No.394249

IS かけがえのない絆

2話『衝撃と始まり』

2012-03-19 01:56:10 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1401   閲覧ユーザー数:1371

日本、某多目的ホール内

 

 

 

 

「ええい、次に見つけたドアを開けるぞ、俺は。それでだいたい正解なんだ」

 

 

結局このホールが広すぎて試験場所にたどり着けない…。全く、誰が作ったんだよこのホール。

 

おっ、いいところにドアが。入りますよ?

 

 

「あー、君、受験生だよね?はい、向こうで着替えて。時間押してるから急いでね。全く…ブツブツ」

 

 

部屋に入ったとたん担当の教師らしき女性に言われた。相当忙しいらしく、またそのせいか判断力も鈍っているようだ。

 

ま、それよりも指示に従おう。

 

目の前にカーテンがあったのでそれを開くと…奇妙な物体が鎮座していた。

 

―――知っている、これは、『IS』だ。

 

 

正式名称は『インフィニット・ストラトス』。当初は宇宙空間での活動を想定して作られたマルチフォーム・スーツだった。しかし製作者との意図とは異なり、このハイスペック仕様から『兵器』と変わり、いつしか『スポーツ』として現在に至る。

 

しかし『IS』には致命的な欠点があった…

 

 

「男には使えないんだよな、たしか」

 

 

結局男である俺には、この機械は反応しない。―――そう思って、触れた。

 

 

「!?」

 

 

キンッと金属質の音が頭に響く。

 

その瞬間意識に直接流れ込むおびただしい情報の数々。それは全て『IS』に関わるものだった。

 

 

「君!今すぐこの部屋から……えっ!?『IS』が男に反応している!?」

 

 

さっき指示した女性と係りの教員数名がカーテンを開けて入ってきたが、すぐさま驚愕の顔となる。

 

 

「……!?まさか男に反応するなんて!」

 

 

「取り敢えず織斑先生に連絡して!すぐに!」

 

 

この瞬間世界初『IS』の男性操縦者が生まれた。

 

いや、『2番目』だ。本当の世界初の男性操縦者は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後、ドアがやかましく音を鳴らしながら開いた。

 

その先には黒のスーツでビシッと決めた黒髪の女性がいた。

 

 

「あっ、織斑先生!こちらです!」

 

 

織斑先生?ちょっと待て!まさか……

 

 

「…全く、何故動かせたんだ、一夏」

 

 

「ち、千冬姉!?って、なんで『バシィィィィン!!!』いっーーー」

 

 

「私は教員だ、慎め馬鹿者が」

 

 

実際首から『IS学園 教員』と書かれたカードが下がっていた。いやいや、実の弟でさえ教員ってこと知らなかったんだぞ!?

 

 

「まあいい、取り敢えずお前は『IS』を動かした。…よって今から実技試験に移る。ついてこい」

 

 

「なっ、何でだよ!?俺は『IS学園』を受けに来たわけじゃ『黙れ、聞こえなかったか?』…はい」

 

 

こうなったら反論は出来ない。もしこれ以上すれば俺への被害が増えるだけだ。

 

千冬姉のあとをついていき、長い廊下を歩き、ドアを開き、中に入った。

 

 

「一夏、『IS』を装着しろ。試験内容は学園の教員との一体一だ。時間が無い、急げ」

 

 

反論できるわけもなく、始めることにした。慣れない作業なので手間取ったが何とか装着した。

 

そのまま演習場の中央まで行くと、ISを装着した教員がいた。

 

 

――戦闘待機状態のISを感知。操縦者山田真耶(やまだまや)。ISネーム『ラファール・リヴァイヴ』。第二世代型量産機。……etc。

 

 

目の前にディスプレイが現れ、膨大な情報が映し出される。…なるほどな、これは便利だ。それに、理解できる。

 

 

「あなたが織斑君ですね。織斑先生から伺ってます。それじゃ早速始めましょう!」

 

 

「は、はい!」

 

 

その瞬間、演習場にブザーが鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

実技演習が終わった。結果は―――

 

 

 

 

『演習終了。勝者、――織斑一夏』

 

 

 

 

何故か勝ってしまった。…って、いや、そんなことが有り得るのか!?

 

 

 

 

試合開始直後、山田先生(一応相手は教員なので)は俺に向かって突っ込んできた。

 

当然、経験の無い俺は防御やカウンターが出来る訳がない。避けるのが精一杯だった。

 

 

 

 

 

…が、これが勝因となった。

 

突然山田先生のISが不具合を起こし、止まりきれずに――

 

「って、ええーーっ!?と、止まらないっ!?」

 

――壁に激突。そのショックで山田先生のISは機能を停止した。

 

 

 

 

 

演習時間、10秒だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く、こんな結果になるとはな…。時間も無い…か。しょうがない」

 

 

「………」

 

 

結局もう一度演習をすることは貸切時間が迫ったため不可能となった。って、俺どうなるんだ?

 

 

「一夏、よく聞け」

 

 

「は、はい!なんですか!?」

 

 

「お前はこの演習結果は関係なく強制的に『IS学園』への入学が確定するだろう。なにせ世界初…いや『2番目』のIS男性操縦者だからな」

 

 

「え、ちょ、ちょっと待ってくれ!?…強制入学!?それに2番目!?しかも俺、ISについて全然知らないぞ!?」

 

 

ちなみに現在、世界のほとんどの中学ではISについてある程度学習することになっている。『IS学園』を希望する人はさらに自主学習をする。

 

…俺?男だから全く無縁だ。

 

 

「ああ、だから今から知識を増やせ。明日には教材を自宅に送っておく。時間はないぞ、ちゃんと覚えておけ。それと入学式の1週間前には入寮しろ。演習を再度行う」

 

 

「…嘘だろ。誰か嘘だと言ってくれーーっ!」

 

 

 

 

この日が一夏にとって最悪の日と言っても過言ではない…。

 

 


 
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