No.381823 勇者伝説セイバスター 第2話「電光石火の勇者」2012-02-22 20:19:11 投稿 / 全2ページ 総閲覧数:509 閲覧ユーザー数:509 |
第2話「電光石火の勇者」
ここはソルダーズが地球襲撃のために空に作った異空間の中。ここでソルダーズが直立不動のまま悩んでいた。
「聖勇者……ファイナル……」
そう、前回の戦いでソルダーズが召喚した魔物が聖勇者ファイナルによって敗北したのである。その事をソルダーズはいまだに怒りとして覚えているのだ。
「おのれ……あんな奴が現れなければ私の任務は完璧だったはずだ……」
「ずいぶんとごきげんななめのようで?」
その時、後ろからゴルヴォルフの声が聞こえてきる。ソルダーズが後ろを振り向くとそこにはゴルヴォルフが立っていた。
「ゴルヴォルフ、何のようだ?」
「なに、お前の調子を見に来ただけだ」
「それだけなら帰れ」
「へいへい。ま、せいぜい負け犬にならないこったな。ヘッヘッヘ……」
ゴルヴォルフが嫌な笑みを見せて鳥のような魔物を使い、上空へと飛び去っていく。
「聖勇者ファイナル、次は必ずお前を倒す!」
ソルダーズが前を向いて叫ぶ。その叫びはすぐに沈黙へと変わっていった。
場所は変わり、ここは高速道路の上。空人達が石橋に半分強制的に連れられて車で勇者研究所へと向かっている所であった。
「あの……」
「何だね? 晴香君」
晴香が石橋に話しかける。
「家に電話したいんですけど、携帯電話か何かありますか?」
「ああ、そう言えば勝手に君達を連れてきたからしっかりと両親にお断りしておかないとな。ファイナル君」
石橋が車に変形しているファイナルに話しかける。
『何か?』
「ちょっと手を放したいので代わりに君が運転できるか?」
『可能だ』
「そうか。悪いが、少しの間だけ頼む。目的地はカーナビのコンピューターから引き出せば分かるはずだ」
『ああ』
石橋が手を放して懐を探り出す。
「あったあった。これを使ってくれ」
そういって石橋が携帯電話を晴香に渡す。
「ありがとうございます」
晴香がそういって携帯電話の番号を押そうとする。しかし、そこで手が止まる。
「どうしたの、晴香?」
「これ、どうやって使うんですか?」
晴香が石橋に向かって聞く。それを聞いた空人と石橋がズッコケる。
「そ、そこのボタンを押した後、君の家の番号を押せばつながるはずだ」
「ありがとうございます」
晴香が礼を言って石橋に教わった手順で家に電話をする。
「空人君、晴香君はいつもあの調子なのか?」
石橋が小声で空人に聞く。
「はい」
「そ、そうか……(私はついていけんな……)」
石橋が納得をするも、頭の中ではあきれていた。
「これ、ありがとうございました」
晴香がそういって使い終わった携帯電話を石橋に返す。石橋が手にしたその時、石橋の携帯電話が鳴り出す。
「おっ、ちょっと失礼」
石橋が前に向き直して通話を始める。
「いったい誰からだろうね?」
晴香が空人に石橋の話し相手のことについて聞く。
「さあ?」
二人がそんな事を話しているうちに石橋が会話を終える。
「いきなりすまない。ちょっと大事なようだったのでな……」
「別に私たちはかまいません」
『石橋所長、用は終わったのか?』
「おおっと、すまない。ずっと運転してもらって……」
石橋がハンドルを握り、再び運転を始める。その時すでに車は高速道路を降りていた。
数十分後。車はとある場所につく。
「さあ、ついたぞ。ここが勇者研究所だ」
石橋がそういって車の窓から研究所を二人に見せる。
「ここが……」
「結構大きいんですね」
「なに、他の研究施設と比べればうちなんかまだ小さい方だ」
石橋がそういって車を研究所の裏へと向かわせる。
「どこへ行くんですか?」
「『いい所』だ」
「いい所?」
晴香がそういった瞬間、車はガレージらしき所へと入っていく。
「少し待ってくれ」
そういって石橋が車の外に出る。そして何かを操作したかと思うとガレージの床が下がっていく。
「うわっ!?」
「きゃっ!?」
二人が床が急に動き出したので驚いている。
「なんだ、これ?」
「ハッハッハ・・・驚かせてすまない。ここはエレベーターになっているのだ」
石橋が笑う。しばらくして、その下降が止まる。
「さあ、外に出ていいぞ」
石橋の言葉で空人達が車から出る。そして周りを見回すと目の前に『Holy Brave Concentrate』と書いてある頑丈そうな扉を発見する。
「改めてようこそ、我が『Holy Brave Concentrate』へ!」
「ほーりーぶれいぶこんせんとれーと?」
「何ですか、それは?」
空人が石橋の言った言葉に質問する。
「Holy Brave Concentrate、略してHBCは自らの手で勇者を作りだし、日本、いや、
地球の全てを守るために結成された組織なのだ!!」
石橋が力を入れながら説明する。
「何かよく分からないけど、すごい……」
空人がその石橋の説明を聞いて感心している。
「では、中へと案内しよう」
石橋がドアの前に立ち、テンキーに番号を打ち込むとドアが激しい音を立てながら開いていく。
「ここがHBCの中心となる『グレートオーダールーム』だ」
「うわ~……」
「大きいですね……」
二人が周りを見まわす。そこには巨大なモニターがいくつかあり、スタッフが数人ほどいた。
「石橋司令官」
「荒井君、何か?」
「この少年達が『勇者と心を通わす者』ですか?」
荒井と呼ばれた女性スタッフの一人が石橋に向かって話しかける。
「ああ、本当に偶然だったがな」
『オオ~……』
HBCスタッフ達の視線がふたりに集まる。
「な、なんか恥ずかしいな……」
空人がその視線を感じて照れて頭をかく。
「空人君、彼らはこの勇者研究所の研究員であり、HBCのスタッフでもある」
「よろしくお願いします!」
晴香が元気よく挨拶をする。
「元気のいい挨拶だな」
男性スタッフが晴香の挨拶に感心する。
「彼らはあとで紹介しよう。次はこっちだ」
石橋がグレートオーダールームから出て行く。二人もそれについていく。その時、石橋がファイナルの前で立ち止まる。
「ファイナル君」
『はい』
「ここなら十分なスペースがあるからロボットの姿で私についてきてくれないか?君にも見せておきたい事があるんでな」
『了解』
ファイナルが石橋のいう通りにして車からロボットの形態へと変形する。
「うむ。それでは改めてついてきてくれたまえ」
石橋が再び歩き出す。そして立ち止まった目の前にはさっきのグレートオーダールームと同じような扉があった。石橋が扉を開けるとそこには一人の少年が壁によりかかっていた。
「ここはHBC機動部隊の待機する『フォースオーダールーム』だ。そしてそこにいるのが機動部隊隊長の……」
「俺は『堀井瞬治(ほりいしゅんじ)』、HBC機動部隊隊長をやっている。よろしくな」
そういって瞬治が空人の前に手をだす。
「よろしくお願いします」
そういって空人が瞬治と握手する。
「彼は中学生でありながら我らHBCの機動部隊隊長を進んで受けてくれたのだ」
「ええ~っ!?」
「うおっ!?」
二人が驚く。その驚きぶりに瞬治達が逆に驚く。
「中学生でこんなすごいことをやってるんですか?」
「べ、別にたいしたことじゃないさ」
「彼は私のこの『勇者を見分ける眼』に止まった初の少年なのだ」
石橋がそういって自分の目を指差す。
「いきなり「君はこれから勇者だ!」と言われたら誰だって変質者だと思うぜ?石橋司令官」
「そんな事を言わないでくれ。君だってこうして引き受けてくれたのだから」
「俺は石橋司令官に救われたようなものだからな。引き受けた理由もそこにある」
瞬治が意味深のような言葉を石橋に向かって言う。
「あの、昔何かあったんですか?」
「いや、人に話すようなことじゃないさ」
そういって瞬治がファイナルに近づく。
「こっちにいるのがさっき電話で言ってた『聖勇者』なのか?」
瞬治がファイナルを見上げる。どうやらさっき石橋が話していた電話の相手は瞬治らしい。
「私は『勇気』を司る聖勇者、ファイナルだ。よろしく、堀井機動隊長」
「よろしく。俺を呼ぶ時は『瞬治』でいいよ。機動部隊隊長っていうのはあくまでも肩書きみたいなもんだから」
「肩書きだけの機動部隊で悪かったな」
石橋が声のトーンを低くして怒り気味にいう。その言葉でフォースオーダールームに笑い声が響く。その時、フォースオーダールームに非常警報が鳴り響く。
「何だ!?」
「グレートオーダールームへ!ファイナル君はここで待機だ!」
「了解!」
石橋がそういってフォースオーダールームを出て行く。空人達もそれを追いかけていく。
「どうした!?」
「横浜市内に地球外知生体出現!数は1体です!」
荒井が起こった事態を明確に伝える。
「空人君、ファイナルと共に向かってくれないか?」
「分かりました!」
空人が走って向かおうとする。
「空人!」
「なに?」
「……がんばってね!」
「うん!」
空人が晴香の励ましを聞き、走っていく。
フォースオーダールーム。ここでファイナルが待機していた。
「ファイナル、さっきの化け物が現れたんだ!行くよ!」
「分かった!」
ファイナルが返事をし、変形して車になる。その車に空人が後部座席に座る。
「それじゃ、行くよ!」
『おう!』
ファイナルが発進する。発進口を出ると車は道路に出ていった。
場所は変わってここは横浜市内。そこで前回(わずか数時間前)とは違う魔物が暴れていた。その近くのビルの屋上でソルダーズがその光景を眺めていた。
「今度は私が絶対に勝つ!いけ、『アクアビースト』よ!」
「グアオォォォォォォ!!」
魔物が激しく咆哮し、街を破壊していく。そこにいた人々はパニックになって四方八方へと逃げていく。そこにファイナルの変形した車が街にたどりつく。空人が後部座席から外に出る。
「ファイナル!」
『チェンジ!!』
ファイナルが掛け声を出すと変形してロボットの形態になる。
「ファイナル、あの化け物をやっつけるんだ!」
「おう!」
ファイナルが魔物の方を向く。そして腰からファイナルブラスターを取り出す。
「ファイナルブラスター!!」
ファイナルが引き金を引くと炎の弾が飛び出し、魔物を炎に包み込む。
「やっぱりすごいや!」
空人が喜んでいる。しかし、魔物はほとんど無傷だった。
「なに!?」
しかものその魔物がファイナルに向かって巨大な水の弾を吐いて反撃してくる。
「ぐあっ!」
ファイナルがその攻撃を受けて倒れてしまう。
「ファイナル!」
「く……ならばこれで!」
ファイナルが立ち上がって魔物に向かって構える。
「はあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ファイナルが咆哮するとその周りの空気がファイナルに集まっていくように風がふく。
「ファイナルバーン!!!」
ファイナルの胸の飾りから巨大な火の弾が現れ、魔物に向かって飛んでいく。しかし、魔物が水の弾を吐いてファイナルの攻撃をかき消す。
「何っ!?」
「そんな!」
その光景を見てファイナルと空人が驚く。
「フハハハハハハ!!お前は炎を使うとわかっていた。だから水の力を持つ魔物を選んだのだ!これなら絶対に勝てる!」
ソルダーズが大きな声で独り言を叫ぶ。
HBCのグレートオーダールーム。
「うかつだった!地球外知生体が水の力を持っていると早く気付けば!」
「(空人……!)」
石橋が言った言葉を耳にした晴香が、必死の思いで祈っていた。その時、瞬治が走ってグレートオーダールームに入ってくる。
「石橋司令官!俺がヴァリアントと行く!」
「ヴァリアントの整備は?」
「すでに終わってなきゃいわねーっての」
瞬治がサムズアップ(親指を立てること)をする。
「よし、ヴァリアントの出撃を許可する!」
「オッケー、行くぜ!」
瞬治が走ってグレートオーダールームから出て行く。そしてフォースオーダールームに準備してある戦闘機の座席に座る。
「VALIANT、Let’s go!」(ヴァリアント、行くぞ!)
「了解!」
瞬治の乗った戦闘機が瞬治の掛け声に対して返事をする。そして発進口から激しい音を立てて出撃する。その戦闘機はものすごい勢いで目的地へと向かっていた。
再び横浜市内。現在の状態はさっきと変わっておらず、魔物が倒れているファイナルに向かって立っていた。
「フハハハハ……私の作戦に狂いはない。聖勇者もここで終わりだ!いけ、アクアビーストよ!」
ソルダーズが魔物に向かって指示を出す。その指示を聞いた魔物がファイナルに向かって大きく口を開ける。
「だめだ……すまない、空人……」
「ファイナルー!!」
空人が激しく叫ぶ。しかし、魔物が水の弾をファイナルに向かって吐き出す。
「勝った!!」
ドドドドドドドドド……
ソルダーズが勝利を確信したその時、魔物の吐いた水の弾に向かってどこからか銃弾が飛んでくる。その銃弾が水の弾をかき消す。
「何!?」
「……え?」
空人がその状況を飲み込めないでいた。空人の目に映ったのは苦しんでいる魔物と1機の戦闘機だった。
「あれは……?」
空人が戦闘機を見つめる。
『危ない所だったな』
その時、戦闘機から瞬治の声が聞こえてくる。
「その声は、瞬治さん!」
空人の表情が明るくなる。
『魔物が水の力を持っていたのは誤算だったな。だが、俺が来たからには絶対に地球外知生体にファイナルを傷つけさせない』
瞬治が言い終わるとすぐにスピーカーのスイッチを切る。
「VALIANT、BRAVE MODE ON!」(ヴァリアント、勇者形態だ!)
瞬治が掛け声を叫ぶ。すると戦闘機が変形して黄色いロボットになる。
「電光石火、ヴァリアント!!」
黄色いロボットが決めゼリフをいうとポーズする。
「ヴァリアント……」
空人が黄色いロボットを見つめる。
「私はヴァリアント。HBCの手によって作られた勇者だ」
ヴァリアントが自己紹介する。その時、魔物が再び暴れはじめる。
「危ない!」
「サンダーシールド、オン!」
ヴァリアントが左腕を魔物に向かって突き出す。すると電気のシールドが発生し、魔物の攻撃を止める。それと同時に魔物が攻撃した腕から電気によるショックを受ける。魔物はそのショックにより動けなくなる。
「水の力を持ってるなら雷が効く。水は電気を通すからな」
瞬治がそういって指を軽く振る。
「ヴァリアント、一気に行くぞ!」
「了解!」
ヴァリアントが瞬治の掛け声に返事する。そして魔物に向かって構える。
「ヴァリアントサンダー!!!」
ヴァリアントが腕を振り上げ、魔物に向かって手を突き出すとものすごい勢いでヴァリアントの手から雷が魔物に向かって飛んでいく。
「グアァァァァァァァァ!!!」
ドオォォォォォォォォン!!
魔物がその攻撃を受けた瞬間、激しい大爆発を起こした。その爆風のあとに魔物の姿はなかった。
「任務完了」
「I wish you go to the heaven」(お前が天国に行くことを願っておいてやる(注:造語)
その爆風の中で瞬治は決めゼリフをいい、ヴァリアントは後ろを向いてポーズをつける。
「く、またしても勇者か……」
ソルダーズが勇者に対する怒りを抑えながら消える。
「すごい、すごいや!」
空人が感激している。ヴァリアントのコクピットでは瞬治が一息ついていた。
「初戦闘にしてはペースが速くてよかったな」
「そうか。ありがとう、瞬治」
ヴァリアントの礼の言葉に瞬治が笑顔でサムズアップをする。
ソルダーズが空に作った異空間の中。ソルダーズが怒りに身を任せてあちこちに八つ当たりする。
「なぜ私の任務に妨げが現れるんだ!?今まで全ての妨げは除去できたのに!?」
「お前が弱いってことを意味してるんだよ」
ゴルヴォルフがまたソルダーズの後ろに立っていた。
「またお前か。いったい何のようだ?」
「お前の代わりに俺がやってやるよ」
「何をだ?」
「分かってるくせによ……この任務だよ。2回も続けて戦闘に出たんだ。ちょうど疲れているとこだろ?だったら俺が変わりにやってやるよ」
ゴルヴォルフがそういって嫌な笑みを見せる。
「断る!」
「そうかい。ならせいぜい負け続けてのたれ死ぬんだな。ヒャーッハッハッハッハ!!」
ゴルヴォルフが高笑いをして去っていく。
「おのれ……」
ソルダーズが必死に怒りを抑えていた。勇者やゴルヴォルフの言葉に対して……
第3話に続く
次回予告
瞬治だ。俺達の次の任務を教える。
HBCがファイナルをいろいろと調べている。どうやらファイナルのデータを取りたいらしい。
ファイナルのデータが取り終わったと思ったら今度は地球外生命体が現れやがった!
すぐにその地点へと向かう俺達。だが、地球外生命体が大きすぎてダメージを与えられない!
俺が半分あきらめかけたその時、ファイナルが合体して再び魔物と戦う!
次回、勇者伝説セイバスター『燃え上がる火焔』
行くぞ!「VALIANT、Let’s go!」
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アニメ『勇者シリーズ』を意識したオリジナルロボットストーリー。中学生の頃に書いていた作品なので、文章の稚拙さが著しいのでご注意を。