「むぅ、フェイトちゃんはおっちょこちょい何ですね。道を忘れてしまうとか」
「あはは……返す言葉も無いよ……」
何かこの子、迷子になってたらしい。
懐かしいな~、つい二ヶ月位前に、俺も迷子になったよ。
その頃は地図すら目を通してなかったから、あそこでなのはに会えたのは運が良かった。
俺、案外幸運Bくらいはあるのかな?
「さって~、それじゃあジュースのお礼も兼ねて、道案内してあげますよ」
「ありがとう。アニスって優しいんだね」
「いえいえ、フェイトちゃん程ではないのですよ、にぱー☆」
っと、いかんいかん。また素で梨花になりかけている。
うむ、どうやらもうこれがデフォになっている様だ。
まぁ、自分自身この口調は好きなんだけど……万人受けはし無さそうだよね。
あれは幼女がやるから愛でられるのであって、男がやってもあまり需要はないと言いますか何というか。
でもそれは容姿の問題であり、もし仮に圭一がやったら、それはそれはとても大変で凄くて気持ち悪い結果になり。
圭一自身がバットで自分の頭をウッディしそうな勢いでしょうね。
そして何故こんな事について俺が語ってるのかと言うと。
目の前のフェイトが悶えているのでこの様な暴挙に出ました。
だって、軽く鼻から忠義心が見え隠れしてるんだもん。
「あ、あの……フェイトちゃん?鼻血みたいなのが出てるんだけど……」
「はぅっ……」
フェイトは慌ててポケットに手を突っ込み、ティッシュを取り出して拭く。
その間二秒。
お前は第四次聖杯戦争初期の切嗣か……、まぁ少しなまっててワルサーに弾詰め込めなかったけどな。
「……フェイトちゃんは変態さんなのかな?かな?」
「へ、変態さんじゃないよ……」
「まぁ、家にも似たような人が居るので慣れてるので気にはしませんけど」
「お願いだからその人と同類みたいに言わないで……」
「みぃー、変態さんには罰をなのです」
どんどん黒くなっていくね俺。
これならリアル梨花を目指せそうなんだけど、既に中の人と繋がりがあるので止めておこうかな?
まぁ、誰とは言わないけど。
「……アニスってやっぱり女の子なんじゃ……」
「あはは、何を言ってやがりますのですか。こんなダンディズムにあふれた男の子を捕まえて、女の子と口走るとか……って、何処もダンディズムあふれてねぇやな。しかもこの格好だし」
何処からどう見ても、男子がする格好じゃねぇしな。
まぁ、好きでこの格好してるから良いんだけどね。
「つか暑い……マント取ろうかな……」
「アニスってマントとかいつも羽織ってるの?」
「いや、気分だよ。この帽子もね。最近使ってなかったからね。似合ってる?わふー!何てね♪」
俺は右手を上にあげて元気よく言う。
わふーは共通言語で良いよ。
あ、そういや今日ナツブラ終わりじゃん……あ、何でもない、こっちの話だよ。
「わふー?」
「あ、口癖の様なものだから気にしないで」
共通言語になるのはまだまだ難しそうだ。
まぁ、フェイトが知ってたら今飲んでるジュースを吐き出す所だったけどな。
「それにしても、フェイトちゃんは暑くないんですか?そんな黒一色だ何て……見ててこっちが暑いよ……」
「実は結構……」
「ですよねー」
ホント、フェイトは黒色が大好きなんですねー。
まぁ、俺は来るものは拒まずと言いますか、似合えば何色でも何でも着るからね。
あ、女物は別な。
「今度から半袖を着ることをお勧めしますのです」
「うん、そうだね」
うむ、やっぱこう見ると、あんまりフェイトは笑わんな。
笑わんと言うよりも、笑顔が無いと言いますか、何と言いますか……。
でも可愛いんです、優しいんです。
「むぅ、もう飲んじった。ゴミ箱はこの辺に……ねぇか」
そこら辺にポイ捨てしたら隣のフェイトがお母さん化するからな~。
どうしたものか……まぁ、ゴミ箱見つかるまで持ってよう。
「それにしても、結構あそこから遠い所まで来ましたね。マンション結構遠いよ?」
「行き辺りばったりで来ちゃったからね」
「こんなに暑いのに、根性ありますねー。俺は無理ですわ」
「でも今外に出てるけど」
「……さて、行きましょうか」
痛い所を突かれました。
もう生きていけません……ちくせう。
「それにしても、さっきから視線がウザい……」
それがフェイトに行けばいいんだけど、如何せん……その視線全てが俺に来ている気がするのは、俺の自意識過剰故の被害妄想なのだろうか……。
「さて、フェイトちゃん。少し速く歩くけど大丈夫?」
「あ、うん。大丈夫だよ」
「そう。それじゃあ行くよ」
俺は少し速度を上げて歩き出す。
それに着いてくるフェイト。
速度を速めたのは、一刻もあの視線から逃れたかったから。
あんましいい気分にはなれそうも無かったからね。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「と、言う訳で、マンションに着いたお」
「……誰と話してるの?」
「あ、気にしないでフェイトちゃん。ただの独り言だから」
「あ、そうなんだ……」
「に、しても……結構豪華なマンションに住んでるのね。何、フェイトちゃんって良いとこのお嬢様だったりするのかな?」
「ううん、違うよ」
ですよねー。
いや、でも……プレシア結構凄い奴だし、案外的を射てるかもしれぬな。
「それじゃあ、また縁があったら何処かで会おうね」
「うん。それじゃあ、またね」
俺はフェイトに手を振り、そのまま後ろを向き歩き出す。
さて……今何時だ?
俺は付けている腕時計を見る。
「むっ、13時か……早いな、もうそんな時間か……」
どおりでお腹が減っていると思ったよ。
ちょいとフェイトと長話し過ぎたし、視線が無くなってからまたゆっくり歩きだしちゃったから、仕方ないか。
いやぁ、それにしても、フェイトと敵対し合わなくて済みそうだね。
へ?なのは?
戦わせときゃ良いじゃん。
戦いから生まれる友達ってのも、中々おつでしょうに。
べ、別に、介入するのがめんどくさいとか思ってないんだからね!
でも、プレシアどうしよかな~。
助けても良いんだが……ねぇ、今の俺は魔法が使えないわけでして。
そして闇の書のマスターですし、あまり管理局には顔を割られたくないのです。
「さて、どうしたものかな~……」
まぁ、時期が来るにはもうちょい時間がある。
それまでに答えを出しておこう。
優柔不断は嫌われちゃうので、サッサと結論を出したい所ではあるね。
それにしても、お昼どうしようかな~。
別に食べなくても良いんだけど、またアンクに痩せたとか言われてグチグチ言われたくないし。
あんまし食べ過ぎも良くないんだぞ、アンク。
「よし、んじゃこのまま突き進もう」
何かお昼お食べるのめんどくさくなってきたので、このまままた町を徘徊する事に。
今度は誰と遭遇すんのかな~。楽しみだわ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「……さっき楽しみだとか思ってた過去の俺を思いきりエスカリボルグでぶん殴りたいわ」
はい、ただ今時刻は夕方の四時でございます。
結局誰とも会わないまま時間と体力ばかりを消費しました。
いやぁ、やっぱフェイトみたいに行き辺りばったりは駄目なんだね、痛感したよ。
「はぁ、もう学生たちが下校する時間なのですか……」
何だろう……なまじ中途半端に高校生活を送り、高1で死んでしまい、今に至る俺なんだけど。
……学校行きたいなって思っちゃう。
小学校でも良いって思うけども……流石に無理だよね、今の家庭事情じゃ。
戸籍は……まぁ、何とかなりそうだけど、シグナム達やはやての事もあるしね。
「……はぁ、学校行きたいな~」
別段、友達と言う物が欲しいと言う訳ではない。
学も欲しい訳ではない。ただ、中途半端に通っていたのだったら、せめてちゃんと通っておきたかった。ただそう思っているだけ。
あ、でも学校生活に友達はつきものなので、やっぱ欲しいかも。
そんな事を思っていたら。
「……アニス、ここで何やってるの?」
「ふぇ?」
不意に声をかけられた。
俺は後ろを振り向き、そいつを見る。
……ムッツリーニ……。
「あ、ムッツリーニ。久しぶりだね」
「…………(こくり)」
相変わらず、表情が変わらん奴だなこいつは。
ん?後ろに数人人が居るな、こいつの友達か?
「あー!ムッツリーニが女の子と話してる!?しかも子供の!」
「彰久落ち着け、もしかしたら道を聞いてるだけかもしれないぞ。女の子が」
「いや、明らかにムッツリーニの方から声掛けてたし……」
……おいおい、見た目的に結構見覚えあるんだが。
つか、完璧バカテスの明久、雄二、美波なんだが……。
「お友達?」
「………(こくり)」
「……そうなんだ。挨拶しても良い?」
「………(こくり)」
うっし、ムッツリーニの許しもえたし、いっちょかましますか。
俺は三人が居る所に、ムッツリーニと一緒に行く。
「ねぇムッツリーニ、その子どうしたの?ムッツリーニの知り合い?」
「………紹介する、この子は……」
「土夜お兄ちゃんの彼女の、アニスです♪よろしくね。お兄ちゃん、お姉ちゃん♪」
「「「ブーーーーッ!!?」」」
ふははは!どうだムッツリーニ!
これが俺の奥義よ!!
「ムッ、ムッツリーニ!?恋愛は人それぞれだけど、それは犯罪だよ!!」
「見損なったぞムッツリーニ!決して女子には手を出さない紳士のお前が、実は隠れてこんな幼気な幼児と……クッ、俺のクラスに、まさか犯罪者が混じっていたとは……」
「ムッツリーニ、ウチ、信じてるよ?ムッツリーニはそんな事しないって」
「……………(ブンブンブンブンブン!)」
ムッツリーニはすっごい首を横に振って否定している。
……何これ、面白い。
「そんな……お兄ちゃん……あの時私に、あんな事しておいて……うぅ、酷いよ……アニスはお兄ちゃんの彼女じゃなかったの?」
「ムッツリーニ、お前!?」
「……アニス、いい加減に悪ふざけは……」
「えへへ~、まぁ、今回はこのくらいで許してしんぜよう。この前遊園地でバカスカ写真を撮りまくった罰だよ」
「「「へっ?」」」
ふはは、どうよ?
四人ともアニス節に引き入れるこの手際のよさ!
惚れ惚れするねもう。
「改めまして、こんにちは。アニス・クロイツベルって言います。ムッツリーニとはただの友達何で、そんなヤラシイ関係じゃないですよ?それに、野郎と付き合うほど俺落ちぶれてないので悪しからず」
「えっと……じゃあ……」
「全部この子がでっち上げた嘘?」
「…………(コクリ)」
「何だー、良かったぁ~。ムッツリーニがとうとうやらかしたかと思ったよ」
「あぁ、俺もだ。まぁ、これで何よりだ」
「所で……俺って言ってるけど……まさか君って……」
「あ、はい。俺は正真正銘男ですので。できれば君付けでお願いします」
うむ、やっパリ驚くよねそりゃ。
あのフェイトですら驚いてたし。
「……まさかここにも、第三の性別が……」
「ん?第三の性別?」
「いや、こっちの話だから気にしないで」
何か、このバカっぽい奴がいきなり切り返したんだが……。
まぁ、良いか……。
「……所で、あそこで何をしていたの?」
「あぁ、ちょっち黄昏てた」
「……まだそんな年じゃない」
「あはは。子供に、色々事情があるんですよっと……んじゃ、もう家に帰るわ」
「……今度はその恰好でまた会えることを願う」
「何で?」
「………クドの格好のアニスは需要がある。今日はカメラのバッテリーが切れた」
「あはは、そりゃ残念。そんじゃ、行くねムッツリーニ」
「………バイバイ」
俺はムッツリーニ達と別れた。
別れ際に手を振ろうと後ろを向いたら、何かムッツリーニが変な格好をした奴らに連れてかれた。
何かアニスたん見守り隊とか書かれてたのは、俺の目の錯覚なのだろう。
取り敢えず、俺は何も見なかったことにして、そそくさと帰った。
こうして、俺の一日が終わりを告げるのであった……。
今日の日記、お終いまる
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黄昏って何か響きがカッコいいやん……