No.401539 超次元ゲイムネプテューヌmk2 Reborn 第四話 困惑クリケットさん 2012-04-02 02:57:01 投稿 / 全3ページ 総閲覧数:1357 閲覧ユーザー数:1315 |
現在ラステイション
ラステイション中央部から離れた辺境地。
そこに何処からかレーザーの照射音が突如として鳴り響いた。
やがてその音は終わりを告げ、音の止んだ大地には先ほどまでは無かった二つの人影が姿を現した。
ノワール「…え? あれ?」
黒髪でツインテールのゴスロリを着た少女、ノワールは不意に戸惑いの声を漏らした。
ユニ「…え? お姉ちゃん! なんで? あの時、確かに消えちゃったはずじゃ…。」
ノワールよりも少し短めの黒髪でツインテールを施した少女、ユニがノワールを見て驚きの表情を浮かべた。
ノワール「私は自分で剣を刺して…なんで傷1つついてないの?」
ノワールは全身を見回しながら呟いた。
その体には傷は一切ついておらず、服にも血の跡1つ残ってはいなかった。
自分たちの置かれている状況に全く理解が出来ておらず、二人はただ困惑していた。
ユニ「ここって…もしかしてあの世?」
ぶっきら棒にユニが呟いた。
ノワール「にしては感覚がリアルすぎるし、何よりもこの風景って…。」
ノワールは辺りを見回し始めた。
やがてその思考は確信へと変わった。
ユニ「私達が…死んだはずの場所…。」
呆然と呟くユニも周囲を見回していた。
ノワール「一体…何がどうなってるの…。」
ユニ「私達…生き返ったの…なんで?」
ノワール「ここって……ラステイションよね? ユニもあの後に……でしょう?」
暗い表情を浮かべてユニが小さくうなずいた。
ノワールはそう、と静かに答え、視線を下に落とした。
ユニ「これからどうしよう…。」
ユニが不安そうに呟いた。
目にも不安の色が映っており、その視線は下を向いている。
ノワール「……とりあえず教会に行きましょう。ケイなら何か知ってるかもしれないわ。」
ノワールがしばらく考える様子を見せた後に視線を前に戻し、ユニにそして自分自身に言い聞かせた。
それでもノワールの顔色から不安の色が消えることは無かった。
それぞれの思いを抱えながら二人はラステイション教会へと歩みを進めた。
現在ルウィー。
ラステイションで起きた現象と極似した事がルウィーの白銀に覆われた大地でも起こっていた。
レーザーの照射音が鳴り止むと同時にそこには小柄な3人の少女が見受けられた。
ブラン「どういう事? 私もロムもラムもあの時に……。」
茶髪のショートへアに白い帽子をかぶった少女、ブランが目の前の2人の少女に視線を向けながら重い口調で話した。
ラム「うん…。でもよかった!これでまたお姉ちゃんやロムちゃんたちと一緒に!」
茶髪のセミロングにピンクを主体としたコートと帽子を身に着けている幼女、ラムがブランに視線を向け、明るい表情で口を開いた。
ロム「…うん。」
ブランと極似した茶髪のショートへアにラムのコートと帽子の水色を主体としたものを身に着けている幼女、ロムが微笑みながら静かにうなずいた。
ブラン「まだ安心は出来ない。犯罪神が倒されたのかもまだわからない…。」
ラム「ッツ!! それは…ネプギア達が…あの剣で…。」
ロム「!!(ビクビク)」
ブランの言葉に反応してラムとロムの顔色は一気に蒼白になった。
ロムにいたっては体を震わせ、涙目になっている。
2人の不安気な姿を目の当たりにしてブランはそっと2人の頭に手を添え、大丈夫と語りかけてなで始めた。
2人はそれに安心してブランに寄り添い、ブランはそれをやさしく受け止めた。
2人は静かにブランの腕の中で泣き声をあげた。
ブランは2人を抱き寄せたまま辺りを見回した。
ブラン「とにかくここにいても始まらない。ここがルウィーであることは確か。教会に行かないと……。」
視点を再び一点に戻したブランが二人に聞こえる声で呟いた。
ブランの腕の中で涙を流していた2人も泣くことを止め、視線を上に上げた。
ラム「ぐすっ……、うん。ミナちゃんにも顔を見せないと。」
右手で涙をぬぐいながらラムが笑顔で声を上げた。
ロム「ミナちゃん、心配してるかな…。」
少し暗めな表情でロムが静かに呟いた。
ラム「大丈夫よ。今すぐに行って元気な姿を見せれば!!」
ロム「…うん。ラムちゃん。」
笑顔で話しかけるラムにロムも笑顔で返した。
教会へ向かう途中の3人の顔はいつしか3人とも笑顔になっていた。
現在リーンボックス。
ラステイション、ルウィーで聞こえた音と同じレーザーの照射音がリーンボックスの大地にも響き渡っていた。
レーザーは一人の女性の姿を頭から徐々に明らかにしていった。
ベール「……あら? これは……?」
金髪のロングへアに緑色のドレスを身にまとった雰囲気さえおしとやかに思える女性、ベールは自分の体を見回した後に辺りに目を向けた。
ベール(ここは確かにあの時と同じ場所……でも私はあの時、あの剣で……なにがどうなっているんですの?)
ベールは視線をやや下に向けて顎に手を当て、少しの間考え込んだ。
だが今彼女の身に起こっているイレギュラーな事態にベールはただ困惑するしかなかった。
しばらく考え込んだ後、視線を再び前に向けて一呼吸着いた。
ベール(考えても仕方ありませんわね。今すべきことはチカに一刻も早く顔を見せることですわね。)
心の中でそう呟いたベールは足取りを教会のほうへ向けた。
いまだに納得の着かない、答えの得られない状況に不安を感じながら…。
現在プラネテューヌ。
この場所でも言うまでもなく他の3つの場所と同様の現象が起きていた。
レーザーが出現させたのは1人の少女だった。
ネプテューヌ「……? え? え? なにこれ? え?」
薄紫のショートヘアに十字の髪飾りを着け、紫と白のパーカーワンピースを身に着けている少女、ネプテューヌはしきりに瞬きをしながら辺りを見回し、とぼけた声をあたりに響かせた。
ネプテューヌ「えーっと……。確か私はあの時死んだはずなのに…。何で生きてるの? え? 夢?」
ネプテューヌはとぼけた声を発しながら自分の体を見回した。
その後おもむろに自分の頬を引っ張った。
ネプテューヌ「いたたたたっ。夢じゃない。ってことは私生き返ったの? なんで?…えーっとそれよりいまやることは…ネプギア―、ネ―プ―ギ―ア――。」
よく通るネプテューヌの声は静寂に支配されたその場所に響き渡った。
その声に答える者はいなかった。
だがその声は招かざる客を呼び寄せた。
氷室(……GANTZの指定した場所にいるのはあの女1人か……。どうみてもMEMORYにあった奴とは違う。まさかしくじったか?)
招かざる客、氷室は木の上で息を殺しながらネプテューヌを凝視していた。
彼は確認のため、GANTZが生き返らせたと指定した場所まで来ていた。
そして先ほどの声に反応して木の上に隠れながらもその様子を伺える位置まで来ていた。
だがGANTZのMEMORYにはネプテューヌの変身後の姿が出ていたため、彼は別人と思い込んでしまったのだ。
氷室(……あの女は何か知っているかもしれないな。)
氷室は心の中で呟くと体を少し起こし、高さ約5mの木の上から飛び降りた。
その体は重力にしたがって下に落ち、地面に着地すると同時に衝撃を和らげるために膝を曲げてかがんだ。
着地した瞬間に生じるはずの地面をこする音はほぼ皆無と言って良いほどせず、足元の木の葉もそのほとんどが微動だにしなかった。
その後ゆっくりと体を起こし、視線をネプテューヌに向けてその視線に沿って歩き出した。
しばらくして足音に気がついたネプテューヌは体を反転させて足音のする方へ目を向けた。
ネプテューヌが視線に捉えたのは金髪に黒いネクタイとスーツを身に着けた青年の姿だった。
ネプテューヌ「えーっと、お兄さんどちら様ですか? あっ、私の自己紹介がまだだった! 私はネプテューヌだよ。呼びにくかったらねぷねぷやネプ子とかでもいいけど。」
氷室「そんな事は聞いてない。パープルハートという名の女を見てないか?」
ネプテューヌの言葉を軽くあしらい、氷室が逆に機械的に聞き返す。
ネプテューヌ「あっ、それは私が変身した後の名前なんだ。」
氷室「変身? 何を寝ぼけた――」
ネプテューヌ「そっ。変身!!」
ネプテューヌのその言葉に呼応するようにまばゆい光が彼女を覆い始めた。
突然のことに氷室は手を目の前にかざして目を細め、光をさえぎった。
やがてその光が止むと氷室はネプテューヌの姿を再確認し始めた。
だがそこに以前の彼女、ネプテューヌの姿は無かった。
そこには腰まで伸びた紫色の三つ編みをほどこし、黒字に水色の十字が入った髪飾りと黒と紫をベースにしたレオタードを身に着け、右手にやはり黒と紫をベースにした太刀を握り締めている女性、否女神パープルハートが氷室を瞳に映していた。
氷室「!!」
氷室は動揺を隠せなかった。
だがそれはネプテューヌが変身をしたからだけではなく、ネプテューヌが変身能力を持っていることに対してである。
氷室(…悪魔にも変身能力のある奴はいる。だがあそこまで変わるとは…ますます気にいらねえ。)
氷室の表情は見る見るうちに険しくなっていった。
そこには確かに憎しみの感情があらわになっていた。
氷室は眉間のしわを一層濃くし、閉ざされていた口を開いた。
氷室「おい、女神パープルハート。今ここで……死ね!!」
直後氷室の右手から黒い炎があふれ、それが日本刀を形成すると同時に地面を蹴って跳躍し、勢いよくパープルハート目掛けて日本刀を振り下ろした。
ガキィン!
響いたのは金属がこすれ合う音だった。
間一髪パープルハートは太刀を両手で構え、一撃を防いだ。
パープルハート「くうっ!(なんて重い一撃!!)」
ガギギギッ!
だがそれは完全ではなかった。
防ぐには防いだがその一撃と共にパープルハートは片膝を着き、防ぐだけで精一杯の状態だった。
今の姿勢では弾くのは無理と判断し、斜め後ろに跳躍した。
パープルハート「なぜ私を狙うの? 理由を教えて!」
氷室「問答無用!」
パープルハートの言葉に氷室は耳を傾けず、大地を蹴って前に出た。
パープルハート(凄まじい殺気!応戦しなければ殺られる!)
パープルハートもそれに答えるかのように前に出た。
ガキッ、ガガガガガガキャッ!!
両者がぶつかり合い、その度に互いの剣が重なり合った。
太刀と日本刀は交わるたびに金属音をあたりに響かせた。
勝負はなかなか均衡を崩さなかった。
ズバッ――
斬り合いの最中、氷室の一太刀がパープルハートの右腕を斬りつけ、出血を負わせた。
パープルハート「ぐっ! はあっ!!」
ピッ――
パープルハートも直後に振るった一撃が氷室の左頬をかすめ、僅かではあるが血を見せた。
氷室「ちっ!」
バッ! ズザザザザッ――
氷室はパープルハートの太刀を弾き、後ろに跳躍した。
地面を靴がこすれる音が響き、氷室は再びパープルハートを睨みつけた。
氷室「昼の俺とはいえ傷を負わすとはやるじゃねえか。予想以上だ。」
氷室は頬を吊り上げてあざ笑うかのようにパープルハートに言い放った。
パープルハート「はあ…はあ…はあっ……お褒めの言葉ありがとう。でもまだ決着はついてないわ。」
息を切らしながらパープルハートは強い口調で言い、太刀を構えなおした。
だがこのまま戦えばパープルハートが不利なのは一目瞭然だった。
パープルハートの右腕からは多量とは言い難いが出血しており、息も絶え絶えである。
対する氷室はほぼ無傷であり、呼吸もほとんど乱れてはいなかった。
この言葉に氷室は意外な答えを見せた。
氷室「今決着をつける必要何ざ無いさ。実力がわかれば十分だ。」
そう言って氷室は構えていた日本刀を降ろした。
その瞬間パープルハートの表情に驚きの表情が見えた。
それはついさっきまで本気で自分を殺そうとしていた相手からはとても想像が出来ない言葉と行動だった。
パープルハート「なら教えて。なぜ私を狙うの? あなたとは初対面のはずよ。戦う理由がないはずなのに。」
パープルハートの言葉を聴いたとたんに氷室の顔が険しくなった。
刀を握る手もその力で微弱な振動を起こしていた。
氷室「……お前が人間であり、何より女神だからだ。それ以上の理由何ざ存在しねぇ! お前自身が生まれながらに持っている原罪が戦う理由だ!!」
パープルハート「!!原…罪?」
氷室はパープルハートを睨みつけ、この上ないほど強い口調で叫んだ。
言葉を聞いたパープルハートは驚くと同時に首をかしげた。
氷室はその様子を見ることも無くパープルハートに背を向けて歩き出そうとした。
氷室「…一つ忠告しといてやるよ。」
パープルハート「?」
だが氷室は不意に足を止め、頭のみをパープルハートに向けて口を開いた。
氷室「あと一週間でこの世界にカタストロフィという名の何かが起こる。そのカタストロフィによって、世界は未曾有の危機にさらされる。」
パープルハート「?カタストロフィ…。」
聴きなれない言葉にパープルハートは首をかしげた。
だが氷室はおかまいなしに続けた。
氷室「信じる信じないはそっちの勝手だがな。」
パープルハート「……なぜあなたはそんなことを知っているの?」
氷室の言葉にパープルハートは氷室を睨みつけながら問いかけた。
氷室「……。」
――黙秘
パープルハート「なら質問を変えるわ。あなたは何者?」
氷室「……氷室。」
その言葉だけを残して氷室は木の枝に向けて跳躍し、木から木へ飛び移ってしだいにパープルハートの視界から消えていった。
パープルハート(……あの人、本当に何者なのかしら? 炎から刀を作ったり、本当にただの人間? ……それよりもさっき彼が言った言葉……どういう意味? 原罪だとか、カタストロフィだとか、わけがわからないわ…。)
色々なことが一度に起こりすぎたのか、パープルハートは顔に手を当ててしばらく考え込んでいた。
が、しばらくして顔を上げ、静かに歩き出した。
パープルハート(とにかくここにいても始まらないわ。……ネプギア、あいちゃん、こんぱ……無事でいて。)
そう願いながらパープルハートは変身を解いた。
足取りはプラネテューヌ教会へと向いていた。
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ようやく女神出せました!
しかし更新のテンポが遅いなー…。