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IS《インフィニット・ストラトス》 駆け抜ける光 コラボ小説 第五話~五 取り戻した光

エリスは単一仕様能力を開放させ、ユリにせまるがとどめを刺さなかった。光輝はそんなユリに唯と分かりあえると説得をする。しかし、ユリはそれを否定して最後のコンボ「プトティラコンボ」で光輝を襲う……。

2012-03-20 22:26:04 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1274   閲覧ユーザー数:1263

ユリは地面から『メダガブリュー』を取り出すと光輝に襲いかかる。光輝は距離を取りながらビームライフルで攻撃していくが、ユリは回避しつつ確実に迫っていた。

 

「いいこと教えてあげるよ♪ 紫のメダルの特性は『無』。要はなんでも壊すってことだよ♪ だから、ボクがその気になれば……」

 

 光輝はその言葉に凄まじいプレッシャーを感じて一瞬体が動かなくなる。その隙にユリが恐竜のような咆哮を上げながら接近し

 

「ISのコアだって壊せるんだよ!」

「っ……! しまった!」

 

 光輝はメダガブリューの斬撃をギリギリ回避することができず、左足のアーマーが壊れる。

 

「ぐぅ、まさか一撃で……」

[くそっ。これだと長期戦は不利か! 早く勝負をつけたいところだが……]

「こうなったら意識共有でユリさんと対話を!」

[だが今回が初めてなんだぞ? 調整もまともにできてない状態でいけるかどうか――」

「でも!」

「なにをこそこそ話してるのさぁ!」

 

 ユリが再び襲ってくる。光輝はビームサーベルを抜き、接近戦を行う。サーベルとメダガブリューの鍔迫り合いが始まり周囲に紫電が走る。メダガブリューの方がパワーがあるのもあるが、メダルの特性の恩恵もあってか、徐々にサーベルを押し返している。

 

「ふふっ。こんなことじゃあ唯を助けるどころか、光輝ちゃん死んじゃうねぇ♪ もっともっと抵抗しなよ!」

「ユリさん……! こんなこと本当にユリさんが望んでることなの!?」

「さっきから言ってるじゃないか! ボクは唯の体を支配するだけ!」

「っ! サイコバースト!」

 

 サイコバーストを発動させた光輝はメダガブリューを押し返し距離を取り、そして意識を集中させる。HI-νを纏っていた光がアリーナ全体に広がり光輝と何が起こったのか分からないユリの意識が遠のく……。

 

 

 

「君がユリさんか」

 

 周囲は緑の光で照らされている意識上の中でユリを見つける。紫のツインテールに胸が箒並みにあるということを除けば唯そっくりである。

 

「あれ、今さっきまで光輝ちゃんと戦ってたよね? ここはどこ?」

「それは僕にもわからないんだ。でもサイコバーストには意識共有の能力があってね。それを使ったんだよ」

「ふ~ん。で、ボクと意識を共有して分かりあおうとでも言うの?」

「そうだよ。それに僕だけじゃなくて唯さんもそれを望んでるはずだよ」

 

 その言葉にユリが驚く。しかしすぐさまあざ笑うかのような笑いを溢す。

 

「あはははっ! 唯が? 自分の体を今まさに支配しようとしている相手と分かりあう? バカバカしい!」

「そんなことない! 唯さんはそれほどユリさんのことを気遣っているんだよ!」

「そうだとしてもその理由が分からないねっ。分かろうとも思わないよ」

[それは君自身が唯に聞かなければならないことだ]

 

 二人の会話に介入してきたのは連邦の制服を着たアムロだった。その目はユリを哀れむような目だった。

 

「光輝ちゃんのISの中にいる意思が何のようなの?」

[……君に言いたいことがあるから来たんだ。あんな力の使い方をしたら君にとってかけがえのない物がなくなってしまうぞ!]

「ボクにとってかけがえのない物? そんなものないよっ! ほんとにバカバカしくて呆れるね……」

 

 ユリさんがそう言った途端、アムロは彼女に迫り頬に平手打ちをする。パンッという音が空間に虚しく

響く。

 

[どうして素直になれない? どうして理解しようとしないんだ! 唯の気持ちを……自分の気持ちを!」

「分からない……どうしてそこまでボクをこんな気持ちにさせるの!?」

 

 ユリの目が紫に輝き、紫のオーラが出現する。それが周りを包み込み「無」になっていく。

 

「もうイヤだよぉ……こんな気持ちは……」

 

 ユリの目からは涙があふれ出している。それはもう滝のように止まることを知らない勢いで。二人はユリの精神が完全に不安定になっていることを悟った。

 

「ユリさん!」

 

 光輝の声が響いた瞬間、意識が覚醒し現実にへと戻っていく……。

 

 

 

『スキャンニングチャージ!』

 

 意識の戻った光輝はすぐにその機械音に気付き回避行動に移るが、ワインドスティンガーによる高速攻撃を避けることができず、両肩に突き刺さる。装甲のおかげで肩を貫通することはなかったが、激しい衝撃が光輝を襲う。

 

「うああああっ!!」

 

 激しい痛みに大きな呻き声をあげる光輝だがユリは容赦せず、プテラヘッドから出現した「エクスターネルフィン」の羽ばたきでワインドスティンガーを経由して光輝の下半身が凍る。

 

「くぅ……痛いうえに寒い……」

「こ、これで……終わる。そしてボクはぁぁぁぁ!!」

 

 ユリはメダガブリューにセルメダル四枚を入れる。ゴックン! という機械音をだして、それをバズーカモードに変形させる。

 

『プットッティラ~ノヒッサ~ツ!』

 

 その音声が響き、銃身に紫のオーラが溜まっていく。光輝は死を覚悟して目を瞑る。そしてユリがトリガーを引き--。

 

「あ、れ? 体が動かない……? まさか唯が!?」

 

 ユリの声に光輝はゆっくり目を開ける。ユリがメダガブリューを構えたまま動いていないのだ。銃身のオーラが次第に消えていく。

 

「いいところで体が動かないなんて……ボクはずっとこのまま訳のわからない気持ちに苦しんでいかないといけないなんて……」

「そ、そんなこと……ないよ」

「光輝ちゃん?」

「勇気をだして、唯さんに話してみたら大丈夫だよ。唯さんはちゃんと答えを出してくれるから……」

 

 最後の力を振り絞って光輝はそこまでしゃべり、力尽きるように倒れた。

 

「唯……」

 

 ユリは唯の名前を呼んで変身が解ける。同時に唯の意識が取り戻される。

 

「ユリ、今度ゆっくり話そうな……今は休ませてくれ」

 

 唯もそう言って力尽きるように倒れた。多大な消耗があったものの、唯を取り戻すことができた。これで一件落着ですかな。

 

 

 

 三日後、僕たちのISの回復は完全に終わっけど体の傷がまだ治らないでいた。でも唯さんを取り戻すことができたし良かった! でも最後の問題が残ってるか。

 

 僕と唯さんは気分転換にそこら辺を散歩していた。まぁほとんど病室だったり部屋で待機ほとんどだったし散歩も悪くないよ。

 

「ユリさんとはどうなったの?」

「あいつ、まだ気持ちの整理がついてないみたいなんだ。ユリにとっては初めてのことだったんだから仕方ないだろうけどな。苦しんでたら助けるさ」

「そっか……結局僕には何もできなかったな」

 

 僕は苦笑いするけど唯さんは真剣な表情で喋る。

 

「そんなことないぞ。こうしてユリとのきっかけを作ってくれたのはお前のおかげだ。それに勇気をくれたしな。本当にありがとな」

「い、いや。僕はそうしたかったからしただけだよ」

 

 恥ずかしい気持ちでいっぱいになった僕は自分の顔が熱くなるのが分かった。唯さんはそんな僕を見て思いっきり笑った。

 

「あはははっ、やっぱり光輝は面白いな!」

「な、なにがさ! すぐそうやってからかう!」

 

 世界は違っても分かりあえるのは幸せだ。でもいつかは別れが来る。後悔する前に残りの唯さんと一緒に居れる時間を大切にしよう。別れがいつになるか分からないけどこれからもよろしくね! 唯さん!

 


 
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