No.403215

劇場版仮面ライダーゲイザー〜受け継がれし天使と悪魔の力〜EPISODE3

蒼き星さん

[そらのおとしもの~天使と仮面騎士の物語~]
設定集 http://www.tinami.com/view/401137
プロローグ http://www.tinami.com/view/401710
第1話『破壊の後継者/Iとの再会』 http://www.tinami.com/view/402298
第2話『驚愕の転校生/忍び寄るFの影』 http://www.tinami.com/view/402305

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2012-04-05 20:28:10 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:838   閲覧ユーザー数:838

校庭で刹那は木刀を持ち、小さめの木刀を逆手で持つ1人の少女と向き合っていた。戦線に所属する椎名という古風な少女だ。緊張感がはりつめる中、木枯らしを合図に2人は踏み込んだ。

剣を打つ音が響き渡ってつばぜり合いになるが、不利を悟った椎名が刹那の斬撃の勢いを利用して後ろに下がり、再度攻撃を仕掛ける。

刹那は木刀を持ち直し、それを弾く。椎名はすぐに木刀を拾おうとするが、音無が近づいてきたので試合はいったん中止になった。

 

「おお、やってるな」

「父さん」

「新入り……」

「試合はほとんど見ていないんだが、椎名の動きにちゃんとついていけてるみたいだな」

「小さい頃、父さんと母さんが鍛えてくれてたから」

「奏はともかく来世の俺がそんなに強いっていうのはまだ信じられないな。後、鍛練するのもいいが、少しは休憩しろ。あまり根を詰めると体に毒だからな」

 

そう言って、音無は刹那と椎名にスポーツドリンクが入ったボトルを投げ渡す。

 

「ありがとう、父さん」

 

刹那がスポーツドリンクに口をつけようとした時、刹那と同じ学ランに帽子を着用した少年が突然現れた。

 

「ちょっと待ったぁぁぁぁぁぁ!!」

 

ぜぇぜぇと肩で息をする少年……直井文人は刹那を指さした。

 

 

「どこの馬の骨かも分からない貴様がこの僕を差し置いて音無さんと触れ合おうなど100年速い!!」

「いや、親子なんだけど……」

「なら、生徒会長でもいいはずだ!! 音無さんにばかり付きまとわなくてもいいだろ!! こうなったら僕の催――」

 

刹那を見ている直井の両目が赤くなるが、直感で危機を感じた刹那の投げた木刀がその額に直撃して沈黙した。

 

「容赦ないなぁ」

「邪眼を使う敵には注意しろって……父さんが」

「俺が原因か!!!」

「浅はかなり……」

 

刹那が直井を放置し、スポーツドリンクを飲んでいたら無線機に通信が入った。

 

『戦線関係者に通達。グラウンドに武装した謎の人型生物が出現。各員は直ちに集まってください』

「人型生物? 影じゃないのか!?」

「とにかく行こう。そうすれば何が起こっているか分かる」

「そうだな!!」

 

3人は校庭からグラウンドへと全力疾走した……倒れている直井を放置して。

 

「こっちだ!!」

 

3人の中で最も速い椎名が先導する形でグラウンドへと急いだ。

 

 

 

★★★★★

 

【グラウンド】

 

「ゆり!」

 

刹那達はグラウンドに着くと、隊列を組んでいる死んだ世界戦線の真ん中にいるゆりに近づいた。

 

 

「状況は?」

「見ての通りよ」

 

ゆりが指し示す方向を見ると、テロリストの雑兵として動いている戦闘員がいた。だが、普段とは違い、明らかに生気がない状態でふらふらしていた。

 

「まるでゾンビだぜ」

近くにいた日向がそう言うが、まさにその通りだった。

 

「あれが、あなたの言っていた悪魔の軍勢。普段からあんな感じなの?」

「いや、あんな状態の奴らを見るのは初めてだ。死者を復活させているかなんらかの手段でNPCを操り人形にしていると考えるべきだろうな」

「そう」

 

刹那の答えにゆりは簡単に反応を返した。それまでふらふらしていたソルジャーフォルスはふと戦線を見ると武器を手に突撃してきた。

 

「各員攻撃開始」

 

ゆりの号令で戦線メンバーは次々と発砲していった。刹那も敵の接近に備えてドライバーを装着した。

 

「変身」

《KAMEN RIDE:GATHER》

 

複数のシルエットが重なると共に白金の騎士へと姿を変えた刹那は続けてもう1枚カードを使用した。

 

《ATTACK RIDE:KAIXA BLAGUN》

 

 

ゲイザーは左手にカイザブレイガンを召喚し、右手にライドブッカーⅡ・Sモードを構えて敵に突っ込んだ。ゲイザーはクロスアタックで1体を切り伏せ、背後で味方ごとマシンガンで撃とうとしていた2体目をカイザブレイガンで撃ち抜く。ゲイザーはその動きに違和感を感じた。

 

(どういうことだ!? いくらアロガンスでも今まで味方ごと撃とうとすることなんて無かった。まるで敵を倒すことしか頭にない戦闘マシーンだ)

 

ゲイザーは思考の間も動きを止めずに遠くで戦線メンバーを殺そうとしたソルジャーをカイザブレイガンで撃ちながら淀みのない動きで正面にいる1体をライドブッカーⅡで斬った。続けて斬りかかってきたソルジャーの剣をブレイガンで受け止め、ライドブッカーⅡの刺突で腹部を貫く。

 

「く、来るなぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

戦線メンバーによる掃射を受けながらも前進しているソルジャーがいたため、両手の武器による一斉射で倒し、戦線メンバーに駆け寄る。

 

「大丈夫か!?」

「ああ、助かったよ」

「刹那!!」

「お前ら、無事か!?」

音無と日向が辺りの敵を掃討しながら近づいてきた。

 

 

「何なんだよ、こいつらは!? 痛覚ってもんが無いのかよ!?」

「このままじゃキリがない!! こっちの弾薬が無くなるぞ!!」

 

刹那達と背中を合わせながら音無達がしゃべる。

 

「ダークネスが関係しているならば相手の属性はおそらく闇……。なら、これだ!!」

 

ゲイザーはライドブッカーⅡから1枚カードを取り出し、ドライバーに装填した。

 

 

《KAMEN RIDE:TODOROKI》

 

 

現地では鬼と呼ばれる緑色の姿になったG轟鬼は更にもう1枚のカードを使用する。

 

《FINAL ATTACK RIDE:T・T・T・TODOROKI》

 

G轟鬼はエレキギター型の武器である音撃弦(おんげきげん) 烈雷(れつらい) を地面に突き刺し、必殺技である[音撃斬おんげきざん 雷電激震らいでんげきしん]を発動して清めの音を流し込む。対多数用に拡散されたそれはソルジャーフォルス達を浄化していった。

 

 

「やった……のか?」

 

敵が存在しないことを確認した戦線メンバーが武器を下ろしていく。

 

「やるじゃないか、刹那」

「ったく、そんな技があるならさっさと出せよ」

 

音無と日向がG轟鬼の肩を叩くが、当の本人は何の反応も示さない。

 

(確かに敵の姿は見えない。だが、この殺気は何だ?)

 

G轟鬼がキョロキョロしているのを見て日向がもう1度控え目に声をかける。

 

 

「あの〜、刹那。聞こえてるか?」

「ッ!! 危ない!!」

 

G轟鬼は突然2人を突き飛ばし、その背中に紫色のエネルギー弾が直撃し、許容量を越えるダメージを受けたせいで変身が解けてしまった。

 

 

「刹那、大丈夫か!?」

音無が刹那の体を揺するが、うんともすんとも言わない。

 

「これはこれは……皆さんお揃いで」

 

声を聞いた音無達が校舎とは反対側の階段を見ると闇を象徴するかのように真っ黒な怪人―ダークネスフォルス―が姿を現した。事前に刹那から話を聞いていた音無達はその正体に予想がついた。

 

 

「お前か? 影を操っている奴は」

「いかにも」

「いったい何が目的でこの世界にやってきた!?」

 

日向がダークネスフォルスに質問する。

 

 

「目には目を、歯には歯を。闇をもって闇を討つためです。では」

 

 

ダークネスフォルスはそれだけ言うと立ち去ろうとする。

 

「待て!!」

 

戦線に所属する3人はダークネスフォルスに銃を向ける。

 

 

「無駄ですよ、その程度の火力で私を倒すことは出来ません。それに、仮面ライダーも今ごろ暗闇の中をさ迷っている頃でしょうし、簡単には目を覚まさないでしょう」

 

ダークネスフォルスはさわやかに言い放つ。

「私達を忘れてもらっちゃこまるわ」

 

ゆりの命令で隊列を組んだ戦線は半円状にダークネスを囲む。倒れた刹那は戦線によって担架で素早く回収された。

 

「すみませんが、私は忙しいので失礼します」

 

戦線の存在を意にも介さないようにダークネスフォルスは自身の足元に闇を発生させ、その中に沈んでいった。それを確認したゆりは通信機を使って指示を飛ばした。

 

「負傷者の確認と回収を行ってちょうだい!! 高松君はギルドに武器の製造を急ピッチで進めるよう手配して! 竹山君は敵の情報を集めて!!」

 

そう言い切ったゆりは拳を握りしめた。

 

(歯牙にもかけられなかった。あいつにとって私達は虫けら以下ということなの? ふざけんじゃないわよ!!)

 

ゆりは空を見上げる。それは、神への反逆を志す戦士の顔だった。

 

(次会った時はドギツイのをぶちかましてやるんだから!!)

 


 
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