中学時代は野球に明け暮れた。
といっても特に成績は残すことは出来なかったけど。
「藍越学園。甲子園に毎年出る強豪校か」
学校の情報が載ったパンフレットを持って駅前で呟く。
「ふふ、今日の入試のためにかなり勉強した! 因数分解も分解できるようになったしなぁ!」
主人公 織斑 一夏は馬鹿である。
「さぁ、待ってろ強豪校藍越学院! 下剋上してやる!」
「おや、君も藍越学院に行く気でやんすか?」
声のする方向に振り向くと眼鏡をかけた青年がいた。
「君も藍越を?」
「で、やんす! おいらの名前は山田 平次でやんす」
「俺の名前は織斑 一夏だ。よろしくな」
そう言って二人は駅の中に入り切符を購入する。
「いやぁ、藍越へは行ったことがなかったのでつけるか不安だったのでやんすよ」
「といっても俺も行ったことないんだけどね」
そう言いながら切符を改札口に通し駅内に入る。
「そうでやんすか。君も野球部志望出やんすか?」
「やっぱりわかるか?」
「野球帽をかぶってれば誰でもわかるでやんすよ」
「同じく」
二人は頭に野球帽をかぶっている。
「俺は小学校の高学年の時から野球一筋なんだ。強豪校でのし上がる!」
「オイラは兄ちゃんが甲子園に行ったことがあるでやんす。そんな兄ちゃんにオイラは憧れたのでやんす」
「ほぉ、甲子園に」
そう言いながら二人は電車に乗り込む。
その電車の行き先は藍越学院へ向かうものではなかった。
「兄ちゃんは優勝までしたでやんす!」
「へぇ~プロ野球選手になったのか?」
驚いた表情をしながら一夏は平次に問いかける。
「いや、兄ちゃんはワギリに入社したでやんすよ」
「あのバッテリーの?」
そう言いながら二人はあいている席に座る。
「で、やんす。後、姉ちゃんはIS学院の先生をしているでやんすよ」
「IS学院かぁ……ISと言えば千冬姉はいま何してんのかなぁ……」
一夏は心配そうな顔をして上を見上げる。
「千冬? も、もしかして織斑 千冬でやんすか!?」
「そう、元日本代表の」
「その弟っていうことでやんすか。オイラよりすごいでやんす!」
そう言って平次は立ち上がる。
「姉がすごいからって弟がすごいってわけでもないしな……いやなんだよそう言うの」
「わからなくもないでやんすね。オイラも兄ちゃんと比べられるのは嫌でやんす」
二人が喋るうちも電車は進む。
「今の世の中女尊男非だけどもプロ選手などは違う。女からも上に見られる存在」
「そんなプロになって兄ちゃんや姉ちゃんとは違うというところを世の中に見せつけてやるでやんす!」
「そうだ、そうだ! 子供のころの夢も叶うし一石二鳥だ!」
二人は立ち上がり手を握る。
「と、周りのお客さんに……ん?」
「どうしたでやんすか?」
「女性客が多いな~って思って」
「ん? まぁ偶然でやんすよ」
二人は納得して再び座る。
「にしても今日のために勉強したからなぁ~」
「オイラもでやんす。藍越はレベルが高いでやんすからねえ~」
『あいえす~あいえすがくいん~』
電車内にアナウンスが響く。
「どうやらついたようでやんすね」
「ああ、待ってろ藍越学院!」
二人は何の疑問も持たずに電車を降りる。
「この建物が学校らしいな」
「中の試験会場へ行くでやんす」
歩いてすぐのところに見つけた門のある学校に二人は入っていく。
校門に書かれている学校名は読まなかった。
「ん? なんかパンフレットの地図と構図が違うな」
「それ五年前のやつじゃないでやんすか?」
そう言われた一夏はパンフレットを見る。
「あれ、マジだ。改装でもしたのかも」
「というかなんで五年前のを……パンフレット持ってきてないオイラもオイラでやんすけど」
そう言いながら二人はあたりをさまよう。
「て言うかどこなんだろうか」
「遅れたら甲子園どころじゃないでやんす~」
「俺の野球生命がここで断たれてたまるか!」
そう言って二人は駆け足でそれらしいところを探す。
「ここじゃないか?」
「何んとも受験会場らしい部屋でやんす」
「入ってみよう」
そして扉をあける。
「ん? 誰もいないぞ」
「ここでもないでやんすかね……ん? これはなんでやんすか?」
そう言って置かれているものを指さす平次。
「何だろうなこれ」
「やんすね~」
そう言って二人はそこにあるものにそれぞれ触れる。
「ん? なんか動き出したぞこれ」
「え、それってやばいんじゃないでやんすか?」
「備品壊しちゃったらなんか内心的な……ん?」
そして起動する!
第一話に続くよ!
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目指すは甲子園。小さなころからの夢を求めて強豪校藍越学園に入学しようとした織斑 一夏。
駅前で出会った山田 平次とともに藍越学園に向かうが間違えて違う学校に行ってしまい、そこで運命が変わってしまうのである……
にじファンでも連載しています。
パワポケとISのコラボ作品です。
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