No.392676

第十二話 アニスの異常性

死にてぇ……

2012-03-16 21:47:42 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:3801   閲覧ユーザー数:3616

アニスサイド

 

 

「ハァ……ハァ……」

 

 

洒落になってねぇよ……これ……。

ヤバい……体が言う事を効かない……。

 

 

ガン!ガン!ガン!

 

 

「ハァ……ハァ……」

 

 

さっきから俺は、意識を保つため壁に頭を打ち付けている。

もう、何度ぶつけたか分からない……頭の皮膚は切れ、血が噴き出ている。

にも関わらず、俺は一向に止めることをしらない。

 

 

「ハァ……ハァ……」

 

 

まさか、こんな朝早くから出るとは思わなかったぞ……。

 

 

ガン!ガン!ガン!

 

 

「ハァ……ハァ……」

 

 

頼むから……収まってくれ……これ以上……は、俺も……意識を……。

持って行かれる……流される……。

 

 

その時、この部屋のドアが開かれる……。

 

 

「アニス、朝だ……ぞ……。おい!!お前何やってんだ!?」

 

 

 

「ハァ……ハァ……ははは……やっと……来てくれた……」

 

 

アンクがこの部屋にやって来たのに、俺は一向に頭を打ち付けるのを止めない。

そろそろ、本気でヤバいよ……。

 

 

「血が出てるぞ!もう止めろ!」

 

 

「ハァ……ハァ……簡単に言うなよ……結構、正気を保つので精一杯……何だよ……」

 

 

「……まさか……」

 

 

「ハァ……ハァ……そう……その……まさかだよ……もう、頭の中で、ガンガンうるさいんだ……」

 

 

殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して、死にたい死にたい死にたい死にたいって……。

 

 

「アン……ク……もう、無理……だから、俺を縛り上げて……。後、口も何か加えさせて縛って……何するか分からないし……下を咬んで死ぬかもしれない……」

 

 

「そ、そこまで……」

 

 

「早く!……もう……無理……手遅れに……なる前に……」

 

 

「ちぃっ!はやまんじゃねぇぞ!!」

 

 

「ははは……死なない……よ……」

 

 

そこで、俺は意識を失った……。

 

 

アンクサイド

 

 

くそ!何もこんな朝早くに出なくても良いだろうが!

俺は急いでアニスの部屋から出ていき、リビングに向かう。

 

 

「八神!」

 

 

「は、はい!?」

 

 

「何か縛るものとタオル無いか!?」

 

 

「あ、それやったらキッチンの戸棚の中に、ビニール紐と、洗面所にタオル干してありますよ」

 

 

「分かった!」

 

 

急いで持って行かないと、あいつが何を仕出かすか分かったもんじゃない!

部屋に戻ってきて、辺り一面血の海とかだったら絶対に嫌だぞ!!

 

 

「アンクさん、そないに急いでどうしたん?」

 

 

「今は構ってる時間はねぇ!!」

 

 

俺は八神を無視して、そのままアニスの部屋に走る。

 

 

 

「アニス!!」

 

 

「…………アン………ク………」

 

 

部屋に戻ってみると、そこには目に光が無く、うつろになっているアニスが居た。

俺が部屋に入って来たのに気づき、俺の所に目線を向ける。

 

 

「………死に……たい……」

 

 

「ふざけんな!何が死にたいだ!まだ両親見つけてないだろう!」

 

 

「……もう……無理……」

 

 

震える声でアニスは良い、目をきょろきょろさせる。

そして、俺が持ってる紐に目が留まる。

 

 

「……アンク……その紐……ちょーだい……?」

 

 

「何……言ってんだよ……お前……」

 

 

「紐……ちょーだい……首……吊って死ぬから……」

 

 

「正気に戻れ!!自分が何言ってんのか分かってんのか!?」

 

 

「……死にたい……死にたい……死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい……!」

 

 

「ちぃっ!!」

 

 

俺はアニスの押さえつけ、手首と足首を縛り上げ。

口に猿轡の様にし、タオルで縛る。

 

 

「むーっ!むーっ!」

 

 

「……何か、酷い絵図らに……」

 

 

アニスは頭から出血し、手足は縛られ口も塞がれている。

 

 

「むーっ!!むーっ!!」

 

 

「しばらくそのままで、頭冷やしやがれ」

 

 

そう言って、俺はアニスの部屋のドアを閉める。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「……むぅっ……」

 

 

「……何だ?」

 

 

「アニス君、起きてけぇへんなぁ」

 

 

「……今日は、まだ寝かしといてやれ」

 

 

「……アンクさん、何か隠してへん?」

 

 

「……何でそう思う」

 

 

「アニス君は、隠し事……魔法の事や、自分の事を話してくれた。でも、アンクさんからはまだ何にも聞いてない」

 

 

……あいつ、バラしたのか……。

ったく、お人好しも、ここまでくれば呆れて来るな。

 

 

「……まぁ、そこまであいつが話したんなら、そこまでお前を信頼してる証拠か……」

 

 

「ふぇっ!?」

 

 

まぁ、こいつが原作キャラ……だったか?

その立ち位置に居るから話した可能性も高いけどな……。

 

 

「……八神、この話を聞いて、あいつを軽蔑したり、怖がったりしないか?」

 

 

「……いきなり何を言い出すんですか?ウチがアニス君を軽蔑するなんて……そないな事考えられへん」

 

 

「……そうか……だったら教えてやる……」

 

 

俺は、アニスの死にたがりについて、簡単に八神に説明した。

昔は酷かったが、今は自分の意志で抑えている。だが、箍が外れるとすぐに自我を保てなくなり、目につく物全てで自分を傷つけ、自分を死に晒すような事を繰り返す。と。

 

 

「……それじゃ、アニス君は今……」

 

 

「あぁ、今日がちょうどその日にぶち当たっちまった。だけど、今さっき紐で縛り上げて来たから大丈夫だろ」

 

 

「ひ、紐とタオル持ってったんはその為か!?……マニアックやな~……」

 

 

「違う!勘違いすんな!!何がマニアックやだ!!」

 

 

「でも、九歳の子を縛り上げるなんて……少しやり過ぎとちゃいますか?」

 

 

「いや、そうでもしないと、本当に首を吊りかねなかったし、何かで自分を刺しかねなかった」

 

 

「……そんなに酷いん?」

 

 

「見に行くか?今頭から出血して酷い事になってるが」

 

 

「って!そないな事何でサラッと言うねん!せやったら血ぃ流し過ぎで今気を失っとんのちゃう!?」

 

 

「……おぉ、そういう事もあるのか……」

 

 

「何でそんなに落ち着いてるんですか!?はよぉ見に行きますよ!!」

 

 

俺は八神と一緒に急いでアニスの部屋に行く。

勢いよくドアを開け、そこに居るであろうアニスを見る。

 

 

「うわぁっ!?やっぱり気ぃ失っとる!?しかも血が止まってへん!?」

 

 

「ア、アニス!!」

 

 

……とにかく、アニスは死にたがりを発動しても、気を失っても、手が掛かる奴だと、今日身に染みた……。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「いやぁ、恥ずかしい所を見せちゃったね」

 

 

おはよう、っと言っても、もう夕方何だけどね~。

何か一回気を失って目が覚めたら死にたがり消えてたよ~。

 

 

「全く、心配掛けやがって」

 

 

「えへへ~、ごめんねアンク。ほらほら、抱きしめて良いよ~?ご褒美ご褒美~、キャハハ!」

 

 

「じゃあお言葉に甘えて……」

 

 

「ちょっ!?はやてちゃんは禁止!胸揉んでくるから嫌だ!って、言ってる傍から!?あはははは!や、やめて!くすぐったいって!あはははは!」

 

 

いやぁ!はやて胸揉まないで!くすぐったいから!そして痛いから!

……あぁ、やっと地獄から解放された……。

 

 

「それで、どうなんだ気分は」

 

 

「うん、少し腫物が引いた感じだよ。でも、まだ全部晴らした気分ではないよ」

 

 

「……そうか」

 

 

「いやぁ、それにしても、些かマニアック過ぎたねあれ。まさか人生初のSM紛いな事をやるとは、しかも自分からアンクにやってって言うとか……あぁ、恥ずかしすぎて、過去の俺をぶん殴りたいよ」

 

 

「あはは、まぁ、頭から血を流しとったから、ウチは見る余裕無かったで」

 

 

「でも、もうあんな羞恥は嫌だよ……はぅ……」

 

 

「はぁ、もう俺もこりごりだ……あんな姿見たくないは……」

 

 

「でも……アンクがしたいんなら……良いよ?」

 

 

「えぇい!頬を赤らめて言うな!お前には羞恥は無いのか!いい加減俺をからかう癖を治せ!!」

 

 

「あははは!怒った怒った~、キャハハハハ!!」

 

 

「じゃあウチがしたる!!」

 

 

「……丁重にお断りします」

 

 

はやてにさせたら死にそうなのでやめとくよ……あぁ、今回は収集や纏まりがつかなかったけど……ま、これで良いっか!

それじゃ、また明日とか!


 
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