麻帆良武道大会 予選
side 零樹
さて、麻帆良武道大会が開催されようとしています。今は主催者である超さんがこの大会をM&Aをしてまでここまで大きくしたのかを説明しています。それを聞き流しながら周りを見渡すことに。父さんを始め、赤き翼の面々が仮装、または変装して所々に立っていたり(なぜかアーニャさんの姿が見えるんだけど)、裏世界、魔法使いではなく忍者とかエクソシストみたいな者達。明らかに異常な気を持っている武道家。結構名前の知られている暗殺者。シスターズ、ブラザーズの中でも戦闘狂の子達。他にもチラホラとかなりヤバいのが混じったりしている。
「最後に、25年前に優勝したのはふらっと現れた異国の少年、ナギ・スプリングフィールドね」
そんな話も聞いた事があるな。まあ、今は関係ないけど。おや?あれも参加するのか。予選突破できれば、いや、父さんの事だ。なんとか勝ち残って本戦には出れるようにしているんだろう。僕は僕の事だけを考えれば良いか。
予選は16カ所あるリングの上で、気絶か場外、相手を殺すと負けとなり、各リング2名までが本戦出場となる。僕は指定されたJリングに立ち相手を確認する。脅威になり得るのは別の世界で布でロボットを破壊する武道家と頬に十字傷のある傭兵が開発した着ぐるみ型パワードスーツ、最後に門矢さん。
さて、とりあえずは様子見から始めるとしましょうか
「試合、開始ね」
合図と同時に雑魚共が近くに居る雑魚を相手に戦いを始める。門矢さんはめんどくさそうにディケイドに変身している。パワードスーツは手に持っている警棒で向かってくるのを撃退している。そして、最後の一人は
「我が名はシュウジ・クロス。流派東方不敗の伝承者じゃ。儂と一つ手合わせを願おうか」
僕に宣戦布告をする。
「僕は天流・M・零樹。世界最強の教授の息子だ」
手袋がズレないように深く嵌め直し構える。
「それでは武道家ファイト」
「レディ~~~~~」
「「ゴーーーーーー」」
side out
side アリス
あ~~、なんと言えば良いのだろう。私が立っているBリングだが、勝敗は既に決していると言ってもいい。なぜなら私の他に強いのは、その、ベイダー卿だけだから。うん、あの黒くてコホー、とか言うあれ。さっきからフォースみたいなので参加者を投げ飛ばしている。腰に差しているライトセイバーを抜く気配は一切ない。でもね、一つだけ言わせてもらいたい。あなたは何をしてるんですか、お父さん(・・・・)
魔力からすぐに分かりますよ。
「くっ、すまねえな嬢ちゃん。オレはまだこんなところで」
「気安く触らないでもらえますか」
私の肩を掴もうとしていた空手着の男を適当に場外に投げ飛ばす。これでこのリングの勝者が確定しました。他のリングを見ると爆発音や銃声、その他色々な音が聞こえる。他に決着がついているのは師匠がいるAリング、エヴァさんがいるGリング、リーネさんと刹那さんが居るIリングですね。AとGのもう一人の勝者は、Aが黒い髪に黒いコート、黒いズボン、仮面にソードブレイカーのナイフを持った男と……和服を着て頭から袋?(紙袋みたいで目の部分にボタン、口の部分に切り込みと毛糸でチャックみたいなのがついていて、下の部分をネクタイで固定してある)を被った男です。どこから突っ込めば良いのやら。
「よくやったぞロレンツォ」
「やりましたよ、首領~~~~~~~」
まさかの外国の名前でした。しかも
「首領のくせにヤギとか巫山戯るな~~~~~」
二足歩行のヤギなんですよ。体長50センチ位でマントを付けた。どっからどう見ても魔法世界関係の人?ですよ。なんでこっちに来てるんですか。というより周りの人も気付いて下さいよ。とか思っているうちに半分の試合が終了しています。長瀬さんと古さんは負けてますね。それも仕方ないとは思います。原作よりも強い人がたくさん居ますから。レイフォンさんは勝ち残ってますね。錬金鋼を持っていますし、彼なら勝てて当然でしょう。おや、アルトリアさんとランスロットさんも出ていましたか。あの主従が相手だと苦戦しそうですね。おっと、あっちの方でも良い兄貴コンビ、ディルとクーも勝者になってますね。それにしても零樹の相手は中々に厄介みたいですね。あの武道家、戦闘力3万強といった所でしょうか。それでも純粋な体術だけで互角に戦っていますね。
「流派東方不敗が最終奥義、石破天驚拳」
「その隙を待っていた」
「何ぃ!?ぬわぁ~~~」
零樹は最終奥義を躱し、そのまま相手を場外に投げ飛ばし勝者となる。もう一人は門矢さんみたいです。
というわけで本戦トーナメントが表示されます。
Aブロック
第1試合 ネギ・スプリングフィールド VS 天流・M・零斗
第2試合 ジャック・ラカン VS 黒
第3試合 織斑千冬 VS ゼクト・フィリウス
第4試合 アンナ・ユーリエウナ・ココロウァ VS ロレンツォ
第5試合 荻野邦治 VS ランスロット
第6試合 クー・フーリン VS リーネ・M・天流
第7試合 カイル VS クルト・ゲーデル
第8試合 アリス・アーデルハイト VS ディルムッド・オディナ
Bブロック
第9試合 ベイダー卿 VS アルトリア
第10試合 近衛詠春 VS エヴァンジェリン・M・天流
第11試合 レイフォン・アルセイフ VS 衛宮切嗣
第12試合 アルビレオ・イマ VS 天流・M・刹那
第13試合 天流・M・零樹 VS ブレイド
第14試合 高畑・T・タカミチ VS ガトウ・カグラ・ヴァンテンバーグ
第15試合 遠野志貴 VS 蛇
第16試合 門矢司 VS 言峰綺礼
わ~お、カオス。
原作と一緒の部分はタカミチとあれが参加しているということ位ですかね。
トトカルチョもあるそうなので予想を立ててみます。このトーナメント表を見ればAブロック代表は師匠が本命ですね。大穴はロレンツォさんですかね。戦っている様子を見てなかったので何とも言えませんけど。アーニャさんは新年会の時にとあるアリアドネーの戦闘科の教授の一人に気に入られて弟子にさせられたそうなのでかなり強くなっています。戦闘力は1万前後と言った所ですかね。
Bブロックの代表は……本命がお父さんでその次にエヴァさん、零樹、タカミチの順ですかね。大穴は、特にこれと言って居ない気がしますね。とりあえず師匠にフルベットですね。倍率は、10.7倍。最終的には5倍位に収まりますかね?それでも十分ですけど。
「アリス、これからクラスで初日終了パーティーをすると連絡が入ったけど、あなたはどうする?」
「零樹は零樹でクラスの反省会があるそうなのでそちらに参加しますよ」
「そう、それにしてもあのロレンツォのインパクトは凄いでしょう」
「ええ、あれって何なんでしょう」
「イタリア系マフィアらしいわよ」
「あの格好でですか!?」
「武器は日本刀と火縄銃」
「火縄銃!?」
「日本での正式名称は種子島南蛮渡来銃。どんなに激昂していてもリロード中は冷静に戻るわ」
「確か、普通の人ではリロードに1分近くかかるあれを実践で使うんですか」
「いいえ、柔術よ。得意技は、投げたかと思いきやお姫様だっこに切り替え優しさで包み込む紳士的一本背負い」
「ツッコミたい、色んなことにツッコミたい」
「ちなみにランスロットと戦う予定の荻野邦治は刑事で通称は鉄人よ。その名の通り、というより、アレも色んな意味で凄いわ。魔法も気も使えないのにロケットランチャーの直撃を受けて無傷という化け物よ」
「お医者様の中にエンジニアの方はおられますか~」
「いるじゃない、目の前に。というよりあなたもでしょうが」
「いえいえ、エンジニアの方は手慰みですから。基礎的なこととかしか分からないですし」
そんな馬鹿なことを話しながら集合場所に行くと既に打ち上げが始まっていた。
「このテンションでアルコールが入っていないのは賞賛に値しますね」
「ならアルコールを投入するしかないわね。はい、ちょっと早いけど結婚祝い」
「これって最近オークションに出ていた奴じゃないですか」
「僻地にいたのによく知ってるわね」
「ネットって便利ですよね~」
「本当に便利よね」
傍にあったグラスを手に取り、栓をゆっくりと開ける。古いワインはちょっとした振動等で味が崩れることもあるので丁寧に開ける必要がある。もっとも魔法薬の精製等で慣れているので問題はないがちょっとだけ緊張する。その中身をグラスにこれまた丁寧に注ぐ。香りを楽しんでからそれを煽る。
「う~ん、150年物のビンテージは良いですねぇ~。リーネさんもどうぞ」
「ありがとう。やっぱりこれ位歴史を刻んでいる物はおいしいわね」
「なにやってるんだよ、お前達」
「「師匠(お父様)、エヴァさん(お母様)」」
「お~い、これ差し入れだ」
そう言いながら近くのテーブルにケーキを5ホールを手品のように見せて取り出す。
「「「「天流先生」」」」
「教師は辞めたんだから先生は辞めろ」
苦笑しながらも元教え子達に囲まれて師匠は楽しそうにしている。
「それにしても先生、アリスさんが零樹君と結婚するって本当ですか」
「らしいな。まあ、零樹が選んだんだ。文句なんてないし祝福するさ」
「直接報告するのが遅くなってすみません。あと、ありがとうございます」
「まっ、幸せになれば良いさ。それが出来るように育てたつもりだからな」
「はい」
「明日の大会が終わった後に報告に行くそうだな。ゆっくり話し合えるように店の方に来れば良い。最も、父親の方は立っていられるか分からんがな」
「えっ!?アリスさんのお父さん武道会に出てるの」
「ええ、私も確認しましたから間違いありませんよ。誰かは教えませんけど」
「というより天流先生の家族、全員本戦に出てませんか」
「当然の結果、いや、予選の何処かで3人以上居ればこうはならなかったがこれ位は普通だ」
「それにしても以前まではこういうことに興味がないようでござったが」
「来年には此所には居ないんだ。伝説の6個や7個位作っておこうかと思ってな」
「「「「多すぎだ!?」」」」
「今朝も鳥人間コンテストでタカミチと一緒に二人乗りの人力飛行機で麻帆良を一周回ってみたり、大食いコンテストで新記録をたたき出したり、女装コンテストに出てみたり「女装!?」クイズ大会やら色んな大会を制覇して来たからな」
師匠の女装ですか、ちょっとだけ見てみたいですね。リーネさんや刹那さん、木乃香さんも似た様なことを考えているんでしょうね。
「まあ、明日の武道大会も余裕で優勝だしな。これだけ大会を荒らせば十分伝説になれるだろう」
「そんなこと、僕がさせません」
ちっ、屑が来たか。屑が敵意ある目を師匠に向けています。相手がどれほどの力を持っているかも知らずに。
「無理だな。お前ごときでは本戦に出ている誰にも勝つことなど不可能だ」
「そんなことありません」
「何処からそんな自身が来るのか分からんが、お前が本戦に出れたのは単に運がよかっただけだ。お前が子供だということでジョンが無視してくれたから本戦に出れているんだ」
「ジョン?」
「蛇の本名だ。あれは生粋の軍人だ。だが、お遊びの武道大会だからこそ見逃された。それだけのことすら分からんのか。そして何より、オレに勝てると思っているのか」
「そんなのやってみないと「お前の父親なら『勝てないけどやってやる』そう言うだろうな」え?」
「そんなことも知らないのか?オレはお前の父親、ナギ・スプリングフィールドの師でもあるんだぞ。タカミチにも聞いたことことが無いのか?その前にお前は自分の父親のことを何処まで知っているんだ」
「父さんのことを知っているんですか」
その言葉を無視するように師匠が話を続ける。
「オレは知っているぞ。あいつがしてきたことを。あいつが悩んだことを。あいつが後悔していることを。あいつが数えた自分の罪の数を」
「父さんが罪を犯すなんてありえない」
「それすらも知らないか。いや、知ろうとしないのか。理想だけを追い求めるなら理想に抱かれて溺死しろ。その時は近いぞ」
具体的には武道大会の後ですね。どんな風に壊れてくれるのか楽しみですね。
「さて、ここに居ても場の空気を悪くするだけだろう。オレたちは行かせて貰おう。行こうか、エヴァ」
「そうだな、最後の麻帆良祭なんだ。存分に楽しむとしよう」
それが当然であるように腕を組み去っていく。羨ましい。今此所に零樹が居ないのが恨めしい位です。まあ、今は学生という身分に縛られていますから仕方ないとはいえ見せつけられると。いや、でも未来のお養父さんとお養母さんになるわけですし、戦闘力的にも勝てるわけが無い……ぐぬぬ。
「どうしたんですか、アリス」
「タイミングが良いのか悪いのか分からない状況に現れないで下さいよ」
「それは失礼。今度からはご期待に添えれるようにしますよ」
背後からかけられた言葉に振り返ること無く答える。その声で誰かなんて分かっているし、今の顔はあまり見られたくない。ちょっとだけクールダウ「すみません」へっ?
いきなり零樹に抱きかかえられ、零樹自身も後ろに跳躍する。次の瞬間、私と零樹が立っていた場所に純粋な魔力の固まりが直撃する。それに気付いたのはこちら側の関係者全員だ。そして、それを放ったのは予想通り、屑。魔法を秘匿した上で相手を殺傷するには今の攻撃は十分有効です。それを躊躇無くこの場で使える位に屑は染まったのだろう。まあ、さっきみたいに惚けていなければ躱すのは容易い。
「二人っきりになりたいのでアリスを借りていきますね」
笑顔を見せながらクラスメイトに急に私を抱きかかえて離れ出す理由を告げ零樹が走り出します。
「いい具合に染まってますね。お仕置きはいりますか」
「そうですね……いえ、今は良いです。どうせ明日には理想に裏切られるのですから。今位は理想に浸からせてあげましょう。それが私の最後の慈悲です」
「分かりました。では、夜のデートにでも行きますか」
「エスコートは任せます」
「では、麻帆良祭中の僕のお気に入りを紹介しますよ」
「お願いします」
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くせ者揃いだな。
だけど何としてでも勝ち上がってやる。
アリスの為にも。
by零樹