第13話『ネギVSエヴァンジェリンの対決?』
色々な事で時間が経過した後の事。
放課後になり、学園からの帰り道に設置しているベンチに座り込み、今の事を考えていた。
いつの間にかこんな日になって日が進むのが早いと改めて思った。
1000年も生きているせいで時間感覚が早いのかな?
そう思いながら外を眺めていると、
『今日は停電の日です。停電中は十分にご注意ください』
放送が学園を中心とした全ての区域に流れた。
「今日って停電なんですね」
僕に近づいてきたのどかさんが話しかけてきた。
その横に夕映さんがいる。
「ネギ先生は停電の対策は取っていますか?」
「大丈夫ですよ?」
「そうですか」
明日菜さんと木乃香さんとマスターがこちらに来た。
珍しい面子だと思った。
「ぼうや、今日はわかっているな」
「ええ」
「ぼうやの実力、見せてもらおう」
「いいですよ。ですが、絶対に後悔しないでくださいね」
「ふん! 上等だ」
強く言ったマスターがどこかへ行ってしまった。
前にクレーター作った事とか忘れているのかな?
僕はマスターの呪いをリアルタイムに設定した。
設定時間は停電と同時に解除する仕掛け。
「ネギ、勝てるのよね」
「大丈夫ですよ、でも明日菜さん」
「あ、夕映……」
「のどかから聞いたです。やはりネギ先生は魔法使いなんですね」
のどかさんを見ると申し訳なさそうな表情をしていた。
聞いたんじゃなくて問い詰められたんだと推測した。
夕映さんの言葉の答えとして頷く。
「夕映、すごいな~」
「図書館島の時、あの光はネギ先生の何かだとわかってたです」
「やっぱり見られてましたか」
「それでエヴァンジェリンさんが吸血鬼だという事も」
問い詰めた部分は魔法使いだけじゃなく
あの時、僕が説明した全てを知ってるみたいだ。
ってかここは一般の人も通るんだけど大丈夫かな?
こういう話題を話してると魔法先生や生徒に怪しまれる。
後先が面倒のため、明日菜さんに場所を変えるように要求する。
「明日菜さん、この話題は部屋に戻りましょう」
「そうね」
周りを見回した木乃香さんも頷く。
魔法はあくまで秘匿するもの。
秘匿する理由がわからないがその辺はどうでもいい。
夕映さんやのどかさんにも説明するために部屋へ戻った。
説明した後、停電時間になる前に部屋に帰ってもらった。
そして……
とうとう、停電が起こった。
僕は寮の屋上に杖を持って移動した。
「さて、どうするかな?」
杖を背中に装備し、寮の屋上から景色を見回した。
こんなに暗いと外に出ていたら迷うだろうな。
「動くか」
屋上から飛び降りて杖に跨り、低飛行で移動する。
移動していると、マスターがいたが大人になっている。
「エヴァンジェリンさん、どこにいるんですか?」
見た事ある展開に呆れながらも、人芝居としてわざとらしく周りを見る。
すると、メイド姿の茶々丸さんがマスターの横に立ち、
「ネギ先生、こちらです」
マスターの方向へ手を向ける。
茶々丸さんも大変ですね~と合掌する。
「私が闇の福音であるエヴァンジェリン・A・K・マグタウェルだ」
いやいや、マントを広げながら露出のある姿で言われても困る。
それを口に出すと何かを失くすと思って心の中に留める。
「同時に百合吸血鬼な訳ね」
「違う! それより、何で近衛木乃香と神楽坂明日菜と宮崎のどかと綾瀬夕映がいるんだ!」
マスターが幻術が解いて、僕とは違う方向に視線を向けて突っ込んでいた。
僕はマスターの視線を辿ると顔を引きつらせていた。
観客気分な態度の明日菜さんと木乃香さんがのどかさんと夕映さんを連れて来てるからだ。
こんな停電中に行動できるのはこの2人しかいない。
「私が呼んだのよ」
「明日菜さん、連れて来たんですか」
「ネギ先生、がんばってください!」
「なるほど……」
夕映さんがマスターをじーっと直視して頷いた。
何に頷いたのか僕にも分らなかったが、ちょっとイラっときた。
「ふん! ネギ・スプリングフィールド、私を生徒とは思わずかかってくるがいい」
「遠慮なく行きます。魔法の矢150」
イラっと来た感情として速攻、数が多い魔法をマスターに叩き込む。
「何!? 魔法の射手 連弾・氷の200矢」
魔法の矢と魔法の射手が次々にぶつかり合い消失した。
なるほど、マスターは本気じゃないか。
本気を出させるために強めの呪文に変更する。
「真の風の精霊450人よ 集い来たりて 魔法の射手 真・雷の450矢」
威力が見た目より高い魔法を使う僕。
これにどう対抗する?
僕はマスターの反撃を楽しみにする。
「くっ!闇の精霊500柱 魔法の射手 連弾・闇の500矢」
僕より50多く撃つマスター。
450の矢と500の矢が衝突し合うが、
カスって別の所に当たったりして粉砕している場所もあった。
カスっていない矢が見事に消失して同威力の結果に興味が出た。
だから……僕は笑みを浮かべて次の行動予定を変えた。
「光速詠唱短縮化、雷の暴風 掌握」
螺旋状の魔力の塊をネギの体内にぶち込む。
すると、ネギが黒くなり闇のオーラが包み込む。
黒くなっている僕を初めて見る木乃香さん達は驚愕していた。
制御が数分しか持たない状態で闇の魔法を発動させたため、ちょっとヤバめだったりする。
本来上、こんな予定はなかったが、仕方がない。
「闇の魔法だと!?」
「雷の神槍」
エヴァが驚いている間に攻撃手段として一番弱い部類に入る闇の魔法を発動。
僕は雷属性の槍を作り出しマスターに向けて勢いよく投げる。
ブン!と轟音が周りに響かせながら飛んでいく。
「くっ! 闇を従え 吹雪け 常夜の氷雪 闇の吹雪!!」
それに対抗しようと闇の吹雪を撃つマスター
だが、闇の吹雪では貫通される。
ぶつかり合った瞬間に起きた衝撃波はこの際、スルーされている。
そんな事を気にしないマスターは仕方がないと呟き、広範囲魔法を使う。
「契約に従い 我に従え 氷の女王 来れ とこしえのやみ えいえんのひょうが
遅くしかできないのか! なら、全ての命ある者に等しき死を 其は 安らぎ也 おわるせかい」
ほぼ絶対零度の氷に進みが遅くなる程度だったが、
それに焦ったマスターが強引にやっと終わる世界で槍が消滅していた。
僕は槍が消えた事に溜息を吐き、低出力だから仕方がないとマスターを見る。
マスターもニヤッと余裕そうな表情だった。
「人に使う魔法じゃないですよ?」
「闇の魔法もそうだろうって言うか何で知ってる!?」
知ってると強調された言葉にビクッと反応する僕。
バラす気はさらさらないんだけど知りたそうな表情のマスター。
仕方がないから、条件を出して話を進ませよう。
「僕に勝てたら教えてあげますが、僕が勝ったら一つだけ拒否権なしで言う事を聞いてもらいます」
「いいだろう。私は悪の魔法使いだから約束は守る」
「ありがとうございます」
よし、これでマスターと仮契約にできるかな?
ネギは前の仮契約カードを全て無くなっている。
なので、多重アーティファクトが使えない。
こんな様子に外野にいる木乃香さんの声が聞こえた。
「エヴァちゃんって悪なん?」
「さあ……」
「そうは見えませんが」
「きっと駄々っ子なだけよ」
明日菜さんの言葉にマスターが騒ぐ。
まったくその通りと思うのは僕だけじゃなかったんだ。
「外野、うるさいわ!」
「だって、ねぇ」
「エヴァちゃん、説得力がないんやもん」
「あいつら……後で殺す」
明日菜さんと木乃香さんが同意するように頷いていると、
マスターが断罪の剣だっけ? それを作って突進しそうなマスターにいい事を教えた。
「まあ、弟子の件はあの2人だからご自由に」
「ほう、なら条件を受けよう」
「ちょっと!」
明日菜さんの声を無視して僕とマスターは約束をした。
口約束だけなので疑問を持つが、明日菜さんの言葉にストレスを感じるんだろう。
「勝負はどうなったのですか?」
「それよりも周りが滅茶苦茶です」
周りには破損した窓ガラスや粉砕された建物が存在した。
停電のため、幸い人がいなかった。
戦う場所も何で街内なのか僕にはよくわかりません。
「私のせいじゃないぞ」
「僕のせいでもないですね」
「ネギじゃない!」
明日菜さんが僕の方を指を差して言うが、
マスターもちょっと破壊してる。
僕がやった行動を思い出して口にする。
「もしかして、雷の神槍のせいですか? あれの衝撃波は周りを吹き飛ばすだけ何ですが」
「それだと思います」
僕の言った効果を聞いたマスターは呆れた後、柱時計を見て、
「ぼうや、停電が終わりそうだが」
「もう魔力封印はしませんよ」
「そうか……ありがとう」
「何て言ったの?」
「何でもないわ!!」
そうか……の後にあまり小さくて聞こえなかった。
聞いてみるとマスターは頬を赤くして拗ねるようにプイっと横に向く。
「それより、これどうすんのよ」
「マスター、さすがにこれは言い訳ができませんが」
「ぼうや」
「副作用はもうありませんから使いますか。 復元魔法・第2修正」
懐から子供用の杖を取り出して上に向ける。
被害になっていた建物や自然がフィルムのように時間巻き戻し現象が起こる。
元通りになった後、僕は子供用の杖を懐にしまった。
「これで完了です」
「そうや。今からエヴァちゃんの所行こ!」
「何で私の家なんだ!?」
「だって、弟子に入るんなら知っとかなアカンし」
「木乃香の言う通りよ」
あ、そういえば、この勝負の結果はどうなるんだろう。
まあ、後で追求しますか。
とりあえず、話の流れに身を任せる事にした。
「出来れば私は……魔法使いになってみたいかも」
「わ、私も」
のどかさんと夕映さんも付いてくる気満々なようだ。
ここで教える気はなかったんだけどな~。計画の修正が必要かな?
どんどん計画が歪んでいく事に顔を引きつるネギだった。
「仕方がないから付いてこい」
「茶々丸さん、先ほどからしゃべっていないですね」
「いえ、私はマスターの反応でお腹がいっぱいです」
「おい!」
「どうかされましたか?」
首を傾げている茶々丸さんにマスターが両手で頭を抑えていた。
茶々丸さん、何か違いません?
違和感を持った僕はマスターに同情のつもりで肩にポンと置いてあげた。
その後、僕たちはマスターの家に招待された。正確にはさせた、が正しい。
こうして、僕とマスターの戦いは終わった。
戦いなんか全然ないじゃないか!という事はタブーですよ。
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