ここ、幻想郷では様々な異変が起き、解決されてきた。これは神霊異変に一人の少年が関係したことで結末が変わったもう一つの物語
「うーん…」
なんかやけに風が強いな…窓開けっ放しだったか?僕はそっと目を開けた。
「な……」
墓場の一角だった。
「あ…れ…?」
不意のことに間抜けな声が出る。家じゃない…?僕は昨日ちゃんと家で寝たハズだ。あー?なんでだ?あ、そういえば自己紹介がまだだね…僕は相田 透。来年高校に入る(予定の)ごく普通の中学生…のハズだった。しかし今は…
「どこなんだ、ここはぁぁぁ!」
「どこなんだ、ここはぁぁぁ!」
「え?」
今、僕のセリフそのまま聞こえたよね?ってことは…
「!そばに人がいるハズ!」
あたりを見渡すとそばには寺らしき建物があった。というかこの墓場は寺の敷地内…あ、不法侵入じゃね?これ。まぁ、いーや。
「とりあえず声のした方へ…」
とその時
「うーらーめーしーやー」
「えっ!?」
すぐそばの木の上からオッドアイの少女が舌を出しながら現れた。 …そうか…俗に言う中二病か…
「あ、なに?その眼はわちきは唐傘お化けなんだぞぉ?驚けー!」
…わちきとか言ってるよ…かなりイタイ子なんだなぁ…可哀想に…
「ねぇ…なんでそんな残念そうな眼でわちきを見るの?」
「大丈夫…今にいいことあるから…だから…現実見ような?」
「あー!なんかイラつくー!」
なんか怒ってらっしゃる。あ、傘に目あるよ…目…?まさか…
「え?本物?」
「だからわちきはさっきからそう言ってる!」
「…」
こんなときは全力疾走に限る!
「あ!こら!逃げるなぁ!」
「追いかけてくんなぁぁあ!」
すると
「うるさい!だまれー!ちかよるなー!」
「はい!?」
今度は額にお札貼ったやつが…えっと…なんつったっけ…
「うわ!」
あ、思い出した!キョンシーだ!
さっきの唐傘少女がお札少女を見た瞬間に逃げた…追いかけるよりも逃げるときの方が速いな…
唐傘少女に気を取られ過ぎて僕は気付けなかった…お札少女が少しずつ僕に近付き…
「かぷっ」
「痛っ!!いきなりなにを…?」
なにをする、そう言おうとして僕は気を失った。
意識が少しずつ覚醒する…う…体のあちこちが痛い…目を開けると…
「どこだ…?」
地下…?墓場にいたハズだけど?とりあえず地下の隅っこにいた…
「目を覚ましましたか?」
声の主の姿を探す。あれ?どこだよ。
「後ろです。後ろ。」
は?後ろ?後ろは壁…振り向くと…
「こんにちは」
「うわ!」
女性の上半身が壁からぬっと飛び出ていた。
「そんな露骨に驚かないで下さい」
「普通驚きます」
「そうですね。では」
そう言って女性は壁から出てきた。
「こんにちは。自己紹介します。霍 青娥と申します。以後お見知りおきを」
「あ、相田 透です…」
「では相田さん。あなたに謝らなければならないことがあります。」
「な、なんですか?」
「芳香があなたに噛み付いたらしくて」
「あ、さっきのキョンシーですか?」
「はい」
「痛かったけど謝るほどじゃ…」
「…あなたは知らないのですね?」
「え?」
「キョンシーに噛み付かれた者はキョンシーになるということを…」
「…え?僕が…キョンシー?」
「…のハズなのですが…」
「でも…関節動きますよ?」
「おかしいですね…」
「体質的なものですかね…?」
「でしょうね…では本題に入ります。」
「?なんですか、いきなり改まって」
「あなたに手伝って頂きたいことがあります」
「僕に?」
「内容はこの霊廟を芳香と共に守ってほしいのです。この霊廟には物部氏、蘇我氏、聖徳太子が眠っています。彼女らは復活しようにも寺が邪魔で復活できません。なので彼女らの復活を手伝うのです」
「は、はぁ…」
「手伝って頂けますか?」
「別にいいですけど」
「ありがとうございます」
「具体的には霊廟を守る、ですよね?でも誰から…」
「恐らく神霊がこんなにうようよしてたら邪魔者が入るでしょう。その人たちからです」
「分かりまし…」
そこまで言った時だった。
僕の体に激痛が走る。
「たっ!?」
「相田さん?!大丈夫ですか?!芳香!」
「あーるーじー」
「今の相田さんはキョンシーですか?!」
「んんー?」
芳香が顔を覗き込んでくる。
そして芳香は…
頷いた。
それを聞き、青娥さんはどこから取り出したのかお札を僕の額にペタンと貼り付けた。
その瞬間痛みは引いた。
「相田さん…すみません…相田さんはキョンシーになってしまったようです…」
「あの…青娥さん…」
「なんでしょう?」
「関節…動くんですが…」
「え…?」
「だから…関節動きます」
「芳香…相田さんは本当にキョンシーですか?」
「間違いないぞ、にゃんにゃん」
「にゃんにゃん?」
思わず聞き返す
「あぁ、私の愛称のようなものです。…にしても不思議ですね…遅れて発症。動く関節…」
「能力かなんかですかね?」
「能力…私は仙人です。とはいえ邪仙ですが…能力を知ることはできるでしょう」
「お願いできますか?」
「勿論です」
…………
「分かりました…あなたは毒を操る程度の能力の持ち主です。」
「毒を…操る?」
「遅れて発症したのも関節が動くのも説明できます」
「なるほど…」
ガタガタガタガタガタガタ…
「うわっ!地震…?」
「いえ、恐らく邪魔者が来たようです…では守護をお願いします」
「分かりました」
「りょうかーい」
「さてと、さっさと終わらせて帰るわよ、魔理沙」
「そんなこと分かってるぜ」
紅白巫女と白黒魔女が来た。
え?この人たちが邪魔者?
「あんたら誰?」
「僕らはキョンシー。この霊廟を守ってる」
「そうじゃなくて名前だぜ」
「僕は相田 透。相方の宮古 芳香」
「ん?あんたは外来人なのか?」
「まぁ…」
「しかし妖怪になったからには手加減しないぜ?」
「だろうね」
「じゃあ、さっさと終わらせてもらうぜ!」
魔理沙は八卦炉(?)を構えこっちに向ける。
「芳香!右に飛べ!」
命令を飛ばす
「りょうかーい」
その直後芳香がいた場所が焼け焦げていた。
「凄まじい威力だな」
「喰らったら一溜まりもないぜ?」
そろそろ能力使うしかないか…?
「透ー!」
芳香が呼んでいる
「なんだ?芳香」
「後ろ!」
「後ろ?」
振り返ると…
「残念だけどここまでよ」
巫女がなにかの構えをしている。後ろに逃げるしかないか…
「逃がさないぜ?」
魔理沙も八卦炉を構えている
万事休すか…いや…諦めない
能力発動!
「毒符「ポイズンスタチュー」!」
毒を飛ばし魔理沙の運動神経を麻痺させる。それが狙いだった。しかし…
「甘いぜ!」
魔理沙の方が早かった
「恋符「マスタースパーク」!」
後ろでは
「夢想封印!」
終わった…
「あぶなーい!」
芳香に突き飛ばされ吹き飛ぶ
刹那爆発が起きる。煙がひくと…そこには…
「芳香!!」
倒れた芳香がいた。魔理沙たちはどさくさに紛れて先に行ったようだ。前もってにゃんにゃんから救急箱をもらっていた。急いで芳香に近づく。
「待ってろ…今すぐ…治してやるからな…」
包帯と針と糸を取り出し裁縫していく。
裁縫が終わった。
「行かなくちゃ…芳香は休んでて…」
「そうはいかない。幸いここには喰べるものがたくさんいるからすぐに回復するから」
「無理すんなよ…にゃんにゃんが悲しむだろ…」
「透がやられても悲しむよ?」
「じゃあ、お互い無理しないこと…行くぞ」
「うん」
少し離れた場所で青娥は霊夢と魔理沙を相手にしていた。そこに僕らは乱入する。
「まだ生きていたか…」
「生憎死んでるよ!」
「相田さん!芳香!生きてて何よりです!」
「…」
訂正が面倒だ…
「まぁ、いいぜ。三人まとめて蹴散らすぜ」
「やる気満々ね、珍しく」
「異変ってなんかワクワクするだろ?」
……この人達はやる気があるのかないのか分からんな…
「んじゃ、いくぜ!」
「!来る!」
「恋符「マスタースパーク」!」
僕一人を狙ってきたな…まぁ、予想はついていたけど…
「拳符「ポイズンナックル」!」
マスタースパークをかわしつつ魔理沙との距離を縮める。あと少し…!しかし
ズバッ
「え…?」
右腕が肩から無くなっていた
「う…うぐぁぁぁぁぁぁ!」
凄まじい激痛が走る。
「遅かったな、妖夢」
「幽々子様が離してくれなかったんで…」
「あぁ…あいつか…」
二人がなにかを話しているがそれどころではない。
こうしている間にも血が溢れ出る。
「相田さん?!大丈夫ですか?!」
「うぐ…」
「動かないでください!血が…!」
「大丈夫だから…」
「大丈夫じゃありませんよ!」
「ま、トドメといこうか」
「!?」
「にゃんにゃん危ない!」
咄嗟ににゃんにゃんを左手で突き飛ばす。
「ファイナルスパーク!」
目の前が真っ白になった
某所にて…
気が付いたら僕は川の畔に立っていた。すると、一艘の舟が来た。その舟には赤い髪の女性が乗っていた。しばらく見つめていたら目が合った。女性は言った。
「あんたはまだ若い。その時ではないよ。元の場所へおかえり」
僕の意識はフェードアウトした…
同時刻、大祀廟。
「あ…あぁ…」
青娥は自分を責めていた。自分が頼まなければこの命は救われたのではないか。この死はなかったのではないか、と…
そのすぐそばに佇む一人のキョンシーもまた、自分を責めていた。自分が噛みつかなければ…と…
霊夢、魔理沙、妖夢はファイナルスパークを放った後すぐに行ってしまった。今頃は物部氏や蘇我氏と戦っているだろうか。
青娥と芳香は一人の少年を前に懺悔していた…
その時だった。
「…がはっ!」
「「!」」
少年が息を吹き返した。
「相田さん!」
「…にゃんにゃん…?」
すぐそばには芳香がいる。よく見ると涙目だ。
「泣くなよ…みっともない」
「だって…だってぇ」
微笑もうとした。しかし体に感覚が戻ってきて…
「ぐ…?!」
体に激痛が走った。普通キョンシーは痛覚を伴わないようだが僕は例外みたいだ…
「あ、あいつらは…?」
「例の技を放ったあと、すぐに行ってしまったようです」
「じゃあ…早く行かなきゃ…」
「やめて!いまの体じゃ無理です!」
《そうです。今は休んで下さい…来るべき私の復活の時まで…》
「「「?!」」」
《あと少し…あと少しです。いま布都たちが時間稼ぎをしているのでしょう?私にはわかります》
「あの…貴女は…?」
《申し遅れました。私は豊聡耳神子と申します。相田さんたちの世界では聖徳太子…と呼ばれています》
「しょ、聖徳太子…?あの10人の話を同時に聞けるっていう…?というか何故僕の名前を?」
《私にはわかる…と申しましたよね?私には全てのものを見抜けるのです。…おっと…布都たちがやられたようですね…そろそろ復活の時…また後でお会い致しましょう…では…》
僕らはしばらく呆然としていた…僕らを現実へ引き戻したもの…それは大きな地震だった…
にゃんにゃんは言った…
神子様が復活なさる…と…
芳香は言った…
来るべき時が来た…と…
僕は思った…
早く行かなきゃ…と…
僕は二人に肩を貸してもらうかたちになった。
そして…
神霊廟に辿り着いた。
奥にはさっきの三人の他にもう一人…恐らく神子様だろう…
「芳香、相田さん、青娥、布都、屠自古…お疲れ様でした…貴方達のおかげでこうして復活することができました…本当にありがとうございました」
布都という人と屠自古という人は居ないけども…
「しかし…貴女達の相手をしなくてはならないようですね…」
神子様は霊夢達を見て言った。
戦闘準備OKってな出立だ。
そして…神子様と霊夢達の弾幕勝負が始まった…
神霊異変からしばらく経った頃…神霊廟にて…ある二人の会話。
「しかし…まさか本当に成功するとは…」
「だから申したではないですか…後の世に復活できる…と…」
「私も半信半疑だったのですよ…だから…を信用させ先に眠らせたのだから…」
「…は復活した後も貴女に仕えるつもりだったようですしね」
「仕えるといえば…貴女は何勝手に我が国の国民をキョンシーにしているのですか…」
「でも可愛いでしょう?」
「まぁ、この件に関してはまた後日…それよりも…さんの事です…」
「彼の事は残念でした…しかし…あの時奇妙なことが…」
「奇妙…というと?」
「…と言いましたか?あの魔法使い…あの者の技を喰らい命を失ったかと思いきや…また蘇ったのです…」
「…閻魔様の気紛れでしょうね…現にこうして、命を奪ったのだから…」
「しかし本当に良いんですか?」
「今更ですか?私に出来たならば彼にも出来るハズです」
「それもそうですね…」
「私達の時間は長い…永遠とも呼べるほどに…ならばほんの少し離れるだけです…では…始めましょうか…」
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俺が3ヶ月ほど前に書いた神霊廟のアナザーストーリー的なものです。拙い文なので読みにくかったりします。