第五話 魔法世界入り
side レイト
エヴァと旅を始めてから早いもので20年が経ちました。
旅が進むにつれ襲撃の回数は減ってきたがある時を境に急に増えた。
襲撃して来た一人を捕まえて話を聞くと、どうやらオレとエヴァに賞金がかけられたようだ。
エヴァは「闇の福音」、「人形使い」、「不死の魔法使い」、「悪しき音信」、「禍音の使徒」、「童姿の闇の魔王」等と呼ばれ賞金額は600万$。
オレは「教授」や「仙人」なんてものから「死霊使い」「悪夢」「道化師」「不殺の殺人鬼」等々、最終的には「形なきもの」に落ち着いたらしい。事前情報から対策を立てても毎回違う方法で迎撃されたことからきているらしい。前半の二つ名で呼ぶものはラークの様にオレが直々に技術や思想を説いた奴らだ。
ちなみにオレの賞金額は80万$。理由は誰も殺していないから(再起不能には結構なっているけど)。
「おい、レイト。何を弄ってるんだ」
「さっき手に入れたマスケット銃」
「ああ、盗賊達が持っていた奴か。盗賊のくせになかなか良いものを使っているな」
「まったくだ。しかしちゃんと整備していないせいで不発とか、逆に吃驚したけどな」
「アレはユカイだったな」
「オカゲデ手応エガマッタクダッタケドナ」
「まあ、そう言うなチャチャゼロ。あと数日もすれば歯ごたえがある奴らと戦えるんだからな」
「ソウダッタナ」
現在、東に行くと見せかけてエヴァのゲートを使いフランスという国まで行き、そこからイギリスのウェールズという地方に来ていまる。もろ立派な魔法使いたちのお膝元だがエヴァの認識阻害の魔法薬とオレの秘奥を使いエヴァを20代位まで成長させ、オレも髪の色を銀に染めて誤摩化している。
それにしてもあの幼子がこんなグラマーになるなんて思っても見ませんでした。
あらかじめオレが用意していた服は全て着れませんでした。胸の性で。
ちなみになぜこんな所にいるかというと魔法世界に行く為の門が此所にあるからだ。最近派手に襲ってくる奴が居てこれ以上秘匿は不可能と判断。なら秘匿の必要の無い魔法世界に行こうということになった。
しかも立派な魔法使いたちの本拠地メガロメセンブリアへの門だ。
まさか逃げ回っている賞金首が本拠地にいるなんて思っても見ないだろうな。其処を突かせてもらう。まあいつかはばれるだろうが数年は大丈夫のはず。その間にゆっくり研究と研鑽を積ませてもらいましょうか。
二ヶ月後
「闇の福音と形なきものに告げる貴様らは完全に包囲されている大人しく殺されろ。転移しようとも無駄だ。既に街全体に転移阻害結界を張っている」
ばれました。主にチャチャゼロが原因で。
「シカタネエだろ、ヒマダッタンダヨ」
「だからって街で人を斬ってその場を見られるなよ!」
「ケンカは後にしろ、それよりこの場をどうやって切り抜ける」
「荷物は?」
「全部別荘に放り込んだ」
「よしなら逃げよう。こんなこともあろうかと街の外までの抜け穴を掘っておいた」
「......いつの間に掘ってたんだ?」
「この家を手に入れてすぐに」
ベッドをどけて床の一部を取り外す。
「大変だったぜ、魔法を使うと音で気付かれるから手作業で掘り続けたからな」
「掘り返した土はどうした」
「全部オレのダライオマ魔法球の中に放り込んで錬金した」
「相変わらず反則すぎるぞ」
「いいから早く」
「あっ、ちょ」
「ケケケ」
エヴァとチャチャゼロを穴に放り投げオレ自身も飛び込む。
「我が手に宿るは理の精、汝が一部を我が意のままに。錬金」
呪文を唱えると同時に穴が上部から塞がっていく。ある程度塞がったら錬金を止めてそのまま抜け穴を通り街の外まで出る。
「これからどうするつもりだレイト」
「それなんだがアリアドネーに向かおうと思う。あそこは学ぼうとする者なら犯罪者であろうと受け入れると明言している国だからな。研究にはもってこいだ」
「本気で言っているのか」
「本気さ、まあ変装しているから大丈夫だろ。ただしチャチャゼロお前は動けない様にするぞ」
「ソリャネエゼ、ダンナ」
「たまには狩りに連れて行ってやるから文句は言うな、エヴァも良いか」
「ああ、今回は完全にチャチャゼロが悪いからな」
「まあ、喋れる様にはしといてやるよ」
こうしてオレたちはアリアドネーに向けて旅立った。
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幻想の先に在るもの
それは虚無だろうな。
byレイト