No.406758

マブラヴ オルタネイティヴ RETURN OF START 三話 落ちて来た者

モアイ像さん

地球に落ち、蟻ではなくウサギ登場!
日本に行くのは少し掛かります

2012-04-11 20:45:43 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:11198   閲覧ユーザー数:10435

マブラヴ オルタネイティヴ RETURN OF START

 

 

三話 落ちて来た者

 

 

アスカ SIDE

 

 

「センサー異常無し、トレミーの進路上に障害物無し」

 

今はトレミーで地球に向かう途中だ

ソレスタルビーイング号は、あのまま月にいると発見されそうだから光学迷彩で隠しながら月軌道に載せることにした

全周地球防衛核投射衛星群(アーテミシーズ)はヴェーダのハッキングで一時的な停止に追い込み、地球からアクセスしてみるとダミーデータが表示され誤魔化した

破壊すれば後で地球とソレスタルビーイング号を楽に行き来することが出来るがあの国(米国)に怪しまれてしまう、ここは慎重に行かないと

 

「ハロ、セファーラジエルの用意と降下に使う廃棄されたステーションと軌道降下兵団の位置情報をハッキングしておいてくれ」

 

「了解!了解!」

 

ブリッジから右舷にある第2格納庫に向かう、格納庫に入ると水色と白のカーリングの「天使が持つ書」を意味するセファーラジエルが待ち構えていた

CBの青いパイロットスーツに着替えラジエルの掌にカレルを装備したハロを載せた

今後のため衛星に細工をさせておく、長時間の運用が可能なセファーラジエルを使いカレルとともに衛星に取り付いて回路など弄り、特殊なパスワードを入力すれば一時的な機能停止が出来るようにしておこう

 

「さ~あ始めますか!第2デッキを開放、セファーラジエルをカタパルトデッキへ、機体固定、リニアボルテージ上昇確認。射出タイミングをトレミーからセファーラジエルに譲渡、確認」

 

ガンダムラジエルの最大の特徴である両肩に搭載されている大型のGNバーニアの出力を上げていくと大きく唸り始めた

 

「セファーラジエル、アスカ・サクラザキ、出撃する!」

 

後ろに引っ張られるのを感じながら飛び出した

 

 

アスカ SIDE END

 

日本 SIDE

 

オルタネイティヴ第4計画最高責任者にして天才物理学者と言われる香月(こうづき)夕呼(ゆうこ)はディスプレイを見つめていた

ディスプレイにはサクロボスコハイヴ崩壊直後の映像が流されている

 

「…この映像を見ると不自然なところはないわね、やっぱりあの国が“アレ”か核を使用したと考えるのが妥当だけど、すべての監視衛星をハッキングできる技術はないはずよね?」

 

オルタネイティヴ第4計画の中核なす“00(ゼロゼロ)ユニット”だったら可能だが、夕呼はその開発にてこずっていた

 

「あの国から動きないと言うことは五番目の仕業じゃなさそうね………で?あんたは何しにきたの?」

 

「困惑している美しい博士の顔を見に来ました」

 

夕呼は声がしたほうに視線を向けると、本棚の影からトレンチコートを着た帝都情報省外務二課・鎧衣左近が現れた

 

「はいはい冗談はそのくらいにして本題はなに?」

 

今回の事件(サクロボスコハイヴ崩壊)で各国が慌ただしく動いています、もしかしたらと思いましたが…」

 

「…さすがに不可能はあるわよ、いくら五番目だって各国の目を欺いて月のハイヴを崩壊させるのは無理よ、もし量子コンピュータを開発したならとっくに四番目は廃止になっているはず、それか現在の技術を超えるほどの技術あれば可能だけど?」

 

「いやいやご謙遜なさらず、博士の計画は常識の範疇(はんちゅう)を超えていますよ」

 

「あ、そう」

 

「ところで、まだ嫌われていますか?」

 

「…何度も人の部屋に不法侵入する輩に警戒するわよ普通」

 

「これは困りましたね、警戒心を解こうとお土産を持ってきたんですが」

 

「また置物?いい加減しなさい、毎回来て勝手に不法投棄していい迷惑だわ」

 

「はっはっは…これは耳が痛い、美女との話は名残惜しいですがそろそろ次の仕事にいかないと、ではドア越しにいる“社霞”ごきげんよう」

 

鎧衣が部屋から出て行き、夕呼の近くのドアが開かれ銀髪のツインテールの少女が現れた

少女は資料を抱え夕呼の傍に歩み寄ってきた

 

「どうしたの、社?」

 

「…可笑しなところがありました」

 

夕呼は社と呼ばれる少女が抱えていた資料を眺めた

内容はサクロボスコハイヴ崩壊時に記録した天体図と常に観測されている天体図だった

 

「今回の事件に関係はないわよ?」

 

「…次の天体図と見比べてください」

 

言われるがまま夕呼は見比べて見ると一瞬動きが止まる

二つの天体図を比べると一部にずれが生じている

そのずれは至る所にではなく、まとまったところに集中していた

 

「…たしかに可笑しいわね?いくら機械でも一ヶ所に集中して誤差は出ないはず?」

 

夕呼はテンポよくパソコンに入力始めると、その場所は直径15km.も渡り集中していた

さらに調べると現在はその誤差がなく正確な星の位置を表示している

 

「なにかが隠れていた?」

 

困惑しながら夕呼は椅子に深く座り込みさらに深く思考する

 

 

日本 SIDE END

 

 

アスカ SIDE

 

 

 

衛星のカバーを静かに閉め立ち上がると目の前には太陽と地球が重なり合い、端から太陽の光が射し込んでいた

後ろを見るとセファーラジエルが離れたところに待機している

 

「全テ終ワッタ!」

 

「それじゃ、戻って地球に行くか」

 

両手でカレルを持ち上げると重力がないのですんなりと持ち上がる

衛星を蹴ると瞬く間に衛星から離れて逆にセファーラジエルに近付いていく

 

「こりゃ体重計、要らないな」

 

「無重力ハ女性ノ味方!ハロモ味方!」

 

「でもハロ、体形はどうにもならないだろ?」

 

「整形手術!」

 

「そっちか!?」

 

セファーラジエルは自分達が近付いてくると同時に手を出して足場を作った

掌に乗り込むとセファーラジエルがトレミーに向かい出した

持っていた端末で調べると1950年当時に米国立航空宇宙利局(NASA)と欧州宇宙機関(ESA)が主導とするダイダロス計画の中で地球軌道上に建設された宇宙ステーションに目を付けた

この宇宙ステーションは現在機能してなく現在はそのまま廃棄されている

 

「これを破壊して残骸と一緒に大気圏突入しかないな…」

 

軌道降下兵団の位置情報は離れているがビームの光で発見されやすいから高出力のヴァーチェは使わないことにしてラジエルを使うのが妥当だろう

 

『トレミー合流!トレミー合流!』

 

セファーラジエルを操縦している赤ハロの声が外部スピーカーから響き渡り、目の前を見るとトレミーが見えてきた

トレミーに着くとカレルを下ろし、トレミーと平行する形で移動を始めた

 

しばらくすると目的である宇宙ステーションが見えセファーラジエルで近付く

 

「ヴェーダが計算した狙撃ポイントは…」

 

ゆっくりと操縦桿をうごかしながら狙撃ポイントに狙いを定めた

ラジエルが装備しているGNビームライフルは直接的な戦闘を想定していないため、やや出力が抑えられているが宇宙ステーションを撃ち抜くことくらいは造作もなかった

次々とヴェーダが計算した狙撃ポイントを撃つ、ステーションは次第に落下へのコースへ変えていった

 

「このくらいかな?」

 

「退避!退避!」

 

「どう…こ…どおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!」

 

目の前にステーションの残骸が迫り、左腕に装備しているGNシールドを構えて受け流そうとするがモロに当たり引っ張られるように落下を始めた

モニターから燃えるように赤い膜が出来始める

 

「重力に捉まった!?」

 

「落チテイル!落チテイル!」

 

「分かっている、GN粒子最大散布開始!機体前方に展開!」

 

セファーラジエルからGN粒子が散布され淡い緑が機体を守るように包まれていく

 

「ハロ、トレミーは!?」

 

「作戦通リ!作戦通リ!」

 

ハロがモニター切り替えると、破壊したステーションの残骸が地球に向かって落ちていく中に、トレミーはその後を追っていた

トレミーは白ハロが操縦して俺がいなくても地球に降りられる

セファーラジエルは単機でも大気圏突入可能だ

 

「いや、ちょっと色々とまずいだろ!!」

 

コクピットは大きく揺れる中、制御してみるが重力に捉まりトレミーに戻ることが出来なかった

せめての悪あがきと思い白ハロに通信した

 

「大気圏突入後、海に着水して潜水開始、その後各国のレーダーを掻い潜り合流!」

 

『了解!了解!』

 

「大気圏突入!大気圏突入!」

 

「落ちるぅぅぅぅぅぅぅぅ!」

 

 

 

アスカ SIDE END

 

 

アメリカ SIDE

 

 

ここはカルフォルニア州の国連宇宙総軍のひとつであるエドワーズ宇宙総軍基地

サクロボスコハイヴ崩壊後に司令部は少し緊張した空気が漂っていた

 

「第6軌道降下兵団、予定通りルートを通過中」

 

「地上レーダー・偵察衛星異常なし」

 

次々と定時報告されていく中、突如アラームが響き渡った

中央の大型モニターが表示された

 

「どうした!?」

 

「廃棄されていた宇宙ステーションが分解を始め、地球に落下を始めました!」

 

「宇宙ステーションが落下だと?」

 

オペレーターの焦る声が聞こえてモニターが切り替わり地図が表示された

 

「細かく分解が始まりレーダーに微弱な障害がありますが宇宙ステーションは二つに分解され南太平洋と北大西洋に落下します!」

 

モニターに表示出された二つの残骸落下予測地点には各国の領土や船もない場所だった

 

「外交ルートで落下予測地点に避難勧告を発令させろ!」

 

「了解ッ!」

 

 

「まったく古い衛星を破棄する予算が回せないからこんな事態になるのだ」

 

 

アメリカ SIDE END

 

 

アスカ SIDE

 

 

「地球に来たな、しかも夜の北大西洋(・・・・)に落ちて……」

 

波に揺られてコクピットは上下に揺れ、モニターから見る空は雲ひとつもなく星が見えた

 

「地球キターーーーーーーーーー!!」

 

「ハロそれは宇宙だ……て、どっちも変わらないか」

 

「ドウスル?ドウスル?」

 

「ここで途方に暮れても見つかりやすいのとヨーロッパに近いし、合流する前に戦術機でも見てみるか・・・ハロ、衛星とレーダーの監視をお願い」

 

「任セロ!」

 

セファーラジエルは、勢いよく海面を飛び出し水柱を上げていった

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
9
2

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択