No.397910

異世界冒険譚 魔法少女リリカルなのは月 外伝8 その2

RYOさん

通事故によって死んでしまった主人公。しかし、それは神の弟子が起こした事故だった!?主人公はなぜか神に謝られ、たくさんの世界へ冒険する。

これは、その物語の外伝である。

2012-03-25 19:50:10 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:2635   閲覧ユーザー数:2518

 

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「ん……んぁ……?」

 

間の抜けた声を発しながら気絶していた高科が目を覚ました。

 

「目を覚ましたか」

 

「…………痛い。……ここは?」

 

後頭部を擦りながら高科が聞いてきた。

 

「主の家だ。あと、痛いのは自業自得だと諦めておけ」

 

私がそう言うと高科は落ち込んだ。

 

「……あぁ。そういえばまた、やっちゃったんだっけ?」

 

「ああ。……さて、答えてもらおう。何故、シャマルを撃とうとした?」

 

高科を睨みつけ聞いた。

 

「……言えない」

 

目を逸らしながら高科は言った。

 

「そうか……なら、もうお前を蒐集に連れて行くことはできない」

 

「っ!?」

 

私が言った言葉に高科は目を見開いて驚き私を見た。

 

「何でだ!?」

 

「決まっているだろう。仲間を攻撃する者を連れて行けるわけが無い」

 

「俺を連れて行かなきゃ蒐集の効率が格段に悪くなるぞ!」

 

「だからどうした? 確かにお前がいなければ効率は下がる。だがお前のおかげで私たちはあまり消耗していない。お前がいなくとも全員で急いで蒐集すれば少々時間はかかるが問題は無い」

 

高科が焦って熱くなっているのに対して私は冷静になっていく。

 

「さらにお前を蒐集すれば楽になるしな」

 

「っ!?」

 

「お前が蒐集をするなと頼んできたから蒐集をしなかった事を忘れたか?」

 

蒐集する気など無かったが脅してみる。

 

「選べ、蒐集されるか? それとも話すか?」

 

「………………皆を呼んできてくれ」

 

高科は搾り出すようにか細い声で言った。

 

「分かった。……シャマルはどうする?」

 

「大丈夫だ。あの時は混乱してただけだから。でも一応後ろ手で縛っておいてくれる?」

 

そう言って高科は体の後ろに手を回す。

 

「分かった」

 

そう言って私はバインドを発動させ、高科を縛った後、皆を呼びに行く。

 

 

皆を連れて部屋に入る。

 

やはりというか皆、表情が良くない。ヴィータは高科を今にも殴りだしそうな目で見ているし。ザフィーラはシャマルの前で油断せずに高科を見ている。シャマルは今にも泣き出しそうだ。

 

「さて、話してくれ」

 

誰も口を開かないので埒が明かない。私は高科に話を促した。

 

「ああ。…………さて、そうは言ったもののどこから話したものか」

 

「そうだな、まずは何故シャマルを撃とうとしたのかだ」

 

「そうだな……たぶんだがシャマルを撃とうとしたのは混乱した直後で混乱していた事と、シャマルが……金髪だった事だ」

 

高科は言い難そうにそう言った。

 

「それはトラウマと関係があるのか?」

 

「ああ」

 

「何があった?」

 

「…………言わなきゃダメか?」

 

高科はとても嫌そうにしている。

 

「駄目だ。それを聞かなければお前を信用できなくなる」

 

「…………わかった」

 

高科は少し間を空け決心したように言った。

 

「皆は前世と言う物を信じているか?」

 

そこから聞かされた話はまさしく悪夢というべき物だった。

 

 

「これが、俺の前世の話だ」

 

部屋の中はシンと静まり返り、重苦しい空気に包まれた。

 

「胸糞悪い話だな」

 

「ああ、これが俺の罪。俺が犯した事なんだ」

 

高科は今にも泣き出しそうな声でそう言った。

 

「で、でもよ! それが本当に前世か分からないじゃねーか!」

 

「いや、確かに前世はあったんだ。理由はいくつかあるけど主な理由は俺が色々な技を知りすぎている事。そして俺がこの世界での戸籍は本来なら無かった事が理由として挙げられる」

 

「それだったら話してくれた事は!? それは本当に現実にあったことか分からないわ!」

 

シャマルが泣きながら叫んだ。

 

「ああ、確かに分からない。俺も死んだ時のショックで見た夢なんじゃないかって考えた」

 

「だったら……」

 

「でも、そうだったとしたらあまりにもリアルなんだ。あの空気も、感触も、音も、痛みも!」

 

高科をよく見るとわずかに震えている。

 

「わかった、もう良い。辛かっただろう。苦しかっただろう。ここにはお前を責める者はいない」

 

私は高科に近づき抱きしめながら言う。

 

「っ! 俺は……罪を犯したんだ」

 

「それは、お前のせいではない」

 

「お……俺はっ! 俺は!」

 

安心して涙腺が緩んだのか途端に泣き出す高科。

 

「俺は! やりたくなかった!」

 

「ああ」

 

「やりたくなかったんだあああああああああ!」

 

高科は叫び滝のように涙を流す。私は子供をあやす様に頭を撫でる。

 

しばらくすると泣き疲れたのか高科は眠ってしまった。

 

「今は休め」

 

高科の顔の涙の跡を拭って綺麗にして私は部屋を後にした。

 

 

「…………シグナム?」

 

「む?」

 

答えてくれない私に痺れを切らしたのかテスタロッサが私に呼びかけてきた。

 

「…………済まんが言えない。あれは高科からすれば隠しておきたい事だろう」

 

高科も私たちだから話してくれたというより渋々話したといった所だろうからな。

 

「そうですか」

 

「ああ、力になれず済まんな」

 

その後少し話して、テスタロッサはリビングに向かっていった。

 

「高科……」

 

高科が前世の事を話してくれた後、私たちは何度も高科に罪は無いと言ったが高科は首を振り自分の罪だと言っていた。

 

「いつか……高科は自分を許せる時が来るのだろうか?」

 

我らはそれを願おう。

 

 

こんにちは、作者です。

 

今回も外伝を書いていきました。

 

雪人が前世とトラウマをヴォルケンリッターに告白。

 

しかし、読者には内緒です。ちゃんと書けるか心配ですが。

 

それではまた次回。バイビー!


 
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