No.401708

ACE学園 第1話『終焉の後継者と古代ベルカの戦姫』

蒼き星さん

ACE学園の第1話です。

しばらくは、にじファンに掲載していた作品のコピペ&修正になるかと思います。


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2012-04-02 18:16:39 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1541   閲覧ユーザー数:1528

日本の某所に存在する波乱万丈だが、基本的に平和な学園。

 

そこで授業の終わりを知らせるチャイムが鳴った。

 

 

「よし! これで本日の授業は終わりだ!!」

 

 

2-Cの担任である紅薔薇(べにばら) 撫子(なでしこ)が授業の終わりを改めて告げ、その後のホームルームもすんなりと終わった。

 

生徒達がまばらに退出し始めた頃、背伸びをした主人公の前杉士樹に同じクラスの土見(つちみ)(りん)

があくびをしながら話しかけた。

 

 

「ふぁ~。やっと授業が終わったな」

 

「そうだな」

 

 

士樹は背伸びをしながら答える。

 

 

「授業も終わったし、喫茶店にでも行かないか?」

 

「じゃあ、フローラに行かないか?」

 

「それでいいよ。音無はどうなんだ? 一緒にフローラに行かないか?」

 

 

士樹は既に教室を出ようとしていた音無(おとなし)結弦(ゆづる)を誘う。

 

 

「悪いな、今日はゆりから死んだ世界戦線の集まりに来いって言われているんだ」

 

 

音無は士樹の誘いを断って慌てて教室から出ていく。

 

 

「死んだ世界戦線の集まりか。今度は何をする気なんだ、あいつら?」

 

「俺に分かるわけないだろ、士樹」

 

 

2人は音無を見送った後、教室を出ようとする。

 

 

「さて、フローラに行く『ちょっと待ったぁぁーーー!!』」

 

 

士樹の台詞を遮るように教室の扉が乱暴に開かれ、1人の少女が乱入してくる。

 

 

「稟ちゃんいる!?」

 

「何ですか、亜沙先輩?」

 

 

稟の恋人達……通称土見ラバーズの一員である常日頃から元気が売りの時雨亜沙(しぐれあさ)に士樹は呆れながらも要件を尋ねる。

 

 

「えっとね、料理部で作っていた新作のケーキが出来たから稟ちゃんに試食してもらおうと思って…」

 

 

亜沙は顔を赤らめてもじもじしながら用件を話す。

 

 

「というわけでレッツゴー!」

 

「ちょっと、亜沙さん!? 俺には先約が『答えは聞いてない』」

 

 

稟の叫びは虚しくも亜沙には届かず、強制連行されていった。

 

 

「今日は異世界にでも行って狩りをするか」

 

 

1人寂しく教室を出ようとした時、碧銀の長髪を持つ少女……士樹の恋人であるアインハルトが士樹に近づいて喋りかけた。

 

 

「士樹、それなら私と歩きませんか?」

 

 

士樹は少し考えた後、恋人の誘いを受けることにした。

 

 

「たまにはそれも良いな。分かったよ、アインハルト」

 

 

士樹はそう言うと、アインハルトと教室を出た。

 

 

 

 

 

高等部の校舎を出た後、2人は町の外れを歩き、河原にある公園のベンチで休憩していた。

 

 

「当たり前のように穏やかで静かな平和がある。今は本当に幸せですね」

 

 

まるで戦争が終わったばかりであるかのように平和を噛みしめるアインハルト。

 

 

「そうだな」

 

 

士樹が答えた後、アインハルトは士樹の左腕に抱き着いた。

 

 

「アインハルト……」

 

「今も夢に見るんです。遠い昔、私の先祖が戦い抜いた古代ベルカ時代の戦争のことを……彼の苦悩を。だから、この平和に戸惑うこともあるんです」

 

 

2人の間に沈黙が流れた。

 

少しした後、士樹はその沈黙を破った。

 

 

「良いんじゃないか、それで?」

 

 

士樹はアインハルトの悩みを否定せずに肯定した。

 

 

「たとえそれが遠い先祖の記憶であったとしてもお前は戦争がどれだけ凄惨なものであるかを知っている。同時に、それは平和の大切さを教えてくれるのだから」

 

「士樹……」

 

「ま、どんなものも使いようってことさ」

 

 

士樹はそう言って話を締めくくる。

 

 

(アインハルトと昔話をしたらあの人と初めて会った時を思い出すな…)

 

 

士樹は空を見上げ、遠い過去に思いをはせる。

 

 

 

 

★★★★★

 

 

 

7年前、少年は住んでいたところが火事になり、その影響で崩れた建造物の瓦礫の下敷きになって動くことができない状況だった。

 

 

(俺、こんなところで死ぬのかな…)

 

 

少年は物心着いた時から両親に厳しい教育されており、子供らしく過ごした時は皆無に等しかった。

 

故に感情を余り持たず、生への執着も薄かった。

 

 

(奴らの人形として生き続けるぐらいなら死んだ方がましだな)

 

 

少年は死を受け入れ、目をつぶった。

 

その時、鈍器のようなものが落ちる音がした。

 

少年が目を開けると目の前には銃口が2つ着いた、深い蒼で彩られた銃があった。

 

それから間もなくして1人の青年がやってきた。

 

 

「やれやれ。どうやらその銃は君を選んだみたいだね。ついでだから助けてあげるよ」

 

 

その出会いは。少年の口調が“俺”から“僕”へと変わり、少年が今まで持っていなかった生きる希望を持つきっかけになった。

 

 

 

★★★★★

 

 

 

「――――きっ! 士樹、起きていますか!?」

 

「!?」

 

 

士樹は昔のことを思い出している内にアインハルトにもたれかかって寝ていたようだ。

 

士樹はアインハルトの呼び掛けに気がつくとすぐに起きた。

 

 

「悪い。少し昔のことを思い出している内に寝てしまっていたみたいだ」

 

「別に構いませんよ、士樹。そんなに眠たいのなら私の膝枕で寝ませんか?」

 

 

アインハルトは膝をポンポンと叩き、「遠慮しないでください」と視線で訴えかけてくる。

 

 

「お言葉に甘えるよ」

 

 

士樹はアインハルトに負担がかからないようにゆっくりと自分の頭をアインハルトの膝の上に降ろし、目を閉じる。

 

 

「どうですか?」

 

「気持ち良いよ」

 

 

士樹はそう答えるとすぐに寝息を立て始めた。

 

アインハルトは士樹の顔に手を添えて優しい表情でその寝顔を見つめる。

 

 

「良い寝顔ですね」

 

「相変わらず仲が良いね、お2人さん」

 

 

背後から聞こえてきた声に反応してアインハルトとそれに続くように眠っていた士樹は飛び起きて後ろに振り返る。

 

そこには、右手を銃の形にして何かを狙い撃つようなポーズを取った青年がいた。

 

 

「こんばんは」

 

「大樹さん、どうしてここに!?」

 

「君を探していた妹分に無理矢理手伝わされたのさ」

 

 

海東大樹(かいとうだいき)は両手を上げてやれやれと呆れたように答える。

 

 

「あーーっ! やっと見つけたよ、士樹!!」

 

 

高町(たかまち)ヴィヴィオは大声を上げながら遠くから走ってきて士樹達に近寄る。

 

 

「もう! 何処行ってたの!?」

 

「学校をアインハルトと一緒に出た後、そこら辺をぶらぶらしてこの河原に来た」

 

 

ぷんすか怒るヴィヴィオに対し士樹は普通に答える。

 

そんな2人を置いてアインハルトは自身の左腕にある時計を見る。

 

 

「あの、そろそろ帰りませんか? 時間も遅いですし」

 

 

アインハルトに言われて時計を見た2人も「あ」と見事にハモる。

 

 

「じゃあ、僕はそろそろおいとまさせてもらうよ」

 

 

大樹はそう言うと3人から手を振りながら離れていった。

 

 

「僕達も帰ろうか」

 

「「うん(そうですね)」」

 

 

3人はそれぞれの家へと帰っていった。

 

 

 


 
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