No.393018

魔法戦記リリカルなのは聖伝 ~SDガンダム・マイソロジー~ 001ステージ -運命と自由の過去語り-

龍牙さん

無印編は飛ばしてA's編からスタートです。

2012-03-17 13:37:18 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:941   閲覧ユーザー数:934

時也SIDE

 

あの戦いの後、気が付いたらオレは小一の頃の年齢になっていた。

 

エイロディアの狙い通りオレにはあの戦いの記憶が有って、聖獣(マイソロジー)の力も使える。…全てが奴(エイロディア)の思い通りに成ったのかとも思ったけど、それは違っていた。

 

一つに“前回”のオレの本来居た世界とは違う世界…第97管理外世界『地球』に住んでいる事。

 

次に時音姉さんが…あの時のままでオレの姉として居てくれた事。

 

そして、『海鳴市』と言う所で、『高町 なのは』の同級生として『デスティニーガンダム』『時野(ときの) 龍也(りゅうや)』と、『ストライクフリーダムガンダム』『光羽(みつは) 雷斗(らいと)』の二人が居ると言う事だ。

 

何故二人の存在がハッキリしたかと言うと、原因は不明だが時折眠っている最中だけだが、聖獣使い同士の意識が繋がるらしく、夢の中と言うレベルで互いに会話が出来た。

 

互いの存在を現実に確認したのはその夢の中でお互いの住む家の電話番号を教え会って、現実で直接話したからなんだけどな。…もっとも、まだ『ゴッドガンダム』『神野(じんの) 焔(ほむら)』の存在ははっきりしていない。

 

子供に出来る事は限られているが、それでも…高町なのはのクラスメイトとして二人が居る事と、マイシスの総帥の姉さんが身近に居るのはありがたい。そう、オレ達は新たに『対マイシス・時空管理局計画』を立てたのだ。

 

龍也と雷斗の二人には高町なのはが時空管理局に入らない様に…もっと根本的に言えば、魔法と関わらない様にしてほしいと頼んでおいた。本来、この世界には魔法技術のない世界なのだから、彼女が魔法と関わった切欠こそが管理局と直結するであろう事は推測できる。

 

距離的にオレの行動は直接二人を手伝えない代わりにオレ達同様姉さんが前回の記憶を持っている可能性を考えての監視。

 

「…上手く行けば会う事も無いだろうけど、スバルちゃん…。マイシスの事はオレ達が終わらせる。だから…。」

 

マイシスを止め、オレにハーディアのパーツを託してくれた“彼女”の願いを叶える為に時空管理局の闇の部分を潰す…。

時也としての己の意思と、力を託してくれた“彼女”の願い…。…マイシスと違い、管理局の方は壊滅させる必要は無く最悪腐った頭(上層部)を潰すだけで良い…それだけでも、管理局は潰す事は出来る。それを果す為にも、この意思だけは何が有っても曲げられない。でも、願う事なら…。

 

「…君には笑っていて欲しい…。」

 

あの戦いの中で何度も見た泣き顔や辛そうな顔、憎しみに満ちた顔は見たくない。“前回”の時に得られたはずの幸せなを得て欲しい。例え、傍らにオレが居なくても…スバルちゃんには笑っていて欲しい。それが…『月宮 時也』の…………“願い”だ。

 

SIDE OUT

 

 

 

 

 

 

物語が動き出すのにはこれより、三年の雌伏の時期を挟む事になる。

 

 

 

 

 

 

そして、三年後…小学三年生、時也達9才時

 

真っ白な空間…そこに有るのは二つの影。

 

龍をイメージさせる紫色の聖獣(マイソロジー)『クロスディア』の足元に立つデスティニーガンダム。

 

人馬の騎士をイメージさせる金色の聖獣(マイソロジー)『アローディア』の足元に立つストライクフリーダムガンダム。

 

「来ましたね。」

 

「来たでござるな。」

 

二人がそう呟くと、その言葉通り新たに漆黒の人型の異形の影…聖獣『ハーディア』と共にガンダムがその空間に現われる。

 

「悪い、遅れた。」

 

「いや、気にしなくても大丈夫でごさるよ、時也殿。」

 

「ええ、ここにはそれほど自由に来る事は出来ませんしね。」

 

ガンダムの謝罪の言葉に二人はそう返す。

 

「…それで、『白い悪魔』はどうなった?」

 

二人のその言葉に安心したのか……どう考えても自分の方が相応しい渾名でなのはを呼ぶガンダムだった。

 

「…時也殿…彼女の事嫌いでござるか?」

 

「…まだ『悪魔』じゃないんですから。」

 

「…あー…確かに。…なんか、オレの中だととんでもない砲撃魔法を撃たれ続けたイメージが多いからな。」

 

「「確かに。」」

 

主に前回の記憶の時にマイシスでなのはの相手をしていたのは『ウイングガンダムゼロカスタム』『天津(あまつ) 翼(つばさ)』だったのだが…巻き込まれたら危険なレベルの砲撃戦を繰り広げてくれていたその姿を思い出し、ガンダムの言い分に何故か納得してしまう二人で有った。

 

「それで…拙者と腐れ縁の雷斗の二人でなのは殿が魔法に関らないようにしたんですが…。」

 

「結論から言うと…ダメでした。」

 

「そうか。」

 

二人の言葉に思わずうなだれてしまうがそれ程気にはして居なかった。実は計画としては対時空管理局計画の方は現時点では対マイシスに比べて重要視していないのだ…。

 

「いや、マイシスの資料で、なのちゃん…じゃ無かった、なのは殿が魔法に関った『PT事件』がこの時期に起こる事や事件の内容はある程度知っていたので…。」

 

流石は元空戦部隊副隊長(デスティニー)と元陸戦部隊隊長(フリーダム)と言った所の元マイシス幹部の二人…マイシスが調べ上げた事で管理局の情報はある程度細かい所まで知っている。

 

「それで…先に私達が鳴海市に落ちたと言う『ジュエルシード』と言うロストロギアを全て回収してしまえば良いと思っていたのですが…。」

 

「…拙者が最初のそれを見つけた時には『ユーノ・スクライア』によって、デバイス『レイジング・ハート』を渡され、既に魔法に関ってしまったでござる。」

 

「…ゆーの? 誰だ?」

 

デスティニーの言葉に有った聞き覚えのない人物の名にガンダムは思わず首を傾げてしまう。

 

「…無限書庫の司書長ですよ…時也さん。」

 

「いや、そう言われても顔が思い出せない…って言うか、前回の時にそいつに会った事有ったか、オレ?」

 

そう言われるとデスティニーとフリーダムの二人は暫し考え込み…。

 

「「あー………。」」

 

「そう言えば会った事無かったですね。私達も優秀なサポート型の魔術師として、マイシスの要注意人物の資料で知っていた程度ですから。」

 

「結局、戦場で出会うことも無く、写真でしか見た事はなかったでござるな。拙者たちも。」

 

思わず頷きながら言う二人で有った。

 

「それで…高町なのはが魔法に関った後はどうしたんだ?」

 

「実は予定変更して時空管理局が現われる前にサッサとジュエルシード全部回収して、ユーノ殿に渡して帰ってもらうつもりだったのでござるが…。その…知り合いの女の子が化け物に襲われている姿を見て思わず助けに入ってしまい…。」

 

「…なのはさんに正体を知られ、ユーノさんやなのはさんに色々と質問されてしまったんですよ。…この姿への変身はレアスキルで通して私達や使わなかったバインドの事は黙って居たみたいですけど…。」

 

溜息を付きながらそう言うフリーダム。そして、「申し訳ない。」と頭を下げるデスティニーに「気にするな。」と言ってガンダムは続きを促す。

 

「それで、拙者も協力する条件として、全て拙者の事を黙って居てもらう事にしたのでござるが…その後…。」

 

そこまで話した後、横目でフリーダムへと恨みがましい視線を向けるデスティニー。

 

「…『フェイト・T・ハラウオン』…いや、正しくは『フェイト・テスタロッサ』殿と一緒に…な・ぜ・か、雷斗殿まで敵対してくれたのでござるよ。」

 

「っ!? あの死神さんもこの事件に関わってたのか?」

 

「し、死神でござるか?」

 

「…フェイトさんの事も嫌いなんですか…時也さん?」

 

「………あの『KY(クロノ・ハラウオン)』の妹なんざ、好く理由が無いだろうが。」

 

……ファーストコンタクトから最悪だったクロノに対しての好感度はマイナス方面に付き抜けているガンダムだった。…身内であると言うだけで無条件で嫌うほどに…。触れてはいけない部分に無遠慮に踏み込んでしまった“前回”のクロノが悪いと言えば悪いのだが。

 

「…あー…まあ、あれがKYなのは否定しないでござるが…。」

 

「…彼女達は良い子なんですから、余り嫌わないであげてください。KYは別に良いですけど。」

 

「…………今度は管理局に洗脳でもされたか、お前ら?」

 

なのはとフェイトを弁護する二人に対して、これ以上ないほど失礼な事を言ってくれるガンダムだった。何気に二人の中でもクロノに対する扱いは酷いのはこの際どうでも良いだろう。

 

「…KYは良いとして、雷斗の方は何で死神さんに協力してたんだ?」

 

「まあ、私の方は偶然からですね。私の方は見つかる事無く順調にジュエルシードを集めていたんですが…。」

 

そこまで言った後、僅かに言葉に詰まりながらフリーダムは…。

 

「…その内の一つの時に偶然会ってしまったんですよ。…まあ、その後、ジュエルシードを巡って戦闘になってしまったんですけど。…勝っちゃいました…一方的に。」

 

「…当然の結果だろうな…。」

 

まあ、その結果も無理はないだろう。…フリーダムは主に前回の時にはマイシス時代もガンダムの仲間になった後もフェイトを相手に戦っていたのだ。彼の聖獣(マイソロジー)アローディアも有り、子供に戻った事で身体能力が低下していたとは言え、未来の彼女との戦闘経験が有るのだから、彼が過去の彼女に負ける道理はないだろう。

 

「はぁ…何と言うか…時々顔を合わせてジュエルシード回収していたんですけど…無理している姿が見ていられない事と…罪悪感も有り、私は彼女のジュエルシード集めに協力する事になったんです。最悪、彼女が全部持っていってくれればそれはそれでOKでしたし。」

 

「…管理局との接触を恐れて、時々しか手伝わない拙者とは大違いでござるな。」

 

「…何度目か戦った時、今まで手を抜いていたんですけど…つい私と龍也が二人して本気になってしまい…次元震を起こしかけてしまいました。」

 

聖獣(マイソロジー)同士の激突なのだ、寧ろ起しそうになっただけで止まっただけでも良かったとも言えるだろう。…思わず本気で戦ってしまうほどに相性の悪い二人に対して頭を抱えてしまうガンダムだった。

 

ぶっちゃけ、フェイト+ストライクフリーダム(アローディア付き)に対してなのはは原作以上に圧倒的な展開になっただろう。フリーダムに対抗できる一応なのは側のデスティニーは時々しか手伝わなかったし。

 

「…まあ、戦闘面は主に私が引き受けてましたけどね…。」

 

小声で溜息交じりでそう付け加えるフリーダムだった。

 

「…それよりも、次元震の後の管理局との接触でしたけど…。後で話聞いたら、大変でしたね…龍也。」

 

「…そうでござる…。あの、KYとユーノ殿が。なのちゃんも、黙っていてくれとあれほど頼んでいたと言うのに。」

 

詳しく解説すると、実はなのはには何の罪もない。次元震が起こった時にデスティニーの存在はアースラ側に知られていた事と、それ以上に彼女の嘘がつけない性質………加えて、数回ほど協力した時と、自分達が手も足も出なかった(本人達はかなり手加減して戦っていたが)フリーダムと互角に戦う彼の実力を目の当たりにし、今回の件の一番の罪人である『ユーノ・スクライア』がなのはの負担を少しでも軽くしようと龍也との約束を破って報告してくれた訳である。

 

取り引きか何かであの強力な力を持った彼に協力してもらえると考えた結果では有るが。

なお、ユーノが自分が話した事を告白して謝ろうとした訳だが、それを話した瞬間主にクロノが原因で頭に来ていたデスティニーに謝る前に『お前が原因かぁー!!!』と『パルマフィオキーナ(非殺傷)』を叩き込まれた事を追記しておく。余談では有るが、MSの姿になった時の武装の幾つか(主にビーム兵器)は非殺傷設定にすることが可能。

 

「まあ、ユーノ殿となのちゃんが約束を破ってくれたお蔭でオ…拙者の存在までアースラに知られてしまった訳でござる。」

 

「…流石にその後の対応は、私も可哀想になりましたけどね…。泣いてましたよ、彼女。」

 

「…何をしたんだお前?」

 

責めるようなガンダムとフリーダムの視線に耐え切れなくなったデスティニーは慌てて弁明する。

 

「な、なにって、『絶交だ。もう二度と拙者の事は名前で呼ぶな。』って言っただけでござるよ!!!」

 

「「……それはかなり酷いだろう(でしょう)。」」

 

「う・・うぐぅ…。せ、拙者だって大変だったんでござるよ! 学校の帰り道、あのKYが上から目線な態度で無理矢理連れて行こうとされて。」

 

実際の流れは『一緒に来てもらおう』→『断る。大体、この世界に時空管理局なんて組織はないぞ』→『暫しの言い争い』→『龍也身長の事を言う、クロノ実力行使開始』→『戦闘開始』である。

 

なお、結果から言うとクロノの完全敗北、デスティニーの勝利で終わった。決まり手は、『クロノキャプチャー(相手の時間停止)』から必殺技『クロノディメンション(峰打ち)』。『リンディ・ハラオウン』が止める前に決着がついた。

 

デスティニーとクロスディアの必殺技『クロノディメンション』には二種類あり、一つはデスティニーが愛用する空間毎相手を切り裂く物と、もう一つは『オリジン』と名付けた空間を切り裂き相手をそこに叩き落す物の二種類がある。殺傷力を極限まで削いだ一撃は必殺技の定義から外れるだろうが、僅かでも威力が勝っていたらクロノの命は無かっただろう。

 

「…その後もサーチャーで監視されるし…。」

 

悉く破壊したが。通信で何か言われたが完璧に無視した様である。

 

「まあ、もうKYと獣の事は別に良いでしょう。重要なのはその後、フェイトさんが海でジュエルシードを強制発動させた時です。」

 

フリーダムの言葉に真剣さが加わり、それだけで話の重要度がはね上がった事を告げていた。…重要度の高い話題とは、つまり管理局関係ではなく…。

 

「クロスボーンとウイングゼロ…マイシスが動きました。…その時に発動したジュエルシードは全てクロスボーンと奴の聖獣『ポセイディア』に奪われました。」

 

マイシスの事だ。

 

「その通りでござる。拙者と雷斗がウイングゼロとヘルメディアと戦っている隙に…。」

 

「っ!?」

 

フリーダムとデスティニーの言葉にガンダムは思わず言葉を失ってしまう。敵の中に自分が今まで監視していた姉の姿が無い事には僅かながら安心したが、マイシスが既に動き出したと言う事実は大きい。

 

(…どういう事だ…姉さんは動いて居ない筈…。姉さんには今はまだエイロディアの意志は宿っていないのか…。オレは今までずっと監視していた筈だぞ。)

 

大切な家族に対してそんな目で見ていた事への罪悪感と同時に沸き上がってくる一つの安堵…。だが、それ以上に問題なのは…。

 

「…流石はどちらも時也殿や雷斗と組んでやっと倒せた程の相手…負けないまでも思ったよりもダメージを負ってしまったでござるよ。その時に管理局の船に回収されてしまい…雷斗とは違って、すっかり、正体を知られてしまい管理局の方に目を付けられてしまったでござるよ。時也殿も気をつけた方がいいでござるよ。」

 

「まあ、管理局には目を付けられるだろうな…。聖獣自体が魔力を持っている事も有るから、ロストロギア扱いも有る意味仕方ないとは思っていた………気に入らないけどな…。それ以上に気になるのは…。」

 

「…マイシスの動きでござるな。」

 

「…ええ、奴等はジュエルシードを利用して見た事の無い聖獣(マイソロジー)のパーツを手に入れていましたけど…何が目的なのかは…。」

 

「…究極聖獣(アルティメット・マイソロジー)…。」

 

フリーダムの言葉にガンダムはそう呟く。フリーダムの言葉から前回のマイシスとの最終決戦で見た巨大なバインド…『バインドサイコガンダム』の存在が思い浮かんだのだ。

 

「究極聖獣…でござるか?」

 

「それは…前回の時に時也さんが見たと言う…。」

 

「ああ。あの時、オレが戦った大型のバインドだ。マイシスの目的がそれなら…これ以上奴等にそれを渡すわけには行かない…。それと、来月からはオレも海鳴の方へ引っ越す事になるから、これからはオレも協力できる。」

 

マイシスの総帥と思っていた姉が動いていない以上、自分が監視し続けていても意味は無いと考え、自分も動いている敵に対応すべきと考えそう告げた。

 

「それは心強いでござる。」

 

「ええ、これで焔が揃えば私達全員が揃うんですけどね。」

 

フリーダムの言葉に未だに所在が分かっていない最後の一人であるゴッド…焔の事を考えてしまう。四人で力を合わせれば強大な力を持っているマイシスにも絶対に負けないだろう。

 

「…まあ、次の事件が起きた時の管理局の動きは拙者が監視しておくので、任せておいて頂きたいでござる。」

 

「…オレ達の事は知られない様にしておいてくれよな。」

 

「…それは心配しなくても大丈夫でござるよ。…事件の後に、こっちは善意の協力者だと言うのに、容疑者の様に尋問してくれたKYにも腹が立ったから、何も教えなかったでござるよ。」

 

「…さっさと逃げて良かったですね…。」

 

フリーダムは一人だけ先に逃げた様だ。…元々彼の正体は知られていなかったし。デスティニーに恨みがましい視線を向けられているが……全面的に無視している。

 

「っと、そろそろ時間切れか。」

 

ガンダムの言葉通り彼の姿とハーディアの姿が少しずつ消え始めている。それはガンダムだけでなく、フリーダムとデスティニーにも起こっていた。

 

「そうですね。では、次は実際に会って話しましょうか。」

 

「それがいいでござるな。知らせるべき事は多いでござるし、限られた時間では話しきれないでござる。」

 

「ああ。じゃあな。それと、ちゃんと謝っとけよ。」

 

「…そうですよ、原因が向こうにあると入っても、貴方の対応は酷過ぎますから。」

 

「って、ちゃんとなのちゃんには、謝ったでござるよ!!!」

 

消える寸前のガンダムとフリーダムの二人からの冷たい視線に思わず全力で叫ぶデスティニーであった。

 

そして、その場から三人の姿が消えると、後には白い空間が残った。

 

 

 

 

 

「あらあら、元部下とは言え、女の子を苛めるのは良くないわね。」

 

「…突っ込む所そこですか、総帥?」

 

「…つーか、最後の部分だけなんで聞こえたんだ?」

 

キュベレイ、ウイングゼロ、クロスボーンの三人が何時の間にかそこに居た。なお、台詞は上からキュベレイ、ウイングゼロ、クロスボーンの順です。

 

「彼らの言葉はここでは聞こえないはずなんだけどね。ふふふ…そろそろ、お互いに正体を隠している必要が無くなってきたからかしらね?」

 

「それでは、そろそろ…再始動ですか、総帥?」

 

「ハッ、そいつは良いねぇ、存分に暴れさせてもらうぜ!」

 

「フフ、存分に暴れさせてあげるわね。それと、ウイングゼロ、究極聖獣のパーツの一つをよく手に入れてくれたわね。そして、クロスボーン、貴方もご苦労様。」

 

「「ハッ!」」

 

キュベレイからの労いの言葉にウイングゼロとクロスボーンは片膝を突いて答える。

 

「でも、バインド使いの方は残念な事に手に入らなかったわね。」

 

「はい。裏切り者達と時空管理局が邪魔をしてくれたお蔭で…。」

 

「いいわ、パーツは手に入ったんだから、バインド使いが一人くらい欠けても最終的に聖獣が完成すれば問題無いわ。でも、次のパーツを入手するのは絶対にしくじらない様に…闇の書が失われては二度と手に入らなくなるんですからね。」

 

「では…。」

 

「で、オレ達は連中の妨害に全力を尽くせばいいんですか?」

 

「ええ、でも…完成だけはさせておいてね。あの子の、白銀の超戦士を誕生させる為の当て馬には丁度良いし、最悪用済みになれば、私が直接消して上げるから♪」

 

「「な!?」」

 

キュベレイの言葉にウイングゼロとクロスボーンは思わず言葉を失ってしまう。

 

「そ、総帥が…。」

 

「直接…ですか?」

 

「ええ、私も動かないと運動不足になりそうだしね。運動不足の解消には丁度良いわ。それじゃあ、二人共…よろしくね。」

 

「「ハッ!」」

 

楽しげに言うキュベレイの言葉に高らかに宣言する用に答える二人…。動き出すガンダム達、マイシス…二つの勢力…『夜天の魔導書』を巡る物語の中で、遂に本格的に動き出す時を迎えるのだった。

 

 

 

つづく…


 
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