No.383616 オブリビオンノベル 5.第四話~遺跡探索 後編~紫月紫織さん 2012-02-26 18:29:34 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:470 閲覧ユーザー数:470 |
どれぐらいの時間が経っただろうか。
かろうじて体に力は戻ってきた。まだ聴覚と触覚がおぼろげだったため、ゆっくりと体を起こし、遺跡の壁に体を預ける。
魔法を使う霊体を先に切り捨てていなければじわじわとなぶり殺しにされていただろう。自分の直感を褒めずにはいられない。
落ち着いてしまえば体が本調子に戻るまでさほどの時間はかからなかった。
他の山賊に見つからないかと気が気ではなかったが、広い遺跡ということもあってか、見つかることはなかった。
問題なのは時間経過の感覚がないことだ。
それほど長い時間が経っているというわけではなさそうだったが、短い時間というわけでもあるまい。
残念ながら部屋に時間経過を計れるような物はない。遺跡を出る以外に道はなかった。
部屋の中を観察すると、中央にひとつ、いかにもそれらしげな入れ物が鎮座していた。
アイレイド時代の遺物であるその入れ物は八角柱の形状をしている。鍵はかかっていたがロックピック片手に多少いじるだけで開けることができた。
中にはいくつかの宝石と共に、一冊の本が収められていた。
開いてみると、見慣れない文字でなにやら記されていた。
「なるほどの、宝物庫の守護者みたいなもんじゃったか……ふむ、随分古い文字じゃな……何かの魔法を記してある、のかのぉ?」
しばらくその本を眺めてみたが、私には解読できそうに無く、今はとりあえず荷物に詰め込んでおくだけにした。
何処か、魔術師ギルドにでも持ち込んで解読してもらうことにしよう。
装備をひと通り点検し、問題が無いことを確認して隠し部屋を後にした。
奥の部屋でさらに山賊を発見するが、ある程度のカンが戻ってきた体にとって、並の山賊は雑魚に等しい。軽く切り捨てて進んでいける程度の者ばかりだった。
数人を切り伏せている間に風切り音と共に何かが頬を掠めていった。それが矢であると認識するよりも早く物陰に転がり込む。直感に従った行動だったが、それきり矢が飛んでくる音はしない。
少し遅れて頬に痛みが走った。どうやら鏃が掠めて切れたらしい。拭った手の甲についた血を見て、少々苛立ちを感じた。顔に傷を付けられるのは嫌いだった。
「くそっ、何処に逃げやがった!」
「探せ! 部屋からは出てないはずだ!」
山賊の怒声が響く。
松明の頼りない明かりを頼りに、闇の中に紛れる吸血鬼を探すというのは難しいだろう。
闇を払う生き方を選んだ種族に、闇に溶け込む生き方を選んだ種族が、闇の中で負けてたまるかという話だ。
不用意に孤立した山賊を一人、物陰から強襲し首目掛けて刀を振る。喉が裂けて空気が抜け、血の噴きだす音が響く。
まずは一人。
「うかつに一人で動くな!」
少しは頭の回る奴が居るらしい。しかしそれは手遅れというものだった。すでにそれぞれバラバラに動き始めていた。
アイレイド時代の遺跡には物陰、死角となる部分が非常に豊富だった。そのうえ光源もほとんどなければ、吸血鬼の身体能力を持っての奇襲を並の目で追いきれるわけもない。
結果として、最後に弓師が残るまで敵の小さな断末魔だけが続くこととなった。
「糞っ、クソッ! どこに居やがる! でてこい!」
そう言われて素直に出てくるような奴はおるまい。頭の回るのはその弓師だったらしく、壁を背にして必死に目を凝らしていた。
弓師なら近接戦闘には不得手だろう、近づいて切り払えばいいだけの話だ。
けれどそう簡単には行かなかった。
近づくのに最適な物陰はなく、弓師の足元には松明が放り出されている。
光源に対して接近を行えば流石に気付かれるだろう、上手い立ち位置だと思った。
多少の怪我は覚悟するしか無い。剣を構え、柱の影から闇の中を疾駆する。
弓師は私に接近される前にそれに気づき、私の頭を目掛けて矢を放ってきた。
闇から急に現れた私に対して即座にそんな反応が出来るとは、非常に優秀な弓師だ。
とっさに左腕をかざす。避けることはしない。そんなことをすれば二度目三度目の射撃のチャンスを与えてしまう。
それを防ぎ、そのまま初太刀を必殺のものにするためだ。腕に突き刺さった矢をそのままに踏み込み、間合いを詰める。
次の矢をつがえる暇も与えない、短剣を取り出そうとしたのか腰に手を伸ばした弓師を、踏み込みと腰の回転を載せた渾身の一刀で叩き斬る。
刃が深く食い込む感触、内蔵を切り裂いていく感触、骨を断ち切る感触。濃厚な血の匂い、そして断末魔。
それらを経て、弓師は胴体と下半身で二分割されて転がった。
ひさしぶりに満足の行く一刀だった。内蔵をぶちまけた弓師の死体を前に、手に残る剣の感触に、小さな笑みを浮かべた。
わずかに心臓が高鳴っているのが自分でもわかる。 ほう、と息を一つ。
満足しつつ一旦鞘に剣を収め、左腕に刺さっている矢を引きぬく。特に毒が塗ってあるということはなかったらしく、体に何か変化があるということはなかった。
「随分とまぁ、良心的じゃの。それとも毒をそもそも持っておらんかったかな?」
腕の傷から溢れる血を舐めつつ、そんなことをひとりごちる。
聞くものは誰もいない、とはいえ今の断末魔が遺跡の奥まで響いていない保証はなかった。
息を潜めて耳を済ませるが、誰かが近寄ってくるような音はなかった。ひとまず大丈夫のようだ。
何か役に立ちそうな物が無いかと探してみるついでに、弓師の持っていた弓を拾い上げた。弦を引いてみるが、やや歪みがあるように思えて持っていくことをやめた。
どうせ持ち歩くならちゃんとしたものにするべきだろう。他には無いかと見回すと、白く光るクリスタルが台座の上に飾られていた。
強い魔力を感じる、たしか何かしらの使い道がある代物だったと記憶しているが、何に使う物だったのかまでは思い出せなかった。
とりあえず持っていくことにして、荷物の中に詰め込む。
こういった品があるということは、どうやらこの遺跡ももうすぐ最奥部だということだろう。
私は息を潜め、慎重に足を進めた。
足元にあるスイッチを踏み込むと、錆びついた鉄の扉が耳障りな音を立てて開いてゆく。
これだけ大きな音が出る仕掛けでは気付かれてしまうだろう。私の推測が当たっているとわかったのは、その仕掛け扉の奥の階段を登った直後だった。
ウォーメイスを構え、鎖で作ったドレスというかなり特殊なものを着込んだ女性が待ち構えていた。
「よく来たね、アタシの部下たちを随分とかわいがってくれたみたいじゃないか」
「礼には及ばんぞ、入り口で会った見張りの男と弓師以外は大概お粗末な連中じゃったからの」
「たっぷりお礼をしてやるよ!」
女首領は口上もほどほどにメイスを私目掛けて振りおろしてきた。
後ろは狭い通路、奥は部屋になっている。それを確認し、部屋の奥へ入るべく横をすり抜けるように動く。
その瞬間、メイスの輝きに気づいて総毛立つ。銀のメイスだった。火と並んで私達吸血鬼が苦手とする材質は、美しい輝きを持って私を脅かす。
メイスを振り抜いた瞬間を狙い抜刀の勢いを利用した一閃を仕掛けるが、あろうことか女首領は回避出来ないと思える態勢から跳んだ。
常人にはおよそ不可能であろう動きにあっけに取られたが、すぐさま構えを戻す。
女首領のまとう防具がわずかに淡い光を放ったのを見逃さなかった。魔力を付与したブーツと鎧をらしい。
厄介なことになりそうだった。
私の剣は女首領をなかなか捉えることが出来ない。しかしそれは相手も同じ事で、女首領のメイスが私を捉えることもなかった。
スタミナの奪い合い、隙を探しての駆け引きの勝負となりつつある。
遺跡の入り口で出会った男と違い、パワーはさほどではない。だが代わりに女首領は早く、動きが綺麗に流れていた。剣を持てば相当の使い手なのではないかと思わせる。たとえそれがある程度魔力付与の恩恵を受けていたとしてもだ。
右から、左から、瓦礫を足場に頭上から、次々と繰り出される攻撃を避けることに集中して、私は女首領の動きを見ることに終始した。
刃物でメイスと打ち合うような事は出来ない。剣の種類にもよるが、私の剣は切れで勝負するタイプの、いわゆる刀系だ。
重量で勝負するような切れ味の悪い剣ならば打ち合うという選択肢もある、しかしこの剣で撃ちあえば刃が欠けてしまう。
「どうした! 逃げてばかりじゃ話にならないよ!」
声を張り上げて襲いかかってくる女首領を前に、私は壁を蹴って部屋の上部へと舞い上がる。そのまま部屋の反対側の柱へと跳ぶが、あろうことか女首領はその動きを追って来た。
とはいえ、私と同じように跳んだわけではなく、走って追ってきた。
着地点を狙われれば避ける術はない。剣を抜いて答えるわけにも行かず、鞘でメイスを受け止める。
ミシッ、という音と共に鞘に罅が入る。
「やりおるのぉ、よく追うて来れるもんじゃ」
「ほざきな小娘! アタシを誰だと思ってんだい!」
「知らんわヴォケが!」
鎖で作られたドレスの上に触れ、魔力を解き放つ。生気を奪い取るドレインタッチの魔法は私の得意分野だ。
それに気づいたのか女首領はとっさに私を蹴りつけて、その反動も利用して距離を取る。
私としても都合のいい事だったのでそのまま勢いを利用して転がりながら距離を取った。
荒く、肩で息をしているところを見ると効果は十分にあったのだろう。
剣で切れる箇所も少ない相手にとっては魔法の方が有効なのは確実か。
魔力を練り、幾つもの火球を創りだす。それを女首領目掛けて撃ち出すがこれはことごとく避けられてしまった。まだまだ余力は残しているらしい。
再び距離を詰めてくる相手に対し、今度はあえて接近戦を挑む事にした。
銀のメイスは厄介だが、避けれないほど的確な振りでもなければ、鋭さもない。この辺は女の腕の限界と、魔力付与の恩恵も無いからだろう。
なまじ機動力に魔力付与の恩恵がある所為で別の部分が鈍く感じるというのもあるのだろう。
錯覚だったと気づいた時には遅く、私の剣は鞘ごと弾き飛ばされていた。次のメイスを受け止める手立てが無いままにその攻撃にさらされる。髪が何本か巻き込まれて宙を舞う。
一瞬女首領が身を引いた。その瞬間で身を捩り弾かれた剣に手を伸ばす、しかしそれは罠だった。
あらぬ姿勢からの回避行動は見ていたはずだというのに、それを考慮に入れ忘れたといってもいい。
引いた筈の身をはじけさせて、思い切り突き出してきたメイスは的確に私の腹部を捉えた一撃となった。
剣は拾えた、代わりに腹部を直撃したメイスが服越しにすら肌を焼く。内蔵の潰れる嫌な感触と共に不快感が駆け上がってくる。
その不快感を無理やり飲み下し、剣を抜く。なりふり構っていられる相手ではなさそうだ。
私達”Terran”特有の血液魔法─血の力を消費して使う種族特有の能力─を使い身体能力を一時的に、若干だが引き上げる。
そうして打つのは逃げの一手。遺跡の構造を利用して徐々にだが距離を広げると同時に、
私の左手はベルトポーチを探る。
手に当たる感触からものを判断し、私はそれを取り出した。
「逃げてばっかりじゃ終わらないよ、出ておいで小娘!」
「やれやれ、声まで含めていろいろとでかいヤツじゃの」
柱の影から出ながら呆れたように言う。挑発の意味もある、駆け引きを誤ればさらに上級の血液魔法を使うしかない。
血液魔法は他者から血を吸うことでしかその力を回復させられない、過剰に使えばそのぶん大量の血液を必要としてしまう。
極力、温存しておきたかった。
「観念したかい」
「なんじゃ、頭の回るヤツかとおもったらそうでもないようじゃな。こんな所まで乗り込んでくるヤツがこの程度で観念するとでもおもうたか? 見込み違いという奴じゃな」
「だろうね、その頭をグズグズになるまで叩きまくってやるよ!」
「やれるものならやってみい」
メイスを構え直し、再び襲いかかってくる女首領をよく観察する。狙える場所は少なく、その大多数は致命傷にもなり難い。そんな重装備を魔力付与で補っている。上手いやり方だ。
振り下ろされるメイスの一撃をすれ違うように回避し、剣を走らせる。
小手に弾かれた。
距離を開けて、再び観察する。
頭は革のヘルメット、ガントレットも身につけている。
忌々しい重装備っぷりだった。
狙えるとすれば、ガントレットと鎖のドレスの間、肩から腕にかけての部分だろう。
再び襲いかかるメイスを紙一重で避けて一撃を想定する。
「吹っ飛べ小娘!」
渾身の、そして会心の一撃だったであろうそれを、紙一重で避けきれず頬が裂ける。
銀のメイス傷はかすめただけだというのにかなりの痛みを伴った。
傷の代わりに作った一瞬で剣を振るう。鞘走りを利用しない分、剣速は大分遅い。それでもなんとか肩口の防護を切り裂いて私の刃は女首領の腕を切り裂いた。
舌打ちが聞こえた。
盾を構え直し、警戒を強めた相手を前に、私は効きがどれぐらいなのかを図るべく、頭の中で時間を図っていた。
「私の鎧を切り裂くとはなかなかやるね、此処まで入り込んだのは伊達じゃないってわけだ」
三秒。
「けどね、あんたは鎧の端っこを……引っ掻いただけさ、いい気にならないことだね」
七秒。
火球を一つ作り、撃ち出す。
それを避ける女首領の動きは明らかに鈍くなっていた。接近して剣を何度か打ち合わせるに連れ、鈍くなっていく動きに戸惑いを隠せない様子だった。
その隙をついて掴みかかり、再びドレインタッチの魔法を仕掛ける。
今度は逃れられる事無く、あらかたの生気を奪い取ることが出来た。
もはや立っていることすらできなくなったのか倒れ伏し、忌々しげに私を睨みつける瞳だけが健在だった。
「こむ、すめ……毒…か!」
「そういうこと、気がつくのが遅かったわね」
「卑怯……者め! 畜、生っ! ぶっ殺し、てやる!」
「ご自由に、まぁ……頑張って化けて出て?」
倒れ付している女首領の首筋目掛けて、剣を突き降ろす。終わりは意外とあっけないものだった。
遺跡の扉を開ければ、外の澄んだ空気の匂いが鼻孔を満たしてくれた。
遺跡の中で散々吸った、埃とカビにまみれた空気に汚染された肺を浄化してくれるような気がして、何度か深呼吸を繰り返す。
空に雲もなく、満天の星空が見渡せた。
それなりの運動と、多少の収穫、それが今回の遺跡探索の結果だった。
これで討伐奨励ダンジョンに指定されていれば、討伐の報奨金まで手に入って最高だったのだが。
流石に欲張り過ぎだなと苦笑する。
かなり時間が過ぎたことから日の出る時間が気になった。場合によっては遺跡前でキャンプという事になりそうだが、流石にそれは自殺行為だろう。遺跡の外にいた山賊が居ないと考えるのは楽観視にも程がある。
空を見るかぎり、夜明けまではまだもう少し時間があるだろう。
出来る限り遺跡から離れることにして大体の方向を考え、森の中を進んでいけばすぐにコロルとブルーマを繋ぐ街道に出た。
街道沿いは特に語ることも無く、平坦な道だった。おそらく遺跡に入る前に先行していた帝国兵があらかた切り倒してしまった後なのだろう。
散歩気分で街道を進んでいると背後から唸り声が聞こえて、振り返れば狼が居た。
こちらを威嚇しているらしくその瞳は敵意に満ちている。一つ思いついたことがあって、あえて剣は抜かなかった。
こちらに向けてくる目に視線を合わせ、魔力を開放する。
ジリジリとこちらににじり寄ってきていたオオカミは突如警戒心をなくし、歩み寄ってきた。
その頭に手を伸ばし撫でてやると、従順に鳴いてみせる。成功だった。
下級動物を使役する瞳術はどうやらちゃんと使えるらしく、内心で安堵する。
狼を従えて街道を歩きがてら、自分は何をしているのだろうかと漠然と考えていた。
シロディールへと戻ってきた日に見た夢、そしてその夢と関わると思われる出来事が今この地を静かに蝕んでいる。
それがどういう事態を招くのか、何故私はその出来事に関わりつつあるのか。
偶然も、3つ続けば必然。
もしもそうだとするなら、私の道は一体誰と交わり、どんな影響を与え、何処へ続いているのだろうか。
それ自体は興味深い。
この旅で、どのような出会いがあるのか。
願わくば、それが退屈しのぎになるようなものであって欲しい。
そして、もしもこの出来事に関わる中で私の旅が終わるというのなら、それはそれでいいのではないかとも思うのだ。
物思いに耽りながら、隣についてくる狼を見る。
隣に歩いているのが、もっと別の人であればいいのに……。
ふと浮かんだ自分の考えを振り払う。らしくもないものだ。
そんなものを望む時期はとっくの昔に通りすぎているだろうに。
街道は上り道に入り、徐々に山の上へと向かっていた。ブルーマは北の山の上にあり、一年中雪に覆われている地帯だ。
おそらくこのあともしばらく上り道が続くのだろう。
だんだんと木々が減り、空が見渡しやすくなって来ていて、だいぶ高度も上がってきたのだとわかる。
ちょうど木々が倒れて無くなっていた場所から、シロディール地域を広く見渡すことが出来て、私は思わず足を止めた。
この土地はこんなに広かったのか。
そう思わずに居られない。
遠目に王都が見えた。篝火以外の明かりは見えないが、そこには人の営みが在ることが見て取れる。
まるで地上の星。空には本当の星空が輝いている。王都の周りにある湖も、川も、昼ならきっと陽光を反射してキラキラと輝くのだろう。今はまるで、闇の流れる川のようだった。
あんな所から歩いて来たのかと思うと、自然とため息が漏れる。
あまりにも広く、人の住む場所はわずかしかない。そんな狭い人の領域で、一体何が起きようとしているのか。
今はまだ想像もつかなかった。
「丁度いいし、今日はこの辺で休むかの」
テントを広げ、チェストの中をあさる。鹿肉を引っ張り出してそれをツマミに山賊の隠れ家から拝借したワインを開ける。
明日起きた時、またこの景色が見れるのなら、性質の悪い夢を見たとしても気分を切り替えやすいだろう。
ワインの瓶が一本空く頃にはすっかり酔が周り、瞳術を掛けた狼にテントの前の番をさせるように命じ、そのままテントに戻り眠りに落ちた。
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