No.394037 IS《インフィニット・ストラトス》 駆け抜ける光 第二十二話~覚醒への戸惑いきつね@らんさん 2012-03-18 21:16:47 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:1147 閲覧ユーザー数:1133 |
「そこっ!」
私は福音に向けて肩部ミサイルランチャーを発射させた。しかし、回避されつつこっちに接近してくる。左手でハイパービームサーベルを引き抜いて応戦する。脚とサーベルの鍔迫り合いになるけど、出力はこっちの方が高く、弾きかえすことができた。
「任せろ!」
そこに箒がやって来て、赤椿専用武器――雨月(あまづき)と空裂(からわれ)の二つの刀で押していく。
福音自体は天使見たいな感じでその名の通り銀色だけど、性能は馬鹿みたいに高いんだよ! 反応がいいのか回避運動が尋常じゃない。遠距離攻撃なんかほとんど当たらないんだもん。
「箒、どけて!」
その声に箒は福音から離れ、私はサーベルで片方の羽に切りかかる。それも後ろに宙返りしながら回避されとび蹴りを喰らう。
「――!」
「甘いね。このアーマーの防御力と重さならへっちゃらさ! これならっ」
喰らったけど吹っ飛ばなかったよ。戸惑いで一瞬の反応が遅れたのを見逃さず、再び翼に切りかかる。見事、左の翼を切り落とせたけど一気に距離を取られてしまう。
「エリスさん! 大丈夫ですか!?」
「大丈夫! この調子でもう片方も無くせば墜ちる!」
福音の翼は推進の役割だから速度も落ちるはずだけど、そんな素振りを全く見せず複数の弾幕を回避していく。
「でやああああっ!」
鈴が拡散衝撃砲を撃ちながら福音に接近していく。福音も片翼の砲門を開いて光弾を発射する。銀の鐘(シルバー・ベル)の弾幕を受けながらも双天牙月の斬撃を止めない。
「こいつ!……ぐっ!」
斬撃が福音に命中するが、福音も回し蹴りを叩きこむ。脚部スラスターで加速されたそれは鈴の腕部アーマーを一撃で破壊して、海に墜とした。
「鈴っ! よくも鈴を!」
ZZの追加アーマーをパージし、サーベルを抜いて瞬間加速で一気に接近する。
「片翼もらったよ!」
直線的な斬撃だったからか、ひらりと回避されてしまい後ろからとび蹴りを喰らった。海に落下せずなんとか姿勢を戻すことが出来たが、すぐに銀の鐘による光弾が迫っていた。
「こんなことだったらパージするんじゃなかった!」
両腕のバインダーで防御しつつ後悔していた。撃ち続けている福音に箒が切りかかろうとする。
撃ち続けていたせいか反応が遅れた福音の右肩へと刃が食い込んだ。
しかし福音は左右の刃を手のひらで握りしめた。刀からのエネルギーでダメージを受けるはずなのに福音は気にしていない。そのまま福音は両腕を最大にまで広げる。
「くっ、しまった!」
刀に引っ張れ箒も両腕を広げて無防備な状態になってしまう。あの状態じゃライフルも撃てない……!
福音はもう片方の翼の砲門を開放している。
「箒! 武器を捨てて離脱しろ!」
翼から光が溢れる。それは一斉に放たれる。
「私はもう――負けない!」
エネルギー弾が触れる直前に、ぐるんと赤椿は一回転する。その瞬間、爪先の展開装甲からエネルギー刃を発生させ、かかと落としのような格好で翼に斬撃が決まる。
両方の翼を失った福音は崩れるように海に墜ちていった。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
「大丈夫か!?」
慌てているラウラの声は聞きながら、箒は呼吸を落ち着かせていく。
「私は大丈夫だ。福音は?」
「墜ちたぞ。私たちの勝ちだ」
――っ! この感覚は!?
「まだ終わってない! みんな離れて! ハイパーメガカノンを使うから!」
嫌な予感がした。あの時みたいな感覚が! 私はすぐに全員に離れるように言って、福音が墜ちていった海面へハイパーメガカノンを放つ。
凄まじい音を出しながら極太ビームが海面へと伸びていくが、海面から突如現れた青い円型のシールドによって遮断せれてしまった。徐々に空に上がって来て、その中心には福音がいた。
「まずい! あれは二次移行だ!」
そうラウラが叫ぶ中、福音はビーム状の翼を生やした。顔全体を覆っているバイザーからは操縦者の表情が見えないけど、私には死の天使にしかみえない。それにしてもハイパーメガカノンに耐えるなんて……!
『キアアアアアア……!』
まるで獣の咆哮を発しながら、福音がラウラに飛びかかる。
「なっ! この速さは!?」
とてつもなく速いスピードで反応が出来なかったラウラは脚を掴まれる。
「ラウラを離せぇっ!」
近接ブレードを装備してラウラを助けようとするシャルロットだけど――
「ダメだシャルロット! 近付いちゃいけないっ!」
そう叫んだけど遅かった。シャルロットは超加速された福音の蹴りで海面に墜ち、ラウラは近距離での銀の鐘を受けて墜ちていく。
「な、なんですの!? 軍用といっても、異常な……」
セシリアは射撃でダメージを与えようとするが福音に接近され――しかも福音は両手両足の4か所の瞬間加速で爆発的な加速だった。
セシリアはその爆発的な加速の打撃攻撃を受けて、蒼海に墜ちていく。もう私は怖くて動くことが出来なかった……。
「どうしたエリス!? 二人で福音を墜とすぞ!」
「ダ、ダメ! 性能が違い過ぎるよ! これじゃあ勝てるわけないよ……」
「何を言ってるんだ! しっかりしろ!」
「ダメだったら! このままだとみんな殺されちゃうよ!」
「……っ。私だけでも戦う!」
そう言って箒は急加速で接近して福音と格闘戦を始めた。ギリギリの攻撃と回避を繰り返していく。徐々に出力を上げていく赤椿に福音は押され始めている。
「す、凄い。第四世代はここまでやれるの? 二次移行したISと互角以上に……」
だが突然、赤椿のエネルギー刃が消える。まさか……エネルギー切れ!?
「こんな時に! ぐあっ!」
福音はその隙を見逃さずに、翼から光弾を連続で放つ。
「エ、リス……」
そう言って箒は海面に墜ちていく。私が、私のせいで……! でも……怖い。今の福音には嫌な感じしかしないんだ。こんな感覚は今まで感じたことなかったのに。
「でも、やるしかないのかな……」
福音は私の存在に気付き、頭上にエネルギー状の球体を作り出す。そこから極太のビームを発射させる。
私も慌てて額のハイメガキャノンを発射して押し合いになる。でも相手の方が出力が高いのか徐々に押され始めている。リミッター状態の100%じゃ駄目なの!?
私はそのまま相手のビームの直撃を受けてしまった。もしかしたら逃げれたのかもしれない。でもそうしたって無駄な程の差を感じてしまったのだから……私はここで死んじゃうのかな……。
墜ちていく中、そんなことを考え、そのまま意識を失った……。最期ぐらい、光輝くんと話したかったな……。
「エリスさん! エリスさん!」
戦場になった海域より少し離れたで僕は気絶しているエリスさんを起こしていた。福音が二次移行したあと、僕はすぐさま戦場へ駆けつけた。身体が痛いにも関わらず、僕はISを起動してエリスさんを助けた。
「ん、うぅ……光輝、くん?」
「エリスさん、良かった! 大丈夫!?」
良かった……本当に良かった! しかし、座り込んでいるエリスさんの目がおかしい。いつものいきいきとしたエリスさんじゃない。僕もエリスさんの前に座った時、エリスさんは言った。
「光輝くん、怖いよ。この嫌な感覚はなに? 福音から凄いものを感じるんだ。口では表せないような、重いなにかを……」
まさかエリスさんは……僕と同じものを感じている? 確かに今の福音からはナイチンゲールにも劣らない程のプレッシャーを感じる……! エリスさんはプレッシャーのことを言ってると思うけど、なんで感じるようになったんだ?
[今のエリスが感じているのは確かに君と同じものだろう。その感じ方は間違いなくニュータイプそのものだ。一体なぜ?]
「ニュータイプって――この感覚は!?」
これは夏兄だ! その感覚の方へ向けば夏兄が福音と戦っている。けっこうな重症って聞いたけどもう戦えるようになるまで回復したの!?
「これは何かを護ろうとする意志? それにあの姿は……」
[白式が二次移行した姿か!]
ウイングスラスターが四つに増えて、左手には新しい武器があるようだけど……身体が持つのか? あの怪我がすぐに治るわけがないのに……。夏兄に一体何があったというんだ!?
「エリスさん、ここで待ってて。福音を止めに行ってくる。――でもこれだけは覚えてて。エリスさんは一人じゃないから……」
僕は立ち上がり夏兄の方へ向かった。身体が痛さで悲鳴を上げているけど何とかなるはず!
「アムロさん、まだ戦えるよね?」
[あぁ。だが君の身体が耐えれるかだ。ISには保護機能があるとはいえ油断はできない。無理はするなよ?]
「大丈夫です。みんなでやれば必ず福音を止めれます!」
[そうだな……絶対に止めよう!]
エリスさん、確かに今の福音は僕も怖いよ。でも一人じゃなくてみんなとなら乗り越えれるんだよ。だから見てて!
「行け、フィンファンネル!」
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福音との戦闘をする専用機持ち。なんとか福音を墜とすが……。そして未知の感覚にエリスは……。