No.388038

【腐注意】もし俺 小話02【オリジナル】

kmkさん

※こちらは男同士の恋愛を取り扱った作品なので、閲覧の際はお気を付けください。
ちょっと外れたオリジナルBLの小説サイドです。
担当:+

2012-03-07 01:30:29 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:233   閲覧ユーザー数:233

CP:黒ブラ、まろさし Side:ブラ♂

 

 

唐突に『今から行く』とだけ書いたメールが届いて、その30分後には呼び鈴が鳴った。いつも通りにロリータ服を着たさしさんは、ニコニコしながら部屋に入ってきて「急に授業全部なくなったから、ブラさんなら相手してくれると思って」と言いながら左手に持っていた紙袋を差し出してきた。

 

「これ、お土産。いつものプリン屋の新作!一緒に食べよー」

 

「ありがとー。紅茶でいい?」

 

「ん。任せる」

 

彼が定位置に座ったのを確認して、いつものように紅茶を用意する。スティックシュガーと一緒にテーブルに並べれば、彼は嬉々としてスティックシュガーを手に取り、立て続けに3本分投入した。甘いものは好きじゃないと言いながらも、いつも紅茶にはスティックシュガーを3本入れている。前にそれを尋ねたら、健康に悪そうだから、と答えられた。気持ちは分からなくもないけど、決して飲みたいとは思えない。

 

お土産のプリンを食べて、撮りためてたアニメを見たり、くだらない妄想話を続けていると知らないうちに時間が過ぎていた。後1時間もすればくろさんが帰ってくるだろう時間になった事に気付いて、炊飯器のスイッチを入れるために席を立つ。ついでに用も出して部屋に戻ると、彼は珍しく真剣な顔つきで薄い本を読んでいた。とりあえず元の位置に座って携帯でも見ようかと思ったところで、彼が「あのさぁ」とやはり真剣に薄い本を見ながら口を開いた。

 

「オレ、可愛くないかなぁ?」

 

「え?何?いきなりどうしたの?」

 

「いやさぁ、オレまろみさんと付き合ってんじゃん?」

 

うん、と頷く。俺達が一緒に住みはじめたくらいに、彼らは付き合い始めた。勿論、恋愛的な意味で。

 

「普通付き合ってるっていったら、ちゅーとかするじゃん?」

 

うーん、とちょっと悩みながらも、もう一度相槌をうつ。

 

「してこねーんだよ、あの人」

 

「は!?」

 

思わず声を上げて驚いてしまった。何に驚くっていろんなことに驚いたのだけど。さしさんがいわゆる右側だったのかとかさしさんがまだ何もしてないのかとかさしさんは右側なのかとか主にそんなことを。

 

「もう2ヶ月も経つのに一切手を出してこないんだよ。おかしくない?」

 

俺の驚きの理由がまだ何も手を出していないことだと思ってくれたらしく、彼は話を続けた。何と返せばいいのかわからず、一生懸命言葉を考える。

 

「おかしくはないと思うけど…。そういうのも有りなんじゃないの?」

 

「じゃあ、ブラさんは黒さんが2ヶ月間一切自分に触れてくれなくても平気なの?」

 

想像してゾッとする。それは嫌だ。考えることすら怖しい。

 

「…それは、ちょっと嫌かな」

 

「でしょ?」

 

「うん、まぁ」

 

「やっぱオレって魅力ないのかなー?この格好がダメなのかなー」

 

スカートの裾をヒラヒラさせながら彼が言う。格好がだめなら最初から付き合うなんて言わないと思うのだけど、そんなことは口にしない。

 

「格好は関係ないと思うよ?さしさんに似合ってるし」

 

「そうかなー?」

 

そうだよ、と答えるとお互いに黙る。何となく居心地が悪い。何か言わないと、と焦るけれど、何を言ったら良いのかわからない。恋愛偏差値の低い自分に、気の効いたことが言えるとは到底思えない。くろさんだったらこんな時何ていうんだろう、と悩んでいたところで、自分の中で1つの考えが思い浮かぶ。

 

「もしかしたらさ、まろみさんは我慢してるんじゃないかな?」

 

「なんで?付き合ってるのに?何を我慢するの?」

 

釈然としない様子で彼が首を捻る。

 

「わからないけど、まろみさんって真面目だから。さしさんが嫌がるんじゃないかって気にしてるんじゃない?さしさん、服装は女の子だけど中身は男らしいし、うまく言えないけど」

 

そう言うと納得したみたいで、彼の表情がパッと明るくなった。

 

「そっかー。そーだよなー。あの人かなり真面目だもんなー。うん、じゃあ、オレ頑張るわ」

 

「え」

 

何か違う気がする。

 

「ちょっと話つけてみる。ありがとうブラさん。いきなり押し掛けてごめんね」

 

嫌な予感しかしない。

 

「うん、それは全然いいんだけど、頑張りすぎないようにね?」

 

「大丈夫だって、心配してくれてありがと!じゃあまた、何かあってもなくても連絡する!黒さんにも今度飲もうって言っといて!」

 

何が大丈夫なのか全くわからないけれど、彼はもう完全に帰る支度を整えていた。毎度のことながら彼の行動力には驚かされる。

 

「わかった。気をつけてね?」

 

「うん、じゃあね!」

 

マンションの前まで見送りに出ると、彼はぶんぶん手を振りながら意気揚々と帰っていった。何もなければいいけど、とまろみさんの無事を祈りつつ、もうすぐ帰ってくるはずのくろさんを出迎えるために部屋へと戻った。

 

【02 ボーイズトーク】

 

(今日さしさん来てた?)

(来てたけど、どうして?)

(まろみさんが、帰ったらいきなり押し倒されたんだけどどうしようって泣きながら電話してきてたよ)

 


 
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