょ?」
「!?バカ!そんなわけないでしょ!!/////」
「あらあら♪」
ティアナをからかうスバルとギンガ。
「…わかんねぇ。」
「いつかノーヴェもわかるッスよ♪」
首を傾げるノーヴェに笑みを投げ掛けるウェンディ。
と、士は歩き出す。
「行っちまうのか?」
翔太郎は尋ねる。すると、士はポケットから二枚のカードを出して戻ってきた。
「こいつらはお前が持っておくべきだ。」
士はカードを光輝に渡すと、世界の架け橋の中に消えていった。
「何のカードだ?」
照井が覗き込む。
すると、ぼやけていたシルエットが消え、ファザーとマザーの絵が現れた。
同時に、近くの崖の上に世界の架け橋が出現し、中からファザーとマザーが出てきた。
「あれは、父さんと母さん!?」
その光景を見てフィリップが呟く。
「同じだ。前にも世界の架け橋から、別世界の鳴海荘吉が出てきたことがある。」
「じゃあ、あれは別世界の光輝くんのお父さんとお母さん!?」
亜樹子も驚く。
すると、ファザーは顔だけ変身を解いた。
「ほう、誰だか知らんが、凛々しい顔つきの少年だな。」
「え?僕?」
「そうだ。」
マザーも顔だけ変身を解く。
「ハヤトさん。私、あの子みたいな子供がほしいわ。」
「ああ、そうしたら全世界に自慢できる。」
「!!」
光輝の全身を衝撃が駆け抜けた。
「俺は仮面ライダーファザー。」
「私は仮面ライダーマザー。」
「縁があったら、またどこかの世界で会おう。」
「それまで元気でね。」
二人は世界の架け橋の中に消えた。
光輝達は茫然としていたが、ファザーとマザーの言っていたことを思い出す。
「僕のこと、自慢できるって…」
「よかったじゃねぇか光輝。親父さんに認めてもらえて」
「…はい!」
翔太郎に言われ、光輝は知らないうちに流れていた自分の涙を拭ってから返事をした。
「光輝君。もう必要ないかもしれないけど、あの時と同じ質問をさせてもらうよ。」
ドナルドは光輝に質問する。
「これからも十字架を背負う勇気、あるかい?」「……ああ!」
光輝は力強く答えた。
そして、彼らの背後に世界の架け橋が現れる。
光輝はそれを見て笑顔になる。
「さあ、帰ろう。風都へ!!」
結城丈二はどこかを歩いていた。
「かくして、一つの戦いが終わった。だがこれは、物語の始まりにすぎない。」
結城は立ち止まって振り返る。
「門矢士そして白宮光輝、お前達の物語はこれからだ。守り続けろ、お前達にとっての大切なものを…」
結城は目の前に現れた世界の架け橋をくぐった。
「まずお前らに謝らなきゃな。心配かけて悪かった。それから礼を言う。お前らのおかげで、俺はまた戦うことができた。」
光写真館に戻った士は、夏海達に謝罪とお礼を言った。
「よせよ士。気持ち悪い」
「そうだよ。明日は雨でも降るんじゃないかな?」
「お前ら、それはねぇだろ。」
士をからかうユウスケと海東。
そこへ、キバーラが飛んでくる。
「いいじゃない別に。大体、士は日頃傲慢なんだから、これぐらい言わせて当然よ。」
「お前は調子に乗るな。」
「士くん、お礼なんていりません。私達は仲間で、仮面ライダーなんですから。」
「そうだぞ士、俺達は仲間だ。」
「…ありがとうな。夏海、早川。」
戦いの勝利、そして再会を喜ぶ士達。
そこへ、栄次郎がカメラを持ってやって来た。
「ささ、記念写真を撮ろう。夏海、背景を。」
「わかりました!」
夏海は背景ロールを動かす。
描かれていたのは、ディケイドを中心に並び立つクウガ、ディエンド、キバーラ、ズバットの、合計五人の戦士達。
「ふむ、今回もいい画だな。じゃあ並んで!」
栄次郎は士達を背景ロールの前に並ばせ、写真を撮った。
僕がみんなと一緒に元の世界に帰った時、他の生徒や先生達は、全員戻ってきていた。テメンニグル学園に。
事件が解決したあと、神原さんは僕に言った。
「今回は、ありがとうございました。私も生きます。兄と姉の意志を継いで…」
それでいい。それが死んでしまった人にできる、ただ一つのことだと思うから……。
僕は、写真立てを二つ買った。
中に収まっているのは、士さんから貰った父さんと母さんのカード。
再び紡がれる僕達家族の思い出。
僕の、仮面ライダークロスの物語は、ここからが本当の始まりなんだ。
「行ってくるね。父さん、母さん。」
僕はそう言って家を出た。
父さん、母さん。見えますか?僕は今日も、元気です。
風都タワー。
ここに世界の架け橋が現れ、中から一人の男が出てきた。
男は辺りを見渡してから呟く。
「ここが、風都…」
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これで長編は終了です。
ここまでお付き合い下さった読者のみなさん。
コラボして下さったゼロディアスさん、矢部野 和麻呂さん、本当にありがとうございました!
というわけで……
次回、
仮面ライダークロス!!
銀八「転校生を紹介する~。」
光輝「夢、か…」
井坂「あいにく今非常に腹が立っていましてね…」
?「お前にこの子はやらせない!」
第八話
悪夢なH/異世界からの転校生
これが裁きだ!!
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お待たせしました。長編最終章です。
では、どうぞ。