No.393227

迷子の果てに何を見る 第三十二話

ユキアンさん

絶対に幸せになってやる。
そして愚兄は地獄に落としてやる。
byアリス

2012-03-17 18:42:53 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:3242   閲覧ユーザー数:3030

幸せの為に

 

 

side アリス

 

はじめまして私の名前はアリス・スプリングフィールド、転生者です。外見はほとんどアリカ王女を子供にしただけの姿をしています。

私がネギまの世界に来て早くも10年近く経ちました。転生した当初はずっと泣いてばかりでした。だって普通に幸せな生活を送っていたら、いきなり暇つぶしの為に殺されて平凡に暮らせる世界に転生させて欲しいと言ったのにネギまの世界に転生させられて、しかもネギの双子の妹の上に高畑先生の様に呪文詠唱が出来ない身体で王家の魔力も殆どない。魔力はネギより多いみたいですけど詠唱できない以上宝の持ち腐れですし。

けど、疑問に思った事もあります。なぜかお父さんとお母さん、つまりナギとアリカの二人が居るんです。しかもナギの方は杖以外に剣も持っているんです。もしかしてこれは何とかなるのではと思っていた時期もありました。

3歳、つまり私が知る限り一番最初の死亡フラグが立ちそうな場所。悪魔襲撃事件です。まあ、ナギもアリカも居るんだからと対策も立てずに居たのですが、悪魔以外に居た魔法使いにリライトの様な魔法を使われ早々に退場してしまいました。そこからは原作通りに悪魔に蹂躙されましたが(魔法使いはすぐに帰りました)原作のラカンのように消えかけのナギが頑張って悪魔を殲滅しネギに杖を、私には剣と弾丸に『レイトに会え』という言葉を残して消えてしまいました。

そこからは世界の修正力というのかほぼ原作通りに進みましたが違う所も何点かあります。

まず、ネギの事ですが原作以上に“立派な魔法使い”になろうとしています。ナギとアリカにあれほど周りの評価を気にして生きるなと育てられたのに。攻撃魔法も原作より多いです。

次にアーニャさんとネギの関係ですが、かなり冷めてます。理由は簡単で、石化された人達を見ようともせず、私が虐めにあっている事も知っているはずなのに無視、これに怒ったアーニャさんがネギと凄まじいケンカを行ない、それ以降冷戦状態です。最もネギはそれを気にしていないようですが。

最後に村の人たちですが、噂に聞いた事ですが治せるかも知れない人がいるそうです。その人の名前はレイト・テンリュウ。通称『形なきもの』と呼ばれる賞金首でその額なんと3000万$、生け捕りの際には5000万$という世界最高賞金首です。アリアドネーでは『教授』と呼ばれ、実際に教授をしているそうです。そしてなぜかその傍らにエヴァンジェリン・A・K・マクダウェル、通称『闇の福音』が居る事も判明しました。賞金額も倍の1200万$で凍結もされていません。この二人なら石化を治す事も可能だと言われています。こんな事なら高畑先生が来た時に聞いておけば良かったと思います。現在は2人とも日本にいるそうです。出来れば麻帆良に居てくれれば良いのですが。

それは置いておいて、今私たちは卒業式の真っ最中です。

 

「卒業おめでとう。これからが本番だ頑張る様に」

 

「ありがとうございます」

 

魔法学校の卒業証書にはある仕掛けが施されており開くとそこに“立派な魔法使い”になる為の修行が書かれております。これは卒業式後に開く事になっています。ネギは恐らく『日本で教師をする事』でしょうが私はどうなるのかが分かりませんので結構ドキドキします。これで『MM元老院の元で指示に従う事』なら逃げますけど。

卒業式が終わりアーニャさんはすぐさま開いて中を見ています。内容はどうやら原作と同じく『ロンドンで占い師をやる』みたいです。

 

「アリスはどんな修行なの」

 

アーニャさんに急かされ私も卒業証書を

 

「「ええええええええええええええっ!!」」

 

五月蝿いですね。あの2人は。ネカネさんがネギを引っ張って学園長室に向かっていくようですが無視して卒業証書を開きます。そこには、

 

「あれ?」

 

「どうしたのアリス?」

 

「いえ、何も書かれていないんです」

 

「えっ?もしかして不良品なの」

 

「こればっかりは分かりませんね。とりあえず学園長に指示を仰ぐしかありませんね。少ししてから行く事にしましょう」

 

「どうして今すぐ行かないの」

 

「......あの二人と顔をあわせたくないからです」

 

「ああ、そうね。少し時間を潰してからにしましょう」

 

アーニャさんとネカネさんの仲も原作とは違います。ネカネさんがネギの事ばかりを構いアリスの事を全くと言っていい程見ていない為、仲はかなり悪いです。

少ししてネカネさんとネギが戻ってきたのが見えたので学園長室に向かいます。すれ違う時にネカネさんが何か言いたそうでしたが私とアーニャさんは会釈だけして学園長室に向かいます。ネギは私たちの事を完全に無視していましたが。

 

「学園長先生、少しよろしいでしょうか」

 

「どうかしたのかの?」

 

「はい、卒業証書に修行内容が表示されないのです」

 

私は自分の祖父である学園長に卒業証書を手渡す。

 

「むっ、確かに修行内容が表れないのう。しばし待ちなさい」

 

学園長が呪文を唱えると卒業証書が光りだしたので修行内容が表示されたのだろう。

 

「ふむ、なるほどの。これで大丈夫じゃ」

 

学園長から返された卒業証書をアーニャさんと一緒に覗き込みます。そこには

 

『日本の麻帆良にある雑貨屋「Aria」の店長の指示に従う事』

 

雑貨屋「Aria」?

聞いた事がある様な無い様な。

 

「学園長この内容って」

 

「ふむ、そのままの意味だ。日本の麻帆良にある雑貨屋「Aria」の店長の指示に従う。後は向こうが色々としてくれると聞いておる。何、心配せんでもそこの店長は私の師匠でもある。悪いようにはせんから安心すると良い。それに師匠ならアリスの願いを叶えてくれるかも知れん」

 

「それって」

 

「うむ、儂の師匠はエヴァンジェリン・A・K・マクダウェル。今は結婚してエヴァンジェリン・M・テンリュウと名乗っておるのう。ファミリーネームから分かる通り彼女の夫はレイト・M・テンリュウ、『教授』じゃ、間違っても『形なきもの』と呼んではならんぞ。呼べばかなり態度が変わるからのう。注意するように、あとこれが注意事項とパスポートと飛行機のチケット、待ち合わせ場所までの地図と迎えにくる者の写真が送られてきておる」

 

ものすごい親切なんですね。写真には家族写真なのだろう写真なんだが、髪の毛が白い刹那さんらしき人と木乃香さん、少し違和感のある茶々丸さんとエヴァさん、それにエヴァさんの大人verと『教授』と思われる男性とそれによく似た男の子が映っていた。

どこからどう突っ込んでいいか分からない。とりあえず『教授』と呼ばれている人は転生者と考えた方がいいのだろうか?少なくとも普通の人では無いのだろう。

なぜ協力してくれるのかは分からないけどそれは会ってから決めてみましょう。飛行機のチケットは今から1週間後になっているので向こうに行く準備をしますか。

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

side ???

 

「クルト、計画通りに細工は施したか」

 

『もちろんです。先程、メルディアナの方から連絡が来ました。それにしてもまだ元老院の中に腐って者が居るとは』

 

「組織である以上腐った奴が出てくるのは仕方が無い事だ。様は腐った奴を如何に処理するかが重要になる。その点で言えば今回の奴はあまりにも稚拙だ。組織というものをあまり理解していないようだ」

 

『その点には同意しますが、魔法の方が厄介かも知れません。まだ気付かれてはいませんが密偵が逆に洗脳されているようです。幸いすぐに気付いたので問題はありません』

 

「密偵相手に洗脳だと、確かにそれは厄介だな。数はあまり用意できないが対策用の魔法具を今度そちらに回す」

 

『すみませんがよろしくお願いします』

 

「気にするな。代わりに例の件ではよろしく頼むぞ」

 

『頼まれた以上はやりますけど正気なんですか』

 

「当たり前だオレを甘く見ている事を後悔させてやる。それに今更引き返せん。オレがどれだけ金をかけたと思ってるんだ」

 

『ネタに走ったために予算が莫大な事になったと聞いてますが』

 

「後悔も反省もしてないがな」

 

『こちらで使えそうならパテント料を払いますけど』

 

「そうしたい所なんだが版権の問題でな。デザイン料がバカにならん」

 

『中の技術だけを使えば良いのでは?』

 

「それはなんか負けた気がしてな」

 

『良いじゃないですか、ほら「僕が考えた最強の○○」みたいにしてしまえば』

 

「う〜む、悪くはないな」

 

『でしょう。ですからその際には私にも』

 

「はっはっは、主も悪よのう」

 

『いえいえ、貴方様程では』

 

「『ふはははははは』」

 

「何をやっている」

 

「痛っ」

 

『どうしました』

 

「いや、ちょっとエヴァに殴られただけだ。問題ない」

 

「誰と話してるんだ」

 

「クルトから計画通り細工は成功したという報告と元老院の状況を聞いているだけだ。そこから少し話がそれただけ」

 

「そうか、確か1週間後に到着だったな」

 

「ああ、当日はオレが迎えに行く予定だ」

 

「なら歓迎の準備は私たちでしておこう」

 

「頼む。それじゃあクルト、そっちはそっちで頑張ってくれ」

 

『わかりました』

 

 

 

side out

 


 
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